749 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2010/04/13(火) 21:25:43 ID:G374dnHq [1/3]
むっきーを書きたかった。
鶴賀をあんまりにも書かないから色々間違ってたらごめんなさい。

750 名前:同級生[sage] 投稿日:2010/04/13(火) 21:26:49 ID:G374dnHq

私は昔から日陰で本を読むのが好きだった。一人でいるのが嫌いではなかったし、心が落ち着く。
それは今も変わらない。
風が心地いい。そう思いながら本を開く。部長なのだから、もっと精進せねば。

「ちょっ…、モモ!」

しかし、そんな私の気持ちとは裏腹に、今日この場所はまずかったようだ。

「……ここでもだめっすか?」

別に耳をすませているわけではない。勝手に聞こえてしまうのだ。
そして私はそれを全て無視できる程、大人ではないのだ…。

「…せ、先輩!!」
「モモ……!」

しかし、私とて生け垣の向こうの桃色空間にただ興味本位で耳をそばだててはいられない。
 なぜならば、あの二人は所謂……バカップルだ。
ふぅ、と溜息をつき、本を閉じる。向こうから聞き慣れた声の聞き慣れない言葉が聞こえるが私は平常心を保ち、その場をあとにする。

「睦月さん。こんなところにいたんですね。」
現れたのは妹尾佳織だ。彼女は部活の唯一の同級生だが、知り合ったのは部室が最初だった。

「ここはなんだか落ち着きますよね。」

彼女はそう言って微笑む。ここが落ち着くことは私も同じなのに、口下手な私はうまく言葉を返せない。

「うむ……。」
「あっ!」

彼女は私の持つ本を指差し、声を出した。

「…私も誘ってくださいよー」

私が読もうとしていたのは麻雀の本だ。
蒲原先輩、加治木先輩が引退し、新しく私が部長になったわけだが……、私には自信も実力もない。東横桃子は消えなくても私より強い。妹尾佳織は私より初心者だが、夏の団体戦では役満をあがったりと大活躍。

「ビギナーズラックなんてもうないですって。私も普通に麻雀を楽しみたいですよ。」




私は不安だった。私は部長の器なのかと、私はもっと……努力しなければ、皆に迷惑をかけてしまうと。

「睦月さん!」

黙っている私を彼女が呼んだ。彼女は笑っていなかった。真剣な瞳に私が映る。

「智美ちゃんに連れて来られて入った麻雀部ですけど、この前の大会で私、もっとちゃんと麻雀をやりたいって思ったんです!まだまだ初心者で力不足ですけど、またあの舞台に登りたいんです!せっかくの同級生なんですし、だから……」

「一緒に頑張りましょう?」

彼女は微笑む。柔らかい優しい笑顔。しかし、感じるのはさっきと違う。
ここは心が落ち着くところ。ずっと今までそうだった。
しかし、今、私の心がざわついたのは何故だろう?
この胸の高鳴りは、一体なんなのだろう…?

私にはわからない。わからない。だから私はこの言葉を返す。

「うむ。」
「佳織ーー!!」

私の言葉を掻き消すように声が響く。蒲原先輩だ。
彼女は遠くから叫ぶ先輩に手を振りながら、向かって行った。
見送ったその背中に切なくなったのはなぜなんだろう?




おわり。

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最終更新:2010年05月26日 04:12