ケンタウロス(Centaurs、Kentauros、Κενταυρος)


ケンタウルス、セントールとも言われる。複数形ケンタウロイ(Kentauroi)
ギリシャ神話に登場する怪物の一種で、人間の上半身を持つが、腰から下は四本の脚が生えた馬の胴体である。
一部の例外を除き、みな好色で乱暴者ばかりである。
その性質が災いし、ラピテス族との間に戦争が起こり、壊滅してしまう。

軍神アレスの粗暴な息子・イクシオン?ヘラをかたどった雲との間に生まれた。
テッサリアのペリオン山に住むという。

また、本来「ケンタウロス」とは「半人半獣」を意味する言葉であり、
魚人間「イクテュオケンタウロス」、ロバ人間「オノケンタウロス」、龍人間「ドラコケンタウロス」といった言葉もある。
馬人間は「ヒッポケンタウロス」である。

列伝・ケンタウロス

ケンタウロス族の主要な人物?を列記する。

①賢者ケイローン
 乱暴物ばかりのケンタウロス族にあってただ一人知性的な人物。
 別項ケイローンを参考されたし。

②エウリュテイオン
 一族の中でも知れ渡った大酒飲み。
 ラピテス族の王・ペオリトオスとヒッポダメイアとの婚礼の宴の席に招かれる。
 その席で彼は酔っ払って花嫁を奪おうとする蛮行に出た。
 これが原因でケンタウロス族とラピテス族との間に戦争がおこった。これが「ケンタウロマキア」である。
 この戦争で敗北したケンタウロス族は大勢の死者を出した。

 野蛮なケンタウロスと高貴なラピテス族との戦争の様子は、
 ギリシャ人以外のバルバロイとギリシャ人との戦争を象徴し、美術の主題として好まれた。

③ポロス
 ポロスは十二の功業の内、四番目の最中であったヘラクレスに出会い、彼を歓待した。
 この時ケンタウロスが一族で共有する酒を飲もうとしたヘラクレスとケンタウロスとの間で闘いになった。
 この闘いでもケンタウロス族は敗北し、ケイローンまでもが死んでしまう。

④ネッソス
 一族の復讐に燃えるネッソスは、ヘラクレスの妻デイアネイラ?をさらおうとするが失敗し、射殺される。
 だが、死に際に「自分の血と精液は媚薬になる」とデイアネイラ?に偽り、
 後にネッソスの血を染み込ませた上着を着たヘラクレスは死んでしまう。
 ネッソスの血は猛毒だったのだ。ネッソスがデイアネイラ?をさらおうとした場所が、ネッソス河である。

⑤ロイコスとヒライオス
 彼ら2人は共謀して女狩人アタランテ?を犯そうとするが逆襲され射殺された。


現代のケンタウロス

ケイローンは死後、天上に上り黄道十二宮の1つ・射手座(Sagittarius)となった。
また、海王星(ネプチューン?)よりも遠い位置にある氷の小惑星群は
カイパーベルト天体、または「セントール」と呼ばれている。

「セントール」の名は天体の他にも宇宙ロケットや企業の名になっている。

参考

尾形隆之介『通読 ギリシア神話』東京図書出版会

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最終更新:2005年06月27日 11:42