梅雨空に芽吹いた花

工房区のロユ集落。
ここでは300年以上前から代々続く、
「雷の精霊に祝福された一族」フィーボン家が人々をまとめていた。

なぜ一族がそう呼ばれるかと言うと、
この家に生まれた雷属性の男の子は
誰にも教わらずに自らの魔力だけで雷の力を操ることができたからである。
彼らは”精霊の仔”と呼ばれた。

一族は集落のどこへ言っても貴族と同じ扱いを受けた。

しかし、それも今では昔の話。
「ある事件」を境にして、一族は一般人になってしまったのである。

それから月日は流れに流れ、プラムに渡った一族の分家は、自由気ままに、しかしある種の差別と偏見を持たれながら生活していた。

特に長女ティスルは、お父さんと弟が精霊の仔ということもあり、ものすごいプレッシャーを抱えていた。

だが彼女は、そんなそぶりも見せないように振舞わなければならなかった。
来るかどうかもわからない「明日」のために・・・
最終更新:2007年08月31日 20:45
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