ダイズ
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分類
界 : 植物界 Plantae
門 : 被子植物門 Magnoliophyta
綱 : 双子葉植物綱 Magnoliopsida
目 : マメ目 Fabales
科 : マメ科 Fabaceae
属 : ダイズ属 Glycine
種 : ダイズ G. max
界 : 植物界 Plantae
門 : 被子植物門 Magnoliophyta
綱 : 双子葉植物綱 Magnoliopsida
目 : マメ目 Fabales
科 : マメ科 Fabaceae
属 : ダイズ属 Glycine
種 : ダイズ G. max
学名
Glycine max
和名
ダイズ(大豆)
英名
米:soybean、英:Soya bean
Glycine max
和名
ダイズ(大豆)
英名
米:soybean、英:Soya bean
ダイズ(大豆、学名Glycine max)は、マメ科の一年草、また、その種子のこと。食用となる。未成熟のものは、枝豆 と言われている。
特徴
農作物として世界中で広く栽培されている。日本には縄文時代に存在したと思われる大豆の出土例があり、『古事記』にも大豆の記録が記載されている。
ダイズの種子には苦み成分であるサポニンが多く含まれており、人類の主食にまではなっていないが、植物の中では唯一肉に匹敵するだけの蛋白質を含有する特徴から、近年の世界的な健康志向の中で「ミラクルフード」として脚光を浴びている。ドイツでは「畑の牛肉」、アメリカでは「大地の黄金」とも呼ばれている。また、日本料理やその調味料の原材料として中心的役割を果たしている(後述)。
古くからの在来種、固定種が多く現存しておりマメ科の特性もあり自家採種のしやすい植物である。その反面、連作障害を起こしやすく。次の年は輪作を行い違う作物を作付けし連作を避けるか、連作をするために消毒や土嚢改善を行う等の対策を練らねばならず、日本国内においてはこの事が栽培規模拡大への障害のひとつとなっている。
原産地・世界への伝来
説が各種あり定かではないが、原産地は中国東北部からシベリアとの説が有力で、日本にも自生しているツルマメが原種と考えられている。
栽培の歴史も諸説あるが、約4000年前に中国で野生種大豆の栽培が始められたと考えられている。日本には朝鮮半島を経由して約2000年前に伝来したと言われている。日本では5000年前の縄文時代の遺跡から炭化物や土器内部の植物圧痕として確認された例があり[1]、その頃から栽培が始められたと可能性も考えられており、縄文農耕の観点からも注目されている。
ヨーロッパやアメリカに伝わったのは意外にも新しく、ヨーロッパには18世紀、アメリカには19世紀のことである。1910年代以前は大豆はアジア圏以外では重要な作物とはみなされていなかった。大豆が伝播した後も専ら搾油用やプラスチックの原料など工業用途が主な栽培理由であった。ヘンリー・フォードもプラスチックの原料を安く調達するために大豆農園を作っていた。食料として注目されたのは1920年代以降の事であり、日露戦争や第一次世界大戦での日本軍の戦績が切っ掛けとされる。ヨーロッパに大豆の存在を伝えたのはケンペルだといわれており、1712年に彼が帰国した際、醤油の原料として紹介した。ヨーロッパでそれ以前に大豆の存在を知られていなかった理由として、既に他の豆類が栽培されていた事や、土壌が合わなかったことなどが挙げられている。ベンジャミン・フランクリンの手紙の中に、1770年にイギリスに大豆を送る旨が記してある。ヨーロッパでは1739年にフランスでの試作、アメリカでは1804年にペンシルベニア州での試作が最初の栽培とされている。ヨーロッパで食料として始めて収穫されたのは1929年の事とされる。アメリカで本格的に大豆が栽培されるようになったのは、1930年代に製油用や飼料用としての需要の高まりにより大規模に栽培されるようになってからである。
利用
ダイズは蛋白質や脂肪、鉄分、カルシウムなどミネラルが多い。
日本では色々な形に加工され利用されている。まず、大豆を暗所で発芽させるともやし、畑で育てて未熟大豆を枝ごと収穫し茹でると枝豆、さらに育てて完熟したらダイズ。ダイズを搾ると大豆油、煎って粉にするときな粉、蒸したダイズを麹菌で発酵させると醤油・味噌、また蒸した大豆を納豆菌で発酵させると納豆。熟したダイズを搾ると液体は豆乳、その残りはおから、豆乳を温めてラムスデン現象によって液面に形成される膜を湯葉、にがりを入れて塩析でたんぱく質を固めると豆腐、豆腐を揚げると「油揚げ」「厚揚げ」、焼くと「焼き豆腐」、凍らせて「凍み(高野)豆腐」。 大豆にはサポニン等水溶性の毒性物質が含まれており、これらの加工は毒性物質を取り除く意味もある。
蒸した種子を発酵させてから乾燥させたものは、香鼓(こうし)という生薬である。これには発汗作用、健胃作用がある。
大豆から作られる大豆油は、かつては燃料としても用いられたが、現在最も安い食用油として発展途上国で、大量に消費されている。近年では大豆油インクが環境に優しいなどとして利用が増加している。油の搾り粕は醤油の原料や家畜の飼料となる。
なお、光の当たらないところで発芽させ、数センチメートル伸びた芽を食べるのが「豆モヤシ」である。
日本は現在大部分を輸入に頼っている為、2003年に世界的不作から価格が高騰したときには大きな影響を受けた。最大の生産国、輸出国はアメリカ合衆国、ついでブラジル。日本の輸入量は世界第3位。中華人民共和国では経済成長に伴う食生活の変化により消費量が増加しており、これからも増え続けると見られている。この需要に応えるためブラジルでは天然林伐採を伴う大豆農地の拡大が進んでおり、問題視されている。
日本では非常に珍重され、米・麦・粟・稗(ひえ)・豆(大豆)を五穀とし、節分には大豆による豆まきが行なわれるほどである。
語源
大豆の語源は「大きい豆」ではなく「大いなる豆」である[要出典]。英語の『soy bean』の由来は、大豆がまず醤油の原料として知られた事に由来する。
タイプ
用途別
* 蛋白大豆=食用 * 油大豆=油用 * 枝豆用
主な品種・ブランド
様々な大豆
* 黒豆 * 赤豆 * だだちゃ豆 * 青入道(青大豆) * エンレイ(白大豆) * 雁食豆 * ミヤギシロメ * 大白(おおじろ) * 納豆小粒・一関在来・遠野在来・地塚・小娘・生娘(納豆専用の小粒品種)[2]
さまざまな大豆加工食品
現在日本でよく知られている大豆加工食品には以下のようなものがある。
大豆の原形をとどめるもの
* 乾燥大豆 - 大豆を保存する際の基本形であり、数時間以上水にもどしてから調理に用いる。また節分時のようにそのまま「炒り豆」にすることも。 * 煮豆 - 味をつけずに煮た「水煮」はやはり調理に用いられる。保存のきく缶詰やレトルトパックに個装されて市販もされている。枝豆も参照。 * 甘納豆
大豆を粉砕したり搾ったりしたもの
* 大豆油 * きな粉 * ずんだ - 未成熟の青い大豆を粉砕し、餡仕立てにしたもの * 打ち豆(かち豆)- 大豆を粗く粉砕して乾燥させたもの。さまざまな調理に用いる。 * 豆乳 - 水煮した大豆をしぼったもの o おから - 豆乳の“しぼりかす” o ゆば - 豆乳を加熱して生じる皮膜 o 豆腐 - 豆乳にニガリを加えて凝固させたもの + 油揚げ - 薄切りにした豆腐を揚げたもの + 生揚げ、厚揚げ - 厚く切った豆腐を揚げたもので、内部に豆腐のままの部分を残している。 + がんもどき - 水気を絞った豆腐に具材を混ぜて油で揚げたもの + 揚げ出し豆腐 - 豆腐に片栗粉などをまぶしてあげたもの + 豆腐干 - 豆腐をよくしぼって作る中華食材 + 高野豆腐 - 豆腐を凍結したのちに乾燥させたもの + 豆腐の味噌漬け + 豆腐餻(とうふよう)、腐乳、臭豆腐(しゅうどうふ) - 豆腐の発酵食品 + 豆腐ハンバーグ、トーファーキー o ごどうふ - 豆乳にくず粉などを加え、加熱して固めたもの o 豆汁 - 豆乳を発酵させたもの
大豆を発酵させた加工食品
* 醤油 * もろみ * ケチャップマニス - インドネシアの醤油 * 味噌 * 納豆 o 豆豉(とうち) - 一種の納豆を乾燥させて作る中華食材。豆豉醤の材料にもなる。 * テンペ - 納豆に似たインドネシアの食品。
健康への影響
- ご自身の健康問題に関しては、専門の医療機関に相談してください。免責事項もお読みください。
大豆は低カロリーながらタンパク質やカルシウムを多く含むため、栄養源として重要である。さらに大豆に含まれるゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインなどのイソフラボンは大豆イソフラボンと総称され、弱い女性ホルモン作用を示すことから骨粗鬆症や更年期障害の軽減が期待できる。これらの作用から、大豆製品の中には特定保健用食品に指定されている物もある。また、大豆イソフラボンはサプリメントとしても用いられる。順天堂大学の研究によれば、納豆の摂食頻度と月経状態・月経随伴症状は有意の関係がみられ、摂食頻度の増加は症状を軽減させている可能性があるとしている[3]。
イソフラボンはヒトに対する悪影響も懸念されており(詳しくはイソフラボンを参照)、内閣府食品安全委員会は食品とサプリメントを合わせた安全な一日摂取目安量の上限値を、一日あたり70〜75mgに設定している[4]。なお日本人の食品由来の大豆イソフラボン摂取量は15〜22mg、多い人でも40〜45mg程度であり、サプリメントとは違って通常の大豆食品により健康を害することはない。
添付ファイル