概要
コミックマーケット65（2003年12月）にて頒布された同人誌。
エンターブレインから刊行された『装甲騎兵ボトムズTRPG』のルール使用を前提とした、オリジナル世界のスチームパンクTRPGの予告編の本。
プレストーリー（小説）、世界概略、キャラクター紹介、年表、用語＆兵器事典を含む。
部数は200部程度。
桜井さんの手元にも既に現物は残っていないらしい。
キャラクター紹介には、「復讐者」と規定される隻眼の帝国士官など『蒼天のセレナリア』の登場人物の原型と思しき人物や、《大帝》ヒュブリスの第一皇女等が。さらに、シリーズ中ではまだ語られていない北央帝国の首都の設定や、シリーズ作品中で時折言及されている北極の《巨神》や移動要塞シュリュズベリィなどの記述が大量に含まれる。
作中で描かれる時代は、「第2次カダス戦争終結の10年後」北央暦2176年（西暦1873年）頃。
高度な蒸気科学力に裏打ちされる強大な軍事力を誇り、中央大陸の大部分を支配する北央帝国。その侵略に脅かされる大陸南部の小国、セレファイス王国。帝国の新式蒸気戦車ディザシオンの猛威により国境戦線が崩壊しつつあったその時、対ディザシオン用特殊車両ウルメンシュ－－ただ三機の秘密兵器からなる小隊が出撃する。ウルメンシュ01号機パイロット、ティコ＝ロッソ。02号機パイロット、ルカ・ザ・ブレード。03号機パイロット、リィア＝M＝コンスタンツァ。彼らは皆、14歳の少年少女だった。
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スタッフ
サークル「真世界GCS」
ＡｒｔＷｏｒｋ 秋月亮(漫画家のあきづきりょう氏)
Ｅｄｉｔｏｒ ＪＭＳ(テキスト合同ペンネームの「JMS」、桜井光はこちらの中の人の一人であったらしい)
Ｅｄｉｔｏｒ 帆屋肋骨
Ｓｐｅｃｉａｌｔｈａｎｋｓ ＧＹＰ ogi kuro カルロス原
ストーリー
――森と湖の青色に溢れる平和な王国があった。
王国は、侵略の危機に晒されていた。
侵略者は北央帝国。
中央大陸の大部分である北部及び中央部を支配する寒冷の大帝国が、
近隣小国の制圧を始めたのである。
圧倒的な陸上兵力を擁する帝国だが、王国を襲った戦車群は総兵力のほんの数％。
しかしその数％ですら王国には脅威だった。
王立軍は死力を振り絞って国境戦線を維持するものの、
陸上戦闘の常識を覆す帝国の新式戦車ディザシオンが戦線投入されたことにより、
破滅的な危機を迎える。
戦線の崩壊と、それに伴う王国敗戦は目前であるかに見えた。
だが、希望は残されていた。
極秘裏に開発されていた対ディザシオン用特殊車両ウルメンシュ。
三機の希望(ウルメンシュ)
たった三つの希望を以て、王国は最後の賭けに出る。
ここではないどこか。
どこかの世界。
その世界では、電気は世界を支配しなかった。
蒸気機関が際限なく発達し、世界大戦が起きた時も戦車の動力は蒸気力だった。
空を飛ぶ飛行機もまた、蒸気力で動いた。
世界の空を飛び回る飛行機。
僕たちの時代と同じように、世界の空は飛行機が――蒸気の飛行機が――支配するはずだった。
けれど、
その世界では、飛行機は世界を支配しなかった。
ふしぎな機械を積んだ戦車(ディザシオン)が、高い高い空にいる飛行機を撃ち落としてしまうからだ。
ふしぎな機械は『腕』だった。
時には『脚』にもなった。
ふしぎな機械を積んだ戦車は発展していき、飛行機は衰えていった。
第二次世界大戦の後、ふしぎな機械を手に入れたふたつの大国が世界を席巻した。
ふしぎな機械を持たない小国たち、少数民族たちは、大国による侵略の脅威にさらされた。
これは、そんな世界のお話。
電気が世界を支配しなかった、飛行機も世界を支配しなかった世界。
蒸気力が世界を支配し、戦車が世界を支配する世界。
ふしぎな機械が、そんな世界をあざ笑う。
大きな力が、小さいものを踏みにじる――
これは、そんな世界のお話。
ここではないどこかのお話。
年表
900年 【大帝ヒュブリス即位】
北央帝国にて大帝ヒュブリスが載冠。
914～918年 【第一次世界大戦】
第一次世界大戦。
戦車の誕生。
929年 【世界恐慌】
王侯連合経済特区での混乱を発端とする世界規模の恐慌。
939～945年 【第二次世界大戦】
南ハ、エイシャ、ダイラスの三国が各地で戦端を開く。
三国は西享諸国の連合軍を圧倒したものの、
王侯連合および北央帝国の参戦により敗戦する。
リクール式戦車の登場。
955～ 【帝国による大陸南部進攻】
大戦の十年後。
ティコ達の生きる時代。
中央大陸南部に偏在する国家群へと北央帝国が進攻する。
ウルメンシュの登場と巨神の覚醒。
キャラクター
CHARACTER：諸突猛進型娘
POSITION：ウルメンシュ01号搭乗者、突撃担当
AGE：14
GENDER：女
SKILL：《追加ＨＰ》1レベル 《特殊武器：トゥールハンマー》 《ウェポン習熟：トゥールハンマー》 《反射神経》 《捨て身》 《鉄壁》 《パワーアタック》
前向きで元気な14歳。
パン屋を営む父親と共に王都で暮らしていたが適性試験の結果から王立軍に徴用。
一週間足らずの)訓練の後、王国存亡の鍵となるウルメンシュを与えられ、死の嵐が吹き荒れる国境戦線にいきなり放り込まれることになる。
ウルメンシュ戦闘の天才だが、基本的に努力を怠らない。
誰とでも親しくなる特性をもっているものの、ルカとはあまり相容れない模様。
＠「撃つ！」
＠「うるさいって何よ！？」
＠「じゃあ、おなかがすいたかもしれない」
＠「あなたたちが戦争をするから！ 子供たちのパンも焼けやしない！」
CHARACTER：復讐の大尉
POSITION：リクール式戦車搭乗者、帝国軍大尉
AGE：２５
GENDER：女
SKILL：？？？
セレファイス王国を侵略する帝国陸軍第三軍団の大尉。
リクール式戦車ディザシオンを駆り、王立軍のヴィタル８型戦車を数え切れないほど破壊したエースである。
２次大戦中に大帝ヒュブリスが発した言葉により、すべては実力で判断され男女の性差は無視すべきと定められた帝国軍における、象徴的な人物と言える。
本来は血を好まない穏やかな女性だったが、徴兵されたことですべての人生を狂わされた。いまや自らの功績と能力に酔い、敵兵を殺すことに何のためらいもない。
戦車を降りれば、かつてのままの優しげな素顔を見せるものの……。
＠「その時は、アタシにおいしいパンを焼いておくれよ」
＠「お嬢ちゃん！？あんたがソレに乗っているのかい！！」
＠「戦争だからさ！」
CHARACTER：帝国皇女
POSITION：帝国皇女
AGE：12歳
GENDER：女
SKILL：？？？
北央帝国皇帝『大帝ヒュブリス』の子女である、第一皇女。
恐怖と死を撒き散らす大帝国の中に生まれた唯一の希望、であるかどうかは神のみぞ知る。
帝都オータムーンにおいて、王城の奥深くに守られている尖塔の姫君。
北極に眠る『巨神』なる邪悪な存在と意志を通わせることができる、というオカルトじみたゴシップが帝国辺境や王侯連合の一部国内で囁かられている。が、そもそもエリアーデ皇女は帝都を出ることなどほとんどなく、北極に外遊したことは一度もない。
＠「父は、もはや人ではないと私は思うのです」
＠「ティコ……あなたが？」
＠「人が人を殺す。悲劇は終わらなければいけません、一刻も、早く」
用語
中央大陸の大部分である北部および中央部を支配する寒冷の大帝国。その歴史は古く四千年を超すと伝えられている。厳粛な専制政体であり、皇帝の意ひとつで滅ぼされ吸収された国家はここ百年だけでも二十を超す。
世界の時流に適宜対応する柔軟性によって世界最大の科学力を常に維持し、最強国家として中央大陸に君臨し続けている。一次および二次の産業革命の際も世界を率先して工業都市を各地に建造。一次大戦中の916年にブリート王国にて生まれた革命的兵器である戦車をも翌年には独自に開発を行い、一次大戦中に世界最大の大戦車軍団を登場させ領土を大きく拡大してみせた。二次大戦では悪名高き南ハ帝国を圧倒し、世界最大の国家の威を諸外国に見せつけた。
大戦終了までは世界および文明の中心であった。中央大陸西部に位置する国家群。産業革命発祥の地であり、世界を先導してきたが、一次大戦、二次大戦を受けて大きく勢いを失い、巨大な軍事力を持つ北央帝国および王侯連合に世界の先導権を奪われた。
二次大戦後は王侯連合寄りの穏健勢力として数えられている。
中央大陸の西、西享のさらに西に浮かぶ海洋国家群。貿易に強く、世界有数の海軍力を有している。まとまりこそ弱いものの、この世界において唯一「民主制」を採用している地域である。
西享を中心として発生した、世界規模の戦争。
エイシャ、南ハの二国を中心として発生した、第二の世界戦争。
- ダイラス。
- ウース=ナルガイ
- セレファイス王国
- 帝国皇帝
北央帝国皇帝ヒュブリス＝ミルチア＝ツァ・ル＝バシューラル。大帝ヒュブリス。
一次大戦前９００年に即位した二十三代皇帝。即位直後から帝国軍の拡大と強化を行い、新兵器群の開発に着手。９４３年には南ハ戦線に帝国軍を投入させたことで二次大戦を終結に導き、大戦後９５５年には中央大陸南部に偏在する小国家群への侵略を開始した。
謎に包まれた人物であり、先帝が死する直前に次期皇帝に指名された第四皇子であるという情報以外は殆どあきらかにされていない。政治的背景を持たずに突然即位したヒュブリス帝に反発する可能性のあった皇族および有力者は、一夜のうちに全員が「病死」した。
疑似筋肉装置の技術を編み出して新式兵器群を設計したのは皇帝自身であるとか、齢九十を越す身でありながらいまだに青年の外見を保っているとか、素顔を見てしまった者は即座に死ぬとか、自らの体に疑似筋肉装置を埋め込んでいるとか、そもそも先帝の子ではなく北極から来た未開人の王であるとか、その噂には枚挙がない
常に仮面を被っているため皇帝の素顔を知る者はひとりとしていないが、高貴かつ美麗極まると噂されるその顔立ちは、皇女エリアーデに色濃く継がれているとされる。
子供は皇子が二名に皇女が一名、それぞれ異なる側室から生まれている。ちなみに側室は全員、産後一年とたたずに病死している。
帝国首都。
帝国の内政・外政および軍事の中枢であり、そして大帝の住まう王城『バシュラール城』をいただく、世界有数の大都市。この時代の他の都市と同じく、常に蒸気による霧が立ちこめている。
蒸気時代が訪れる以前は、常に銀色の雪に包まれた寒冷の地だったとされる。
世界最強の帝国軍を指揮する五人の将軍。
大帝ヒュブリスにより作られた役職であり、軍事面においては大帝・総司令に次ぐ第三の命令権を有する上に独自の軍団を持ち、国政面においても大臣並の政治権力を有する。家名や家柄に囚われず、純粋に能力のみを見いだされた者がこの役職を得る。エリート中のエリートである。
- ネーデ帝国
- 賢者の休日
- パンテル軍団
- 疑似筋肉装置
- レアメタル装甲
- 陸軍戦車ジェルネ
- リクール式戦車ディザシオン
- タランテラ式巨大戦車
- 移動要塞シュリュズベリィ
帝国製。地上走行と飛行の二種類の移動方法を備えた、移動・飛空要塞。パンテル軍団の擁する辺境制圧用兵器である。敵軍と対する時には地上要塞としてリクール式戦車を吐き出し、敵軍を掃討した後には飛行要塞となって、敵国首都を空襲し制圧する。
セレファイス王立軍の切り札。９５５年登場。対ディザシオン戦闘のために鹵獲車両を大幅改修・強化した軽車両。
王国が、鹵獲した帝国のジュール式軽車両に改修を施したもの。火器の換装および装甲のレアメタル装甲化と機関の強化を行ったと伝えられる。数機のみが国境森林戦線に投入され密かに戦果を挙げた。非公式には帝国のタランテラ式大戦車および飛空要塞をも撃破したとされるが、改修設計に根本的欠陥があり開発及び量産は果たされなかった。
公式には記録の少ない、幻の戦闘車両。
この鹵獲改修車両の対ディザシオンという概念は、後年になって王侯連合のＭ７０型特殊軽戦車に受け継がれることになる。
- トゥール・ハンマー
- リビング・ザ・デッド
- ガイボルグ
ウルメンシュ０３号の主兵装。中世の騎士が持つ「槍」に似た外見を備えている。
蒸気機関と直結させた重機関砲を内蔵しており、対戦車の超高速連射によって敵を破壊する。切り札は「槍」の先端から射出される対戦車『ミサイル』
(※ミサイルとは、南ハが自国のロケット技術を転用して少数のみ開発した、大威力の長距離攻撃をおこなう炸薬型破壊兵器の通称。帝国や連合がその存在に注目せず、南ハの敗戦により消えていったことから一般にはその存在はあまり知られていないが、きわめて強力な打撃力を備えた兵器である)
- 装甲車両ズーグ改
- Ｌ60型多脚自走砲
- Ｍ70型軽戦車
- Ｇ205型陸上戦艦『神の盾』
- 巨神
疑似筋肉装置とレアメタル装甲の由来となった邪悪な存在が、北極の氷の中で眠りについている―――というオカルトじみた噂が王侯連合や帝国辺境の一部に広まっている。
事実としては、北極方面に住む少数民族に奉じられる神を指して『巨神』と呼ぶことはあるものの、それ以上の神話は存在しない。
だが、９５０年において、すべてのガス灯が一斉に消えて闇夜に包まれた帝都に巨大な鋼鉄の巨人が現れ、王城が破壊したとの民間記録が現代にまで残っている、ということは記しておく。
貴族の名
備考
地球との接触がなく、〈西享〉が、中央大陸西部の諸国の呼称に、各国家群の位置関係なども現在のスチームパンクシリーズとは大分異なる間違いなくプロトタイプ。
- これもってる人いんの？ -- 名無しさん (2013-09-19 17:04:37)
- 一部の文章、特にストーリーがこちらのブログの丸写しです。 http://d.hatena.ne.jp/molice/20120929/1348884006 -- 名無しさん (2013-11-09 14:53:16)
- おおーまさに源流って感じやね。前↑に怒られた時より充実してる -- 名無しさん (2014-03-21 09:45:17)
- 五将軍が熱い -- 名無しさん (2014-03-21 14:58:17)
- 長いからちょっとずつ書いてく予定 どれか優先して書く？ -- 名無しさん (2014-03-21 23:10:27)
- ウルメンシュは車両なのか -- 名無しさん (2014-03-25 08:37:13)
- 戦車のはなしだから ウルメンシュも戦車 -- 名無しさん (2014-03-25 10:32:35)
- 会報にその時のエピソードがあるけどウルメンシュが元は戦車なのはスチパンでも同じ。コニーのウルメンシュはウルメンシュ三号機だった覚えが。 -- 名無しさん (2014-03-26 01:45:18)
- ↑まじか。それ備考のところに書いて -- 名無しさん (2014-03-26 11:32:16)
- 帝都はガス灯か スチパンバイガスライト -- 名無しさん (2014-03-26 16:57:22)
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最終更新：2014年03月30日 01:00
