41-174「大人向け宿泊施設の前」

俺と佐々木は珍しく日曜日に連れ立って遠出を実施している。
何でも新しいパソコンを購入するとかで援軍として俺が駆り出された訳だ。
もちろん嫌な訳がない。近隣府県最大の家電販売店がある私鉄の終点駅間まで
足を運ぶその探求心に感心さえする。

「あれ、キョン。あの電気屋の大きなビル見えないね。場所はここでいいのかい?」
「すまん。佐々木。俺も分からんのだ」
「くっくっく。いやごめん。ここら辺の地理はキョンも僕も同じ程度だとは予想しておくべきだったのかな」
苦笑しながらも嫌そうな顔はしてない。受験のストレスがこんな些細なトラブルで解消されるのも悪くはない。

俺たちは何とか商店街をむやみやたらに突き進んだが、切りがない。もちろん見当違いは明らかだ。
さてふと回りを見ると若干いかがわしい店が多い事に気づく。それは佐々木も同じらしく。

「ここがそうだね。所謂男性諸子が夜中に慰めを求めてやってくる所だ」
表現をマイルドにしているが、俺には答えにくい。
「キョンも将来ここに来たりするのかな?」
「あ?馬鹿。来ないよ」
「何で来ないと言い切れるのかな。僕には興味があるよ。くっくっく」
「そりゃあ。来たら怒られるだろう?」
「ふうん?それは誰だい?」
何て事を聞きやがる!
「例えば・・・お前だったり・・・」
「!!!!!!!!」
冗談を交えた返しだったが、口にした言葉の意味は直ぐに理解した。
佐々木は顔を真っ赤にして固まっている。そんな時、後ろから知らないおばさんの声がした。


「おい。そこのカップルさんや。入るなら早く入りな。目立つよ」
通称ラブホテルの前だった。

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最終更新:2009年03月14日 23:30
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