「蒼星石!早く来るですぅ~」
「もう、翠星石ったら…はしゃぎすぎだよ」
元気に駆け回る翠星石を見て蒼星石は微笑んだ。
「…ところで、くいだおれって閉店したんじゃなかったっけ?」
「…えっ?」
そう、翠星石が目指すくいだおれは確か少し前に閉店したはずである…
「…マジですか蒼星石?」
「うん…」
「…」
「…」
「…なんでもっと早く言わねぇんですかぁぁぁ!!」
大阪に翠星石の絶叫が響いた…
「うん、ゴメンね。すっかり忘れてたんだよ」
苦笑する蒼星石。
「しゃーねぇですぅ!こうなったら道頓堀のありとあらゆる名物を食べあさるです!!」
そもそもそのつもりだっただろう?
ところで翠星石はくいだおれがどういう店だったか知っているのだろうか?
あそこは、割烹、和定食、居酒屋、洋食レストランが一つに集まったビルだったわけであって、決して大阪全土の名物が食べられる店というわけではなかったと思うのだが…まぁ、出来れば一度行ってみたかったものである。
「蒼星石あれが有名なグリコの看板ですぅ!」
「うん、そうだねぇ…」
早速はしゃぎ出す翠星石。蒼星石はやれやれといった顔で翠星石を見ている。
「さぁ、お目当てのものを見たところで!早速食い倒れスタートですぅ!まずはやっぱりたこ焼きですぅ!!」
「うん、そうだね…確か、ここら辺に有名なたこ焼き屋が……あっ、あれだね」
蒼星石の指差す方には長蛇の列が…
「う…さすがは食い倒れの街!一筋縄ではいかねぇってわけですかぁ?」
「いや、有名店はだいたいあんなもんだと思うよ?とりあえず並ぼう」
「ハァ…なんだか食べる前に疲れちまいそうですぅ…」
そして待つかと数十分。ようやく店内に入れた翠星石と蒼星石はお目当てのたこ焼きを手にした。
「はぁ、分かってはいたんですけど…見た目には全く普通のたこ焼きですぅ」
「そりゃぁ、何たって元祖たこ焼きの街なんだから…オーソドックスさで勝負してるんじゃない?」
そんなことを言いつつ、二人はたこ焼きを口に入れる。
「ん!こいつはうまいですぅ!!」
「うん!柔らかい生地にたこの食感があってて…これはおいしいね!」
どうやら二人は街時間分を入れても、十分満足したようだ。
「おう!嬢ちゃん達わかってくれるねぇ!こいつはサービスだ!家で使ってくれ!」
可愛いい双子がたこ焼きを褒めてくれたことが余程嬉しかったのだろう。店の店長は、この店で売ってるたこ焼き粉を二人に無料でプレゼントした。
「いやぁ、さすがは商人の街!サービスもいいですぅ」
「二つもらったし、一つはおじいさん達に送ろっか?」
「そうですねぇ…たまにはじじ孝行するですか…」
その後も二人は大阪名物を次々に食べていった。勿論、二人はきらきーの様な強力な胃袋を持って居るわけではないので、ほどほどの量をだが…
「蒼星石今度はあそこに行くですぅ!!」
「ちょっ!翠星石!!かに道楽は流石に無理だよ!金銭的に!!」
双子はとても楽しそうだった。
「ふぅ、随分遊んだですぅ」
「うん、途中でファンの子達に囲まれた時はどうしようかと思ったけど、楽しかったね」
「そうですねぇ…また来たいですね…大阪」
「そうだね…今度はきらきーも誘おうか?絶対喜ぶと思うんだ」
「心霊スポット巡りは勘弁ですけど、こっちなら楽しめそうですぅ」
「はは、多分出費は凄いだろうけどね」
「ちげぇねぇですぅ」
二人はしばらく笑いあった。
「さて、じゃぁそろそろいこっか?」
「そうですねぇ…よぉし!気合い入れるですぅ!!」
「ふふ…待ってよ!翠星石!!」
双子は走っていく。夕陽に向かって…夕陽?
「明らかに遅刻だよぉぉぉ!!」
「だから走ってるんですぅぅぅ!!」
…やれやれ
最終更新:2008年05月28日 00:50