時の回廊 ◆E8Sf5PBLn6



はーいこんにちは。頭脳明晰で才色兼備な天才科学者ルッカ・アシュティアよ。
全くなんなのかしらね。家で『時の卵』について研究していたはずだったのにいつのまにかオディオとかいう魔王に拉致されていたのよ。
うん、それだけならまだいいんだけどオディオとかいう魔王は拉致した人達で殺し合いのゲームを始めるときた。
それからはいろいろ大変だったわよ。呪われた剣を持った少女に追っかけ回されるわ、燃える森で津波に遭うわ、凄まじい殺気と恐ろしい強さを持った男―――ルカ・ブライトに襲われたりね。
そして、今もあんまりいい状況とは言えないわ。目の前の金髪の少年は明らかに私に敵意を向けてきてる。見るからに「がんばって殺意を抑えている」といった感じね。
これは、一歩間違えれば殺されるわね私。
もちろんこんなところで死ぬつもりなんてさらさらないけど。
ナナミに助けて貰った命―――そう無駄にしてたまるもんですか。



……
………


「答えて……くれないだろうか?」

どうしたものかしらね。私が殺してないっていう証拠がないわ。
証人は今ここにはいない。
こんなことになったのもあのむかつくピエロのせいね。…後で覚えてなさい。
っていっても正直に答えるしかないわよね。今度余計なこと言ったらさっきの黒い剣が今度こそ私の方に飛んでくるだろうし…。

「私じゃ…ないわ」

相手はそれを聞いても未だ敵意を向けてくる。
そりゃそうよね。この状況どう考えても私が怪しいわ。

「…なら誰が殺したか知っていますか?」

目の前の少年は静かにそう言ってきた。
やっぱそう来るわよね。殺したのはルカ・ブライトだけどその証拠も無い、か。
私って運無いわねー。

「…ルカ・ブライトよ間違いなく、はっきり見たわ」

最初は呪われた剣のせいかと思っていたけどビッキーから聞いた限り元々ああいう奴らしい。
言っても何も問題ないだろう。それに…嘘も言ってないし。
そういえばあの剣を持った少女は助かったのかしら?

◆     ◆     ◆

「…ルカ・ブライトよ間違いなく、はっきり見たわ」

なるほど…その答えは確かに納得できる答えだ。あの狂皇子ならナナミを殺すなど容易いことだろうしナナミの体には火傷の痕がある。
だがそれではまだ完全に納得するには足りない。
ルカ・ブライトの残虐さ非情さ強さ―――それは濡れ衣を着せるには非常に都合がいい。
それになによりも引っかかるのがー。

「君は…どうして生きているんだ?」

あの狂皇子に会ってどうして生きているか、それとも遠くから見ていただけなのか?
それをはっきりさせるべきだ。ルカは放送で呼ばれていない。もし放送後に倒したなら都合がいいが…。

「……ルカ・ブライトに出会ってなぜ生きているっていう意味ならテレポートで逃げた…これが答えよ」

テレポート…確かにそれなら逃げることくらいなら出来るだろう。
目の前の少女はそれが出来るのだろうか?見たところ額にも両手にも紋章は無いが…。

「…これで最後です。火でも雷でも何でもいい…出せるなら見せてくれませんか?」

目の前の少女は紋章を宿していない。クレストグラフも持っていないようだ。
それでいてそういうことが出来るなら異世界の者と見て間違いない。
リルカの情報、遺跡で会った魔王の魔法。異世界は確かに存在する。
そして異世界の者なら名指しでルカ・ブライトに罪は着せないだろう。
この舞台に来るまでルカのことは知らなかったはず。ならばルカに出会ったというのも事実のはずだ。

「…? 分かったわ」

不意打ちで攻撃を受けないよう身構える。
少女の手に火が集まって―――天に向かって炎を放った。

「ファイア!!!」

使ったのは炎。ナナミの体に火傷が有るにもかかわらずそれを使った。
わざわざ疑いを強くするかもしれないことを。この子が殺したのならナナミの火傷を意識して火は使わないはずだ。
もしかしたらそれしか使えないのかもしれないが…。
そしてさっきのルカの情報…この子が言っていることは本当のようだ。

「すみません。どうやら本当のようですね」

ひとまず警戒を解く、頭もだいぶ冷えたようだ。
ここで目的を放り出して感情に走るわけにはいかない。

「さっき君が言いかけた質問の答えですが…ナナミは僕の幼馴染みです」
「……ッ!!!」

◆     ◆     ◆

ルッカとジョウイはナナミの埋葬を始めていた。ルッカがナナミを弔いたいと言ったのだ。
ジョウイもナナミを弔う手伝いをする。合理的に考えればこの状況でのその行動は時間と体力の無駄だ。
それでもジョウイは手伝うと言った。もちろんルッカが持っている情報を得る為とかルッカを利用する為とか、そういう打算もあった。
しかし何よりも―――大切な幼馴染みをこのまま放っておけなかったのだ。
もしかしたらジョウイがナナミを殺さないといけない状況もあったかもしれない。ジョウイは放送でナナミが呼ばれた時もちろん悲しかった。
悲しかったけど安堵もしたのだ。『自分が手を下さなくて良かった』と。
ジョウイはそう考える自分を嫌悪した。だからせめてナナミは自分が弔おうと考えたのだ。
幸いにもジョウイが持っていた回転のこぎりもオートボウガン同様頑丈でスコップの代わりになった。
そのため作業は順調に進んだ。

「こんなところね」

ルッカがナナミを穴に寝かせる。
首輪は取らない。人の首に付いていない首輪のサンプルは確かに欲しい。
でもルッカはそんな合理性だけで命の恩人の首を落とすことが出来る子じゃなかった。
二人でナナミに土を被せていく―――。

「ナナミ…安らかに」

ナナミが眠っている場所にこの花園で見つけた小さな花を乗せる。
来世で幸せになることを願って。

「有り難う。助かったわ。私はルッカ・アシュティアよ。あなたは?」
「いえ…僕がしたかっただけです。僕はジョウイ…です」

作業が終わった二人は自己紹介を始める。
もうお互いに警戒は無い。

「あなたがビッキーの言っていたジョウイだったのね」

ルッカはほぼ完全にジョウイを信頼していた。
ビッキーからはジョウイの事をリオウとナナミの幼馴染みとしか聞いていなかった。
そう、ジョウイが元の世界でやってきたことは聞いていなかったのだ。

「ビッキーの能力で北の城から花園に来たんだけど…ビッキーはくしゃみでテレポートが暴発してしまっちゃってね。
 むかつくピエロを巻き込んでどっかに行ってしまったのよ」

故にジョウイに情報を与えてしまう無防備に。

「それとルカ・ブライトは神殿あたりにいたから神殿には行かない方がいいわよ。
 あ、そうそう……今リオウは北の城にいるわよ」
「ッ!!!!!!」

ジョウイが知りたかった、そして知りたくなかった情報も……与えてしまった。
ジョウイの心が……揺さぶられた。

「ありがとう。僕が出会ったのはこれで三人目です。
 一人はリルカ……さっき放送で呼ばれました。
 もう一人は魔王……オディオとは違う魔王です。虹色の刀を持ってました。
 遺跡でそいつに襲われてリルカは……」
「!! ……魔王」

今度はルッカの心が揺さぶられた。
そう魔王が殺し合いに乗った事実を聞かされてしまったから。
絶対にゲームに乗っているとは言えないが、同時に絶対に安全とも言えなかった。
ゲームに乗っている事自体は驚くことではない。
だが魔王は仮初めだとしても仲間だったのだ。乗っていて欲しくは…無かった。

「そう……なの。ごめんなさいジョウイ。私はあなたに謝らないといけないわ
 ナナミは私を庇って死んだの。そして……その魔王は私の知り合いだわ」
「なん……だと……」

一瞬の静寂。その場で動いているのは風で揺れる周りの花々だけだった。ルッカもジョウイも動かない。
怒りを堪えているのかジョウイは黙ったまま。ルッカも何も言わない。
やがてジョウイが口を開いた。

「それでルッカさんを恨むのは筋違いです。ルッカさんは……悪くありません」
「……有り難う」

ルッカはジョウイがそれを聞いてなお自分を許したと思ったが、実はそれだけではない。
ルッカは気付いてないが、ジョウイはゲームに乗っているのだ。
そのジョウイがゲームに乗ってないルッカを責めることなど出来るわけがなかった……。

「厄介な事になったみたいね。わたしの持っている人物情報は元々の仲間がクロノとカエルね。
 ミネアって人もゲームには乗ってないわ。彼女の話によればユーリルとロザリーって人達は大丈夫だって。
 アティとアズリアも大丈夫だと思う。イスラとピサロって人は……とりあえず警戒しておいて。
 もしかしたらゲームに乗っているかもしれないし特にピサロはものすごく強いらしいから。
 後はゴゴとあなたも知っている人達よ、あなたは?」
「元々の知り合い以外では……リルカから聞いた人達だけです。
 アシュレー、ブラッド、カノン、マリアベル、この四人がリルカの仲間らしいです。
 あとアナスタシアは安全だと聞いてます。この五人は安全だと……。
 トカっていうトカゲはよく分からないです。リルカは意味不明って言ってましたが……」

本当ならここで情報操作したいのをジョウイは抑える。まだそれをするのは早い……情報が足りないのだ。
まずはルカや魔王のような強者を優先的に倒さないといけない。
あの魔王が殺し損ねたブラッドも強者のはずだし、どれほどかは分からないがピサロという者もかなりの強さとのことだ。
それに……もしかしたらリルカの仲間を悪者にしたくないという気持ちもあったかもしれない。

「あ、あいつの事忘れてた!!」

何かを思い出したように突如ルッカが叫んだ。
ジョウイはそれを聞いて少しびっくりする。

「さっき言ったピエロみたいな奴には気をつけて、ゲームに乗っているという証拠はないわ。
 でもね……馬鹿の塊みたいな奴だったけどあいつの魔力……あれは魔王クラスよ。私の知り合いのね」
「!!!!!!」

ルッカとて魔王ほどではないが極めて高い魔力の持ち主だ。ケフカに秘められた力を見破ることぐらいは出来た。
それを聞いたジョウイは愕然となる。ここにはいったいどれだけの強者がいるというのか……絶望感が増す。

「さてと……悪いけどここでさよならね。用事ができちゃったわ」
「え?」

ジョウイはいっしょに行動すると思っていたが、ルッカは突然そう言いだした。

「ジョウイ……これは私の問題。あなたを巻き込めない。
 ビッキーが無事ならここに戻ってくると思うし、
 ここで待っていたらリオウに会えるかもしれないわ。
 あ、ビッキーに会ったら私は歩いて城に行ったって伝えといてね
 待ちきれなくなったら北の城に向かってみて。そこでまた会いましょう」
「ルッカさん……何を!!!」

ジョウイが叫ぶ。
嫌な予感がする。
なんとなくこれからルッカがどうするか予想出来てしまう。

「魔王に返す物があるのよ……。それにあなたは納得しないかもしれないけど説得もしたい。
 それが駄目なら私の手でけじめをつけるわ」
「そんな……無茶だ!!!」

あの絶望的な強さを持った魔王にたった一人で挑むなんて看過出来ない。
しかしルッカは静かに諭す。

「大丈夫よ。魔王の強さや戦い方は知っているし、
 私のとっておき……すごいのよ。あの魔王を倒せるかもしれないぐらいにね。
 ビッキーはいつ戻ってくるか分からないし、彼女なら自力で城に戻れるわ。
 それにミネアも探したいしね。私は仲間を捜しがてら城に戻るだけ。
 そしてルートは三つ。ルカがいるかもしれない北から行くか、険しい山頂を越えるか。
 後は遺跡を経由してF-6の橋を通るかのね。私は三番目を選んだだけよ。
 魔王に必ず会えるという保証もないわ。心配しないで…」

そう言ってルッカはコンパスを取り出して方角を確認。
遺跡に向かって歩き出した。……たった一人で。

「僕は……どうすればいい?」

取り残されたジョウイはそう呟いた。どうすればいいか分からなかった。
ルッカから聞いた更なる強者の情報には愕然となった。
魔王クラスがもう一人いる。ならどうすれば自分は勝てるのだろう。
方法が無いわけではない。それは二十七の真の紋章の一つ『始まりの紋章』だ。
『黒き刃の紋章』と『輝く盾の紋章』の元の姿。
その力があればあるいは何とかなるかもしれない。そしてその道も見えた。
自分が持つ『黒き刃の紋章』と対になる『輝く盾の紋章』を持っているリオウは北の城にいるらしい。
彼から紋章を受け継げば……。

しかし、その道が四つあるのだ。まずルカがいるかもしれない北から行くのは論外。
いまさらルカに取り入るのは不可能……。
間違いなく一番危険なルート。勝算がない以上メリットが見当たらない。
問題は残りの三つ。
ここでビッキーを待つか。山頂を越えるか。ルッカを追いかけるか。

ビッキーを待つ…
あの子はそこまで自分を敵視していない。話せば何とかなるだろう。
北に行くなら間違いなく一番安全。ピエロがいっしょに来るかもしれないが。ビッキーが無事なら当分安全と見ていい。
しかしあのテレポートは時間も超えるらしいし、ビッキーが無事であるという保証もない。
待ち続ければ最悪次の放送までここに留まることになるかもしれない。

山頂を越える……
危険度は不明だが北や遺跡から行くよりは安全と思われる。肩透かしを食らう心配もなさそうだ。
道は険しいが一番堅実なルート。

ルッカを追いかける…
魔王がいるかもしれないのでかなり危険だがメリットもある。
一つはルッカという同行者だ。一人より二人の方が心強いのは言うまでもない。
そしてもう一つが魔王打倒の可能性。ルッカがとても賢い子ということは分かる。そんな彼女が勝算も無しに向かうとは思えない。
さらに最後にリルカが見せた大爆発。魔王は放送で呼ばれなかったが、相当の深手を負っている可能性もある。
それにさっきの戦いでは『黒き刃の紋章』は使ってない。通用しないと決まった訳じゃないのだ。
できれば使用は控えたいが魔王には使う価値がある。
多少の無理はあるが選ぶ価値があるルート。あるいはこっそり後をつけるのも一つの手だが……。

「早く決めないと……」

ルッカと同行するなら悠長にしてたら追いつけなくなる。
どうする……。どうする……。

『黒き刃の紋章』を受け継いだ少年は悩む―――別れた三つの道に。
『輝く盾の紋章』を受け継いだ少年に会った時の事を先送りにして。
その時、ジョウイは本当にリオウから紋章を受け継げるのか? その覚悟は有るのか?
それはまだ……分からない。

◆     ◆     ◆

「リーザとナナミが呼ばれたか……」

神殿付近の湖畔にいたビクトールが放送で禁止エリアと死者を確認して東に向かった。
リーザ――トッシュの仲間。特別強くはなかったらしいが、ゲームに決して乗らない心優しい少女だったらしい。
ナナミ――都市同盟の仲間で先ほどまで一緒に行動していた少女。いつもリオウを気遣っていた良いお姉ちゃんだった。
彼は幾多の戦争を乗り越えて――死に慣れてしまっていた。
だが慣れているのと何も感じないのとは違う。
ハイランドとの戦争だけじゃない。トラン解放戦争で解放軍の一員として戦っていたときもだ。
オデッサやグレミオが死んだときだって悲しかった。だがいつまでも悲しみに囚われていたら前には進めない。
先に逝った者達の為にも自分の足で歩かなきゃいけないから。

「禁止エリアか……急がねえと」

平屋が見えたら南下して花園に向かう―――ひとまずこれでいいだろう。
北にはルカがいるかもしれない。トッシュが同行してない以上、北に向かうのは下策と判断したのだ。
あいつなら一人でも大丈夫だろう。駆け引きがあまり得意そうじゃないのが心配だが……。


……
………

「そろそろ花園に着くと思うんだが……なんだあれは炎か?」

空に炎が見えた。戦闘中なのだろうか?
様子を見に向かった先は――花園。

「一番扱いに困る奴が現れたな……」

遠くに見えたのは一人は見知らぬ少女。
もう一人は―――ジョウイ。ある意味ではルカ・ブライトより厄介な奴。
とりあえず身を隠す。なにせ相手はジョウイなのだ。慎重にならないといけない。
ここからじゃ声は聞こえないがこれ以上近づけば気付かれるだろう。見たところ険悪な感じじゃないが……。

「それにしてもナナミ、ルカ、ジョウイともう三人も見つけるとはな。
 出会った奴の半分以上が知り合いなのは運がいいのか悪いのか」

しばらくすると少女は一人でどっかに歩き出した。ジョウイはその背中を見ている。
一人で行動したいのだろうか? ジョウイに聞いたら分かるだろうが……。

「さて……どうすっかな」

いつまでもここに隠れているわけにはいかない。
ジョウイは少なくとも積極的に殺して回っていない様だ。
それに根はいい奴だって事はよく知ってる。
見張りを兼ねて同行するのもいいが――問題がある。

情報だ。自分はかなりの情報を持っている。
それをどこまで話すか…それが問題だ。
ルカが北にいた事ぐらいなら問題ない。
いまさらルカに取り入ることは出来ないはず。

重要な三つの情報は

一つはルカをたった一人で追いつめた男の存在。
一つは首輪を外せるかもしれない男の存在。
そしてもう一つは第三回放送の頃に座礁船に参加者が集まる予定のことだ。

「早く……決めないとな」

ジョウイとビクトールは花園で考える。
自分がどう動くべきかを。
道が決まった時――運命の歯車が回り始める。

【E-9 花園 一日目 午前】
【ジョウイ・ブライト@幻想水滸伝Ⅱ】
[状態]:右手のひらに切り傷
[装備]:キラーピアス@ドラゴンクエストIV 導かれし者たち
[道具]:回転のこぎり@ファイナルファンタジーVI、ランダム支給品0~1個(確認済み)、基本支給品一式
[思考]
基本:更なる力を得て理想の国を作るため、他者を利用し同士討ちをさせ優勝を狙う。(ルカや、魔王といった突出した強者の打倒優先)
1:僕は…どうすればいい?ルッカを追う?山越え?待機?
2:北の城に向かってリオウと決着をつける?
3:利用できそうな仲間を集める。
4:仲間になってもらえずとも、あるいは、利用できそうにない相手からでも、情報は得たい。
[備考]:
※参戦時期は獣の紋章戦後、始まりの場所で2主人公を待っているときです。
※リルカと情報交換をしました。ARMSおよびアナスタシア、トカ、加えて、カイバーベルトやクレストグラフなどのことも聞きました。
※魔王のこともあり、紋章が見当たらなくても、術への警戒が必要だと感じました。常識外のことへも対応できるよう覚悟しました。
※ルッカと情報交換しました。ピエロ(ケフカ)とピサロを特に警戒。
※E-9花園にナナミが埋葬されました。埋葬された場所には小さな花@WILD ARMS 2nd IGNITIONが供えられています。
※近くのビクトールには気付いてません。
※紋章の一つはバランスの紋章です。

【ビクトール@幻想水滸伝Ⅱ】
[状態]健康
[装備]魔鍵ランドルフ@WILD ARMS 2nd IGNITION
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品0~1個(確認済み)
[思考]
基本:打倒オディオ
1:ジョウイと接触するべきだろうか…?
2:アキラ・ティナの仲間・ビクトール・トッシュの仲間をはじめとして、ルカおよびオディオを倒すための仲間を探す。
3:第三回放送の頃に、無法松と合流するためA-07座礁船まで戻る。その時、松に謝る。
[備考]参戦時期はルカ死亡後のどこかです。詳細は後の書き手さんにお任せします。
※ティナの仲間とトッシュの仲間、アキラについて把握。ケフカを要注意人物と見なしています

◆     ◆     ◆

「……追ってくる様子は無し……か、ここまでくれば大丈夫だろう」

城下町での激戦を繰り広げたカエルはかなり疲労していた。
故に森の中に駆け込んでシュウが追ってきてないことを確認して休憩をとった。
ここでは回復魔法は制限されている。使えばすごく疲れるのだ。
そろそろ疲労を無視出来なくなっていた。

「……正直助かった。もう一度戦ったら勝てなかっただろう」

先ほどのシュウとの戦闘を思い出す。自分は完全に押されていた。
あの時の自分はほとんど全力だったがあいつにはまだ余裕があった。
出方を伺っていたか。あるいは無力化を考えていたか。
しかも、あいつは素手で獲物を持っている俺に物怖じせず戦っていた。
あいつの余裕…恐らくあいつは俺を遙かに超える剣の使い手と戦った事がある。

「問題はまだ山積みだ…」

自分は素手のシュウ一人にすら勝てない。
城下町では相性の良さやニノの情けがあったからこそあそこまで戦えたに過ぎない。
城下町で実質強いと感じたのはマリアベルだけだ。
もしシュウが城下町での戦いに関わっていたら自分はあっさりと倒されていただろう。
結果的に勝てただけなのだ。

しかも、誰一人として止めは刺せていない。
マリアベル、ロザリー、サンダウン。三人を瀕死に追いやっただけだ。
あのまま放っておけば死ぬくらいのレベルだったが…サンダウンという男の言っていた事を思い出す。

―――エリクサーを……

エリクサー、それは死んでない限りどんな傷でも治す魔法の霊薬。さらにいえば魔力も回復できる代物だ。
このことを考えるなら最低一人は助かっていると見て間違いない。
そして合理的に考えたらあの三人で最も強かったマリアベルに使うだろう。
最悪回復魔法が使える奴がいて全員助かってるかもしれない。

シュウ、マリアベル、ストレイボウ、ニノ。
少なくともこの四人は生きている。あの巨大兵器の事もある。
あいつらにはどうやっても勝ち目がない。
だが、ぐずぐずしていたらあいつらは仲間を増やし本当に手に負えなくなる。

ならばどうする?

あいつらの悪評をばらまく…
……いや駄目だ。シュウはそういう駆け引きは得意だろう。
それに、俺の姿を見て信用する者がどれほどいるか……。

クロノやルッカを焚き付けて利用する。そして共にあいつらを……
これも駄目だ。あいつらとの連携技はたしかに強力だ。
だが、クロノやルッカと共にいれば俺は外道で居続けられる自信がない……。
クロノ達を殺せば完全に戻れなくなる。むしろクロノ達はすぐ殺すべきだ。

ならばやはり……

殺し合いに乗った参加者と組む……
俺のように痛い目を見た奴だっているはず。
すでに徒党を組んでいる者だっているだろう。
もちろん、足手まといにならない強い参加者である必要であるが……。

そうだな……出来れば強力な魔法を使う者がいい。
今は後ろを任せられる者が必要だ。
そして組む上では手の内が読める奴がいい。
相手の手札が分かっているのは同盟を組む上でちょうどいい。

よし、これでいこう。

後は武器の入手だ。
バイアネットは確かに武器としては優秀だ。
すでに使いこなしていると言ってもいい。強力な弾丸だって撃てる。
だがこれは『斬る』というより『突く』事に特化した武器だ。しかもかなり大きい。
だいぶ慣れたがやはり剣に比べると接近戦では劣る……。

剣を探さないといけない……。
どこで探す?
ストレイボウが持っている剣は……。
駄目だ。今戻っても返り討ちにあうだけ。
それに……今は勇者バッジとストレイボウには近づきたくない。

「……遺跡」

ここから一番近い人が集まりそうな場所だ。
ここで武器を探すなり、誰かと同盟を組むなりすればいい。

「…………」

休憩を終えたカエルは軽快な足取りで森を進む。
彼の幼い頃の遊び場はガルディアの森だった。森は彼のフィールドだ。

向かう先は……遺跡。

◆     ◆     ◆

「……だいぶ魔力が戻ってきたな、そろそろ地上に戻る頃合いか……」

剣の魔女が放ったファイナルバーストのダメージはまだ抜けてない。
魔法だってあれほど使ったのだ。魔力も四時間以上休んだにもかかわらず完全回復とまではならない。
だがこれ以上悠長にしていたら他の参加者が集まって大集団が出来るかもしれない。
それに、さっきの剣の魔女のこともある。この場に自分より強い者はいると考えていい。
あのエイラだってオディオの放送で呼ばれたのだ。油断は出来ない。
殺したと思っていたブラッドも生きていた。どうやって助かったかは知らないが……。

「剣の魔女よ……。ブラッドを『弱き者』と言った事は訂正しよう」

剣の魔女――たしかリルカと呼ばれていた。
彼女は放送で呼ばれていた。
やはり、あの時の反動で死んだようだ。
脅威が一つ減ったようだ。
魔王は彼女に言った。

――ヤツは死んだ! 弱き者は虫ケラのように死ぬ、と

その事は訂正しないといけないと思った。
ブラッドは自らをここまで傷つけた者の仲間なのだから。

「……どうすべきか」

地上に戻った後のことを考える。
今自分に必要なのは利用できる仲間。
ブラッドは生きている。クロノ達もだ。
これから一人で生き残るのは厳しいだろう。

たしか魔力には自信がある。
しかしこの場には自分より優れた接近戦が出来る者は沢山いるはず。
それに自分は回復魔法は使えない。
接近戦が出来る者、回復魔法が使える者と組みたい所だ。

「……考えていても仕方ないな。利用できる者を見つけたら利用すればいい」

玉座から立ち上がって階段に向かう。この遺跡はかなり大きい。
身を隠すにはちょうど良かったが、このまま引きこもるわけにもいかない。
階段を上がろうとするが―――

―――ゾクリ

「ッ!!!!!!!!!!!」

ふいに恐ろしい気配がした。これは…。

「誰だッ!!!!!!」

魔王は周りを警戒する。
自分を圧倒的に絶望的に上回る魔力。完全に次元が違う。
それは古代女王ジールや先ほど出会った剣の魔女なんていうチャチなものじゃ断じてない。
もっと恐ろしいものだ。

(この気配は…ラヴォスや姉上すら超えている!!!! 下手をすれば魔王オディオすらも……)

気配は……下から!!! それもかなり深く!!!
幸か不幸か魔力が回復したせいでこの気配を探れてしまった…。
こっちに来る様子はないが……。

「……早くここから離れるべきだな」

魔王は踵を返して地上に向かう階段に向かった。

◆     ◆     ◆

「待ってなさいよ……ジャキ」

ルッカは遺跡に向かっていた。
お守りの返す為に、嘗ての仲間とけじめをつける為に。
会えないならその時はその時だ。

「まあ、流石にこれを持っていればいきなり魔法をぶっ放されることもないでしょう」

勝算がない訳じゃない。魔王だってまともにフレアを受けたらただじゃすまない。
それに魔王程度の身体能力なら自分でも対処できない事もない。
だがそれにしたってものすごく無茶だ。

「私も……クロノの事は言えないわね」

海底神殿でラヴォスのエネルギーをまともに受けて消滅してしまったクロノを思い出す。
死の山でクロノと再会したときルッカは彼に言った。

―――大バカ者、と。

海底神殿でラヴォスの圧倒的な力に見せつけられて私たちはボロボロだった。
そんななか一人動くことが出来たあいつは私達を守るために一人でラヴォスに立ち向かっていったのだ。
―――勇敢に。

そんな彼だから好きになったのかもしれない。
表には出してないけどクロノの事が好きだったんだ。
だからだろう。死の山でそんなことを言ったのは。

「あんただけに無茶させるのは……割に合わないわ」

ナナミに救って貰った命を無駄にする気は無い。
今から無茶をしに行くのはナナミに救って貰った命を活かす為だ。
ジョウイの話を聞く限り魔王は『にじ』を持っている。
それをクロノに渡せれば大きな力になる。


「それにしても…やっぱりここの参加者は……」

ルッカは参加者について考える。
参加者はある程度知り合いで固められている事。
あるいは同じ世界ごとに何人か集められていること。
それはすぐに分かることだが、彼女が考えたのは…。

―――同じ世界の参加者の中に平行世界から連れてこられた者がいる。
―――あるいはここに連れてこられた時間をずらされている者がいる。

最初はただの仮説だった。
カエルやエイラが参加していることからオディオが時を越えた力を持っていることは分かっていたんだから。
それを確信したのはジョウイの話だ。
彼は放送で呼ばれたリルカと会っていた。
彼女の事は知っていた。カノンから話を聞いていたミネアからの情報によって。
この仮説が正しければジョウイを混乱させかねない。
だから、リルカを知っていたジョウイの前ではリルカの仲間のことは話さなかったのだ。

仮説は当たっていた。
カノンはリルカの事は安全と言っていたが立場上は敵対関係にあると言っていた。
アシュレーには魔神が憑依されていて危険であることも。
ジョウイが話した情報とは違う。
リルカはカノンを仲間だと言っていた。そしてアシュレーが危険とも言ってない。
この状況を考えれば話すべき事だ。例え仲間だとしても。
それを放置するのは問題解決の先延ばしにしかならない。
アシュレーの為にも話すべき事実。

この食い違いはどちらかの扇動とは思えない。
恐らくオディオの仕業だ。
こうすれば疑心暗鬼の種をまける。
誤解からの衝突も有り得る。殺し合いが円滑に進むのだ。

「なめないでよ……オディオ。サイエンスの力見せてあげるわ」

不敵な笑みを浮かべて遺跡に向かう。
負ける事なんて考えてない。イメージ出来てたまるか。

「見てなさいクロノ。あんたと違って死んでなんかやらないんだから」

◆     ◆     ◆

星の夢の物語を紡いだ三人の物語が始まる。

オディオに願いを求める者二人。
オディオに反逆する者一人。

【E-8とE-9の境 森 一日目 午前 】
【ルッカ@クロノ・トリガー】
[状態]:わずかながらの裂傷、疲労(小)、悲しみ
[装備]:なし
[道具]:オートボウガン@ファイナルファンタジーVI、17ダイオード@LIVE A LIVE 、サラのお守り@クロノトリガー
[思考]
基本:首輪を解除する、打倒オディオはそれから。
1:遺跡を経由して北の城に戻る。
2:魔王に会ったらけじめをつける。エイラとアリーゼの死を悲しむのはその後。
3:ミネア、ビッキー、ゴゴ、リオウたちと合流したい。ルカ、ケフカ(名前は知らない) は警戒。
4:首輪の解除、オートボウガンの改造がしたい。そのための工具を探す。17ダイオードの更なる研究もしたい。
5:オートボウガンに書かれていた「フィガロ」の二人を探す(マッシュ、エドガー)
6:クロノ達と合流、魔王は警戒。でも魔王に『お守り』は返したい。
[備考]:
※バイツァ・ダスト@WILD ARMS 2nd IGNITIONを使用したことにより、C-8東側の橋の一部が崩れ去りました。
※参戦時期はクリア後。 ララを救出済み。
※C-9の中心部にルッカの基本支給品一式入りデイバッグが放置されています。
※機界ロレイラルの技術の一部を解明し、物にしました。
※ビッキーと情報交換をしましたが、リオウとは情報交換をし損ないました。
※北の城が別の場所から運ばれてきた物だという事に気付きました。
※参加者の中に知り合い同士でも異なる時間、異なる世界、平行世界から連れてこられた者がいると考えてます。

【G-8とH-8の境 森 一日目 午前】
【カエル@クロノ・トリガー】
[状態]:左上腕に『覚悟の証』である刺傷。 疲労(大)
[装備]:バイアネット(射撃残弾1)
[道具]:バレットチャージ1個(アーム共用、アーム残弾のみ回復可能)、基本支給品一式
[思考]
基本:ガルディア王国の消滅を回避するため、優勝を狙う。
1:遺跡に向かう。
2:剣と利用できる仲間が欲しい。
3:仲間を含む全参加者の殺害。特に仲間優先。
4:できればストレイボウには彼の友を救って欲しい。
[備考]:
※参戦時期はクロノ復活直後(グランドリオン未解放)。

【F-7 遺跡(アララトスの遺跡ダンジョン50階) 一日目 午前】
【魔王@クロノ・トリガー】
[状態]:疲労(小)、全身打撲、瓦礫による擦り傷多し
[装備]:にじ@クロノトリガー
[道具]:不明支給品0~2個、基本支給品一式
[思考]
基本:優勝して、姉に会う。
1:地上に戻る。
2:敵を探して皆殺し 。
3:場合によっては他人と組むことも視野に入れる 。
[備考]
※参戦時期はクリア後。
※ブラックホールが使用できないことに気付きました 。
※遺跡の下にいる『恐ろしい存在』に気付きました。



―――時の引き金は既に引かれた。



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046-2:本気の嘘(後編) ビクトール 079-1:たったひとりの魔王決戦
063-2:ビッキー、『過ち』を繰り返す(後編) ジョウイ
ルッカ
066-5:Alea jacta est! カエル
041:夜空 魔王


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最終更新:2010年07月01日 00:34