戦え! 超ロボット生命体トランスフォーマーの最終回


悪の天才科学者アーカビルの発明した
ヒプノチップで、
人間の心を自由に支配することに成功した
メガトロンは、奴隷となった人々に命じて、
大量のエネルゴンキューブを集めさせた。

さらに、メガトロンが
ニュー・スペースブリッジで
地球の周回軌道上に引き寄せた
セイバートロン星の引力で
大地震と大津波が発生、
地球は壊滅寸前となる。

一方、デストロンの奴隷に変えられてしまった
父スパークプラグを救出すべく
スパイクは、セイバートロン星へと向かう。
しかし父は、スパイクに対して
侵入者という警報ベルのスイッチを
押したのである。

さぁ、果たしてスパイクは?
サイバトロンは?
そして、地球の運命や如何に?




破滅の日 Part-3



『破滅の日 Part-3』は、セイバートロン星から
物語を始めよう──

デストロン本部に乗り込んだスパイク、バンブル、ゴングの前に、デストロンの傀儡となったスパークプラグが立ちふさがる。

スパイク「父さん……」
スパークプラグ「さぁ、とっとと失せろ」
ゴング「警報を鳴らされてしまった。さぁ、逃げよう」
スパイク「また戻ってくるよ…… 必ず助けに来る!」
バンブル「ほんじゃ、早いとこ逃げようよ」

きびすを返すバンブルが、誰かにぶつかる。

バンブル「誰だ? 邪魔っけだなぁ。あっ! お前さんはレーザーウェーブ!」
レーザーウェーブ「いかにも! おい、ドブネズミ野郎! 逃げられはしないぞ!」

デストロン本部を守る防衛参謀レーザーウェーブ。
すでにサウンドウェーブら、デストロン兵士たちも退路を塞いでいる。

ゴング「なんだなんだ? お呼びでないのがゾロゾロ出てきやがって、まったく!」
サウンドウェーブ「奴らを捕まえろ」
ゴング「フン! 簡単に捕まってたまるかよ!」

ゴングが次々に、デストロン兵士たちを投げ飛ばす。

ゴング「怪力ゴング様を知らないか!? 行くぜ、サウンドウェーブ!」

ゴングの銃撃が、サウンドウェーブを吹き飛ばす。

サウンドウェーブ「おわぁ!」
ゴング「じゃぁ、あばよ。デクの坊ども! ゆっくり寝てな!」
レーザーウェーブ「その小僧を逃がすなぁ!」

スパークプラグが退路を塞ぐ。

スパイク「父さん!?」
スパークプラグ「おい、逃がしはしないぞ!」
スパイク「お願い…… やめてよ、父さん、そこをどいて!」
レーザーウェーブ「小僧ともどもサイバトロンを始末しろ!」

そのときだ!

壁面をぶち破り、サイバトロンのスカイファイアー、ホイルジャック、トレイルブレーカーが現れる。

スカイファイアー「パーティにお邪魔してもよろしいかな? あいにく招待状は持っていないが」
レーザーウェーブ「まとめて片づけちまえ!」
スカイファイアー「おっと!」

スカイファイアーがレーザーウェーブの攻撃をかわし、逆に銃撃を見舞う。

レーザーウェーブ「おわぁ!?」
スパイク「助かった! ホイルジャック、よく来てくれたね」
ホイルジャック「いやぁ、バンブルくんから急を聞いてね」
スカイファイアー「さぁ、君たちは先に出ろ! 私はここで大掃除を済ませて行くからな。外で落ち合おう」
ホイルジャック「トランスフォーム! さぁ乗んな、スパイク」
スパイク「君は?」
トレイルブレーカー「俺も後から続くよ。それじゃお先に! 後はよろしく!」

一同はスカイファイアーに戦闘を任せ、その場を脱出する。

サウンドウェーブ「奴らを逃がすな」
レーザーウェーブ「貴様は逃がさん! トランスフォーム!」

レーザーウェーブがガンモードに変形して、ビームを発射する。
スカイファイアーがそれをかわし、傍らの壁面に大穴が開く。

スカイファイアー「出口を広げてくれてどうも!」

スカイファイアーが、その大穴から飛び去る。

レーザーウェーブ「撃て撃てぇ!」

だが、デストロンの執拗な攻撃は、
なおも続いたのである。

サイバトロンたちを、デストロンたちが追う。

スパイク「危ない! ホイルジャック、アタックタワーから!」
ホイルジャック「おっとと!」
バンブル「しつこいなぁ、もう」

アタックは、空からも。

デストロンたちがジェット機に変形し、空から追撃をかける。

ホイルジャック「やれやれ、上からもおいでなすったぜ」
スカイファイアー「空は私に任せてくれ。目障りだ、消え失せてもらうよ」

スカイファイアーが空から、デストロンたちを狙撃する。

デストロンたち「うわぁぁっ!?」

今度は地上タイプのデストロン兵士たちが、ホイルジャックたちを追って来る。

スパイク「ねぇ、今度は車が追っかけて来るよ!? ホイルジャック!」
ホイルジャック「よっしゃ、この先で撒こう。我輩のラボがあるんだよ」
スカイファイアー「私は空の掃除を済ませてから行く。みんな、しっかりな!」

そして、ホイルジャックのラボ近く──

サイバトロンたちは通路を曲がり、入口からラボの中へ。
デストロンたちは入口に気づかず、通り過ぎて行ってしまう。

ホイルジャック「うまくいったね」
ゴング「相手がボンクラで助かったぜ」
ホイルジャック「ここが我輩のマイホーム。けどスパイク、君にはちょいと殺風景かもな」

スパイクが、ラボの設備に感嘆する。

スパイク「こりゃすごいや!」
ホイルジャック「へへ、お褒めに預かってどうも」
スパイク「これだけ揃ってれば、何だってできるね!」
ホイルジャック「だといいがな。まず、君のお父さんを元通りにする方法を考えにゃ」
バンブル「ねぇねぇ、あの、実はこんな物をデストロン本部から頂戴して来たんだけど。どうやらこれ、精神コントロールのコンピューターディスクみたい。調べてみるね」
ホイルジャック「そいつはお手柄だったな、バンブル君! どれどれ?」

バンブルの持つデータを、ホイルジャックが解析にかかる。
奴隷化された人間の姿が、画面に映し出される。
耳の後ろに、小さなチップがある。

ホイルジャック「あのチップは!? そうかぁ…… やっぱし連中はヒプノチップを埋め込んでいたんだ。よぉし、それさえ分かれば!」


そして地球、
セイバートロン星の異常接近による一大パニック。
地球破滅の日をなんとか阻止せんとすコンボイ、
それにサイバトロン戦士たち。

コンボイたちが海上を、大波に乗って滑走し、デストロン基地を目指す。

コンボイ「アイアンハイド、私の早期警戒スキャナーが異常をキャッチしたぞ」
アイアンハイド「私のもです、司令官。山ぐらいの大きさで、我々の後ろから迫って来ます」
ストリーク「な、何だ、ありゃあ!?」

大津波だ!

ストリーク「あ、あんなのに飲み込まれたらひとたまりもありませんぜ!」
アイアンハイド「おい、ストリーク!?」
コンボイ「ついに来たか! さぁみんな、慌てるなよ! このままをキープして行けば、我々の目的地まで楽に運んでくれるんだ。メガトロンの作った前線基地までな! サイバトロン戦士、今のスピードをキープ! このまま突っ込むぞ!」
一同「はい!」


破壊大帝メガトロンの一大プロジェクト──
それは、ニュー・スペースブリッジで
セイバートロン星を地球に近づけ、
互いの重力干渉によって巻き起こる大津波・大地震から
エネルゴンキューブを作ろうというものだ。

海岸に築かれたデストロン基地で、波力発電の準備が進められている。

アーカビル「海水受け入れ口はもうすぐ完成じゃよ、メガトロン」

労働には、奴隷と化した人間たちが駆り出されていた。

奴隷の一人が、つまづいて倒れる。

フレンジー「何してんだよ!? まっすぐ前見てちゃんと歩かねぇからだ!」

メガトロン「大津波がこの囲いの中へ入れば、巨大な水圧がジェネレーターを動かし、あっという間に何千というエネルゴンキューブを生み出すわけだ。おい、もう一つのジェネレーターはどこだ? まだ据え付けておらんのか?」
アーカビル「防波堤がこの程度では低過ぎるからじゃ。大津波が来れば、作業中の奴隷は1人残らず波に飲まれて死んでしまう」
スタースクリーム「奴隷どもがどうなろうと俺たちの知ったことかよ、アーカビルさんよぉ」
メガトロン「おいスタースクリーム、ジェネレーターを据え付けろ」
スタースクリーム「やるだけ時間の無駄じゃねぇんですかねぇ? どうせ、うまくいきっこねぇんだからよぉ……」
メガトロン「何だとぉ!? いいからさっさとやれ! 据え付けろと言っとるんだ、今すぐ!」
アーカビル「しかし、わしの奴隷たちが津波に飲まれたら、どうするんじゃ!?」
メガトロン「人間は海で遊ぶのが大好きな生き物ではないか! 命令は聞いたな、スタースクリーム?」
スタースクリーム「わ、わかりましたよ」

スタースクリームが作業にかかった後、メガトロンがアーカビルに灸を据える。

メガトロン「奴とはあまり親しくしないことだな。わしを裏切るなよ、ドクター」

アーカビル (うぅむ。スタースクリームこそ、わしの求めていたパートナーかもしれん)

そして、津波の到来を見張るフレンジー。

メガトロン「まだやって来んか、津波は?」
フレンジー「はい、只今! ──第一波が接近中です!」

それは、怒涛の如く、
そびえる山の如く接近しつつあった。

津波が基地のジェネレーターを回し、そのエネルギーがデストロン宇宙船へ伝わり、船内でエネルゴンキューブが生成されてゆく。

メガトロン「おぉ、素晴しい! 予想以上だ! 見よ、このエネルギーの物凄さを! フハハハハ!」

そして、コンボイたち。

コンボイ「みんな、もうすぐ着くぞ!」
アイアンハイド「着くって、どこへです? ……一体なんだ、あれは!?」
コンボイ「メガトロンの作った波力発電所だよ。さぁ、突っ込むぞ!」
一同「はい!」

そして──

フレンジー「サ、サイバトロンどもです! 波に乗ってやって来ます!」
メガトロン「来るがいい! どうせ、行き着く先は地獄だ!」

さぁ、どうなる!?

コンボイ「気をつけろ! いいか、これからが勝負だ! さぁ行くぞぉ! サイバトロン戦士、突っ込め!」
一同「おぅ!!」
コンボイ「衝撃に備えるんだ!」

果たして、サイバトロンは!?

サイバトロンたちが津波もろとも、基地へ突撃する。
防波堤が津波に耐え切れず、崩壊する。
波が砕けた中から、コンボイたちが顔を出す。

コンボイ「サイバトロン戦士、おい、みんな無事だろうな?」
アイアンハイド「うぅっ、何とか生きてますよ、司令官。よぉし、この礼はこれから倍にしてメガトロンの奴に叩っ返してやりますよ」
コンボイ「いや、遅すぎたようだ。見ろ!」
アイアンハイド「あ、あれは!?」

デストロンの宇宙船が離陸して行く。

アイアンハイド「戦わずにトンズラ決め込むとは、あいつらしいぜ」
ラチェット「それもエネルゴンキューブを、たんまりと船に積み込んでな」
プロール「メガトロンの奴が有り余るエネルギーを手にしたとなると、倒すのは難しくなるぞ」
マイスター「その心配は後、後。まず人間たちを助けないと」

重傷を負った人間たち──

コンボイ「よぉし、かかれ!」
一同「はい!」

アーカビルも津波の被害を受け、必死に残骸にしがみ付いている。

アーカビル「助けてくれぇ! メガトロン、戻って来てくれぇ!」

そのときだ!

海中からスタースクリームが姿を現し、アーカビルを助ける。

スタースクリーム「メガトロンはお前を見捨てて、とっくにバイバイさ。だがこの俺様はそうじゃないぜ」
アーカビル「すまん、スタースクリーム」
スタースクリーム「トランスフォーム! しっかり掴まってなよ、爺さん!」

その頃、発電所を飛び立った宇宙船では。

リフレクター「ご命令通り、エネルゴンキューブは残らず積み込みました」
メガトロン「よくやった、リフレクター。次に押し寄せる大津波に備えてスタースクリームを残してきたが、あと十回もこれを繰り返せば、我がセイバートロン星を完全に甦らせるのに充分なエネルギーを得られるはずだ」
リフレクター「あの人間はどうしますか? Dr.アーカビルです」
メガトロン「あの爺ならもう用済み、必要ない」


そして、セイバートロン星──

ホイルジャックがコンボイに通信を送っている。

ホイルジャック「レーザーウェーブたちを痛めつけてやりましたが、残念ながら司令官、スパークプラグを救うことはできませんでした。しかし、デストロンが人間を奴隷にした理由はガッチリ掴みましたぜ」
コンボイ『そうか、それは良かった。それで、解放する方法は見つかったのか?』
ホイルジャック「そりゃもう、たった今装置が完成したところです。はい、これ」
ゴング「本当に効くのかなぁ?」
バンブル「おいらも心配」
ホイルジャック「テストはもう一度、スパークプラグを救出しに行った、そのときに」

そして、セイバートロンのデストロン本部。
Dr.アーカビルによって奴隷にされてしまった
父スパークプラグの救出に向かったスパイクだったが──

本部に忍び込んで奥を目指すスパイクを、サーチライトが捉える。

スパイク「あぁっ、しまった! 誰だ!?」

レーザーウェーブたちが現れる。

レーザーウェーブ「やっぱり、また現れおったか!」
スパイク「うるさい!」
レーザーウェーブ「仲間のサイバトロンどもはどこにおる?」
スパイク「僕の父さんはどこなんだ!?」

スパークプラグが現れる。

スパークプラグ「こら、レーザーウェーブの質問に答えろ、スパイク! そして仲間になるんだ!」
レーザーウェーブ「さぁ、言わんか! サイバトロンどもはどこにおるんだ!?」
スパイク「うっ、くそぉ…… 自分で捜せ、このポンコツ野郎!」
レーザーウェーブ「お前、このガキを破壊しろ! これは命令だ」

銃を手にしたスパークプラグが、スパイクに迫る。

スパークプラグ「父さん…… やめて!」
レーザーウェーブ「では、これが最後のチャンスだぞ。おい、サイバトロンどもはどこにおる!?」

「お前のすぐ後ろだよ、レーザーウェーブ」

レーザーウェーブが振り向くと、そこにホイルジャックたちが。

ホイルジャック「しかも、素敵なプレゼントを用意してな。これさ」

ホイルジャックが、解除装置を作動させる。

スパークプラグ「お? おぉっ…… おっ? ここは……? わしゃ、何をしてたんだ?」
バンブル「元に戻ったんだよ!」
スパイク「父さん!」
レーザーウェーブ「近づくと撃つぞ!」

スパイクを撃とうとするレーザーウェーブが、逆にゴングの攻撃を食らう。

スパークプラグ「あぁ、スパイク、息子よ!」
スパイク「父さん…… もう大丈夫なんだね!」
トレイルブレーカー「積もる話もあるだろうけど、逃げるのが先!」
スパイク「早く、父さん!」
スパークプラグ「よし!」

だが、このまま逃げおおせるのか?

レーザーウェーブ「奴らを逃がすなぁ!」
デストロンたち「おぅ!」

必死に逃げるサイバトロンたち。出口のドアが閉ざされている。

トレイルブレーカー「しまった、ドアが!」
ゴング「後に続くんだ! 行くぜ!」

ゴングが体当たりでドアをぶち破る。

デストロンたち「畜生!」

デストロン本部を抜け出したものの、
まだまだ油断はならなかった。

一同にスカイファイアーが合流する。

スカイファイアー「みんな、無事のようだな!」

そのとき──!

攻撃タワーからの狙撃の雨が降り注ぐ。

トレイルブレーカー「おい、気をつけろ! うわっ!」
ホイルジャック「よっしゃ! おい、スカイファイアー、あのうるさいのを黙らせてくれんかな? 頼むわ」
スカイファイアー「了解、今すぐ片付ける。スカイファイアーアタック!」

スカイファイアーの連続攻撃で、攻撃タワーが大爆発する。

バンブル「やったね、スカイファイアー!」
スカイファイアー「さぁ、みんな乗りたまえ!」
スパイク「ありがとう。さぁ、父さん早く!」

こうして、
無事スパークプラグを救出した一行は地球へ。

スカイファイアーが仲間を乗せ、地球へ向かう。

スパークプラグ「みんな、よくわしを見捨てないでくれたな…… 本当に感謝するよ、スパイク」
スパイク「父さんはいつも言ってたじゃないか? 『愛する者を最後まで見捨てるな』って」
スパークプラグ「あぁ!」
バンブル「良かったね、ホント」
ゴング「怪力ゴング様も、思わずホロリ……」


再び地球──
デストロン軍団は、この絶海の孤島で
最後の輸送準備をしていた。

孤島に着陸しているデストロン宇宙船。
何人もの地球人奴隷が、エネルゴンキューブを船内へと積み込む。
その様子を、コンボイたちが陰から窺っている。

メガトロン「エネルゴンキューブの輸送も、今回が最後になりそうだな」

クリフ「見て下さいよ、あの顔を! 飛び出してって、メガトロンのあのニタリ顔をひっぱたいてやりたいですよ」
コンボイ「まぁ慌てるな、クリフ。人間たちにケガをさせてはまずい。まずあのメガトロンを宇宙船から遠ざけることだ。攻撃はそれからだ」
リジェ「よぉし、この私がやってみましょう」
ストリーク「本気か、リジェ?」
マイスター「とても簡単にいくとは思えないが、ひとつ頼んだよ、リジェ。メガトロンをあの宇宙船から離れさせてくれ」

リジェが得意の透明化能力で姿を消し、メガトロンたちのもとへ忍び寄って行く。

メガトロン「我がセイバートロン星が真上に来るまでに出発準備を済ませろ。奴隷どもに作業を急がせるんだぞ!」
スカイワープ「はい!」
メガトロン「スタースクリームはどこにおるんだ?」

当のスタースクリームもその島に来ており、木陰に隠れている。

スタースクリーム「まったく時間の無駄だったぜ、ドクター。お前の貧弱な頭脳からマインドエネルギーを吸い出そうと思ったのが、そもそも俺様の間違いだった。けどいいか? メガトロンを騙し、デストロンのリーダーとなるために、俺にはどうしても優秀な頭脳とエネルギーが要るんだよ」

そう言うスタースクリームの背後に、メガトロンが近づいて来ている。

メガトロン「またわしを裏切る気か、スタースクリーム?」
スタースクリーム「い、いつの間に!?」
メガトロン「反逆の罪は重いぞ、スタースクリーム!」
スタースクリーム「ま、待った!」
メガトロン「この場で処刑してやる! さぁ覚悟しろ、裏切り者!」
スカイワープ「メガトロン様、緊急事態です」
メガトロン「何事だ?」
スタースクリーム「今の内だぜ!」
アーカビル「何をする気じゃ?」
スタースクリーム「必ずまた戻って来るからな! あばよ、メガトロン!」

スタースクリームがアーカビルを掴んで飛び去る。

メガトロン「何事だ!?」
スカイワープ「見て下さい、奴隷たちの様子が何か変です」

船にエネルゴンキューブを運び込んでいた奴隷たちが、今度はそれらを船から次々に運び出して去って行く。

メガトロン「おぉ? エネルゴンキューブを運び出しておる? Dr.アーカビルまでがこのわしを裏切ったというのか?」

リジェが透明化を解き、姿を現す。

リジェ「信頼できる友人には恵まれてないようだな、メガトロン!」
メガトロン「お前はサイバトロン! いつの間に?」

コンボイたちも姿を現す。

コンボイ「ここにもいるぞ、メガトロン! このときを待っていたのだ。人間たちが無事に安全なところへ退避した今、自由に攻撃ができるからな!」
メガトロン「バカめ、粋がりおってが! 片付けろ!」
スカイワープ「トランスフォーム!」
サンダークラッカー「行くぞ、コンボイ!」
コンボイ「伏せろ!」

スカイワープとサンダークラッカーの空からの攻撃が降り注ぐ。

コンボイ「今度は奴隷でなく、自分たちで攻めて来たか。よぉし、来い! 受けてみろ!」

コンボイの反撃を受け、サンダークラッカーが墜落して行く。

サンダークラッカー「うっ、うわぁっ!」
リジェ「まったく、口ほどにもない奴だぜ!」

フレンジーの銃撃が、リジェの背後に命中する。

リジェ「うわぁっ!」
フレンジー「そりゃ、こっちの台詞よ!」

さぁ、戦いだ!

クリフ「1人残らず倒してやるぞ!」
アイアンハイド「まぁ落ち着けよ、クリフ。無駄撃ちはやめるんだ。戦いは始まったばかりだ」
プロール「多勢に無勢です。一旦引き揚げて体勢を立て直し、改めて攻撃を……」
コンボイ「ならん! 今退くわけにはいかん。ここで負けてしまえば、見ろ!」

空からセイバートロン星が近づいてくる。

コンボイ「次のセイバートロン再接近で、地球は滅びる!」
アイアンハイド「このままではやられてしまいます。早く応援を呼びませんと」
コンボイ「しかし……」
プロール「『求めよ、さらば与えられん』だよ」

プロールが空を指す。

アイアンハイド「あれは、スカイファイアーだ!」
コンボイ「まさにグッドタイミングで助けに来てくれるとは……!」
スカイファイアー「おい! 奴隷たちならもう終わったぞ、メガトロン!」
ホイルジャック「そう言うこっちゃ、今日は奴隷解放記念日や! ほな、行きまっせ!」

ホイルジャックがヒプノチップ解除装置を作動させると、地球人奴隷たちが次々に正気に戻り、逃げ去って行く。

バンブル「やった、やった! みんな自由だぁ!」
メガトロン「えぇい、くそぉ…… よくも出しゃばった真似をしてくれたな! トランスフォーム!」
スカイファイアー「うわっ!」

メガトロンのガンモードでの銃撃で、スカイファイアーが不時着する。

スカイファイアー「さぁ、着いたぞ!」
トレイルブレーカー「よぉし、みんな行こうぜ!」
一同「おぉっ!」
スカイファイアー「メガトロンは私のために残しといてくれ!」

バンブルたちが加わり、戦いは、
サイバトロンの有利かに思えたが──?

フレンジー「行くぜぇ! ハンマーアタックだ──っ!」

フレンジー十八番のハンマーアタックで、地割れがバンブルの足元へと伸びていく。

バンブル「へへ、同じ手を食うかよ!」

バンブルがジャンプして、木から垂れ下がる蔓草につかまる。
フレンジーは、そうと知らずに地割れのもとへ駆けて来る。

フレンジー「野郎め、確かこの辺に落ちているはずだが?」
バンブル「ア~アア~!」

バンブルが蔓草にぶら下がって、ターザンアクションでキックを見舞う。
フレンジーが、地割れに落ちて行く。

バンブル「これで借りは返しましたよ!」

そして──!

コンボイ「メガトロン!」
メガトロン「その声は……!」
コンボイ「とうとうお前と私とで、ケリをつけるときが来たようだな」
メガトロン「それより先に片付ける問題があるんじゃないのか、コンボイ!」

メガトロンが指差す先。
セイバートロン星が接近し、津波が生じている。

メガトロン「セイバートロン星が近づいた。地球は間もなく破滅するぞ!」
コンボイ「そう言うお前も一緒に滅びるんだ、メガトロン!」
メガトロン「そのときわしは地球とおさらば、エネルゴンキューブと共にセイバートロン星へ戻り、永久に宇宙を支配するのだ!」
コンボイ「何だと!?」

メガトロンが宇宙船へ駆け込み、空へと飛び立つ。

コンボイ「おい、待て! メガトロン!」
デストロンたち「メガトロン様が……」「俺たちを置いて逃げたぞ!?」「くそぉ、トランスフォーム! おぉい、待ってくれ!」「俺も行く!」

デストロンたちが次々に、空へ逃げ去って行く。

デストロンは退散したものの、
地球は最大のピンチを迎える。

巨大な津波にコンボイが愕然とし、その手から銃が落ちる。

コンボイ「あれだけ巨大だと、地上ごとすっぽり飲み尽くしてしまうぞ!」
アイアンハイド「この俺たちの力じゃ、どうしようもありません」

だが──!

スパイク「方法ならあります!」
コンボイ「本当か、スパイク!?」
スパイク「セイバートロン星を地球の軌道から外してしまえばいいんだ!」
プロール「いや、不可能だね。あれだけの質量を持った惑星を動かすには、とてつもないエネルギーが要るんだ」
スパイク「いいから撃つんだ!」

スパイクがコンボイの落とした銃を抱え、空に向かって撃つ。

プロール「よ、よぉし!」
ホイルジャック「今イチわからんけど?」
コンボイ「そうか、メガトロンが宇宙船に積み込んだ、エネルゴンキューブだ! みんな撃て、撃て!」

一同が空に向かって一斉射撃する。
メガトロンの乗った宇宙船に、攻撃が降り注ぐ。

メガトロン「お、おぉ!? や、やめろ! やめろぉ──っ!」

船内のエネルゴンキューブが誘爆し、宇宙船が大爆発する。
強烈な衝撃が地表にまでおよび、大地が揺らぎ、暴風が吹き荒れる。
セイバートロン星がみるみる、空へと飛び去って行く。

スパイク「見て、成功だ! セイバートロン星が地球の軌道を離れて行く!」
バンブル「でも、あの大津波は!?」

津波もやみ、もとの平穏な海面に戻る。

バンブル「あ~ぁ、残念、おいらのサーフィンのうまいとこ、見せようと思ったのに」
ゴング「まぁたそんな見栄を張って。いやぁ、良かった」
スパイク「いろいろあったけど、最後はめでたし、めでたし。父さんは戻って来たし、セイバートロン星は去って、地球は無事でした。そしてメガトロンもいなくなった」
コンボイ「本当にそうだといいが、しかし……」


コンボイの心配は当たっていた。
その頃、メガトロンは宇宙空間を漂っていたのだ──
生きて!

宇宙空間。
宇宙船の残骸が漂う中、傷だらけになったメガトロンの姿がある。

メガトロン「この仕返しはいつか…… 必ず果たすぞ!」


(終)

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最終更新:2014年07月05日 09:29