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バッカス(SC48~SC??)

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rai6puk

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邪推SS/バッカス(SC48~SC??)


悪名高いブラウンの腹心として働いていた事もあり
腹黒い男の代名詞として使われるほど嫌われている彼だが

取材の間に話を聞かせてもらえた地球在住の初老の男性は
彼のことを『人間不信で清廉潔白すぎた』と評している

地球に生まれた彼は軍に在籍している時の姿とは程遠いイメージの
貧しい地域の貧しい家庭に生まれている

しかし彼は決してその手を汚さずに毎日を過ごし
時代遅れの牧師の元で勉学に励んでいたそうだ

「いつか僕の生まれたこの地域を皆が羨ましがるような場所にしてみせる」
子供には似つかわしくない発言に大人も子供も眉根をよせて笑いあったそうだ

そんな彼の転機は『冤罪』である
ある日いつもの様に教会に行くと滅茶苦茶に荒らされた部屋の中に牧師が死んでおり
その周りを下卑た笑いを浮かべた不良たちが囲んでいた
そして不良たちは彼を犯人として役所へ引き渡し多額の報奨金を貰ったそうだ

冤罪事件などありえるのかとの記者の問いに
「あの時代スラムでの殺人事件なんてまともに捜査しないさ」
初老の男性は心苦しそうに答えた

そして彼は無実の罪で牢獄に繋がれたが
懲罰や服役態度の良さの為か2年で釈放される
だが彼の心は大きく捻じ曲がり誰に対しても心を開かなくなっていた

生活に困窮し金の為に仕方なく軍学校に入ると彼の才能は開花する
牧師に教わった知識
人を信じない心からの相手の動きを先読みする艦隊指令の能力
スラムで培われた自己防衛のための手段は格技にも通じた

「食事時になるとフラッとどこかに消えて授業中も彼の周りには人がいなかった」
と同期の軍人は語った
卒業と同時に正式に軍に入隊し周りとは抜きん出た彼の才能はアグデッパの目に
自然に止まった

アグデッパの元で行った事は
主に地球の暴徒鎮圧や治安の徹底した向上
暴徒鎮圧の際に「自分は上に立つ器ではない」と参謀を務めることが多かった

恋人も友人も作らず、部下や上官ともコミュニケーションを取らない
彼に対して陰口や陰湿ないじめが後を絶たなかったという

ある日昼食を取っている彼に部下の一人が目の前で虫をスープへ入れた
しかし彼はそこに誰もいないかのように虫ごとスープを飲み干したそうだ

『異様なまでの忍耐』
耐える事で全てを水に流し、決して恨まない
ひたすら任務を合理的に遂行する彼はまさに軍人の鑑とも言える
事実32歳という若さで分1位に昇進している

しかし政務においては意外にも温情家だったらしく
自分の給料を使ってまで困窮した家庭や地域に施していたと記録に残っている

彼自身の生活は質素そのものであり眼鏡を買い替える金すらなく
彼の眼鏡のフレームはくすんだサビで埋まっていたという
「牢獄のような部屋だった」と彼の元部下は語っている

惑星間の戦争が激しくなり、アグデッパが病死し、ララウィンが暗殺されるまで
彼は地球でひたすら勤務を続けた

ブラウンが覇王になり反地球同盟やラーの策略により
バース周辺への人事見直しの時に彼の名前が上がるのはごく自然だった
惑星デクレアへと異動を命じられる

周囲がブラウンの非道に騒いでいても淡々と任務をこなす彼へ有力者達がクーデターを進めた者がいた
「誰の元であろうと変わらない、自分はトップには向いてないから」と一蹴されたそうだ

素直な気持ちだったのだろうが有力者たちは機嫌を損ね挙って彼を迫害し
取引先の惑星、民衆、軍人、あらゆる人物に言われ無き風評を流しまくった
今残っている彼の悪評の大半はそこから来ているようだ

テンオウ軍壊滅後、軍を退役し故郷へ戻った日
送迎車が彼を送る
彼が育ったスラム街は一躍大都市となっていた
運転手が車を止めドアを開けると
古びた十字架を握り締め、安らかな顔で逝去した彼がいたそうだ

後日地球から異動をした日付に書かれた遺書が見つかる
「自分は独善的な人間なのだから一人で死んでいければそれが一番良い
遺骨は宇宙葬などせずにたい肥にでも混ぜてくれれば良い
全遺産は故郷に寄付をする」

今も彼の故郷には質素な記念碑と
彼の遺骨を混ぜたたい肥によって作られた花壇が出来ている
そこにはセリの花が植えられて静かに風に揺られている

ぜひ一度見ていただきたい





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