20-117「佐々木さんのビューティフルドリーマーの巻」

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佐々木「ねえキョン。涼宮さんは、「まだ夏休みに(キミと)していないことがある」      と思って、昨年の夏を幾度も繰り返したのだったね」 キョン「幾度もってレベルじゃねえけどな」 佐々木「でも、それが終われば、涼宮さんは、また通常の2学期が始まることを      望んだというか、許容したわけだね。      ある意味、彼女は無欲な人かもしれないね」 キョン「は? 佐々木、いくらなんでもそれはないぞ」 佐々木「いや、あるいは単純に、夏にそれほど執着しないだけなのかな。      僕と違って、2学期という時間も共にいられるし、文化祭等の      イベントも多いしね」 キョン「確かにあいつはイベント好きだからな。2学期はそこらへんてんこもりだったぜ」 佐々木「僕はね、涼宮さんと違って、君と共にいられる長期休暇の時間そのものを、      とても貴重に思っているんだ。「何かをやり残したから」ではなく、      ただただ、1日の多くを君と共に居られる、それだけで幸せで、幸せで、      もしかなうものならば、永遠に繰り返すことも厭わないだろうね。      ただ、これは能力を自覚していない涼宮さんと、自覚している僕の差なのだろうけれど、      僕は自他の精神を正常に保つためとはいえ、君と共にあった日を、一日たりとも忘却など      したくないんだ。      だから、非常に残念だけれど、僕は「エンドレスエイト」は発生させられない。      せいぜい、夢の中でこうして愚痴をこぼして、精神の平衡を保つぐらいさ。      夢ならば、目覚めれば忘れ去られても仕方ない、と納得できるしね」 キョン「じゃあこの会話も、目覚めたら忘れるって寸法か」 佐々木「そうだよ。これまでもそうだったじゃないか。といっても、君には覚えのないことなのだけれどね。      くっくっ」 キョン「なあ、佐々木、また今年の文化祭も俺たち色々やるから、お前も見に来いよ。     俺もお前んとこの文化祭見たいし」 佐々木「ああ、そうだね、キョン。うん、ありがとう」 夏休みの終わりの夜、宿題に疲れ果てたせいだろうか。 夏の終わりの浜辺で、佐々木と2人会話する夢を見た。 寄せては返す波の音が規則正しく響くのがやけに印象的で、そのせいか、何をしゃべったのかは全く覚えていない。 ただ、会話の最後に佐々木が見せた、寂しそうな、それでいてなにかふっきれたような優しい笑顔は覚えている。 あいつ、あんな風に笑ってたっけ。 そんなことを、何かの拍子に長門に話すと、何故かあいつがやけに反応を示し、 最後には、催眠術の応用で夢の会話内容を探ることになってしまった。もちろんハルヒにはナイショだ。 いまどき五円玉に紐を結びつけて催眠術はないだろうとおもったが、長門の穏やかな声を聞くうちに、 俺はあきれるくらいカンタンに意識を失った。 目覚めて、夢の内容が分かったかと聞くと、何故か長門は神妙な表情で黙り込み、 「……あなたは、運が良かった。最後にあなたがかけた言葉がなければ、  今度こそ永久に終わらないループに陥っていた可能性が高い。  あるいは、彼女の自制心の強さに感謝すべき。私は、エラーの蓄積により実行してしまったから」 そんな、わけのわからないことを言った。 俺が素直にその感想を述べると、長門は、ほんの少しだけ表情を動かした。 普通の奴なら、無表情のままとしか認識できないだろうが、それは俺にとって、 少し寂しげで、それでいて何かをふっきったような、そんな笑顔のきざしに見えた。 共通点は全くないのに、一瞬佐々木の顔がよぎる。 「なあ長門、今度、佐々木をウチの文化祭に誘ってみようと思うんだ。  その代わりといったらなんだが、アイツの所の文化祭に押しかけてみないか。  俺と一緒に」 何故か、そんな言葉が口をついた。 長門が見せた表情は、今度も、佐々木とよく似ていた。                                      おしまい
佐々木「ねえキョン。涼宮さんは、「まだ夏休みに(キミと)していないことがある」      と思って、昨年の夏を幾度も繰り返したのだったね」 キョン「幾度もってレベルじゃねえけどな」 佐々木「でも、それが終われば、涼宮さんは、また通常の2学期が始まることを      望んだというか、許容したわけだね。      ある意味、彼女は無欲な人かもしれないね」 キョン「は? 佐々木、いくらなんでもそれはないぞ」 佐々木「いや、あるいは単純に、夏にそれほど執着しないだけなのかな。      僕と違って、2学期という時間も共にいられるし、文化祭等の      イベントも多いしね」 キョン「確かにあいつはイベント好きだからな。2学期はそこらへんてんこもりだったぜ」 佐々木「僕はね、涼宮さんと違って、君と共にいられる長期休暇の時間そのものを、      とても貴重に思っているんだ。「何かをやり残したから」ではなく、      ただただ、1日の多くを君と共に居られる、それだけで幸せで、幸せで、      もしかなうものならば、永遠に繰り返すことも厭わないだろうね。      ただ、これは能力を自覚していない涼宮さんと、自覚している僕の差なのだろうけれど、      僕は自他の精神を正常に保つためとはいえ、君と共にあった日を、一日たりとも忘却など      したくないんだ。      だから、非常に残念だけれど、僕は「エンドレスエイト」は発生させられない。      せいぜい、夢の中でこうして愚痴をこぼして、精神の平衡を保つぐらいさ。      夢ならば、目覚めれば忘れ去られても仕方ない、と納得できるしね」 キョン「じゃあこの会話も、目覚めたら忘れるって寸法か」 佐々木「そうだよ。これまでもそうだったじゃないか。といっても、君には覚えのないことなのだけれどね。      くっくっ」 キョン「なあ、佐々木、また今年の文化祭も俺たち色々やるから、お前も見に来いよ。     俺もお前んとこの文化祭見たいし」 佐々木「ああ、そうだね、キョン。うん、ありがとう」 夏休みの終わりの夜、宿題に疲れ果てたせいだろうか。 夏の終わりの浜辺で、佐々木と2人会話する夢を見た。 寄せては返す波の音が規則正しく響くのがやけに印象的で、そのせいか、何をしゃべったのかは全く覚えていない。 ただ、会話の最後に佐々木が見せた、寂しそうな、それでいてなにかふっきれたような優しい笑顔は覚えている。 あいつ、あんな風に笑ってたっけ。 そんなことを、何かの拍子に長門に話すと、何故かあいつがやけに反応を示し、 最後には、催眠術の応用で夢の会話内容を探ることになってしまった。もちろんハルヒにはナイショだ。 いまどき五円玉に紐を結びつけて催眠術はないだろうとおもったが、長門の穏やかな声を聞くうちに、 俺はあきれるくらいカンタンに意識を失った。 目覚めて、夢の内容が分かったかと聞くと、何故か長門は神妙な表情で黙り込み、 「……あなたは、運が良かった。最後にあなたがかけた言葉がなければ、  今度こそ永久に終わらないループに陥っていた可能性が高い。  あるいは、彼女の自制心の強さに感謝すべき。私は、エラーの蓄積により実行してしまったから」 そんな、わけのわからないことを言った。 俺が素直にその感想を述べると、長門は、ほんの少しだけ表情を動かした。 普通の奴なら、無表情のままとしか認識できないだろうが、それは俺にとって、 少し寂しげで、それでいて何かをふっきったような、そんな笑顔のきざしに見えた。 共通点は全くないのに、一瞬佐々木の顔がよぎる。 「なあ長門、今度、佐々木をウチの文化祭に誘ってみようと思うんだ。  その代わりといったらなんだが、アイツの所の文化祭に押しかけてみないか。  俺と一緒に」 何故か、そんな言葉が口をついた。 長門が見せた表情は、今度も、佐々木とよく似ていた。                                      おしまい

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