人魚(にんぎょ)

女性はマーメイド(mermaid)、男性はマーマン(merman)。

 西洋における一般的なイメージでは、上半身が美しい女性、下半身は魚の姿をした海の妖精。その伝承は世界各地にある。

西洋の人魚

 半人半魚はバビロニアの海神オアンネスが、そのルーツとされ、パレスチナにおいてはペリシテ人の漁業の神ダゴン?、シリアの月の女神アタルガティス等に派生して行った。
 ホメロスの『オデュッセイア』にセイレーンという半人半鳥の怪物が登場し、後世の人魚像に多大な影響を与えた。この怪物は魔性の歌声で人間を誘い、海に誘い込む。時代が下るにつれて犯人半魚となって伝播し、美しい容貌と声を持つという人魚の一般的イメージを形成していった(ネレイスローレライ、童話『人魚姫』がこれに相当する)。

 中世以前、西洋では人魚は主に誘惑と破滅の象徴であり、実在する生物として捉えられていた。また海には地上と同じような文化、社会、宗教があると考えられており、海の修道士といった怪物の存在や、打ち上げられた人魚をキリスト教徒に改宗させる話、禁忌を犯した人間が人魚になる話がまことしやかに信じられていた。

 実際に捕獲例、目撃例も数多く報告されており、その正体がジュゴン、マナティーといった海の哺乳類と結論づけられた18世紀以降も、剥製や標本の存在がニュースとなった(ジェニー・ハニヴァーの標本が流行)。

日本における人魚

 西洋の人魚は半人半魚であるのに対し、日本など東洋では人体の一部を有する魚(人面魚など)のイメージ。そのためか、語られる物語は主役ではなくアイテム(主に切り身)として登場する話が多い。
 八百比丘尼伝説などが示すように、その肉、脂には不老不死などの霊的な効用があると考えられていた。
 その後、江戸時代には西洋文化の流入により、半人半魚のイメージが定着した。また、日本や中国の漁師は猿と魚から、人魚の剥製を捏造し輸出するまでに到る。

補足

 上半身が人間で下半身が魚であるものを人魚、その逆を魚人とする説もある。

 海難にあった人が、外国などの異民族の土地で助けられると、人魚が現れたと騒がれる。こういった事件は、20世紀になっても相次いだ。

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最終更新:2005年08月28日 23:14