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明日太×あやか

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明日太×あやか小説

神楽坂明日太の朝はルームメイトの近衛木乃香のフライパンコールで始まる。木乃香のフライパンコールとはただ単純。フライパンをガンガン勢いよく叩くだけである。
新聞配達の仕事が入っている朝は目覚まし時計ですんなり目覚めることができる明日太であったが、元来惰眠を貪るタイプの人間なのだ。
今も隣で目覚ましがジリジリと騒音をたてているが起きる気配は全くない。そんな気持ちよく寝ている明日太に近づく影が一つ。近衛木乃香だ。
長い黒髪を持つ大和撫子を体現したかのような女の子。

「ほらほら、明日太~。朝やで~、はよう起きんと遅刻してまうで~」

綺麗な黒髪を揺らしながら明日太の体を揺さぶってみるが起きる気配どころか反応すら無し。いったいどんな眠りの深さなのやら。
一分ほど明日太の体を揺すぶり続けていた木乃香であったが諦めて次の策に移ることにした。台所にとてとてと小走りで向かう木乃香。
すると、がさごそとなにかを探す音。目的の物はすぐに見つかったようだ。戻ってきた木乃香の手には大型の黒い物体――フライパン――と銀色の先が球体になっている物体――おたま――がある。
これぞ、朝の黄金コンビといえる二つの物を手にしている木乃香の耳には耳栓が。台所でとってきたのだろう。木乃香の右手にはフライパン、左手にはおたま。両手を天高くあげ、Y字状にする。
そして、いきおいよく叩き合わせた。瞬間、ものすごい轟音が部屋に響き渡る。まだ一回目の音が残っているが続けて二回、三回と連続して叩く。ちょうど回数が十回目の終わりで明日太は目覚めた。
ガバッと勢いよく上半身を跳ね上げ、体にかかっていた布団を足の方へと投げ捨てる。

「……おはよ、木乃香……」

「おはようさん、明日太」

まだ寝ぼけ眼の明日太、対して木乃香は挨拶もそこそこ台所にもう向かっている。明日太はショートカットの髪を掻きながら制服へと着替えている。
のろのろとした動作でゆっくりと動く。その間にも木乃香は台所から料理をせっせと持ってきている。途中寝て木乃香に起こされながら着替えたのは秘密だ。
明日太が制服を着終わったときにはもうテーブルには朝ごはんが並んでいた。目玉焼き、焼き魚、漬物、白米、牛乳といういかにも日本人の朝ごはんという感じだ。
TVをつけ座布団を敷き、そこに座る。すぐに木乃香もやってきて座る。座ったのを確認してから二人は手を合わせた。

『いただきまーす』

そろえて言う。TVからは朝のニュースが流れている。ニュースをBGMにしながら二人は雑談に花を咲かせた。

「木乃香~、俺今日の数学当たるんだよ。あとで、宿題写させてくれ」

「ダーメや。明日太、いつも自分でやらんやろ。たまには自分でやらなあかん。それに午後からやから十分できるはずや」

「……頼むって、このとーり、一生のお願い。数学のセンセ、厳しいじゃん」

明日太は手を合わせて頭を下げた。神様に拝むように。だが、木乃香は相手にしない。箸を休めることはしなかった。

「ダメなもんはダメや。自分でやりーや」

そんな木乃香の態度に明日太はしぶしぶといった風に元の体勢に戻った。再び食事を始める。その顔は悲しげだ。

食事も終わり、後片付けも終わった二人は部屋をでるところだった。明日太はすでに鞄を手に部屋の外に出ている。
周りには登校している他の生徒もちらほら見受けられた。壁に背を預け、片手をポケットに突っ込み待つ。すぐに木乃香はやってきた。
部屋に鍵をかけて明日太の方を振り返る。

「ほな、いこか?明日太」

「そうだな、刹那も待ってるだろうし」

二人は歩き出した。適当に雑談でもしながら寮の玄関に向かった。

玄関にはもうすでに刹那の姿があった。先ほどの明日太と同じように壁に背を預け、鞄を持っている。
明日太と違う点はその手には刹那の身長より長い棒状の袋があることと目を瞑っている点だ。その様子はさながら修行僧のようでだれも近づけないオーラを出していた。
事実他の生徒は刹那の周囲には近寄らず、少し遠回りしながら玄関を出ている。普段のおだやかな刹那からは想像もつかない姿だ。

「うぃーす、刹那」

「せっちゃん、おはようさん」

だが、二人はそんな刹那に気軽に話しかけた。片手をあげながらの明日太と笑顔の木乃香だ。
この雰囲気を醸し出しているときに刹那に話しかけることができる人間は少ない。
明日太と木乃香はその数少ない人間といえるだろう。

「おはようございます。お嬢様、明日太さん」

刹那は目を開け、二人のほうを見た。笑顔で二人に挨拶する。とても同一人物とは思えない。それほどまでに刹那の纏っている空気が違うのだ。
例えるならば、静から動、鬼から人、といったところか。

「それでは行きましょうか」

「おう」

「そやな」


玄関を出た三人は麻帆良学園を一路目指す。麻帆良学園までは結構な距離がある。電車に乗り、その後は徒歩で校舎を目指すことになる。
寮生は早めに出ないと間に合わないことが多い。麻帆良学園までは電車の乗継がないのは助かるところか。
駅から校舎までは約15分というところだ。明日太たち三人はゆっくりと歩いていた。遅刻するような時間帯ではない。朝の散歩といったところか。
三人は刹那を中心に右側に明日太、左側に木乃香がいる。校舎まではあと十分もあればつくだろう。途中で明日太は大きなため息を吐いた。
がくっと首だけ弛緩したかのように下を向く。心なしか肩も下がっている。

「はぁ~」

「どうかしたんですか?明日太さん」

刹那は心配そうに明日太に話しかける。そんな刹那の心配をよそに明日太再びため息を吐き、ゆっくりとした動作で首だけ刹那の方にむける。

「はぁ~……今日さぁ、午後から数学あんじゃん?俺今日あたるんだよ。しかも宿題出てるからさ二重でキツイ」

「はは、それは災難ですね」

陰鬱そうな表情の明日太を見ながら刹那は苦笑いした。刹那とて勉学は得意なほうではない。どちらかというと苦手だ。クラス成績も下から数えたほうが早い。
あまり人事ではないのだ。と、急に明日太は元気になり、刹那の肩を強く掴む。

「そうだ!いいこと、思いついた!そうだよ、なんでこれが思いつかなかったんだよ、俺!」

「明日太さん……肩、肩が痛いです……」

明日太のかなり強い握力に掴まれている刹那の肩は悲鳴をあげている。みしっという骨が軋む音がする。
痛みに顔を歪ませている刹那のことなど気にもせず、明日太は言葉を続けた。

「刹那!宿題みせ――」

「せっちゃんに見せてもらうのはダメやで」

「――え?」

明日太の言葉は最後まで言えなかった。途中で木乃香の言葉に阻まれたから。勢いを削がれた明日太は呆然と木乃香のことを見ている。
刹那は明日太が手を離してくれたのでほっと安堵していた。木乃香の言葉に意識を向ける。

「せっちゃんかてがんばってやったんやで?そのせっちゃんの努力を明日太が横取りするのは許さへん。明日太も自分でやりーや」

木乃香の言葉には逆らうことができない圧力が宿っていた。木乃香がこんな風に言うことは珍しい。だから明日太は逆らえなかった。
再び明日太はがくっと首を下げた。そんな明日太を見て刹那はこれまた苦笑いを見せた。


クラスに入ると結構な数のクラスメイトがもうすでにいた。ざっと見渡してみると来ていないのは比較的遅刻が多いタイプの連中だけだった。
クラスの1割の生徒といったところか。三人は別れ、それぞれの席に着いた。といっても、明日太と木乃香は隣同士なので別れたのは刹那だけであったが。
朝のHRが始まるまでは時間がある。とくにすることもないので左隣の柿崎美砂雄に話しかけてみた。美砂雄は机にうつぶせになっている。
耳を澄ませてみるとなにやら美砂雄の泣き声が。

「おい、どーした?美砂雄。……もしかして、また浮気されたのか?」

「……うぅ……なんでだよ……俺じゃだめなのか……俺じゃ満足できないのか?……お前にはいつも買ってやってるだろ?
ブランド物も何でも……それでも……それでもだめなのか?……ぐすっ、うぇ……ひぐっ……」

「…………」

どうやら明日太の推測はあたっているらしかった。美砂雄はこちらの声など聞いてもいないようだ。ただひたすらに泣いている。
とりあえず、ほうっておくことにした。美砂雄の朝泣きはもはや3-Aの日常茶飯事だった。明日は明日でまた泣いていることは簡単に想像できた。
次にボーッとしながら周りの雑談でも聞いてみることにした。

「これが俺のオベリスクだ!!ワハハハハハ」
「ちょっとー!オベリスクは卑怯でしょ!神カードは禁止だって」
「甘いな、風香。勝負はいつも非情なんだぜ!慢心することなかれ!」
「やめなよー、お姉ちゃん。こうなったハルキは止められないよ」
「うるさーい、史也!僕の全財産で買ったレッドアイズとどっかの社長さんから貰ったブルーアイズ三枚とエジプト付近にある神カード持ってこーい!」
「……無理だって……」

「……なにやってんだ……あいつらは……」

明日太がそんなことを呟いたと同時に教室のドアが開いた。担任のネギ子が入ってきた。ネギ子は齢10歳にして教師という天才少女だ。
その頭脳は大人顔負けでオックスフォード大学を卒業できる程度の頭脳を持っている。普段は天然ボケの真面目な可愛い女の子なのだが。
たまに黒くなることもある。

「はいはーい、皆さん座ってくださーい」

ネギ子の声で皆きっちりと自分の席に戻る。その時、ある違和感を感じた。本来ならばそこにあるべきのものがないという違和感。
明日太は周りを見渡してみた。どこかに必ずその違和感の原因があるはずなのだ。すぐに原因は見つかった。教卓の前のあやかがいないのだ。
あやかは滅多に休むということが無いというのを知っているからこそ驚きは一入の明日太だった。

「えーっと、今日のお休みはいいんちょさんですね。なにか連絡されている人いませんか?」

ネギ子の質問に那波千鶴が手をあげた。クラス一の巨乳で学園で保母をしている。特技は尻にネギ刺しとかなんとか、そんな噂もある。
終始笑顔の中学生とは思えない美女。正しくは美少女なのだろうが。年齢的に。

「あやかは今日ちょっと体調が悪いそうなので休ませました」

「そうですか……わかりました。早く良くなるといいですね」

ネギ子が出席簿に書いているのを見ながら明日太はあやかのことを考えていた。どうしたんだろう、と。
何か重い病気かもしれない……重病の可能性は低いとしても気になる。今まで一緒にいた時間ではあやかが病気にかかることなど少なかったから。
あやかの落ち込んでいる姿を見たのは、弟が死産してしまった時か。いろいろなことを考えていた明日太は肩を叩かれていることに気がつかなかった。

「明日太君……私の授業はそんなにつまらないかな?」

と、顔を上げるとそこにはセルピ子がいた。そういえば一時間目はセルピ子の授業だったなと明日太は思った。
どうやら考え事をしている間にいつのまにか予鈴が鳴り、授業が始まっていたらしい。

「うおっ!……す、すいません!」

「はぁ……ちゃんと集中して授業受けてね?」

「はい……すいませんでした」

軽くため息をつくとセルピ子は黒板のほうへと向かっていった。安堵し、ふぅと息を吐く。そして大きく息を吸った。
落ち着いた明日太は周囲になぜ教えてくれなかったのかを問い詰めようと、周りを見渡した。ほぼ全員が自分の事を見てニヤニヤしている。
はめられた、と思った。
確かにぼーっとしていた自分が悪いが、教えてくれても良かったのではないかなどと心の中で軽く毒を吐き、明日太は黒板のほうに顔を向け、机に肘をついた。
そこにあごを乗せ、またぼーっとする。

一時間目終了と共に明日太は急いである人物へと話しかけようとしていた。机に出してある教科書なども片付けずに一目散に向かう。

「夏!」

「わっ!?……なんだ、明日太か。どうしたの?そんな大声出して?」

「お前にちょっと聞きたいことがある。時間いいか?」

「う、うん……いいけど」

明日太の迫力に気圧されながら夏はなんとか返事を返した。次の時間の予習を少ししておきたかったのだがそれは言えなかった。

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