ひなた日記：10月

10月：……………

んー……
んー……

珍しく、日記を書くのに勇気がいった。

でも、書いとかなきゃいけないことだと思う。

日陰レンちゃん。

陸上部の後輩。
あたしのことを好きじゃないって言ってたコ。

正直なところ、あたしにとってあのコはなんだったんだろう。
それはまだ答えが出ない。

あのコが私に何を伝えたかったのか、何をさせたかったのかは、今になっても……言葉ではわかっても、本当にしっくりと分かったような気がしなくて。

でも……

あんなことになる前に会っておけばよかったって、いまさら泣いたって遅いコトは確かだった。

あたし、周りが見えてなかったんだなぁって思った。
あたしが修学旅行やら文化祭やらで浮かれている間、あの子は一人で何を考えていたんだろう。

嫌なものなんて見たくない。
あたしのこと嫌いな人なんて見なければいいし、相手だって見たくないだろうと思った。

今になっても、あの子の行動、あたしが嫌いだからって……あたしに罪をかぶせようとしたりっていうのは正直意味がわからない。

でも、ちゃんと、「どうしてそんなことをしたのか」を聞いておかなきゃいけなかったって。
あの子は何を考えてあんなことをしたんだろうって。

いまさら思っても、どうしようもないのに。

「きっとあたしの顔なんか見たくないだろう」

気を使ったつもりだった。
でも、そんなラクな考えに逃げてたのかもしれない。

あたしのシャドウは、あたしよりずっとしっかりしてた。

かなえちゃんを慰めたりって、あたしがやらなきゃいけないことだった。
2回目の事件が起きた時、あたしはまた沈んじゃって、自分から動こうとしなくて。

後になって、結局成長してないんだなーって思っても遅いけど。

でも、あたしは忘れない。それだけは、ちゃんと約束できるし。
……周りを、見てみようって、そう思う。

藤咲はちゃんと自分と戦った。
ヤナセはめちゃめちゃイイ奴になってて、ちゃんと成長できてるんだなぁと思ってちょっぴりうらやましかった。
かなえちゃんは……自分の心とちゃんと向き合えるといいと思う。
梵は向井さんところに行った。何があったかは……

文化祭の飾り付けやったり、軽音部の応援に行ったり、楽しいこともあったから。

あたしは今度こそ後悔しない。

隼人君をちゃんと助けてみせる。

よし、頑張ろう。