25-185「鈍感な君にナイフさ♪」

「ある男性が複数の女性から好意を向けられているとして――
 その状況にその男性が全く気付かないというのはありえるのだろうか。」
谷口が死ぬほど喜びそうな状況だな。
「そうだな、普通は気付くはずだ。
 もしくは気付かないフリしてその状況を楽しんでいる女たらしだな。」
「そうかい。では、キョンはそういう状況になったら気付くという事かな。
 それとも気付かないフリして楽しんでいたりするのかい?」
「ああ、俺は気付くだろうな。
 でも、俺みたいな普通で頭も良くない奴がそんな状況に絶対なったりはしないけどな。」
古泉みたいなイケメンだったらそういう状況になっているかもな。ああ忌々しい――
ん、なんだか佐々木が難しい顔をしているな。
「でも、何でそんな事聞くんだ?俺みたいなモテない奴に聞いても仕方がないだろう。
 自慢じゃないが俺は1度も告白された事もないし付き合ったこともないぜ。」
「僕の知人にそういう状況になっている人が居てね・・・。
 橘さん達とちょっと議論してみたのさ。橘さんと藤原は気付いてる派で、僕は気付いてない派だったよ。
 九曜さんはちょっとよく分らなかったけどね。でもキョンに聞いてみて僕の意見が正しいと自信を持ったよ。」
「そんな鈍感な奴が居るのか。信じられないな。1度会って小一時間問い詰めてやりたい。
 佐々木なら回りくどくて理屈っぽい言葉遣いを改めればそういう状況になるんじゃないか?」
「キョンは僕に普通の女の子みたいな言葉遣いで話して欲しいと思うのかい?」
「いや、俺としては今のままでも構わないが。今の佐々木の言葉遣いに慣れているからな。
 あくまでも一般論だ。」


こんな話を佐々木としたんだが、国木田はどう思う?

「キョン、ナイフを持った女性に襲われないようにね・・・」
ん、また俺は朝倉みたいな奴に襲われるのか?何故、国木田がこんな事を言うんだ・・・?
 
数日後
「キョン、この前の、ある男性が複数の女性から好意を向けられている話なんだが」
「おう、佐々木、またあの話か」
「鈍感説とジゴロ説があったけど、アンケートの結果、ほとんどの人がジゴロ説だったよ。くつくつ」
「当然だな」
「鈍感説は僕と国木田君、古泉君、朝倉さん、君の御母堂様の5人だけ。
どっちか判らないというのが22人で、他の400人程は全てジゴロ説だったよ。
僕達は地動説を唱えるガリレオの気分だよ。『Fool on the hill』の歌の通りに」
確かガリレオの方が正しかったのでは?という突っ込みはしないことにした。

「そんなに差がついたか、というかすごい数に聞いたんだな」
「古泉君や橘さんのおかげだよ。ところで、君はこの結果をどう思うかな?」
「どうも思わん。しいて言えば、順当と言えば順当な結果かな?」
「ちなみに、涼宮さんと鶴屋さんは強硬なジゴロ説を唱えていて、すごいんだよ。二人の説を聞いてみるかい?」
「特に聞きたくはないが」
「『このタイプは陰でいろんな女の子とヤリまくっているのに違いない』だって。さすがにそこまでを信じる人は少ないが」
「俺もハルヒに賛成だな。その本人見ていないので確証は無いが」
「そうかい、ありがとう。くつくつ」

・・・・・・・・・・・・・・・・

「ということで、僕の調査により、キョンは鈍感ということが判明しました」
「ちょっと、待って、佐々木さん。ジゴロであって、陰でいろんな女の子とヤリまくっていることはキョンも認めているじゃない。だから、正しいのは、あたしの説」
「彼がジゴロなら『そんな鈍感男いるかもしれない』と言うのが当然ですからね。僕達の説が正しいということですね」
「つまり。全て判っているジゴロで鈍感を装っているなら、鈍感説を唱えて自分がジゴロであることをカモフラージュするということですね?」
「ということは、キョンが鈍感説だったなら、キョンはジゴロだったわけか」
「違うよ谷口。鈍感説ならどっちかわからないんだよ」
「ややこしいな、どういうことだ国木田?」
「後でね」
「あのー、佐々木さん。佐々木さんがそう考えることを見越してキョンさんがああ言ったとは考えられませんか?」
時間が止まり沈黙が流れた。

(おしまい)

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最終更新:2007年11月24日 13:48
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