行列の変換

変換の分類

相似変換

正則行列Pによって,
P^{-1} A P
と変換すること。
相似変換によって固有値は変化しない。
相似であることは、Jordan標準形が同じと考えてもよい。

同値変換

2つのユニタリ行列U,Vによって、
U A V
と変換すること。
同値変換によって固有値は???
同値変換によって特異値は変化しない。

合同変換

正則行列Pによって,
P^\mathrm{T} A P
と変換すること。
合同変換によって固有値は変化するが,エルミートor実対称行列の固有値の符号を変えない(Sylvesterの慣性法則)。
Pとして直交行列をとれるときは,相似変換になる。

直交変換, ユニタリ変換

直交(ユニタリ)行列Uによって、
U^* A U
と変換すること。
直交(ユニタリ)行列は正則行列なので、直交(ユニタリ)変換は相似変換の一種である。
直交(ユニタリ)変換は数値誤差を拡大縮小しないために数値的に安定であり,
またその逆変換が転置で与えられるという,数値計算的によい性質を持つ。

Householder変換

ベクトルvによるHouseholder変換とは、vの法平面による鏡映変換である。
QR分解やHessenberg形への変形などはこれで行われる。

Givens変換

置換 permutation

各行・各列とも,1つの成分のみ1で,あとは0である行列を置換行列という。
置換は,互換(transposition)の積として与えられる。

基本変形

基本行列3つ
1. 互換 P(p,q)
2. スケーリング T(p; t) \ (t \neq 0)
3. 加法 W(p,q; t)
基本行列を左からかけると,行に対する操作(基本行変換)になる。
右からかけると,列に対する操作(基本列変換)になる。
基本行列は正則だから,基本変換はすべて可逆である。
基本変形によってランクは変わらない。
互換を除く基本変形によって固有値は変化する。
互換 P(p,q) transposition
p_{ij} = \begin{cases} \delta_{ij} & (i \neq p,q) \\ \delta_{iq} & (i=p) \\ \delta_{ip} & (i=q)\end{cases}
互換は対称な直交行列である。従って正則行列。
有限個の互換の積(置換 permutation)は、直交行列だが一般に対称性を失う。
実際、
(S_1 S_2)^\mathrm{T} = S_2^\mathrm{T} S_1^\mathrm{T} = S_2 S_1 \neq S_1 S_2
最後の不等号は、一般に互換の積は非可換であることから従う。
※ 対称行列は積で閉じていないことに注意!
\begin{pmatrix} 0 & 1 \\ 1 & 0 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 0 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0 & 0 \\ 1 & 0 \end{pmatrix}

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2010年10月27日 00:44
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。