452 :名無しさん@秘密の花園:2009/12/17(木) 18:16:19 ID:wFv+ob6k

 ◆◆照◆

「……ん……………」
淡の唇は頬っぺと同じくらい、ぷにぷにと柔らかくてとても気持ちが良い。
「………………ふっ…」
あれ?そう言えば今日ここに淡を呼び出した本当の目的ってなんだったっけ。
頬っぺを触りたかった――って言ったのはもちろん、即席で思いついた冗談だけど。
「…………んぅ……」
えーと、確か先週のミーティングで決まったことについて相談するためだったような…?
あーダメだ。ど忘れしてしまった。
「………んふぅっ!」
「っは」
淡が息苦しそうな声を上げたので、仕方なく口を離す。
「せ、せんぱい…?今のって…キ、キスですよねっ…?」
「うん、そうだけど。っていうか――」
――キス以外の何でも無いじゃん。とも言いたくなったけど、やっぱり止めた。
おそらく、今のがファーストキスだったんだろう。
「あ、あの…先輩」
「ん?なに」
「私、すごく嬉しいですっ…。ずっと、ずっと…先輩のことが好きだったから…」
「そっか。私も嬉しいよ」
「でも…先輩には弘世先輩が居るのに、こんなことしても大丈夫なんですかっ?」
「ああ、菫か。…まぁ、なんとかなるでしょ。」
そんなことより、私はもっと淡と楽しみたい。もっと、淡に触れてみたい。
「で、でもぉ…」
「私が良いって言ってるんだから、良いの。ほら、おいで」
「え、おいでって…?どこかに行くんですか?」
「……ベッド」
「ぇええ!?ベッドって…ええ!?」
「…あっ。ドアの鍵閉めてくるからやっぱり先に行ってて。」
「はい…」

 ◆◆淡◆

夢みたい。まさか、こんなことになるなんて思ってもみなかった。
私の初めてのキスの相手が宮永先輩だなんて…!!はぁ…幸せ。
さっきから心臓がドックンドックンうるさいよぉ。

……でも、この状況はなんだろう?

「ほら、脱いで……」
今、私は宮永先輩と二人でベッドの上に座っている。
そして制服に手をかけられた。これって…やっぱり、あれなのかなぁ。

「あのぅ…先輩、一応確認なんですけど…私達は今から何をするんですか…?」
「ここまで来て何を今さら。セッ…――」
「うわぁああ!!やっぱり言わなくて良いですっ!!」
どうしよう。色々と展開が早すぎて、ついていけないです。
恥ずかしい…。頭がパンクしそう。あ、また足が震えてきちゃった…。
先輩のことは大好きだけど、いきなりこんなことって、アリなのかなぁ?
だって、まだ心の準備も何も出来てないし…。



「……なに、怖いの?」
「怖いって言うか、頭の中が真っ白でそれどころじゃないっていうか…」
「…変なの。」
「うぅ…ごめんなさい」
はぁ。私は何を言ってるんだろう。バカバカ!私の意気地なしっ。
これは先輩と、もっともっと仲良くれる大きなチャンスかもしれないのに。
「…………………」
ダメだ。先輩のほうを見ることができない…。どうしても顔が下を向いてしまう。
そして、気が付いたらスカートの裾をぎゅっと握りしめていた。

「やっぱり止めようか」
「えっ」
怒っちゃったのかな…?そう思い、慌てて顔を上げて先輩の表情を確認する。
けれどそんな様子は全然なくて、むしろ笑っているように見えた。
「先輩、怒ってないんですか…?」
「なんで?別に、これくらいのことじゃ怒らないよ」
「そうですか…良かったぁ。…わわっ――!?」
急に、ふわっと抱きしめられた。先輩って、すごく暖かいんだなぁ。
胸が高鳴る。ええと…こういう時は腰に手を回しちゃっても良いのかな…?
いいや、やっちゃえっ。ぎゅううー…。 あ、先輩ってけっこう細いかも。

「……淡はさ、姉妹とか居るの?」
「きょうだいですか…?」
「うん」
どうして今そんなことを聞いてくるんだろ…?と、不思議に思いつつもそれに答える。
「いないです…。私、一人っ子なんです」
「そっか。」
それからしばらくして、私を抱きしめている腕が解かれた。
じっと先輩に見つめられる。…何を考えてるのかな?
「良いこと思いついた。」
「え、良いこと…?」
「淡は今日から、私のことをお姉さまと呼びなさい」
えっ?…えええ!?
これは何かの冗談なのかなぁ?でも、そう言う先輩の目は真剣そのものだ。
「もちろん、私と二人きりの時だけで良いからさ」
うーん…。何でいきなりそんなことを…?でも、二人きりの時だけっていう事は、
これから先輩と一緒にいられる時間が増えるってことなのかな?
「ねっ?お願い……」
「んっ――」
またキスをされた。ついでに頬っぺも、両手でふにふにと触られている。
あうう…気持ち良い。とろけそうですぅ…。

「……駄目かな?」
「いいえっ駄目だなんてとんでもないです……お、お姉さまっ」
「……うん、ありがとう。淡」

もう、理由なんてなんでも良い。
今日から先輩は私のお姉さまですっ!



◆◆照◆

自分でも、どうして淡にあんなことを言ったのかよく分からない。
なんでなのかな。無意識のうちに淡の姿を咲に重ね合わせてたんだろうか。
…まあ何でも良いや。

「……あっ、もう7時半か。淡、そろそろ帰ろう」
「はいっ。せんぱ……お姉さま!」
お姉さまと呼ばれて、心臓がドキっとする。
うん。この感じだ。なんていうか…すごく心地良い。
「せっかくだから、もう一回くらいしとくか」
「えっ?何をですか…ふぁっ――」

こうして本日3度目のキスを終えてから、私達は休憩室を出た。



「あっそうだった」

淡と二人で帰宅中、ふと先週のミーティングで決まったことを思い出す。

「どうしたんですか?せんぱ…お、お姉さまっ」
「実はさ、先週のミーティングで、新入部員との親睦会も兼ねて映画の観賞会を
 することが決まったんだけど、何の映画が良いと思う?」
私は映画などをあまり見たことがないから、このての話には疎い。
それに、一年生がどういったものを見て楽しんでくれるのかなんて、全く見当もつかない。

「映画ですか……。うーん…バイオ○ザードとかどうですか?」
「バイオ…?知らないや。どうゆうジャンルなの?」
正直言って、ホラーだけは勘弁してほしいな。
「ええと…アクション系です。面白いですよっ♪」
「アクションか…分かった。じゃあそれにしようかな。ありがとう。顧問に伝えとくね」
「はいっ楽しみです。いつ観賞会をするんですか?」
「来週の木曜だったかな…」
確か、木曜とかそのへんだった気がするんだけど…。どうだったかな。
明日にでも菫に聞いてみよう。



 ◆◆淡◆

「ふ~んふ~ん ふふ~ん♪」

家に着き、何をするわけでもなくベッドの上で時間を過ごした。
はぁ…今日は色々なことがあったなぁ。

5時に部活が終わった後、宮永せんぱ…じゃなくてお姉さまに
――今日このあと何か用事ある?
って聞かれて、特に何もないと答えたら
――それじゃ後で連絡するから、それまでどこかで暇つぶししてて。
と言われた。その後は、校内にあるカフェテリアでミルクティーを飲みながら
ケータイを見つめ、今か今かと連絡がくるのを待っていた。

そして6時半になって、ようやくお姉さまからメールが…!
急いでバックを手にとり待ち合わせ場所の休憩室へと向かった。
そう言えば、途中で弘世先輩とすれ違ったんだっけ。
あれっ…部活が終わったのは5時なのに、弘世先輩はあんな時間まで何をしてたのかな?
うーん。まぁ、なんでもいっか♪

ええと、それからお姉さまに頬っぺで遊ばれて、それから…それから…
キスをされて…。

………初めてのキス!


「きゃぁあっ♪恥ずかしいっ!」

思い出しただけで体が熱くなる。心臓がドキドキする。
私、こんなに幸せで良いのかなぁ。

そう言えば来週、映画の観賞会があるって言ってたな。
映画のことについて相談されて、思わずバイ○ハザードと答えてしまった。
あれってゾンビがいっぱい出てきて、ちょっとだけ怖いんだよね…。
だから、怖がるフリをしてお姉さまに抱きついちゃったりしてっ。うふふ♪
あっ、でもそうするにはお姉さまの隣の席を死守しなくちゃいけないなぁ…。

「ふふ~ん♪頑張るぞぉ~っ」

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最終更新:2009年12月20日 16:02