330 :「旅行」 1:2009/11/01(日) 08:58:39 ID:s/KWu4nI
―― 秋

日が暮れるのがすっかり早くなり、朝と夜はとても冷え込むようになった
野山の木々は赤や黄色など、賑やかに染まっていく

そんな中、私は睦月さんと一緒に温泉へとやって来た ―――

事の始まりは、睦月さんのお母様が商店街での福引きで二人ペアの旅行券を引き当てたところにある。
ちょうど、私が初めて睦月さんのお宅へお泊りに行った翌日の話だ。
しかし、せっかく当てた商品だというのに二人しか行けない上に、睦月さんのご両親は共働きのため夫婦で行くには時間の都合がつかないらしい。
そこで、その券は睦月さんのもとへやってきたのだ。
今週は土・日・月の三連休があり、私達はその休日を利用して二泊三日の旅行へ行くことに決めた
先週に引き続き、また睦月さんと二人きりで過ごせることになり、私はとても心が弾んでいた。

そして、今日はその一日目。

私達は夕食を食べ終え、座布団に座りお茶をすすっていた。

「お料理、美味しかったね」
「そうですね。竹の子ご飯を食べたのは久しぶりです」

他にも、あのお刺身は明日も食べられるのかな、などと二人で先ほどの秋の味覚について感想を言い合った。
それから少しして、睦月さんが言う。

「じゃあ、温泉に行こうか」
「はい」


 うわ…
脱衣場で、するりと浴衣を脱いだ彼女に思わず見とれてしまった。
白くて綺麗な肌だな…
あ、やっぱり髪を下ろしているのも素敵ですね。

「あの…数絵?」
「はっはい…」
「そんなに見られたら恥ずかしいよ…」
「あ…ごめんなさいっ」

睦月さんに言われてハッと我に返り、私も急いで浴衣を脱いで準備をする

時間も少し遅かったこともあり、浴場には他の旅行客が数人いる程度だった。


「露天風呂は行く?ちょっと寒そうだけど…」
「そうですね。せっかくなので行きましょうか」

露天風呂へと繋がる扉を開くと、スーッと冷たい風が肌をかすめた。

「うわっ…冷たい…」
「寒いね…早く入ろう」

ちゃぷん…
肩までしっかりとお湯に浸かる。
露天風呂にも最初は何人か人が居たけれど、次第に一人、また一人と上がって行き、やがて私達二人だけとなった。

「はぁー…気持ち良いね」
「はい。とっても…」

お湯の中で腕をさすると、すべすべとした肌触りになっていて心地よかった。

ふと睦月さんの横顔を見ると、やっぱりこの人は美人だなと感心してしまう。
髪を下ろした姿は、いつものポニーテールとはまた違った魅力がある。
少し視線を落とすと、首筋や鎖骨、胸…などに目が行ってしまい、なんだかドキドキしてしまう。

睦月さん、意外と胸が大きいんだな…

「ん…数絵、どうかしたの?顔少し赤いけど、のぼせた?」
「あっ…!いや、違うんです…その、睦月さんって意外と胸が大きいなと思って…」
「えっそうかな…?」
「はい…大きい方だと思いますよ」
「数絵もなかなか大きいと思うけどね」
「そっ…そうでしょうか」

うん、と隣で彼女がうなずく。
同年代の女性の裸はあまり見たことが無かったので、自分の胸が大きい方だなんて…今まで知らなかったです。

「ねえ、もしかして私の裸見て顔が赤くなってたの?」
「え…っ」

少し意地悪な顔をした彼女が言う。

「そっ、そうかもしれないです。なんだか、睦月さんの体を見てると胸がドキドキしてきて…」

「そ、そうなんだっ…」

お互い、顔が赤くなり黙ってしまった。

「そろそろ、上がろっか」
「そうですね…」

部屋に戻ると時間は十時を少し過ぎていた。
旅の疲れもあり、自然にふわぁーっとあくびが出る。
「眠い?」
「ええ。少し…」
「じゃあ、今日はもう寝よっか」
「はい」

部屋の灯りを消して、二つ並べられた布団に潜り込む。
温泉から上がった後だというのに、布団の中はひんやりと冷たくて、体が少し震えてしまった。

寒い…

私が布団の中で足を曲げたり、延ばしたりと、さわさわ音を立てたものだから、睦月さんが心配そうに話し掛けてきた。

「数絵、どうかしたの?」
「いや…その、なんだか寒くて…」
「なら、こっち来る?」
「え…?」
「寝冷えしたら大変でしょ?」

横を向くと、彼女は優しく微笑んでいた。

「じゃあ…失礼します」

睦月さんの布団に潜り込む。
…暖かい。

「睦月さん、暖かいですね…」
「そう?なら良かった」

腰に手を回されて、優しく抱き締められる。
私はなんだか、とても心地がよくなり無意識のうちに、睦月さんの胸元に顔をすりすりと埋めてしまった。

「んあっ…」
「え…っ?」

突然、普段の彼女の声色からは考えられないような色っぽい声が耳に入り、驚いて顔を上げる


「…ごめん、ちょっとくすぐったかったから…」
「あっごめんなさい…」

初めて聞く睦月さんの声に、ドキドキしてしまう。

「ねえ、数絵…」
「はい…」
「私のこと、好き?」
「当たり前じゃないですかっ…」
「ありがとう。」

あ…でも、今のじゃ少し言葉が足りなかったかな…

私は勇気を出して自分の気持ちを伝えることにした。
すぅっと息を吸い込む。

「睦月さん!私は…」
「うん?」
「心の底からあなたのことが大好きですよ…」

ああ…言ってしまった。
やはり恥ずかしくなってしまい、睦月さんの浴衣をぎゅっと握り締めた。

「数絵…」
「はいっ…」
「私も、大好きだよ」

腰から腕が解かれて、私の頬に両手が添えられた。

そして、唇を重ねる。

すごく、嬉しい。

でも、私はなぜか一回だけでは物足りなかった。
少し、身を乗り出してこんどは私からキスをしてみる。
その柔らかい感触が、とても気持ち良いい。

「数絵からしてくれるなんて、珍しいね…」
「なんだか、そんな気分なんです…」

さすがにもう、慣れたのでしょうか。
不思議と、今日はいつものような過剰な緊張はしていなかった。
そうだ、今なら…

「あの…睦月さんっ」
「ん、なに?」
「今なら、私…できる気がしますっ…」
「え…できるって…良いの?」
「はい…心の準備ができたような気がするんです」

先週お泊りに行った時は、まだ心の準備も何も出来ていなくて、結局そうゆうことは出来なかった。
でも今なら大丈夫な気がします。

「うん。分かった…ありがとう」

もう一度、唇を重ねた。
それから、睦月さんの手が浴衣の中に潜り込んできて、優しく私の胸を触る。

「ふあ…っ」


初めて直に胸を触られて、最初はなんだか不思議な気持ちになった。

その後は、ちぅーっと音を立てられながら首筋を舐められる。

「ひゃうっ…」
「ふぁっ…んんっ」

「首、弱いみたいだね」


自分でこんな声が出せるなんて…と、少し驚きつつも更に首筋を刺激され続けて、次第に下半身が熱くなってきたのが分かった。

じわりと、頭や背中に汗が浮かんでくる。

やがて、睦月さんの手が私の下腹部へとのびてきた。
「んぁっ…!」

秘部を、そうっと指でなぞられて体がびくっと震える。

「しーっ。あんまり大きい声出したら隣に聞こえちゃうよ?」
「そっ…んなこと言われても……んぁっ」
「くすっ。頑張って抑えてね」

睦月さんに意地悪なことを言われても、何故か私の下腹部は更に熱を帯びてしまう。

指が私の秘部へとゆっくり侵入してきて、内側を掻き回すように攻められた。

「んああっ…やっ…」
「ねえ…どんな気持ち?」
「えっ…どんなって…?んん…っはぁ」
「ちゃんと答えて…?」
「なんか…体が熱くてっ…ふわふわします…き、気持ち良いです…っ」
「くすっ…。よく言えました」

えらいえらい、と頭を撫でられた後、指の動きが少し激しくなり、くちゅくちゅと、音が響く。
これが、自分のそこから出ている音なのかと思うとより一層恥ずかしさが増してきた。

「ふぁあ…っ…んはっ…んんぅ…」

あ…もう駄目です…
これ以上指を動かされたら…
目をぎゅっと瞑り、自然とぐっと下腹部に力が入る。

「んんっ…!」

最後の声をあげた瞬間、私は体からすっと今まで入っていた力が抜け落ち、ガクッとうなだれた。
気付いたら、はぁはぁ…と息が荒くなっていて心臓がドクドクと脈打っている。
「数絵…」

睦月さんの体が、私に覆い被るように重なる。
彼女も、同じように息を荒げていた。

「むつきさ…ん。大好き」
「私も…」


さっきも、同じ言葉を交わしたというのに。
なんだか、心がくすぐったい。

「私、睦月さんとお付き合いが出来て本当に良かったです」

睦月さんの肩を抱きながら、小さく呟いた。

「ん…ありがとう。」
「そう言えば、前みたいに恥ずかしがって騒いだりしなくなったね?」

それは…
あなたがずっと待っててくれたから。

「睦月さんのおかげですよ…」
「そっか。嬉しいな…」
「ええ…」
「これからも大切にするからね」
「…はい。お願いします」

その言葉を聞いて、また頬が熱くなる。

「おいで」
「はい。…あっ痛っ」

睦月さんに手を引かれて、起き上がろうとしたその時、下腹部に軽く痛みが走った。

「んっ?どうかしたの?」
「……ここの中がチクチク痛いんです」
「あらら…大変だ」
「もう…あなたのせいですよ?」
「ははっ…ごめんなさい」
「もう…」

少し怒りたくなったけれど、彼女の無邪気な笑顔を見たらそんな気持ちはどこかへいってしまった。

「じゃ、今日はもうこのまま寝よっか」
「ええ、そうですね」

浴衣を着直して、再び二人で布団を被る。
手を繋いだまま。

「おやすみ」
「おやすみなさい」

最後にもう一度だけ、キスをしてから私達は目を閉じた。


睦月さん 
あなたに出会えて、本当に良かった。
私は今、幸せでいっぱいです ――

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最終更新:2009年11月03日 14:06