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リール7:監督のために


気をつけて、「レイトショウ」の中で、この章は監督だけしか目にしてはいけないのよ。
そしてこれ以上読んだら、あなたにはファラオの呪いがふりかかって……えっ!?ファラオの呪いですって?ちょっとこんなの書いたの誰?

この「監督のために」の章には、レイトショウに関してプレイヤーが知る必要のない情報が含まれています。
読めばゲームの楽しみが薄れてしまうでしょう。
ですから監督をやろうと思っていない人は、この章を読まないで下さい。
人をからかってるのは誰?
このゲームはあなたのものよ、そしてあなたはきっとすべてを読むわ、あたしには解ってるの。
でも、少しくらいは罪の意識を感じるべきだと思うわ!

技能

技能指導

映画の台本を書いていて、俳優が特定の技能を持っていることが必要になることもあるでしょう。
そのような場合は、技能指導によって、映画に必要な知識を俳優につめこむことができます。
技能指導の効果は、俳優が指導を受けた技能を一時的に20にすることです。
これを示すために、俳優管理シートの指導を受けた技能の欄の後ろの余白に「T」と記しておきます。
映画が終わった後、プレイヤーは「T」印を消します。
技能指導を受けるべき技能を俳優がすでに持っていて、しかしその値が20より小さい場合、技能指導によって技能の値は映画の間だけ20に上がります。
技能指導を受ける技能の値が20以上の場合、技能指導は無意味です。

特別技能指導

幾つかの映画では、キャストが特定の技能にたいへん(普通の技能指導で可能になるよりもっと)熟達していることが必要な場合があります。
そのような場合は、特別技能指導を使うことができます。
特別技能指導の効果は、専門的に指導を受けた技能を一時的に50にすることです。
特別技能指導を受けた事を示すためにプレイヤーは俳優管理シートの特別指導を受けた技能の欄の前のスペースに「ET」と記します。
映画が終わったら、プレイヤーは「ET」印を消します。
専門指導を受けるべき技能を俳優がすでに持っていて、しかしその値が50より小さい場合、特別技能指導によって、技能の値は映画の間だけ50に上がります。
特別技能指導を受ける技能の値が50以上の場合、特別技能指導は無意味です。

ダイス修正

ダイス修正は、俳優が技能ロールや基本能力値ロールを行おうとしている時に、その相対的な難しさを表現するためのものです。
ダイス修正値はD00ロールの判定値を上げたり下げたりして、成功しやすくしたりしにくくしたりします。
ある行為が簡単だと考えられるなら、プレイヤーのD00ロールの判定値にいくらかの数を足すことができます。
普通より難しいと考えられるなら、逆にD00ロールの判定値からいくらか数を引きます。
ダイス修正は概ね10~30の範囲ですが、「非常に簡単」とか、「非常に難しい」などを表すためにこの範囲を越えてもかまいません。

戦闘

武器の特別な使い方

武器がどんな風に使われるか、すべて列挙するのは不可能ですので、リール4:武器では、武器の一般的・正統的な使用法しか扱っていません。
しかし、プレイヤーはまちがいなく、俳優の持っている武器の違う使い方を見つける事でしょう。
そうなれば、俳優がやった方法に基づいて結果を決定するより他にありません。
たとえば、キリアン・ジョヴァンニはライフルで至近距離からモンスターを撃っていました。
彼女は(弾丸では傷が与えられないなどの理由で)撃つのを止めて、ライフルの台尻でモンスターの頭を殴りはじめます。
これは簡単です。ライフルを棍棒として扱うだけです。

もっと難しい判断もあるでしょう。たとえば、キリアンがライフルを投げた場合、射程距離とダメージと適切な技能を決めなければならないでしょう。
難しそうに聞こえますが、実はそうでもありません。常識で判断すればいいのです。

技能なし戦闘

戦闘の最中に、完全に死にもの狂いになって、所有していない技能を使わねばならなくなる事もあるでしょう。
その場合、(人気/5)の値を、万能の技能として用いてかまいません。

手加滅

キャストは、敵を攻撃するさいに、相手を殺すのでなく気絶させようとすることができます。
そうするためには、ただ「手加減」をすると宣言するだけでいいのです。
手加減をする場合、攻撃のやり方とダメージの与えかたは通常戦闘と変わりません。
ただひとつの違いは、攻撃を受けたキャストのSPが0以下になった場合です。
手加減をした攻撃でSPが0以下になったキャストは、意識不明にはなりますが、死にはしません。
SPが0以下になって1~10テイク(監督の判断か、またはID10を振って決める)経過したなら意識を回復します。
意識を回復した時点で、キャストのSPは1になり、その後は普通に回復します。
他のキャストは、顔を叩いたり、揺すったり、冷たい水をかけたりして、彼の意識を回復させることができます。
手加減をした場合のもうひとつの選択は、SPが0以下になったキャストを、SP1で意識を保った状態にしておく事です。
その場合、そのキャストは地に膝をつくか、うつ伏せに倒れるでしょう。
攻撃者は倒れたキャストの仲間に妨害されない限り、その次のフレームで、自動的にとどめを刺すことや気を失わせることができます。
この選択は名誉の決闘のドラマチックなエンディングを作る時に役立ちます。

小道具

リール5:小道具部屋に考えうるすべての小道具を列挙することは、もちろんできませんでした。
プレイヤーは無数の小道具を考えついて、監督の許可と分類を求めるでしょう。
どれだけ人気があればその小道具を持っていてよいかは、監督であるあなたの方向性と常識で決めてください。

演出のテコ入れ

監督の仕事は、その映画を監督自身にもプレイヤーたちにも楽しいものにすることです。
以下の提案はその助けになる事でしょう。
しかし、すべての監督はひとりひとり違っているのだということを心に止めておいてください。
あなたは自分のやり方を身に着けなくてはなりません。
ですから以下の提案のいくつかは、あなたのやり方に合わないかも知れません。

ふんいき作り

映画のふんいきを高めるための手を講じてみましょう。
演出しようとしているムードに合った音楽を(大きすぎない音で)流すのもいいでしょう。
AV機器なども役に立ちます。
過去の犠牲者の手記、新聞の見出しの模造、俳優が探している人物があらかじめ残しておいたメッセージなど、どれもふんいきを盛り上げてくれます。

性格付けのコツ

監督は、エキストラやモンスターを演じる時に気をつけなくてはいけません。
エキストラが酔っ払いなら(何か実際に起こったかを見ているのは酔っ払いというのが相場です)、
彼は立派な酔っ払いであるべきです。
理解しがたいほど呂律の回らない口調でしゃべるべきなのです。
エキストラが保安官なら、きわめて気難しく、街でおかしな事が起こるという事を、全く信じていないように演じるべきです。
これはモンスターの場合も同様で、特に息抜きの場面ではなおさらです。
モンスターも明確な個性を持っていて、それはその怪物性と正面から衝突するものであってもかまいません。
たとえば、ニンニク入りスパゲッティが大好きなヴァンパイアとか、正式のディナー・エチケットにこだわるソンビなどは、プレイヤーたちを文字どおり笑い転げさせるでしょう。
コメディの重要なテーマのひとつは、予想の逆を突くことです。
賢い監督は、この逆転を使って映画に大きな効果を与えることができるのです。

チープ・ショット

モンスターの登場シーンとして、チープ・ショットに勝るものはありません。
チープ・ショットは、まず緊迫感を高めておいて、竜頭蛇尾に終わらせる事で演じられます。
たとえば、ある俳優が一人で部屋にいると、爪で木を引っ掻くような音が聞こえてきます。
しばらく探してみて、その音がクローゼットの中から聞こえてくると推測がつきます。
彼は、クローゼットの扉をサッと開きますが、そこには、可愛くて抱きしめたくなるような子猫が一匹、爪を研いでいるだけです。
俳優は安心して笑い出し、子猫を抱えあげ、そして後ろを振り返ると、そこにはモンスターが立っているのです。

視聴者の視点

時には、映画のムードを伝えるために、いくらかの情報をプレイヤ一に与える必要があるでしょう。
このためには「視聴者の視点」を使うのが手です。
「視聴者の視点」は、俳優は普通知らないがプレイヤーは知っているべき事を伝えます。
「視聴者の視点」は、デモンナかまたは自分でデザインしたホストあるいはホステスを使って伝えてください。

繰り返しギャグ

繰り返しギャグとは、繰り返されるユーモラスなできごとです。
これは映画を楽しいものにしてくれます。
繰り返しギャグのよい例はこんなものです……俳優のスティーヴ・ステイブルは、一人で外を歩いていて、草むらで何かがカサカサ音を立てるのを聞きます。
監督は恐怖ロールを要求し、プレイヤーは失敗しました。
スティーヴは叫びを上げて逃げ出します。
ここで監督は「観客への情報」を使い、音を立てていたのは老いた浮浪者が寝返りを打ったのだとプレイヤーに告げます。
浮浪者は叫び声に目を覚まし、もっと静かなところを探して寝るためにフラフラと去って行きます。
その後、スティーヴの友達のデリー・ジェロニモが別の草むらの場面で、カサカサという音を聞きます。
デリーのプレイヤーは恐怖ロールに失敗し、グリーは叫びながら逃げ出し、浮浪者はまたもや目覚めて動き出すのです。
繰り返しギャグは、必ずしもうまくいくとは限りません。
上の例で2人のプレイヤーが恐怖ロールに成功していたら、繰り返しギャグは失敗です。
いいジョークを楽しむプレイヤーは、1回か2回やれば繰り返しギャグの精神にノッてくれるでしょう。
きっと彼らはカサカサいう音を聞いたとたん、監督の恐怖ロールの要求を待たずに、あらん限りの叫び声を上げて逃げ出してくれるでしょう。

暗転

俳優たちは、俗悪映画の中では、分散しようとする傾向があります(そしてモンスターは俳優たちを一人ずつ餌食にしてゆけるのです)。
普通、単独行動している俳優の身に何か起こったかは、俳優が一緒にいなくても、プレイヤーは聞くことができます。
しかし時には、仲間の身に何か起こったのかを他のプレイヤーに知られないでおく必要がある場合もあります(たとえば、卑防な罠が他のものたちを待ちかまえている場合などです)。
そのような秘密を守るためには、他のプレイヤーたちに一言、一人で行動している俳優のシーンは「暗転」したよ、と言えばいいのです。そして「暗転」した俳優に何か起こったかを紙に書いて渡すか、わきへ引っ張っていって告げればいいわけです。

メタプレイ

俳優たちの「本当の」人生を巻きこむように映画を作り、演出することもできます。
たとえば、セットの中で殺人が起こり、俳優たちは演技を続けながら同時に事件を解決しなくてはならない、といったものです。
「現実」とフィルムとの間を行ったり来たりするのは、きっと面白いでしょう。
特に映画での行動が「現実」の殺人に影響を与えたりすればなおさらです。
「現実」を演出するには、俳優の基本能力値や技能を、「現実」の基本能力値や技能として用いるだけです。
〈応急手当〉が失敗した場合、「死の黒き扉の彼方に」待っているのは、単に映画からの降板だけではないというのがミソです。
もしメタプレイングをやるなら、「現実」の行動とフィルムの中の行動とを区別するために「役名」を使うのがいいでしょう。

役名

俳優が自分で選んだ名前は、ハリウッドの「現実」世界での名前です。
映画の中では、役柄に似合った名前を監督が作り、俳優にあてがってかまいません。
これをするかしないかは、監督のスタイルと好みによります。
メタプレイング要素を含む映画を撮るときは、「役名」を使うのがよいでしょう。

役柄の交渉

しばしば、プレイヤーはもう少しいい役をやりたいと言うでしょう。
そんな時は、もっといい役を望んだフレイヤ一に人気ロールを許可してかまいません。
それが成功したら、そのプレイヤーの俳優に少しマシな役を与えてもいいでしょう。
たとえば俳優に割りふられた役柄が大学の学生なら、大学院生か助教授の役を与えてかまわないでしょう。

ゲスト・スター

俳優の人気が50を超えて、態度が偉そうになってきたら、ゲスト・スターを使えば手っ取り早くそれを抑えられます。
ゲスト・スターは監督の管理下にあるエキストラですが、俳優たちは、ゲスト・スターがあまり有名で、あまり多くのスポットライトを浴びるので、心穏やかでなくなるでしょう。

コマーシャル

監督であるあなたは、サスペンスをもりあげるため、あるいは単にプレイヤーをいらだたせるためにCMブレークを取ると決めました。
さて、この約60秒間、耳栓を取る以外に何をすべきか?
2~3のコマーシャルをやってみましょう。
深夜TV番組を見慣れた人はみんな言うでしょう、「連中が見せる映画以上に馬鹿げたものは、たった一つ、約15分ごとに映画を中断するコマーシャルだ」と。
「お家で育てられる珍獣」のCM。
売りものが移動住宅だけに、ひっきりなしに画面が動くCM。あるいは1分2.99ドルもするのに、満足に楽しもうと思えば2、3時間はかかるQ2回線のCM……深夜TV番組のコマーシャルは、どれもこれも、60秒をまるで60年のようにたいくつに感じさせることができます。
監督として、どんなコマーシャルをやれば自分のプレイヤーを完全にうんざりさせられるか、解るでしょう。
そしてリモコンを持ってない私もね!

安っぽいオチ

時として、映画は失敗するでしょう。気にしないでください。
失敗は誰にでもあります、そしていつかは、この私にさえも。
まあ!すんごいうぬばれ!

打ち上げパーティの時に今回の映画の撮りかたを振り返り、俳優たちと話し合ってみることです。
次の映画では、問題点を改善できるでしょう。
それはそうと、映画にはクライマックスが必要です。
これについては、おなじみハリウッド流の解決法があります。それが「安っぽいオチ」です。
「安っぽいオチ」は、俳優たちには落度がなかったのにモンスターを倒すことができず、今にも勝利の宴のメインディッシュになろうとしている時にのみ用いるべきです。
「安っぽいオチ」を使うのは控え目にし、できれば使わない事です。
「安っぽいオチ」が多すぎると、俳優がつまらない印象を受けるようになります。
安っぽい映画のオチに他にどんなパターンかあるっての?

「慈悲深い異星人」パターン

慈悲深い異星人は神秘的で、親切で、すてきな銀の服を着ていて、丁寧で柔らかい、しかしハッキリとした声で話します。
アンテナつけたフレッドおじさんみたいなもんね

慈悲深い異星人は、俳優たちが(落度はなかったのに)失敗し、私たちの知る文明が今にも破壊されようとした時の最後の手段です。
監督は、慈悲深い異星人によって怪物(ども)を地球から去らせるか、もう一度眠りにつかせるかするのがよいでしょう。
そして慈悲深い異星人は、人類が制御不可能な力に手出しすることの危険性について陰気なセリフをしゃべり、それから宇宙船に戻って飛び去って行きます。
また絶対的に必要とされるときまで。

「夜明け」パターン

「夜明け」パターンとは、俳優が何もしなくてもモンスターを自動的に滅ぼすものの総称です。
たとえば太陽の光がヴァンパイアを滅ぼしたり、細菌がおぞましい侵略宇宙人に伝染して殺してしまうような事です。

「共演者」パターン

もうひとつの安っぽいオチは、共演者が急場を救うことです。
共演者は、解決法を明らかにするため、演繹的結論か、科学的情報の決定的な一かけらを与えることができます。
本当に安っぽいオチは、共演者に解決法を言わせ、共演者にそれを実行させることです。

打ち上げパーティ

映画が終ったら、打ち上げパーティの時間です。
打ち上げパーティの最中、監督とプレイヤーは映画のできごとを振り返ってみるといいでしょう。
プレイヤーはまた、追加の人気と技能のロールを行います。
打ち上げパーティの最中、監督はボーナス人気ポイントを与えるようにしてもかまいません。
  • 注意:プレイヤーが監督に議論をしかけたり、黙ってくれるように頼んでも黙らなかったり、一般的に言って迷惑な事をした場合、監督と他のプレイヤーの映画の楽しみを削いだものとして、ボーナス人気ポイントの対象から自動的に除外されます。
  • 「レイトショウ」の精神は、「みんなが」楽しむことなのです。

以下は、一般的にボーナス人気ポイントを受ける価値のある行動の、部分的なリストです。
ほんっと部分的だわ!大事なのが全部抜けてるわよ。
でも心配しないで、ホントに使えるヤツをあたしが付け加えておいたから

ボーナス人気ポイントを与える理由は他にも出てくるかもしれませんが、与えすぎないようにしてください。
俳優が受けとるボーナス人気ポイントは、俳優がそれを受ける価値のあるものだけにすべきです。
  • 俳優が、たとえ自分が危機に陥ろうと、たとえそうする事でバカに見えようと、自分の人物像にそって演じた場合
  • 《プレイヤーが一人だけダイスを忘れずにもってきた場合》
  • 俳優が「うまくバカをやった」場合。
  • 俳優がモンスターを倒すために奇抜な方法を思いついた場合。
  • 俳優がうまいだじゃれを言って、監督や他の俳優たちが、爆笑がおさまるまでCMブレークを要求せざるを得なくなった場合。
  • 《プレイヤーがチャンスを逃がさず監督におべっかを使った場合》
  • 俳優が残りの俳優たちや我々の知る文明を救うため、自分を犠牲にした時。これはモンスターの足にたまたま踏み潰された場合は含まず、計画的な犠牲でなくてはなりません。
  • 《プレイヤーが監督にお菓子を持ってきた場合》
  • 俳優が役柄をうまく演じ、監督と他の俳優を非常に楽しませた場合。
  • 俳優が無辜の人々を傷つけまいとあらゆる努力をした場合。
  • 《一番重要なのは、プレイヤーがあたしのサイン入りピンナップを持ってる場合》

オリジナルの映画を作る


もう映画館に戻っても大丈夫だと思ってたら、とたんにボスがやってきて、また別のすんごいアイデアを持ってきたの。
『監督とプレイヤーに俗悪映画をいっそうひどくする方法を教えるというのはどうだろう?』
フン!あたしに言わせれば、ゴジラに東京への道を教えてやるようなもんだわ。
でもボスはボスだから、あたしたちはそこらへんで見つけたエキストラを縛り上げて、俗悪映画を見せ続けて、このセクションに挙げるネタを見つけさせたわけ。
でも心配しないで、お医者様の話では、彼らはサナトリウムをすぐ出られるし、いずれはポップコーンを食べられるまでに回復するらしいから

「レイトショウ」用にあなた自身が映画を作るやり方を以下に挙げます。これはあくまでも指針であり、この通りにしなければならないわけではありません。
省けると思った手順は省き、他の手順を加えたければ加えてかまいません。
また、以下に示したやり方とは違ったやり方で作っても構わないのです。
モンスターをデザインしてから場面を決める監督もいるでしょう。
また共演者を作り、いくつかできごとの予定を決めてからモンスターと舞台設定を選び、イベント予定を完成させる監督もいるでしょう。
以下のやり方はあなたの創造性を助けるためのものであって、邪魔するためのものではないのです。

モンスター

モンスター(ども)の選び方は、映画を作る上で恐らくもっとも重要な決断といえるでしょう。
モンスターが映画を作るのです。そう、モンスターなしに映画はあり得ません。
あらかじめ用意されたモンスターを使ってもけっこうですし、またモンスター作成の指針に従ってオリジナル・モンスターを作ってもかまいません。
モンスターはいくつかに分類することができます(古典ホラー、異星人、人間、日本特撮など)が、好きなように混ぜてかまいません。「ドラキュラ&ゴジラVS外宇宙からの殺人狂」などというのは実にいい考えです。
そうすれば、普通なら戦う相手であるモンスターと協力するチャンスも出てきます。
結局のところ、ドラキュラやゴジラは人類を滅ぼそうと望んでいるわけではありません。
もし人類が絶滅してしまったら、ドラキュラが深夜の軽食に飲む血を誰が供給し、ゴジラが踏み潰す都市を誰が作るのでしょうか?
イマジネーションを自由にウロつかせてください。

舞台設定

映画はどんな舞台設定で起こるのでしょうか?
小さな街?大都市?はるか彼方の惑星?リゾート地の島?宇宙の深淵?海底?砂漠?月?火星?金星?
それらの2つ、またはそれ以上の組み合わせ?もっと他の場所?
その選択は、完全にあなたの映画の構想しだいです。
慣例と異なる舞台にモンスターを配しても構わないのです。
古典ホラーのモンスターを宇宙ものの舞台に置けば、「人狼の惑星」のでき上がりです。

フラッシュバック

監督は撮影中しばしば、俳優に何かの事実を気づかせたり、新しい情報を与えたりする必要に迫られます。
これにはフラッシュバックの手法が使えます。
フラッシュバックの最中には、すべてのアクションが止まり、フラッシュバックを受けた俳優または俳優たちは、何を見たか教えられます。
フラッシュバックが終わると、フラッシュバックが始まった時点の場面から映画が再開します。
フラッシュバックは、映画が始まる以前に起こっていたけれど、役柄の説明のときには教えなかったできごとを教えるのに特に役立ちます。
また、特にシリーズものの場合、俳優が旧友や宿敵に出会った時(フラッシュバックで思い出す)にも役立ちます。
俳優は人気1ポイントを支払うだけで、映画の早い時点で描写されたシーンのフラッシュバックを要求することができます。

役柄の割り当て

多くの映画には、俳優のために複数の役柄が用意されています。
誰がどの役を演じるかで口論になるのを避けるため、以下の役柄割り当て方法のどれか一つを使うといいでしょう。
  1. 自由裁量:監督が役割を指示します。
  2. 人気ロール:D00ロールで自分の人気をもっとも多く下回ったプレイヤーの俳優がその役を得ます。
  3. 人気ランキング:もっとも人気の高い俳優に役を与えます。もしその俳優がその役を断われば、次に人気の高い俳優に与え、次は3番目、という風にします。誰もその役を欲しがらなければ、人気のもっとも低い俳優が、その役を押しつけられます。
  4. 技能ランキング:役を演じるためにもっとも必要な技能の高い俳優が、その役を得ます。たとえば、ドライバー役は運転の技能がもっとも高い俳優が演じます。
  5. ランダムに:ピザを一切れ投げ上げて、それが頭の上に落っこちた人がその役を取るのよ。原始的2面ダイスってわけ

共演者の作成

プレイの便宜上、特定の共演者をリール8:モンスター作成の指針に沿って作ってもかまいません。
この方法は、共演者が特殊効果を必要とする場合、特に役立ちます(小指1本でレンガを割る武道の達人、高度文明を有する異星人などです)。

バンク

バンクとは、俗悪映画で繰り返し用いられる一連の定番シーンの事です。
自分自身のバンクのライブラリを作っておけば、ずいぶん時間が節約できますし、本当に「俗悪な」ふんいきを与える事もできます。
ワア!あたし、てっきリデジャビューだとぽっかり思ってたわ

この本の後の方に出てくる映画にもバンクの例があります。
加えて、自分のライブラリの手始めとして、以下のシーンの描写を書きためておくといいでしょう。

  • 遠くに見える、呪われた家または城。
  • 異星人の宇宙船の着陸。
  • パトカーがサイレンを鳴らして走って行く。
  • 列車がトンネルに入って行く。
  • 車の窓の外に流れる風景。
  • 騎兵隊の突撃。
  • 戦車の前進。
  • 群衆が都市の通りを逃げる。
  • 車が崖から落ちて地面に激突し、爆炎に包まれる。
  • 都市の混雑した通り。
  • 列車の衝突。

バンクをコミック・リリーフに使うこともできます。
時代錯誤なシーンや無関係なシーンを挿入したり、同じシーンを何度も繰り返したりするのです。

屋外セット

屋外セットとは、すべての俗悪映画に共通の、お決まりの戦闘シーン用セットです。
そもそも、前の映画で使った城が建っているのに何で新しいのを作る必要があるでしょう?
「レイトショウ」においては、新しいセットを作る必要はありません。
この本の後の方に屋外セットがいくつかありますから、その中から選ぶなり、自分で作ったのを使うなりしてください。

俳優の役柄

あなたが俳優に与える役柄は、映画の中への飛び込み台です。
役柄は、彼らがどこにいるのか、なぜそこにいるのかを教えるものであるべきです。
その役柄にもとづいて、彼らはどこかへ行き、何かをして、おかげであなたは彼らが経験する遭遇を設定することができるのです。
よくできた役柄は俳優たちに「自分はどこにいるか」「今はいつなのか」「自分は何をすることになっているか」を教えます。
そのような役柄は俳優たちに共通の目的意識を与え、映画の世界にすんなり導き入れます。
そうすれば俳優たちも、無目的に動き回ったり、何かが起こるまで長いこと待ったりせずにすみます。たとえば次のような役柄です。

「あなたは火星探検の使命を帯びた宇宙船の乗組員である。たった今火星に着陸した。あなたはサンプルを採取し、周囲の地形図を作成せよという命令を受けている」

望むなら、グループ全体の役柄の構造の中で、個々の俳優の役柄を決めておいてもかまいません。
上の例で言えば、船長、医局長、航海士などを指名してもけっこうです。
そのような役柄は、記憶だけに頼らず、くわしく書いておくようおすすめします。
そうすれば、俳優に役柄を割り当てるとき、混乱せずにすむでしょう。
以下に役柄のアイデアを挙げます。このリストは決して完璧ではありませんから、あくまで手がかりと考えてください。

  • 俳優たちはバカンスの最中に車のトラブルで、どことも知れない場所で立ち往生してしまった。
  • 俳優たちは、友人が自分の家の近くて起こる奇妙なできごとに気づいて助けを求めてきたのに答えた。
  • 俳優たちはモンスター狩猟協会であり、モンスター目撃の報告を受け取った。
  • 俳優たちは探検中の科学者チームの一員である。
  • 俳優たちはみな、同じひとつの小さな街の住人で、そこをモンスターが襲う。
  • 俳優たちはみな、同じ異星人の船に無理やり乗せられた。

無意味な会話

「無意味な会話」とは、いやというほど解り切った事をさらに強調して言ったり、「観客」には「これはすぐに嘘になるな」とわかるような発言をすることです。
以下は実際に使える無意味な会話と状況の例です。状況に合わせて自分なりに考えてみてください。下の例は始まりにすぎません。
それも例文なの、ボス?

  • 「もう大丈夫」:嘘!嘘!嘘!
  • 「死んでいる」:50フィート以内に近づけば誰でも死んでいると解る者に近づいて、じっと見てから言うのです。
  • 「死んでるの?」:上のバリエーションですが、近くに寄って見ようとしない俳優が言うセリフです。
  • 「あれは死んでる」:そうですね、日没まで、あるいは振り返るまでは。
  • 「大丈夫か?」:しばしば「死んでるの?」の前に使われます。
  • 「すぐに助けが来る」:これまた卑しむべき嘘です。
  • 「もうこれ以上歩けない」:実際には「ハンサムなケダモノさん、あたしを連れてって」という意味です。ただし男性のキャストが口にした場合、モンスターがしばらく食事をしていないという意味です。
  • 「こんなもの、見たこともない」:このセリフを言ってるのが俗悪映画を見た事がない人なら真実です。恐ろしいモンスターはみな、二、三の共通した特徴を持っています。
  • 「そこにいるのはトムか?」:そこにいるのがトムでないと誰でも知っている時に。
  • 「可愛いわね」:可愛い生き物が笑って、たくさんの牙が見える、その直前に。
  • 「今のを聞いたか?」:《ただの風よ、ダーリン。へっへっ。》
  • 「ただの風だ」:もちろん。風はいつも訳の解らないことを喋り、叫び、吠えます。
  • 「分かれて調べてみよう」:「うまくバカをやる」を参照。
  • 「きっとうまく行く」:ほんの一瞬のタイミングと大変な幸運を必要とする行動方針を立てた後で。
  • 「人間の仕業とは思えない」:血まみれの巨大な足跡の中に、工業サイズのフードプロセッサの中を泳いだような犠牲者の死体を見つけた時に。
  • 「まあ見て、流れ星よ」:夜空が昼間のように明るくなって、特急列車のような騒音が聞こえてきた時に。
  • 「何もありはしないさ」:希望的観測です。
  • 「ヤツらは入っては来られない」:もう入ってます。
  • 「ここなら安全だ」:モンスターが追い立てるのをやめている間に。
  • 「困った事になった」:いつでもどうぞ。俗悪映画の俳優はいつでも困ってます。
  • 「ここを出なくてはならない」:このように多くの無意味な会話はイヤと言うほど分かり切ったことから成り立っています。
  • 「そこにいるのは誰だ」:わかった時には手おくれです。

「うまくバカをやる」のと同様、「無意味な会話」の磨き抜かれた技術を示す機会はよくあります。
プレイヤーも監督も、無意味なことを言う機会を逃がさないように神経を研ぎすましておくべきです。
すばらしく無意味な会話がなされた場合、そんなことをした俳優には1ポイントの人気が与えられます。
真に使い古された会話が、うんざりするほど適切な機会になされた場合、2ポイントになります。



最終更新:2015年11月20日 16:53