まず、ポケモンごっこのキョウコが登場する。
彼女は気がくるっていた。
ピカチュウのきぐるみを着ている内に、自分がピカチュウのきぐるみを着た人間なのか、人間のフリをしたピカチュウなのか、わからなくなっていった。
ある日、彼女は自分にしか見えないピンク模様のヤンチャムに話しかけた。
ピンク模様のヤンチャムは一般的には赤色で、その上、ポストと呼称されるべき存在であったが、
彼女はしっかりとそれが赤いポストごっこをしたピンクのヤンチャムであることを見抜いていた。

「僕はピカチュウごっこの人間なのだろうか、それとも人間ごっこのピカチュウなのだろうか」
「君にはわかるまい、なぜならば君は狂っているのだから」

成程、とキョウコは思った。
自分は狂っているから、その真偽がわからないというのは理に適っている。
では、自分はピカチュウごっこの人間ごっこのピカチュウごっこの人間ごっこのピカチュウごっこの人間ごっこのピカチュウごっこの
人間ごっこのピカチュウごっこの人間ごっこのピカチュウごっこの人間ごっこのピカチュウごっこの人間ごっこのピカチュウごっこの人間ごっこの
ピカチュウごっこの人間ごっこのピカチュウごっこの人間ごっこのピカチュウごっこの人間ごっこのピカチュウごっこの人間ごっこのピカチュウごっこの
ピカチュウごっこの人間ごっこのピカチュウごっこの人間ごっこのピカチュウごっこの人間ごっこのピカチュウごっこの人間ごっこのピカチュウごっこの人間ごっこの
ピカチュウごっこの人間ごっこのピカチュウごっこの人間ごっこのピカチュウごっこの人間ごっこのピカチュウごっこの人間ごっこのピカチュウごっこの
人間ごっこのピカチュウなのかもしれないな、と彼女は思った。

さて、キョウコがこの島にきてまず最初に悩んだことは家に帰れないということである、
彼女は自分の家が本当はカビゴンであることを知っている、彼女がカビゴンの夢の中で暮らしているからカビゴンは自分が家だと思い込んでくれているが、
もしも、彼女がカビゴンの夢の中で暮らすことをやめてしまえば、カビゴンは家では無くなってしまう。

困ったなぁ、とキョウコは思った。
しかし、困ったところでどうしようもないので、キョウコはこの島で暮らすことにした。
透明なペラップも彼女な意見に賛成してくれている、もちろん透明なペラップとは一般的に空気と呼ばれているものである。

「あっ、カバンの中身を没収されちゃった。チョコレートも無いし、キャンディも無いよ、これじゃあ僕はお腹が空いて死んじゃうかもしれない」
「鞄の中身は没収されたけど、ちょっとした食べ物ぐらいならあるんじゃないかなぁ」
「駄目だよ、女の子は甘いもので出来ているんだ。甘いモノを取り上げられた女の子は死ぬしか無いんだよ」
「そういうものかな」
「そういうものだよ、僕は狂っているけど、それぐらいの道理はわかる」
「だったら、モンスターボールを確認するんだね。
もしかしたらトロピウスが甘いきのみを生らして、君を待っているかもしれない」

成程、とキョウコは思い、モンスターボールの中身を確認した。
トロピウスは入っていなかった。

「残念だ、これじゃあ死ぬしか無い」
「悲しいなぁ」
「何も死ぬことは無いよ」
「グポフwwwwwwwwwww拙者もそう思うでござもしwwwwwwwwwwwwwwwww」

キョウコと透明なペラップとの会話に加わったのは、ニドラン♂の♀とニドラン♀の♂である。
新たな二匹は一般的にはモンスターボールと呼称されるべきものであるし、会話をするというのならば中にいるポケモンを出すべきであるだろうが、
少なくとも、二つのモンスターボールが彼女にはニドラン達に見えていた。

「死ぬとwwwwwwww言ったらwwwwwwwwwキョウコ殿以外のwwwwwwwwトレーナーはwwwww殺シンガリフォヌプwwwwwwwwwww」
「僕はここで暮らすからいいけど、皆は家に帰るために殺し合わないといけないよ、なにせみんなの家はカビゴンではないからね」
「多分、巻き込まれると思うんですけど(名推理)」
「困ったなぁ……」

いつものようにポケモンに囲まれていたせいで忘れていたが、そういえばキョウコは殺し合いが行われている場所にいるらしい。
これはポケモンに相談しなければならないなぁとキョウコは思った。

「どうしようかなぁ……僕は死にたくないよ」
「殺せばいいんじゃないかな、殺される前にさ」
「ぐふひwwwwwww邪魔するやつを全員殺せばwwwwwwwwwwwwキョウコ殿はこの島で平和にwwwwwwwwwwww暮らミジングルオwwwwwwwwwww」
「そうだよ(便乗)」
「んーーーーーーーーーじゃあ、思い切って殺して回っちゃおうかな?」
「「「それがいい!!」」」

ここでメイドのクウが登場する、彼女は殺人鬼だった。
スピアーの針が人間の心臓を貫いて殺すことに対し、倒錯的な性の感情を抱いていた。

「四十人じゃ足りない……」
彼女が今までに殺した人間の数を調べることはお勧めしない、彼女自身がその数を覚えていないし、どの事件に関しても事故として処理されている、
何より暇潰しをしたいというなら、もう少し良い方法があるし、彼女が近くにいるならば、アナタが最も優先してするべきことは彼女から逃げることであるからだ。

「あァ、アタシのスピアー……アナタがいなければちっとも楽しくないし、気持ち良くもないわ」
だが、今だけは急いで彼女から逃げる必要はない。
今、彼女はスピアーは持っていないからだ。
もちろん、アナタがだらだらしていれば、彼女は己に支給されたポケモンで新しい快楽を見つける可能性がある、
急いで逃げる必要はないが、手遅れになる前に逃げたほうがいいだろう。
もちろん、命が大事でないならば彼女と会話をしても良い。

「でも、どうしてかしら……何か新しい快感に出会う気がしてならないわ。
あぁ……そう、貫くの……この拳でなああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
と言っても、もう遅かったようだ。
彼女に支給されたポケモンはエビワラーとカイリキー、彼らの拳ならば人体などさっくり貫けるだろう。
今までは細い針だった故に、今度は太い拳でぶっ貫くことに快感を見出したに違いない。
産声を上げた性的快感を中絶する趣味は彼女には無い、早速彼女は獲物を探しに行くことにした。

さて、彼女は現在、はいきょのまちその1にいる。
廃墟とはいえ、街は街である、人も集まってこよう。
ならば、獲物を探すのはそう難しくない。
「オクタンほう」
そう、オクタンほうだ。
気づくと、彼女の腹に大きい穴が開いていた。
どこから砲撃が飛んできたのか、彼女はとっさに真向かいのビルの屋上を見上げた。
成程、ポケモンごっこの少女がテッポウオを手に、ニコニコと笑っている。
余りにも楽しそうなので、彼女もニコニコと笑い返した。
そして、自分の腹部から伝わってくる熱に、官能的な思いを寄せた。
成程――最初から、こうしていれば良かったんだ。

クウは少女に対し、お礼の言葉を言おうとしたが、
口はただパクパクと開くばかりで、ただ空気がひゅうひゅうと流れる音しか発せなかった。

その場に崩れ落ちるメイドを見ながら、キョウコはテッポウオに話しかける。
「幸先いいねぇ、テッポウオ」
「せやろか」

彼女だけが音の一つも発していないテッポウオの喋る声を聞くことが出来た。

「僕はポケモンだから、人間を殺すことに抵抗はないよ。
テッポウオはどうだい?人間を殺して何か思ったかい?」
「カレー食いてぇ」
「僕はチョコレートの方が良いなぁ」
「ワシはカレーが食いたい」
「おいどんもカレーが食いたいでごわす」
「拙者も」
「アタイも」
「私も」

透明なペラップも、ビルのふりをしたカビゴンも、先程殺されたメイドの死体も、
何もかもが彼女に向けて、声をかける。



一旦、ポケモンごっこのキョウコは退場する。
彼女は気がくるっていた。

【メイドのクウ 死亡確認】
【残り36人】

【A-5/はいきょのまち その1/一日目/日中】

【ポケモンごっこのキョウコ 生存確認】
[ステータス]:良好
[バッグ]:基本支給品一式、ランダム支給品×6
[行動方針]マーダー
1:テッポウオで殺される前に狙撃する

◆【テッポウオ/Lv50】
とくせい:スナイパー
もちもの:???
能力値:???
《もっているわざ》
ロックオン
オクタンほう
????
????

◆【???/Lv50】
とくせい:???
もちもの:???
能力値:???
《もっているわざ》
????

◆【カイリキー/Lv50】
とくせい:???
もちもの:???
能力値:???
《もっているわざ》
????

◆【エビワラー/Lv50】
とくせい:???
もちもの:???
能力値:???
《もっているわざ》
????


第10話 ブレイズフレンズ! 第11話 待ちキャラって会話相手がいないと退屈だから 第12話 誰が為に強さは宿る

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最終更新:2014年11月19日 00:34