いろいろな微分

いろいろな微分


Rnの話し

全微分

要するにTaylor展開による1次近似(= 線形写像としての近似)を考えている。
fがC1級のときfは全微分可能であるといい,以下が成り立つ。
\Delta f = \sum \frac{\partial f}{\partial x_i} \Delta x_i + o \left(\sqrt{ \sum x^2_i } \right)
この式の極限として以下を定義する。
d f = \sum \frac{\partial f}{\partial x_i} d x_i
上の定義による全微分は,適当な座標のもとで可能になるから,無限次元空間では使えない。

定理
 全微分可能 ⇒ 各変数で偏微分可能
 逆は必ずしも成り立たない!

方向微分

uを方向余弦とする。つまり,|u|2=1
fがC1級のとき,次の極限が存在して,右辺と一致する。
\frac{\partial f(\mathbf{a})}{\partial \mathbf{u}} := \lim_{h \to 0} \frac{f(\mathbf{a}+h\mathbf{u})-f(\mathbf{a})}{h} = \sum u_i \frac{\partial f(\mathbf{a})}{\partial x_i} = \frac{\partial f(\mathbf{a})}{\partial x} \cdot \mathbf{u} = \nabla f(\mathbf{a}) \cdot \mathbf{u}
これをfのu方向への方向微分といい,Duf(a)とか,dfa(u)とかく。

曲線による定義
方向微分は,以下のように曲線を用いて定義することもできる。
即ち,t でパラメトライズされた曲線 x=γ(t) を考え,
これが γ(0)=a, γ'(0)=u を満たすとき,
df_a(u) := \frac{d f(\gamma (t))}{d t} \Big | _{t=0} \right

多様体の話し

多様体上の写像の微分

多様体上の微分
接ベクトルも参照

Banach空間の話し

座標を想定することができないので,座標に依らない微分の定義が必要である。
また,微分を議論するためには,完備性が必要である。

Fréchet 微分 f'(a)

全微分の拡張。その正体はJacobi行列である。
 ←fを線形作用素として近似しようというのが基本思想。
Banach空間XからYへの写像fに対し,有界線形作用素Tがあって,以下が成り立つとき,
\lim_{h \to 0} \frac{ \| f(a+h)-f(a) - Th\| _Y}{ \| h \|_X}=0
fはaでFréchet微分可能であるといい,Tをf'(a)と書く。
定義:C1
fがC1級であるとは,以下の写像φが連続写像になること。
φ : U (open ⊂X) → L(X,Y); x → f'(x)

定理(ヤコビ行列)
f'(a)はヤコビ行列で与えられる。
f ^\prime (a) = \frac{\partial f}{\partial x}(a)

系(行列の微分)
1. f(x)=Ax+b \Rightarrow f ^\prime (x) = A 
2. f(x)=(Ax,x)+(b,x)+c \Rightarrow f^\prime(x) = 2Ax+b
定理
Fréchet 微分可能 ⇒ Gâteaux 微分可能

定理(逆関数定理)
X,Y : Banach Sp.
c ∈ U:open ⊂ X
f:U→Yが以下の条件を満たすとする。(以下スタブ)
 1.f(c)=0
 2.f(c)=0
 3.f(c)=0
系(陰関数定理の応用)
X,Y:Banach\, Sp.;\; U \subset X:open
f:U \to Y: \, smooth
M := f^{-1}(c) \; ( c \in Y )
Xの各点aでdfaが全射になるとき,Mは
「1階微分係数を1次関数による近似ととらえるのは Frechet (1878–1973) に始まる。
 特に無限次元空間における微分法では,今でもFrechet 微分という語はよく使われている。」多変数の微分積分学1p50より引用)

Gâteaux 微分 Duf(a), or dfa(u)

Banach空間に拡張した方向微分のこと。
df_a(u) := \lim_{h \to 0} \frac{f(a+hu)-f(a)}{h} = \frac{d f(a+tu)}{d t} \Big| _{t=0}
座標軸方向への微分を特に,Gâteaux 偏微分という。

定理
fのGâteaux 微分 dfa(u)が以下を満たすとき,fはFrechet微分可能である。
 1. df_a : u \mapsto df_a(u) \textrm{ : Linear}
 2. df : U(open \subset X) \to \mathcal{L}(X,Y); a \mapsto df_a \textrm{ : Conti.} 
ただし,L(X,Y)はXからYへの有界線形作用素の全体であり,作用素ノルムによって Banach空間である。
このとき,特に dfa = f'(a) が成り立ち,これを単にfの微分という。
つまり,微分とは有界線形作用素である。

劣微分

劣微分は凸関数のFrechet微分。発展方程式の理論などで使う。

弱微分

Sobolev空間で出てくる。
形式的な部分積分が弱収束すること。
\int_\Omega u' \phi dx = - \int_\Omega u \phi' dx \quad ({}^\forall \phi \in C_0^\infty(\Omega))

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最終更新:2011年05月01日 16:45
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