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アクセル&エクセル(姉アクセルSC85~SC154、妹エクセルSC85~SC184)

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邪推SS/アクセル&エクセル(姉アクセルSC85~SC154、妹エクセルSC85~SC184)


アクセルとエクセルはSC85年にザクソンの平民の家に双子の姉妹として生を受ける。
兄は最強の兵法家と名高いラーである。
ラーは彼が7歳彼女等が5歳の頃にザクソンへ落ち延びて来たアキに見出され
仕官した。ゆえに彼女たちは兄に遊んでもらった事も勉強を教わった事も無かったが、
家禄も財産も無い平民から軍師に出世した兄をとても尊敬していた。
その為、いつか兄の役に立ちたいと猛勉強を重ね、やがてその努力は実を結び
有能な武将へと成長を遂げたのである。

ここで、話題を変えて他の双子の武将たちの事も触れておこう。
SC80年のアグデッパ即位からSC155年(※あくまでも邪推ですあしからず)の
プロベットによる銀河統一までに数多くの武将が現れたが双子の武将も多かった。
ハーゲンの覇王アドルセムの息子エンデミオンとランデミオン。
チキルの息子ビンセントとモーガン。カウイの息子グルダンとバルダン。
そしてアクセルとエクセルと数多い。
だが、ここで考えてもらいたい。双子と言うのは外見がそっくりで
(性格の違いはあるだろうが)能力も似通うのが多数を占める。

所がアクセルとエクセルは容姿は余りにて居ない。そればかりか性格・能力共に真逆である。
お転婆で好奇心旺盛な武官タイプのアクセル、大人しくていつも姉に付いて回っていた
文官タイプのエクセル。その為、似てない双子(2卵生双生児なら別に珍しくは無いのだが、
双子=1卵生双生児と言う偏見もあった)とある意味話題となっていた。
またある時、双子なのに似てないとエクセルを泣かした悪餓鬼をアクセルがボコボコにした等と言う
エピソードも伝えられている。

だが、彼女等は他の双子以上にお互いの依存性が高かったと言われている。
他の双子たちが違う武将に仕えていた時期があるにも関わらず、2人とも同じ武将に仕えた。
また、2人が力をあわせると2倍どころか10倍、100倍になったとラーとドーラ、プロベットは評している

SC100年代に入り地球でアグデッパの跡を継いだララウィンが暗殺され、アグデッパの弟で
悪名高いブラウンが覇王に即位する。
即位したブラウンはセントラル平定を宣言しホスエンとの同盟を破棄しザクソン侵攻を開始した。
この時、標的にされたアキはコスタルで内乱を起こす為、平民運動家のドーラに接触。
秘密裏に支援を開始した。この時、ラーはドーラへの助っ人としてアクセルとエクセルを仕官させる。
兄の為に役立つと言う夢が叶えられた2人は怒涛の快進撃を見せ、バースを攻略するなどの功績を挙げた。

この隙にラーは他の覇王たちを説得し反地球同盟を結成させブラウン包囲網を結成し、ラーも妹の活躍に
大いに満足した。
だが、同盟軍は疲弊しているとは言え未だ健在なブラウン軍に敗退し、ロゴの追放に伴うパメラとバニアウによる
サウズの内戦やプロベットの反乱などで形骸化し盟主アキの病死で空中分解。ラーの計画した力の均衡のよる安定は
もろくも崩れ去った。また新興勢力が台頭し逆に戦火は拡大していった。

この頃、アキの跡を継ぎザクソンの覇王となっていたラーは、自らの理想がもろくも崩れ去り
元々体が丈夫ではなかった彼は心労と過労から倒れ寝込んでいた。そんなラーに追い討ちをかけるかのように
耳を疑う報が舞い込む。
支援していたドーラがプロベットの理想に共感し彼の軍門に降ったと言うのだ。
これを聞いたラーはドーラへの支援を打ち切り、アクセルとエクセルにザクソンへの帰還命令を出す。
所が2人はこれを拒否しドーラと共にプロベットへ降ってしまったのである。

その際のやり取りの記録が残されている。
「アクセル、エクセルご苦労だった。2人の役目は終わった帰って来い」
兄妹愛もあっただろう。帰還を促すラーだがアクセルの返した言葉はこうだった。
「兄さんは仰いましたね。家臣と言うのは主君を支え信じるものだと。私の主君はドーラ様。
そのドーラ様がお決めになった事に従うのは家臣として当然ではありませんか?」
自分の教えたことを理由に挙げたアクセルに言葉を詰まられる。病み上がりで相手が妹だったので
ラーはらしくも無く冷静さを欠いていたのだろう。
「私は今もドーラ様の理想に共感しています。そのドーラ様を逆に共感させたプロベットという男に、
彼の理想に私も興味を持ちました」
昔から好奇心旺盛な娘だったが、まさかこんな事になるとは思わなかった。
まさか倒そうと思っていた敵に興味を持つとは…
「だが、プロベットという男は自ら覇王になる為に父親を殺そうとしているのだぞ?」
声を荒げた。だがアクセルは冷静だった。
「理想の為です」
「理想ではない。それは野望だ」
逆に冷静さを欠いたラーはアクセルに怒鳴った。所が今まで黙っていたエクセルが質問した。
「お兄さん野望と理想の違いはなんですか?」
「…」
ラーはハッとした。徐々に血が上っていた頭部から血の気が引いていく。
「野望とは身の程を超えた大きな望み。理想は実現されていないものを実現させる行動力。
そう教えてくれたのは兄上ですよね。お兄さんは言えますか?自分の望みが野望ではなく理想と」
あぁ、そうだ理想は実現できないと解ったらそれは野望になるんだ。ようやく解ったよ…
ラーの肩から力が抜けていった。
「解った。アクセルお前は好きにすればいい。エクセルお前はどうなのだ?お前は…」
帰ってくるのか?と言いたかったのだがエクセルの反応も早かった。
「私はお姉さんに従います。お姉さんと離れたくないのもあるけど、お姉さんのやった事で
間違った事はありませんでした」
姉に付いて回っていたエクセルらしい答えだった。
「そうか…」
家族の事なので冷静さを欠いていた。普段の彼なら妹たちを言い包められたかも知れない。
いや、妹だから彼女等を言い包められないのを知っていた。そう返すのが精一杯だった。

ラーの落胆振りは凄まじく3日ほど寝込んでしまった。だが、覇王たる者休息を取っている暇は無い。
ブラウンを滅ぼしたプロベットがバースへ全軍を終結させていると間者から齎される。
妹たちと戦う事のなるのか…。
だが、事態は思わぬ方向に進む。プロベットから使者が訪れ恭順するべしと言ってきたのだ。
使者は待つとは言っているが、流石に長期待たせる訳には行かない。ザクソンでは毎日のように
会議が開かれた。

その頃、プロベット側ではある使者の選定が行われていた。それは覇王自ら使者としてザクソンへ乗り込むという
この時代ではD難度の離れ業で、プロベットはその随行員を選んでいたのだ。
この時、作戦の立案者であるジュリアと共に随行行員に選ばれたのがアクセル、エクセル姉妹である。
覇王ラーの実の妹と言うことで反対意見が多かったが、思う所のあるプロベットの一存で決定した。

そして、先遣隊としてジュリアと共にザクソンを訪れた姉妹は打ち合わせの為、ラーと接見する事となった。
「久しぶりだな」
「覇王陛下にはご機嫌麗しく…」
2人はラーの事を一度も兄とは呼ばなかった。
「プロベットはどの様な男だ?」
「それは陛下の眼でお確めください」
それは、周りに居たラーの家臣やジュリアから見ても異様な会話だった。

やがてプロベットが訪れ会談が開催される時になって緊急事態が起こる。覇王プロベットが泥酔し
寝込んでしまったと言うのだ。
何とかアクセルとエクセルにに抱えられ会談の席に現れた。服は着崩し女を侍らした酔っ払い状態である。
しかも、プロベットは遅刻の謝罪もせず開口一言。
「これはこれは、玉の輿殿w」
これには、ラーの家臣だけではなく随行のジュリアも凍りついた。
「本日はお忙しいところをお越しいただき恐悦至極…」
と開会の挨拶をするラーにプロベットは酒を飲みながら。
「綺麗な花だな。まぁ枯れしまってはタダのゴミだがwww」
冷静なラーも段々腹が立ってきた。だが、相手も覇王なので我慢して続ける。
「して、本日の…」
「そう言えば、悪徳業者にだまされたそうだな
「…?」
「なんでも、10本の刀は纏めれば100倍の値段になると言われたから、お礼に庭一つくれてやったとかw」
「!!」
「そうしたら1の値段しかなかったとか言うではないかwww」
これには流石のラーも激怒し声を荒げる。
「プロベット殿無礼であろう!!私が成し遂げた同盟を鈍らと同じと言うか!!」
「鈍ら?竹光ではないか?www」
もはや、たちの悪い酔っ払いである。ラー家臣からもプロベットに野次が飛ぶ。
「妹が会ってみろと言うから会ってみたが失望した。貴殿と言う男がどのような人物かよくわかった。
最近の若造は礼儀も知らんと見える」
怒ったラーは退席しようとする。
「所でラー殿…」
急に改まってプロベットが問いかける。
「なにか?貴殿と違い忙しいのだが」
「貴殿は100万の軍勢を動かす将と、1万の軍勢を動かす将どちらが優秀とお思いかな?」
何を言い出すんだこの男は。
「それは100万の軍勢を動かす将でしょう。100万動かすのは並みの大抵のことではありませんからな」
「絶対にそうだと言い切れますかなラー殿?」
「当たり前でしょう」
「本当に?」
「くどいですぞ。私はもう失礼する」
後ろを向いたラーにプロベットは続ける。
「では100万の雑兵を動かす将と、1万の将を動かす将どちらが優秀かな。」
これには流石のラーも反応する。
「ほほぅ。では私は雑兵しか動かせず、貴殿は万の将を動かせると言うか?」
「い~やwww」
プロベットは立ち上がりラーの肩に手を書ける。
「万の将を動かせるのは貴殿だ。余は精々1艦隊しか動かせんwww」
怒りで頭に血が上っていたラーは煽てられ有頂天になりプロベットに毒吐く。
「自分の器をよくご存知で」
「そうw 余は1艦隊しか動かせんwww 後は見~て~る~だ~け♪」
そういって踊りだすプロベット。だがラーは
「これで失礼する。貴殿と言う男がよくわかった早急に帰り支度をなさいませ」
と捨て台詞をはいて出て行く。

会議は大荒れだった。後、数日残っているが決裂は間違いないだろう。誰もがそう思っていた。
だがラーの軍師ショーンはポツリ
「プロベット…。将の将たる器。彼は正に王の中の王か…」

その夜、エクセルがラーの元を訪れた。
「エクセル見たか。あれがお前たちの信頼するプロベットの姿だ。奴の本心だ
自分は後ろに踏ん反り返っているだけだと。なんな奴が覇王とは…悪いことは言わん
今すぐにでも戻って来い」
だがエクセルはため息を吐きラーに語りかける
「お兄さん、本当に何も感じませんか?」
「…?」
「お兄さん、私はお兄さんは何でも知っていると思ってました…
ですが、今のお兄さんはそう思えません。兄さん遠くを見たことありますか?」
「遠く?」
「お兄さんはセントラル以外を見たことありますか?無いでしょう。勉強は独学
産まれて此の方ザクソンから出たことすらないのですから」
「何が言いたいのだ。私の見地は奴に劣ると言うか」
「えぇ。10倍、いえ100倍は劣っております」
「言ったな。では何だあの態度は。あれが覇王のする態度か?覇王にする態度か!?」
エクセルは再びため息をついた。そして…
「陛下は酔っておりません。あれは演技です」
「…!?なんと…」
「随行員のジュリア様にも内緒ですけど、あれはブドウジュースです」
「何ということだ…」
「陛下はお兄さんをお試しになったのです。ですが兄さんは、それを御見抜けになれなかった
残念ですが、お兄さんと一緒に戦うことは出来ません。今日のお兄さんを見れば私もそう思います」
「…」
そういって部屋を出て行くエクセル。
一人残されたラーは考えをめぐらせていた。
『酔っていなかった?ではプロベットが言ったことは酔っ払いのたわ言ではなく本心。
戦場で見ている?見ているという事それは… 何と言う事だ。見ているとは戦況を把握しすると言うこと
つまり的確に指示すること、それをなせると言うことは…
私は有頂天になっていたのだ。アキ様に見出され軍師となって将軍となって、
知らないうちに私は最強と自惚れていたのだ。
妹たちよ。お前たちの見る眼は間違っていなかったようだ…』

ラーはその日の内にプロベットに翌日も会談を行いたいと連絡を入れ、
撤去準備をしていた会場の作業を中止させた。

そして翌日…
ラーが会場に入るとそこには既にプロベットが入っていた。前日とは異なる立派な身なりだ。
開口一番に前日の侘びをしようと思っていたラーだが、先に口を開いたのはプロベットだった。
「先日は大変ご無礼を致した。実は、昨日は兄と慕った先王ララウィンの命日でな。
気を紛らわす為に少し飲んだだけなのだが、我が師チョー先生危篤の報が入り
思わず浴びるように飲んでしまったのだ。そうしたらアキ様の月命日と伺って
ラー殿もさぞ落ち込んでおられると思って、遂あんな態度に出てしまった。数々の非礼許されよ」
開口いきなり謝罪したプロベットにラーは跪き
「詫びねばいけないのは私のほうです。見かけで判断し、あのような悪態をついてしまいました。
私はアキ様より王位を受け継ぎ、自らの器も知らず有頂天になっていました。
私では100人の雑兵も動かせないでしょう。
プロベット様こそ将の中の将、いや王の中の王。人々のために上に立つお方です」
と言った。するとプロベットは歩み寄り。
「いや、余は戦場では見てることしか出来ない。戦ってくれるのは我が家臣達だ。
私は一人の弱い人間に過ぎん。家臣達に助けてもらわねば何も出来ないのだ。
余が出来ることは見守り、信じてやることだけだ。」
「それこそ王者足る証。将の将たる器。私はプロベット様に自らの器を知らされました。
自分は上に立つような人間ではありません。アキ様は私を信頼し後を託されましたが、
私に出来る仕事ではなかった。その私が信頼して後を託せるのはプロベット様、貴方様です」
「余は見守ることしか出来ない。そんな愚君に力を貸してくれるのか?」
「微力ながら陛下の理想実現の為、喜んでお貸しいたします」
こうして2日目は前日と変わって和気藹々と進んで言った。

その夜、王宮の寝室…
窓辺に立っているのは覇王最後の日を迎えたラーと王妃ジェニファであった
「ジェニファ、貴公の御父上から国を託されたが、どうやら私の器ではなかったようだ。
こうなったこと怒っているか?」
「誰が怒りましょうか。陛下がお決めになったこと、自信を持てばよいではありませんか」
「だが、私が死んだらあの世で御父上からお咎めを受けそうだな」
「父上は陛下を信頼して後を託されました。その陛下が信頼したお方に託されるのなら
父上も怒りません。よく頑張ったと言ってくれましょう」
「そうか…」

そして会談最終日、ラーはプロベットに臣下の儀を執り行った。
これによって、ラーはプロベットよりより文将位を貰い忠誠を誓った。
これにより、プロベットはソースよりセントラル一帯を支配する
大帝国になったのである。

ラーの恭順の翌年からプロベット軍は、戦争の根源、悪の根幹である商業惑星の攻略を開始する。
ホスエンはプロベットに経済制裁を発動するが、既に商業惑星に頼らずとも良いほどに
拡大したプロベット軍には効果は無く、ラーの指揮で要塞は破壊され、惑星直撃艦の砲撃で
地上防衛部隊は吹き飛ばされ、ぞくぞくと降下部隊を送り込んだ。
「ホスエンを焦土と化せ!!再建する余力を与えてはならぬ!!」
と言うプロベットの命令により、作戦は民間への犠牲も問わない苛烈さを見せ(バルゴへの
見せしめもあるが)徹底的に破壊の限りを尽くした。
アクセル、エクセルもこれに参加。エクセルは宇宙からホスエンを砲撃。アクセルは降下し
HWを使ってAntel本社を襲撃。自らもGWを駆り工場地帯を焼き払うなどの活躍を見せた。
ホスエンの妖坊パグンは捕らえられ処刑、その腹心ピロコスは敗走。圧倒的勝利を収めた。

惑星ルアンシアが出現すると直ちにこれを攻略。ルアンシアは攻略されるが、
プロベット王妃リヨンヒの母カイリより驚きの事態が知らされる。
ルアンシアは既に崩壊を始めており早く惑星を離れろと言うのだ。
ここで活躍したのがエクセルである。
まず母との今生の別れに喚く王妃を宥め、速やかに転送システムの作成を開始し
艦隊をほぼ無傷でホスエンへ撤退させた。

コルバトが出現すると、バルゴが侵攻を開始。ラーの指揮する本隊はコルバト。
ショーンの指揮する別働隊はバルゴを攻略する。
アクセルとエクセルは別働隊としてバルゴ侵攻に参加。ここでもKMD、CycoPlus本社を焼き払い
スクロックを捕縛(後に処刑)するなど、商業惑星の息の根を止める活躍を見せた。
この時、商社ビルと共に焼き払われたバイオノイド研究所からアクセルが発見したのが
ACT1~4すなわち“最強の盾”である。
この時、謎のサイキックパルスなる能力で艦隊の裏切りが続出。一部、耐性のあるバイオノイドで
防いでいたが、数は不足していた。
これにより、主力艦隊に1~3は配備されテンオウ軍は壊滅。コルバトも焼き払われ幹部達も戦死に
テンオウも自害し大勝利を収めた。

大勝利に土星衛星に凱旋したプロベット軍は家臣達の苦労をねぎらう為、暫くの休暇を与えた。
久しぶりに流れる穏やかな日常。もし戦争が終結したら3人でザクソンに帰り一緒に暮らそうと
約束を交わした。

圧倒的なプロベット軍に勝てる軍隊は無く、ウェズのアカフリ、サウズのバニアウと次々に破られていき、
アクセルとエクセルもバニアウ軍の猛将アタックとアカフリの若き軍師カムイ率いる艦隊に
引けを取らない活躍を見せる。
やがてノーズのトットンを残すのみとなった。すでに7つの恒星系のうち6つを手に入れ銀河の9割を
手中に収めたプロベット軍にもはや敵無しと思われた。
だが、ここでテンオウ軍相手にも一切引けを取らなかったプロベット軍が大敗を記する事となる。
エイヤンガを制圧しノーズの足がかりを作ったプロベット軍。当然アクセルとエクセルも参加していた。
だが、ここでエクセルのみに帰還命令が出る。と言うのも長期に渡る戦でセントラルから西の銀河は荒廃しており
再建のために参加して欲しいと言うのだ。特にバルゴとホスエンは戦争の根源である軍需企業を再建不能にする為に
破壊しつくされており復旧が急がれていた。
姉や兄と別れたくなかったが、困っている人々を放って置けず、エクセルは艦隊を離れ復旧作業にバルゴへと向かう。
だが、これが兄妹達との今生の別れとなった。

アクセルはプロベット第1艦隊の編隊へ編入されセタへと攻略を開始する。
時を同じくして覇王トットンが病死。もはや勝は見てたかに見えた。
だが、常勝と言われたトットンの息子ノムは主力をペレスに移しセタへ向かう艦隊の
横っ腹を急襲すると言う正に父親の再来と言って良い奇策に出たのだ。
何も知らないプロベット率いる第1艦隊はセタに向かいノムの策にはまり僚機は次々に打ち落とされていった。
プロベットの乗る旗艦を守るためアクセルも自らSWを駆り反撃を試みるも集中砲火を浴びに被弾し搭載機も
全て打ち落とされてしまう。
旗艦離脱までの時間稼ぎ… もはややる事は一つだった。

アクセルはプロベットにこう通信している
「これから空母で相手艦隊に特攻します。陛下はその隙にお逃げください」
アクセルが死ぬ覚悟であることを知ったプロベットは
「アクセル。お前が死んだらラーとエクセルにどう顔向けが出来よう。
お前の戦死報告を余にやれと言うのか?」
と反対した。だが
「では陛下はここでむざむざと死ぬと仰いますか?ここで皆、無駄死にする事に
何の意味がありましょう。私の軽い命一つで、陛下のお命が助かるなら
それで良いではありませんか」
「この世に軽い命など無い。余に言った事があるな『陛下の理想実現の為共に頑張りたい』と…
あれは嘘だったのか?それとも、こんなつまらん戦で命を捨てる為だったのか?」
「そうです。その通りです。陛下こそ、こんなつらまらない戦でお命を捨てるおつもりですか?
陛下が死ねば誰が国を導くのです?まさか、リヨンヒ様や王子殿下に投げ出すつもりですか?」
反論できないプロベット。アクセルは涙ながらに伝える。
「私だって生きたい!!エクセルや兄さんやお義姉さんや陛下達とともに…
ですが、こんな悲しい思いをするのは私だけで十分です…
陛下生きてください。陛下の為に死んでいった者の為にも… 私の為にも…
私のような人間を生まない為に…」
「アクセル… 許せ!!お前を見捨て生きながらえる余を…」
「兄と妹を…妹を頼みます」
こうしてアクセルは空母で相手艦隊に特攻。敵輸送艦2隻を道連れに戦死した。享年69歳

だが、アクセルの努力も空しくノム艦隊を振り切るのは叶わなかった。副官ジュリアもノム艦隊に特攻
その死によってプロベットは戦闘宙域の離脱に成功する。

アクセル&ジュリア戦死。プロベット行方不明の報はエイヤンガの司令部にも届き、
プロベット軍は騒然となる。
だが、この報を司令部より早く知ったものが居た。妹エクセルである。
最初はただの胸騒ぎだった。だがアクセルが炎に飲まれるのを見た気がする。
だが、アクセルは笑っていた。本当に死ぬ瞬間なのか疑うほどに…
エクセルはその場に泣き崩れた。

やがて、プロベットの無事を確認したプロベット軍は死んだ将兵の弔い合戦とばかりに
セタを攻め立てた。ノムの奇策も銀河を埋め尽くすプロベット艦隊の前には成す術も無く、
セタは陥落しここに統一は達成されたSC155年の事だった。

『プロベット銀河統一』
新聞の見出しは大きかった。だが、アクセルの顔は晴れなかった。
アクセル戦死の予感、あれは勘違いであって欲しい…
やがて、彼女は新聞の隅っこにある小さな記事を見つけた
『アクセル主君を守り名誉ある戦死』
勘違いであって欲しいと言うエクセルの希望はもろくも崩れ去った。

土星衛星で戦死者の国葬が執り行われたが、エクセルは土星に帰ろうとしなかった。
彼女はホスエンへの転勤を希望する。ホスエンの人々が困っている… だがそれは言い訳だった。
現実を見るのが怖かった。だが、事態は追い討ちをかけた。

国葬から1ヵ月後エクセルの元に訃報が届く
『文将ラー逝去 享年72歳』
元来体は丈夫ではなかった。覇王だったことから病に犯され、度々倒れることもありプロベットに
無理やり休暇を取らされたこともあった。だが、すぐ勝手に復帰する為プロベットも呆れていた。
最近は立つ事も出来ず車椅子を使用していた。
そしてプロベットがセタやウェズの残党処理を終え、戦争終結宣言を表明した直後、
周囲もその死に気付かないほど、まるで眠るかのように亡くなったというのだ。
検死解剖した医者によると生きていることが不思議なくらいガタガタだったそうである。

最愛の姉だけではなく兄も死んでしまった。
「どうして?一緒に暮らそうって約束したのに…」
兄も失い自分1人残されたエクセルはもう泣く気力も無かった。

数日後、ラーの国葬が行われる。その巨星の死を多くの人が惜しんだ。
だが、その国葬の最中事件が起こる。
姉と兄の死に絶望したエクセルが服毒自殺を図ったのだ。服用していた睡眠薬や精神安定剤を
大量に飲んで死のうとした。
幸い、発見が早く一命は取り留めたエクセルは
「何故、死なせてくれなかったのか。独りぼっちで生きていくなんて私には出来ない…」
と周囲に漏らしていたが、見舞いに訪れた覇王プロベットは
「独りぼっちが辛いと言うか。ならば我々はもっと辛い思いをした。貴殿に仲間とも友とも家族とも同志とも
認められなかったのだからな。お前が入院してから何人見舞いに来たか数えてみたか?
それだけ皆がお前の事を大切に思っているのだぞ。皆心配したのだ。自分は一人なんて思うな!!」
プロベットは続ける。
「アクセルは最期に『妹を頼む』そう余に言った。姉はお前に生きて欲しいと思ったから余にお前を託したのだ。
ここでお前が死ねば、余はあの世でアクセルにどう顔向けが出来よう。
よいか。戦国乱世どれだけの者が死んでいったか。どれだけの者が生きたいと願いながら死んでいったか…。
アクセルも生きたいと願いつつも死んでいったのだ。例えどんなに辛くても生きねばならんのだ」
「陛下… お姉ちゃん…」
「余だけではない後ろを見てみろ」
廊下には花束を持った同志たちが見舞いに来ていた。
「アクセルやお前の様な者を出さない世界を作る、それが余に託された使命だ。
その理想実現の為、余に力を貸してくれエクセル」
自分は一人じゃなかった。エクセルの眼から涙が止まらなかった…。

退院したエクセルは何かが吹っ切れたかの様に仕事に打ち込んだ。
バルゴの再建が終わるとホスエン、エイヤンガ、セタと激戦地となった惑星に向かい
人々の為に働いた。自分のような人間を生まない世界を作る為に…

それから数年が経ち国を揺るがす事件がおきる。
ラーは生前、自らの後任にショーンを指名していたが、これに反発するラーの長男ガビと
次男ピオが反旗を翻し、更に両者の間でお家の継承争いが勃発。
更にバニアウが長男ニパウと次男マクガイバもこれに介入し内戦へと発展した。
平和な国作りに励まなければならない若者たちが何故争うのか。それが悲しくてならなかった。

エクセルは先ずバニアウを平定するべきとして終戦後彼が拠点としていたカスマンへ向かった。
そして聡明と名高い次男マクガイバに
「貴公らがやっていることは陛下や国への不忠以前に国民への冒涜だ。
国家再建の為に奔走しなければならないこの時に味方同士争うとは何事か!!」
を説得しこれをこちら側へ寝返らせる事に成功。
その後レナジの捕縛に成功、これを人質にバニアウに降服を要求。降服したバニアウとニパウは処刑され、
レナジは土星衛星で人質となりバニアウ家の家督はマクガイバが相続することでサウズは再度平定された。

一方、ラーの後任を巡る争いもラーの妹であるエクセルの支持が欲しいガビとピオが盛んに
こちら側につくよう要求してきたが、エクセルは
「兄ラーの遺言にそむく者を誰が支持しようか。今の貴公らを見れば兄が後継者にしなかった理由が良くわかる」
と突っぱねた。結局、ガビとピオはザクソン(ピオの拠点)とゼファー(ガビの拠点)の攻防で敗北し、
2人とも処刑されてしまう。
家督はジェニファに継がせられるも配偶者も跡取りも無くアキとラーの家系は断絶した。

「平和を蔑ろにし権力を欲するような輩に国は任せられません」
と息子の不祥事とその処刑に気丈に振舞ったジェニファに心無い者からの罵声や中傷がお行われる。
また、その事を面白おかしく『息子の死を何とも思わない毒婦』と書いたマスコミに対しエクセルは
「なら、お前達はこのまま内戦が激化して国が分裂し、いつ終わることと知れない争いの日々に
また戻りたいと言うか!!陛下や義姉上にとってどれだけの苦渋の決断だったか。
自分達の事より国民の事を思ってどれだけ苦しまれた事か… 考えたことも無いだろう。
ただ荒を探して面白おかしく書けばいいのだからな。
めでたいものだ。今日の平和が未だ脆いものとも知らずに… 与えられて当然と思っている。
情けない…」
とマスコミに答えている(その後、この一言が相当効いたらしくジェニファへの誹謗中傷はなくなった)。
(実はこの内戦は我が子の王位相続、王朝の安泰を望むリヨンヒがショーンと手を組んでプロベットを唆し
政敵を粛清する為に仕組んだものとの説もある)

その後もエクセルは死に物狂いで働いた。信じた主君、兄、姉が夢見た理想郷を築き上げる為に
義姉が我が子を犠牲にしてまで守ったこの国の為に… 老体に鞭を討って働いた。
死んでたまるか、平和な国を作るまでは…

やがて月日は流れ終戦より25年。姉や兄、多くの仲間たちが夢見た争いの無い国は実現された。
戦争も過去の出来事となり、各恒星系は豊かに栄え人々の笑い声が響いていた。
だがその間にもラーの後任ショーンが死に… 尊敬していたドーラも死に…
后リヨンヒも死に… 唯一の肉親だった義姉ジェニファも死に…
共に戦った同世代の仲間達も死に生き残っているのはエクセルは1人となった。でも寂しくなかった。
充実感に満たされたエクセルは平和な世界を眼に焼きつけSC184年12月25日、午前3時17分
眠るように息を引き取った。享年99歳。大往生だった。

この時、かなりの重病を患っていたプロベットは彼女の死を知ると病を押して葬儀に参列し、
「今まで良く頑張ってくれた。ありがとう…」
とその死を惜しんだ(翌年覇王プロベット崩御、享年87歳)。

墓はザクソン王宮跡の広場に作られ、ジェニファと共に4人一緒に埋葬されている。


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