ナレーション | 昔々、一人の男が死にました。 男の仕事は、お話を作って語る事でしたが、死には逆らえません。 男の最後のお話は、美しく勇敢な王子が悪賢い大鴉を退治するお話しでした。 けれども、もう永遠に戦いの決着は付きません。 『こんなのはいやだ!』 大鴉は叫びました。 『こんなのはいやだ!』 勇敢な王子も叫びました。 大鴉はお話しの中から逃げ出して、王子もそれを追いかけました。 そして王子は自分の心臓を取り出し、禁断の力を使って大鴉を封じたのでした。 その時『これはいい…』死んだはずの男がどこからかつぶやきました |
アヒル | くわ ぐわ~ あたしも、あたしも一緒に踊ってみたい。王子さまと…。 でもあたしはアヒル。声も…姿も…ただのアヒル。 一緒に踊ることもその手を掴むこともできないんだ。 そして 王子さまの目はいつも淋しそう。 ねぇ、笑って? 笑顔がみたい、王子様ぁ…。くわ!?ハァ~。 |
ドロッセルマイヤー | おやおや、彼のことが気になるんだね? |
アヒル | くわ、くわ? |
ドロッセルマイヤー | ちっぽけな家鴨のお前が |
アヒル | ぐ、ぐわぁぁぁぁぁぁ!!?? |
あひる | っふにゃぁあ~っ!!??おばけぇ~~~! …え? おぉ~~~ぅ! |
あひる | ♪~金冠学園の女子寮に、今日もきたきた朝がきた。 あ~たっしの見た夢へんな夢~♪ |
あひる | おっはよ~!うぅわぁ!! 痛たたっ待ってまってぇ~ も~まっててばぁ~!うぅ~ん |
あひる | ふぇ~。あ、ブンちゃん足治ったんだね! こら~、オカメちゃんはがっつくの禁止~! あ、カナリヤママ~。子ども達そろそろ巣立ちだよね? 飛べる様になったら連れて来てね~。 …ところで、みゅうと先輩どうしてた~? |
あひる | ふふ今日もいい夢だったな~。 あたしがアヒルになってるとこはいっつも最悪なんだけど、なんてったってまたまたみゅうと先輩と会えたんだもんね。 王子様役なんてハマりすぎ。 みゅうと先輩、おはようございま~す。 |
あひる | はっ!? 大変!始業の鐘!! たいへ~んもうどうして起こしてくれないの~。 ぴけもりりえもひどぉ~い! |
ぴけ | ぴけですけど~ |
りりえ | りりえですけど~? |
ぴけ | …ってまだ6時だよ |
りりえ | いつものおっちょこちょいね~。可愛いわぁ~。 |
ぴけ | ふわぁ~~(欠伸) |
あひる | あ。あたしあひる。名前があひるなの。 だからあんな夢みるのかも。 あぁ…憧れのみゅうと先輩…。 一度でいいから一緒にパドゥドゥが踊れたらな~。 そしたらもぅ、死んでもいぃ~。 |
あひる | ふぃっひひひひひひ… はっあぁ~~~っ あ~あぐぅぃぃ、あぁぁ~ |
あひる | すみません、遅れましたぁ! |
あひる | はら?誰もいな~い なんでぇ? |
あひる | は!? はぁ? わあぁぁぁ みゅうと先輩…ハァァ…。 ふわあぁぁ。うわぁぁぁぁぁぁ。 |
あひる | あ、ごめんなさい! あたし、えっと~あの、あう~。 はう!!? わっわたし、じゃ、じゃ、邪魔っじゃまですか~? 邪魔ですよね、ですよね!? ですよね~、ですよね。 すみませ~ん、今すぐ立ち去りますからって、 うわなんか体がこんがらがる~つ~か ころぶっつ~か!? ころぶっつ~か!! つか!つか!! |
あひる | ころんだぁ~ |
あひる | は!?みゅ、みゅ、みゅうと先輩が、 みゅうと先輩のみゅうと先輩で!? みゅうと先輩もみゅうと先輩に!! みゅうと先輩なら! みゅうと…せん…ぱい… …ふわぁ~ 綺麗な瞳、吸い込まれそう…。 でも…寂しそう…。 まるで夢の中で見た王子様みたい…。 か!かかかかかかかかか かひぇほはへらひんまかめそ??? |
あひる | すみません!すみません!! あたしってばご迷惑おかけしちゃって、 ホントあたしおっちょこちょいでダメだから、 おまけにせっかちで頭パーだし、 そんで、ぴけとかりりえとかにはアヒル声とか言われてるし、 ヘンなんです! へんですよねぇ? ヘンだと思います、自分でも~ |
みゅうと | 別に… |
あひる | へっ? ヘンじゃないですか? |
みゅうと | べつに… |
あひる | ふぅわぁぁ~っ!そんなこと言われたの、初めてでス~ぅ。 |
ふぁきあ | フンッ。 |
ふぁきあ | おい。 |
みゅうと | ふぁきあ。 |
あひる | ふぁきあ先輩!? |
ふぁきあ | 出かけるときは言って行けって言っただろうが。 |
みゅうと | うん。 |
ふぁきあ | 行くぞ。立て。 |
みゅうと | あ…。 |
ふぁきあ | どうした? |
みゅうと | 足…。 |
ふぁきあ | 足? ひねったのか? |
みゅうと | うん。 |
ふぁきあ | 馬鹿 |
あひる | え…? えぇぇ~~~!! |
ふぁきあ | ん? |
あひる | あの、あの、あたしのせいなんです…。あたしが転んだのを助けてくれて…。 |
ふぁきあ | 何やってんだ馬鹿。意味ねー事しやがって。 |
あひる | あ、ですからあたしを庇って~。 |
ふぁきあ | だから意味がねーっつってんだ。 |
ふぁきあ | 立て。寮に戻るぞ。 |
あひる | そんな乱暴にしなくても。 |
ふぁきあ | うるさい。 |
あひる | 意味ねぇって。 そりゃそうかもしれないけど。 そんなハッキリいわなくても。 |
あひる | お?また鐘? え~~~~??? |
ぴけ りりえ |
え~~~~??? |
ぴけ | じゃないでしょ。時計見れば分かるでしょ。 |
あひる | 慌てたんだってば。 |
りりえ | そういうところが可愛いのよ。 |
あひる | う~。 |
りりえ | いつもドジでおっちょこちょいなあひるでいてね。 |
あひる | うが~ぁ~(悲鳴)。 |
ぴけ | でもふぁきあ様とお話できたんだから!いいじゃなーい。 |
あひる | なんか、やな感じの人、 だった…よ~~~~。 |
ぴけ | なにをぅ! ふぁきあ様は最高なの! |
あひる | みゅうと先輩の方が最高だもん~~~~~。 |
りりえ | あらあらあひるったら。みゅうと様にはるぅがいるのに。 |
あひる | え? |
ぴけ りりえ |
叶わぬ恋。そして失恋するあひる。 |
ぴけ | はぁ。 |
りりえ | 可愛いわぁ~。 |
ぴけ | ん、先生来たよ! |
あひる | はひ…? ねこぉ!!! |
ぴけ | 猫先生でしょ。 |
あひる | え? ねこ…せんせ…? |
りりえ | どうしたの~? |
あひる | 猫がせんせ…あ、そうだったっけかぁ…。 |
猫先生 | はいはい、しずかに、しずかにしませんと私と結婚してもらいます。 |
猫先生 | 第一ポジションから、はい、ルルベしながら腕は二番に。膝はまっすぐですよ。 では第三ポジション、アームはアンオゥ。お尻を出さないで… |
あひる | みゅうと先輩…、 どうしてあんな淋しそうな目…。 |
あひる | あっ! |
猫先生 | おしり |
あひる | はぃっ |
猫先生 | 考え事をしていましたね? まじめにやらないと…、 私と結婚してもらいますよっ! |
あひる | がぁぁ~…はい!すいません! |
あひる | んんん~(レッスン悲鳴) |
猫先生 | はーい、はーい、それでは今から特別クラスの演技を見学します。 特別クラスのみなさんどうぞ。 |
あひる ぴけ りりえ |
ふあぁぁぁ。 |
あひる | るうちゃん! はぁぁぁぁ! |
あひる | はぁ、綺麗だな~。 |
りりえ | あひるとは大違い。 |
あひる | う…。 |
ぴけ | あ、落ち込んだ。 |
りりえ | いやぁ~ん! やっぱり落ち込んだ!可愛い~! |
あひる | はあ~ぁ、 やっぱりみゅうと先輩にはるうちゃんくらいでないと釣り合わないよね、しょぼ~… お!はぁああ!!! どうしよぅ… |
猫先生 | もう勘弁なりません、今度という今度は私と結婚してっ!!!! |
ぴけ | ああっ、 すみませんあひるは感動の余り大声が出ちゃったんです! |
りりえ | 迷惑な子ですけど可愛いから許してください。 |
猫先生 | くわっ…。 | んにゃ、んにゃ、んにゃ…(顔を洗う仕草) |
あひる | あたし、まだみゅうと先輩に怪我のことちゃんと謝ってない。謝らなきゃ。 |
ぴけ | あたしたちに感謝すること! |
りりえ | もうちょっとで猫先生と結婚させられていたわ。 |
あひる | ありがとう。 |
ぴけ | どしたのあひる、変だよ? |
りりえ | へ~ん~? |
あひる | へん? やっぱりいきなり行くのって変かな? |
ぴけ | どこに? |
あひる | でも、いきなりといっても、いきなり行くしかないんだから、変じゃないよね。 |
りりえ | そうねそうね! |
ぴけ | どこへよ? |
あひる | たとえ変でも。 |
りりえ | いつものことよ! |
あひる | 行くしかないよね。 |
ぴけ | だからどこへ!? |
あひる | あたし、 |
りりえ | レッツゴー! |
あひる | いってきまーす! |
ぴけ | だからどこへーーー! |
りりえ | うふん可愛い~! |
あひる | 男子寮には入っちゃいけないんだけど、あ、謝るだけだから、 謝らなきゃならないんだから、 入らなきゃ謝れないわけで、くぅ、くぅ、ばぁ…。 |
あひる | ああ、バカバカバカバカバカバカ 意気地無し~。 |
ふぁきあ | じゃま。 |
あひる | ん!? |
あひる | あ、あの、みゅうと先輩は? |
ふぁきあ | いない。 |
あひる | むぅ…、じゃあ、あの、どこに? |
ふぁきあ | 帰れ! |
あひる | いたっ。 |
あひる | 怪我はどうなんですか? |
ふぁきあ | たいしたこと無い。 |
あひる | 謝りたいんですけど。 |
ふぁきあ | 必要ない。 |
あひる | 誰に話すときもそうふうなんですか? |
あひる | うぅー。 |
あひる | はー、もう、ムカツクヤツー。 |
ふぁきあ | みゅうと。 |
みゅうと | ふぁきあ。 |
ふぁきあ | 寝てろって言ったろ? |
みゅうと | ごめん。 |
ふぁきあ | 痛むか?足? |
みゅうと | 分からない |
ふぁきあ | ふん。困ったやつだな。 とろいし、何の役にも立たない。 誰かを助けようなんてくだらん事を考えるな。 |
みゅうと | うん |
ふぁきあ | お前は俺の言うことだけ聞いていればいい。 |
みゅうと | うん。 |
あひる | はあぁ、結局みゅうと先輩に謝れなかったしサイテー。 怪我大丈夫かなみゅうと先輩。 あんなさびしそうな目をするなんて、 きっと何かわけがあるんだろうな。 私には何にもできないけど。 でも、もしかして、私にも力になれる事があったら、 私が何かしてあげられたら、死んでもいい。 |
ドロッセルマイヤー | ふぇふぇふぇ…ふぇーふぇふぇふぇっ…えーへへへ…ひぃひぃひひひ… |
あひる | え? なに? |
あひる | あ、あの人。 |
あひる | いない。 |
ドロッセルマイヤー | 居るよ~。 |
あひる | 誰だったんだろう。 |
ドロッセルマイヤー | 忘れてしまったのかい? 私のことを? |
あひる | 何か、変な感じ…。 |
ドロッセルマイヤー | へへへへへ。知りたいのかね? 本当に知りたいのかね~? あひるちゃん。 |
あひる | え? |
あひる | あっ |
ドロッセルマイヤー | 水は流れ出した。時間は動き出した。 さぁ、お話を聞かせておくれ~。 |
ふぁきあ | 行ってくる。帰りに図書館で本借りてきてやるよ。俺の持ってくる本意外は読むな。 |
みゅうと | うん。ありがと。 |
ふぁきあ | 心配かけるなよ馬鹿。 |
ガヤ | うっふふふふ。あっはははは。あははは。 |
あひる | よしっ。 |
ぴけ | なになにどうしたの? |
あひる | あっあっあっ。 |
りりえ | 何かするのね!何かしら~。 |
あひる | 別に。 |
ぴけ | みゅうと様に会いに行こうと思ってる? |
あひる | え、あ。 |
りりえ | まぁ~。 |
ぴけ | あわよくば!お近づきになれるかも~って!?やっぱり~!? |
あひる | いや、そこまでは…。 |
りりえ | いいえ! そのくらいの心意気で行くべきよ~! |
ぴけ | 遅刻はあたしたちがうまくごまかしてあげるから~! |
あひる | あ、うん。 |
ぴけ りりえ |
ファイッ×9 |
ぴけ りりえ |
ファイッ×9※聞き取れない |
あひる | 今度こそちゃんとやらなきゃ。 |
あひる | あ |
あひる | カナリアママの子、今日巣立ちなんだ。 |
あひる | はぁぁ。 |
あひる | え! |
あひる | あぶない! |
あひる | ああぁ…。 |
あひる | はぁぁ…。 |
あひる | だめぇー! |
ドロッセルマイヤー | おやまぁ、王子様が死ぬよ? |
あひる | 王子? |
ドロッセルマイヤー | 主人公が死ぬよ? |
あひる | 死ぬ? |
ドロッセルマイヤー | このお話はどうなるんだい? 続きを聞かせておくれ。 王子様は助かるのかい? 誰が助けるんだい? |
あひる | だれ? |
ドロッセルマイヤー | 誰なんだろうね? |
あひる | あたしが…。 |
ドロッセルマイヤー | へへへ、彼のことが気になるのかね? |
あひる | くわっ! |
ドロッセルマイヤー | 王子様の力になりたいのかね? |
あひる | くわっ! |
ドロッセルマイヤー | お前がお話聞かせてくれるというんだね? |
あひる | くわっ |
ドロッセルマイヤー | よろしい。よろしい。 |
あひる | そうだ、あたしは王子様を、たすける。 |
ドロッセルマイヤー | 思い出したかね? お前は誰だい? |
あひる | あたしはプリンセスチュチュ! |
チュチュ | 花のワルツ |
チュチュ | あたしがみゅうとを助けられるなんて夢みたい。 |
みゅうと | 君は…、僕の名前を…、君は…だれ? |
チュチュ | あたしは、 |
ドロッセルマイヤー | 誰なんだい? |
チュチュ | え、あたし、 |
ドロッセルマイヤー | 思い出したかい? あひるちゃん。 そう、お前はあひる。 ただの鳥の家鴨。 |
チュチュ | くわぁっ! |
チュチュ | あ、ん、 |
チュチュ | あたし…。 |
アヒル | くわっ、くわっ。 |
アヒル | あたし家鴨だったんだ…。 |
ドロッセルマイヤー | おやおや、プリンセスチュチュが家鴨に戻ってしまったよ。 さて、お話はこれからどうするかね。へっへっへ。 |
あひる | くわぁ…、ただの家鴨だったし、女の子だと思っていたのに。 |
アリクイ美 | あーら、るぅさんじゃありませんの? みゅうとは私とお付き合うことになりましたから。 |
あひる | アリクイ!? |
るぅ | 一緒に踊ってくれる? |
あひる | るるるぅちゃん、あたしものすごく下手なんだ だからきっとダメダメ。 |
るぅ | 大丈夫。私の言う通りにして。 |
みゅうと | 僕は砕かれ忘れられた悔しいという思い。 |
あひる | あたし、ホントのホントのプリンセスチュチュになれたんだ。 |
ドロッセルマイヤー | お話の好きな子供はよっといで~。 |