「つまり、昨日の俺の『年下に興味はない。俺はおねえさん萌えだ』発言で、ハルヒは自分を年上のおねえさんにしたわけか。」「そのとおりです。そして無意識に障害を減らそうと……」「佐々木を小さい子供にした………。」無茶苦茶だ。意味が分からん。「涼宮さんがあなたに好意を抱いているのはご存じでしょう。」………まぁな。流石にそれは。だが佐々木は関係ないんじゃないか?ハルヒの邪魔にはならんだろう。「あなたは本当に………まぁいいでしょう。ところでどうでしたか涼宮さんの授業は。」「……面白かったんじゃないか?」佐々木のことで頭がいっぱいで聞いてなかったとは言えねぇ……「それでどうすれば元に戻るんだ?」まぁ建て前で聞いてやろう。どうせあとで長門に聞きに行くが。古泉は眩しい笑顔で答えた。「長門さんに聞いてみては如何でしょうか?」お前まで長門まかせか。
《しゅくしょうしゃしゃきⅢ》
その日は結局午後の授業も頭に入らず、気付いたら放課後になっていた。早めに行って長門に事情を聞くか。
「おーっす。長門だけか。」「………」無言でミリ単位で首を振った。向こうから切り出して来るのを期待したんだが、まぁいいか。「長門、ハルヒと佐々「今回は涼宮ハルヒを元に戻すのは容易のはず。」……狙って被せたのか?「どうすればいいんだ?キスしろとか言われても無理だぞ? 」「問題ない。恐らく今日中に涼宮ハルヒの方からアプローチがある。それを上手く断れば明日には元に戻る。」そうか。それなら楽だ。「ただし幼児化を直ぐに戻すのは容易ではない。」「ひゃ?」思わず声が裏返ってしまった。なんだって?「年上になる必要性を感じなくなれば、涼宮ハルヒは自身を元に戻す。でもその場合ライバルも同条件で増えることになる。よって意図的に最大の障害である彼女を戻すことはないものと考えられる。」 なんてこった。じゃあハルヒを戻しても連動して佐々木は戻らないのか。「そう。ただ安心して欲しい。そのうち治る。時間が解決してくれる。」そのうちってどのくらいだ?「三日?」疑問形かよ……まぁいいか。それまで佐々木に我慢してもらえば。
「ことはそんなに簡単ではない。今回の改変は彼女単体にのみ行われている。世界を改変した訳ではない。よって周りの認識では現在も尚彼女は高校二年生のまま。」「つまり………小さいのが当然だと思われないってことか。」「そう。事情を知らない人物に見つかると厄介。」まいったな放置も出来ないじゃないか。しょうがない。長門。佐々木(大)がいなくても怪しまれないように情報操作頼めるか?ついでに俺の年上萌え発言も……「前者は了解した。後者は断る。」…………わかったもういい……「涼宮ハルヒがくる。」
その後顧問の涼宮ハルヒ先生が俺たちに今日の団活は休みであること、古泉と朝比奈さんにはもう伝えたこと、俺だけ残ることを言い放ち、長門は帰った。長門の言う通り直後にハルヒに教師と生徒の禁断の恋を強いられた俺は「先生が学生ならよかった」と断り、事なきを得た。これでハルヒは明日には戻るのか?しかしあのロングポニーテールはよかったな。写真撮っておけばよかった。
「おーい。佐々木。俺だ。」鍵は持っているが一応チャイムを鳴らす。…………反応がないな…。ドアノブに手を掛けてみると………「開いてる……?」
胸騒ぎがした。まさか。俺は鍵を締めたはずだ。佐々木の身が危ない!?
「邪魔するぜ佐々木…」ドアを慎重に開け、中に入る。どこにいる?部屋か?すると洗面所の方から何か物音がした……待ってろよ今助けに行くからな!そして俺はシャワーの音がする風呂場のドアを勢いよく開き…………
「あ、キョンさんお帰りなさい。早かったですね。」橘が風呂場を掃除していた。「何故お前がここにいる何故風呂掃除している佐々木を何処へやった今すぐ答えろ!!」「ちょ…胸倉掴まないで下さい苦しい………」いいから吐け!さもなくばお前のツインを毟るぞ!「イヤー(ry こ、ここにいるのは佐々木さんが心配で来て、風呂掃除は佐々木軍曹に命じられてやっていて、佐々木さんは恐らくキッチンで………ゲフッ」「そうか悪かったな。」「グスッ………うぅ……あんまりですぅ……」
何はともあれ佐々木は無事なようだ。去り際に見た橘の背中に小さな足跡が見えたが気のせいだろう。
「ただいま佐々木ー。お、今日の佐々木家の夕飯は鍋か。」テーブルには白雪姫の魔女もビックリな巨大鍋が置いてあった。あいつ、これを一人で作ったのか?大したもんだ。しかしデカいな。橘と佐々木二人で喰えるのか?
ところで佐々木がいない。何処だ?テレビも点けっ放しで……
ふとソファーに目を向けるとそこにはエプロンを着けた天使がすやすやと寝息をたてていた。
全く……風邪引くぞ。「ゃだぁ……まだねむぃ……」やれやれ。しょうがないな。眠っている佐々木を抱き抱えて部屋まで連れて行く。…………ダメだ殺られる……この無防備な顔は危険すぎる……いかん、俺は年上萌えではないがロリキョンでもない………。それにこんな愛らしい佐々木を泣かせる訳にはいかないからな。頑張れ理性!
「ほら、部屋につきましたよお姫様。」優しく壊れないように佐々木をベッドに寝かし布団をかける。さてさっさと部屋を出よう。この部屋の空気は俺の理性を粉々に砕きかねん。
「きょん…………」
ん?なんだ佐々木?
「…………すきぃ…」
……………HAHAHA…寝言だよな。これはアレだな。偶蹄目鹿科のキョン(別名ヨツメジカ)のことだよな。もしくはスキーだ。そうだそうに違いない。さぁ下に行って橘の手伝いでもするか……ヤバいな俺顔真っ赤だなきっと。
「僕は起きてるよ…キョンのばか……」
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