【涼宮ハルヒの憂鬱】佐々木ss保管庫 @ Wiki内検索 / 「72-xxx『ノート。~それは中学時代の事だ~』」で検索した結果
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Part72
...-234『寒暖』 72-xxx『ノート。~それは中学時代の事だ~』 72-xxx『僕は雨が嫌いだった』 72-xxx『いつか。そして。当たり前の日常』
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72-xxx『ノート。~それは中学時代の事だ~』
「佐々木。お前はなぁ・・・、その性格はなんとかしたほうがいいぞ」 なんて言われた。 余計なお世話だとは言わなかった。 余計なお世話だとは思った。 これは中学時代の事だ。 ああ、「僕」を知っているヒトなら誰だってそう言うだろうが これは「彼」の事ではない。 担任教師の台詞だ。 その、ヒトの見てないところで泣いてるような性格はなんとかした方がいい・・・ 今思っても、酷い言われようだと思う。 けれど、これが思いやりから発した言葉だとは理解している。 それに年長者のいう事は聞いておくものだ。 そうだろう? それに担任教師と言うのは、生徒にアドヴァイスをするのが仕事と言うものだ。 義務と言うものだ。 だから、当時の「僕」は黙って頷いたものだよ。 今だって黙って頷くだろうけれど。 「くっく...
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17-601「佐々木さんの中学時代の苦労」
佐々木さんの中学時代の苦労 佐々木「ところでキョン。知り合いで君のこと好きだって人がいるんだが」 キョン「え!だれ?だれのことだ?」 佐々木「くっくっ……そうだな、軽く奢ってくれたら、教えてもいいな」 キョン「意味わからん……」 で、ファミレスで奢ると「さて、誰でしょう?」ってクイズ形式にしてきた。 「もう帰るぞ」って切れ気味で言うといきなりキスしてきた。 そんで「これがヒント……」だって……わかんねーよ! アホらしくて帰宅……早く誰か教えろっつーの!
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72-xxx『僕は雨が嫌いだった』
「ほう、そりゃ初耳だ」 「そうだね。僕も言ったおぼえはなかった」 雨を眺めて、二人でやりあう。 だって、そりゃそうじゃないか 思い出すじゃないか あの忘れもしない中学三年の二学期、つまらない怒りで道を違えてしまった日をね。 「くっくっく」 「人の膝の上で笑うな。こそばゆいだろうが」 こそばゆいとはまた古風だね。 今は、こうして傍に彼が居る。 一度は道を違えて、一度はきっぱり背中を向けて、……そしてやっぱり忘れられなくて。 「まったく、梅雨には一月早いだろうに。気が早い雨もあったもんだ」 くく、そうかい? 僕は嫌いじゃあないけどね。 「なんでだ?」 言うまでもないさ。だから言わない。 あの春の日の大冒険、巻き込まれたという理由で僕はキミと冒険をした。 けれどね、ホントはそんなの言い訳なのさ。 ...
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32-203「ゆ ゆ ゆりゆり ゆりりんりん」
ゆ ゆ ゆりゆり ゆりりんりん♯ ゆ ゆ ゆりゆり ゆりりんりん♯ 春休みのある日、私はそんな歌を歌いながら町まで買い物に行ったのね。 昨日は涼宮さんがルソーを見に来てくれたのね。 今日はクラブもなくて暇なのね。 今年の文化祭では涼宮さんと一緒にバンドをやりたいのね。 そう思っていると、涼宮さんの気配がしたので振り向くとそこには涼宮さんがいなかったのね。 代わりにショートカットの美人さんがいたのね。どっかで見たような記憶のある。 涼宮さんと同じ匂い、いえ、涼宮さんと会う前にどっかで同じ匂いの女の人に会った記憶があるのね。それと同じなのね。 その女の人はツインテールの女の人と話していたのね。どことなくSOS団を立ち上げた時の涼宮さんと同じ目をしていたのね。 ・ ・ 「橘さん、あなたの言う内容は理解したけど、信じられないわね」 「そうですか、やはり…」 「何か証拠を見せてくれると信じられる...
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68-xxx あなたの中に私がいる、ということ
「ああクソ!」 「おや、どうしたんだいキョン?」 「佐々木、お前は研究者をやってるんだろ? TPDD、いや、タイムマシンは可能か?」 「くく、それはまた唐突にして難題だねキョン。その開発にはまず基礎理論からして不足している。まあ考える事自体は非常に刺激的ではあるが」 グラスを脇におき、キョンは唐突に、感極まったように髪をかきむしった。 よく整えられていた髪がくしゃくしゃになってしまったが なに、仕事明けなのだから気にすることはない。 そう、これは仕事明けのちょっとした酒宴の話。 酒と穏やかさを旨とするバーに二人並んで、けれど、学生時代のように他愛もない話をしているだけのお話さ。 「そうか。そりゃ幸いにして不幸な事だな」 「ねえ、聞いていいかい? 仮に作れたとしたらだけれど、キミはどうするつもりなんだい?」 あの頃のように喉奥で苦笑をかみ殺...
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72-xxx『いつか。そして。当たり前の日常』
大学も三年目。俺の体感じゃ昨日が入学式だったはずだが、どうも体内時計が故障したらしい どこに修理を出せば良いのだろうか。 修理屋にアテなどないが 「くっくっく」 などと、俺が頭を抱えていると、おかしそうな笑みがあった。 おい、ケンカ売ってるなら買ってやるぞ? 「それは遠慮する」 勝手な奴だ。 「そりゃあ勝手さ、キョン、僕が勝手じゃないことがあったかい?」 くっくっく、といつもの笑みが覗き込んできたものだ。 こいつは全く悪びれない。 そのせいだろうか、俺は常日頃思っていた質問をぶつけてやった。 「まったく、お前はいつも楽しそうだな」 佐々木はいつでも、いつだって笑みを浮かべている。浮かべている気がする。 そんなに俺の醜態が楽しいか? 「くっくっく。さてね?」 「―――だがキミだって知るまい。そう、キミが...
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67-9xx「キミこそ余裕がないようだが?」
67-9xx「お前軽いな、ちゃんと飯食べてるか?」の関連。 「なあ佐々木」 「なんだい親友」 それは二人して向かい合い、額をつき合わせて夏休みの宿題をやっていた時の事だ。 そのはずだった。なのにどうしてこうなった。 「いい加減、俺の背中から離れろ」 「くく、つれないじゃないか」 「計算式がわからないとヘルプを求めたのはキミだよ? なのに何故今になってそんな事を言うんだい?」 「そこは感謝感激五体投地で礼を言うさ。だが何故いつまでも俺の背中に引っ付いているんだ?」 「くく、他に計算間違いがないかチェックしてあげているのさ、親友」 「何か問題でもあったかい? 大体キミの背中なんて中学時代に張り付きなれたものじゃないか。何を今更」 「こんなに密着してた覚えはねえよ」 「まだ足りないという事かな?」 「何がだ。第一、お前の頭脳ならとっくにチェ...
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28-606「影響力」
『影響力』 中学のことだった。1学期の期末試験前、僕達は図書室で勉強していた時。暗い顔の須藤と岡本さんが溜息をついた 「どうしたの?須藤」 須藤は僕の顔をマジマジと見つめて言った。 「本当に勉強できる奴は勉強好きなんだってな。俺は正直勉強好きになれる自信ない」 「あたしも大嫌い。国木田君は好きなのよね?」 須藤も岡本さんもうんざりした様子だ。見ていると悲しくなった。 「僕は結構好きだよ」 「「だろうなー」」 二人の声がハモッた。やっぱり仲が良い やたらと暗い二人とは対照的に、キョンは楽しそうだった。 「キョンはどうなの?」 「今まで嫌いだったけど、最近すごく楽しいんだ」 キョンは瞳にアンドロメダ星雲をたたえながら答えた。僕はその瞳に引き込まれそうになった。 「なるほどな、わかるよ。お前が付き合っている彼女に影響されやすいのがな」 「キョン君のエッチ」 「意味わからんぞ」 キョンの...
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22-468「時の流れる速度」
今日はキョンがいない。今、橘さんと野球の話をしている。 「私の中学時代の先生が昔、実際経験したことらしいですけど ローズやカブレラがパリーグで王貞治のHR記録抜こうとした時に、連続で敬遠されて、結局記録更新がならなりませんでした、 その話をしていた時に、阪神ファンの方が、 『なに言っとるんや、そもそも”この前”バースが王の記録抜きかけたとき、江川がバース敬遠しよったやろ』 と普通に話をしていたのですよ、 (おいおい、それ10年以上前の話だぞ、この前はないだろこの前わ) と先生は猛烈にツッコミたかったらしいです。 笑っちゃいますよね。」 「そう。私は阪神ファンの人の気持ちがわかるような気がする。 時間の流れる速度は人によって違うのよ。 少年時代を昨日のように思い出したり、1週間前のことが何年も前のことのようだったり。」 「佐々木さん、元気を出して下...
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29-128「昔の恋人に会いたいですか?」
諸君は昔の恋人に、もう一度会いたいと思うことがあるか? 悩む人もいるかもしれないな。 俺は会いたいと思った。すごく、すごく 奴は正確には恋人では無かったもしれないが。 ・・・・・・・・・ 俺は中学時代、ある女子と仲が良かった。 学校帰り、塾まで自転車の荷台に乗せる仲で、俺達は校内1、2を争うバカップルで有名だった。実体は少し違うが。 いや、正確に校内2番目のバカップルと認知されていた、と言った方が正直かもしれない。 そして、周囲は当然ヤリまくっていると思っていた。 しかし、俺達には、誓って肉体関係など無かった。それどころか、恋愛感情すら無かった、と思う。 俺はいつも必死で否定していたが、あの女は何故か否定することは一度も無かった。肉体関係の噂すら。 その度に、クラスの女子から「ヤッたのに責任取らないなんて男らしくないわ」と非難され、軽薄なジゴロの烙印を押された。 『奴は俺と本当の恋人ど...
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70-x『どうかしたか佐々木?』
それは、しばらく続いた初夏のような奇妙な暖かさが、唐突に寒気に換気され摩り替わったような 五月の頭のある日の事だったか。 「どうかしたか佐々木?」 「ん? ああ」 何気なく。 ふと、本当に何気ない仕草で佐々木が頷いたような気がしたから飛び出した一言だったが どうやらそれは正解だったようだ。 佐々木は少しだけ表情を緩めると、手にした文庫本をぱたりとコタツの上に置き、細い指をくるりと回す。 何となく身構え、俺もコタツに入れた足を緊張させたが、次の言葉は緊張感のかけらもない なんとも旨そうな一言だった。 「キョン。今夜は一つ、土鍋でトリとキノコの炊き込みご飯なんてどうだい?」 くくっと喉奥を震わせ、我がルームシェアメイトは笑う。 「保温力抜群の土鍋をだ、二人よそい合おうじゃないか。親友」 「ほう。そいつはいいな」 今日はちと...
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31-488「キョン説得工作と国木田フィルター」
それは、いつか見たリアルな夢。涼宮がいなくて朝倉が転校しなかった夢の世界の話。また思い出す 「なあ、キョンと朝倉って付き合ってるのかな?」 「それは無いよ」 「おいおい、何でそんなに即答できるんだよ」 「キョンはもっと変な女の子が好きなのだよ」 「キョンがマニアックな趣味を持っていたとして、あんな美人に憎からず思われているんだぞ、今だってかなり仲が良いし」 「中学時代のキョンの彼女はもっと仲が良かったよ。比べるのが失礼なくらい。キョンの方もやたらと乗り気だったし」 あれ以上の仲。夢の中の夢ではキョンと涼宮が恋人どうしで、それが頭に浮かんだ。 「その中学時代の彼女とは何故別れたのだ?別々の高校に行ったってだけじゃ薄いよな」 「キョンに聞いても教えてくれないから。何故なんだろう」 その後、キョンの昔の女のことについて少しだけ聞いた。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・...
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66-209 佐々木さんの戸惑い
66-178 佐々木さんのRainy Noise続編。 見られている。 高校に入ってから、ぶしつけな視線を感じることが増えた。 それはそうだ。僕の通う進学校は元は男子校だから、女子が今も少ない。なので珍しいのだろう。 注目を買うのは本意ではない。だから、僕は前よりもひっそりと過ごすようになった。 やがて「視線慣れ」してくると、他人の視線の意味が察せられるようになる。 これは「女」を見る視線。 『やれやれ』 だから「僕」という仮面を使う。 中学時代に大活躍した「僕」の仮面。男性に対し、男性的な言動と思考で語りかける。 同様に女性には「私」。女性には女性として語りかける。 性別を超越した風で、変人を装う僕の仮面さ。 『くくっ』 ふと彼の顔を思い出して笑みがこぼれ、すかさず形を修正する。 なんてことだ。いわば、彼から逃...
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64-247 佐々木さんと線香の香り
キョン「ん。なんか今日は白檀の香りがするな」 あれは中学時代の下校時だったろうか。 いやそんな時間のはずはないな。それは俺の隣を定位置と決めて掛かっているらしい、あの佐々木の香りだったのだから。 隣席から身を乗り出し、俺の机に肘をかけた見慣れた格好から どことなく嗅ぎ覚えのある香りがした。 白檀。ビャクダン科の半寄生常緑高木。インドから東南アジアにかけて産し、約二〇種がある。 心材は淡黄色で堅く芳香があり、仏像や扇の材として珍重される。 細片は香にし、また白檀油を得る。 よく言う「栴檀(せんだん)は双葉より芳(かんば)し」の栴檀とは、白檀の事なのだと前にコイツから聞いた事があった。 まあぶっちゃけお線香の香りを想像して頂きたい。 佐々木「ああ、すまない。最近愛用していた香水を切らしてしまってね…よければ少し離れてくれるかな、キョン」 キョン「俺は好きだぞ、こういう匂い」 ...
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18-724「雨の日は相合傘で:幽霊と名乗る美少女シリーズ」
「自分が幽霊だ」と名乗る美少女に初めて会ったのは12月終わりのことだった。それは「自分は超能力者だ」と名乗る少女に会うだいぶ前のことだった。 いや、「幽霊と名乗る」は不正確で彼女は本当の幽霊だった、と思う。私の幻覚でなければ。 そう、何故か彼女は私にしか見えなかったのである。 彼女は彼のことをよく話してくれた。私がそれしか聞かなかったためであるが。 今回は彼女が話した「雨の日」の1シーケンス。最も多く、全部で256あったシーケンスの内192、ちょうど75%を占めたシーケンスについて述べたいと思う。 俺はその日、偉大なる団長様の命令があったので部室で使うストーブを運んだ。部室に帰ると長門一人が黙々と読書していた。 「長門、お前だけか」 「そう」 「ハルヒ達はどこにいるか知っているか?」 「知らない」 「そうか、ありがとう」 もしかして、長門...
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66-178 佐々木さんのRainy Noise
それは高校二年を前にした春休み。 まどろみ、私は夢を見た。 ところで人が夢を見る仕組みをご存知だろうか。 まず睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2種類があり、周期的に繰り返されている。 体は眠ってるが、脳が軽く活動しているレム睡眠時に我々は夢を見るのだ。 だから、これは私の思考の管轄外。 思考から切り離され、混在する記憶が勝手に過去へと遡行させる。それは私が忘れるべき記憶。 中学時代のおぼろげで不確かなメモリーズ…………。 『佐々木。おまえ、回りくどくて理屈っぽい言葉遣いを直せばさぞかしモテるだろうに』 『面白い事を言うね、キョン』 キミが言う。私は違和感なく返答する。 違和感? そんなものはない。これはただの日常。中学生である僕の日常。 隣の机に肘をつき、身を乗り出して語りかける。それは僕にとってありふれた日常の一コマ。...
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5-54「15498回目の8月31日」
高一の、15498回目の8月31日、と言えば説明は不要であろう。 そう、SOS団全員で俺の家で夏休みの宿題をやったあの日の事だ。 「キョン、何か読ませてもらうわよ」 学校の課題など7月中にすっかり終わらせ本日最もやる事を持たないハルヒがそう言って 俺の本棚を物色し始めた。勝手に何でも読みやがれ、俺は猛烈に忙しい。 「へぇー、そんな事言っていいのかしらねー?」 なに―― 振り返った俺の視線の先、A3版くらいのハードカバーを覗き込んでいるハルヒの姿。 「待てハルヒ、そいつは危険過ぎる! お前の為だ、やめるんだ!」 「あたしの為? ハハーン、あんたには昔騙されたからね。そんなの通じないわ。 それにもう遅いわよ、見ちゃってるもの」 食らえ! と言わんばかりの表情でハルヒが俺たちに突き付けたその1ページは アルバム編集委員どもの陰謀により、俺と佐々木とのツーショット写真で埋められていたのだ! 「だっ...
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67-9xx なんて当たり前なパーソナライズ
「ねえ、キョン」 あの春先の事件、僕は言おうとした事があった。 それはただ「大丈夫、僕はキミの味方だよ」って一言。 橘さん、藤原くん、九曜さん。三人の異邦人、ここは敵中だと不安げなキミへ言いたかった。 でも言う必要なんてなかったんだ。だってそんなの当たり前だもの。 僕がキミの味方だなんて、当たり前の事じゃないか。 けれど事件が進むにつれ、理解が進むにつれ、僕は言えなくなっていった。 だから僕は、そう、僕は本当は叫びたかったんだろうね。 僕はキミの味方なんだよって……… ……………… ……… 「……僕に出来る事は、ない」 佇み、そっと呟いて踵を返した。 あの春先の事件の最終局面、北高でキミ達が消えてしまった時の事だ。 けれど本当は叫びだしたかった。キミ達は僕の中に、僕の閉鎖空間の中に消えていったと解っているのに何も出来な...
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21-257「佐々木と国木田」
あの日は2月某日だった。僕はそれを一生忘れないだろう。 あの日の前日、佐々木さんをみかけた。有名新学校に行った彼女は中学時代が嘘のように寂しそうな目をしていた。 そして、あの日、いつものように北高に登校すると、違和感を感じた。 「おす、国木田」 「今日は、キョン」 今日はやけに静かだ。特にキョンの後ろが。え?キョンの後ろは佐々木さん?どういうこと? 確か、キョンの後ろは涼宮さんだったはず。 あの二人を見ていると中学時代にタイムスリップしたような気分になった。 これは夢?それとも平行世界とかいうものに迷い込んだのか? 「国木田君、気分が悪そうね」 「いえ、ちょっとね」 「国木田、無理するなよ」 「よう国木田、大丈夫か?」 「大したことないよ」 「無理するなよ」 「ねえ、谷口。キョンと佐々木さん付き合ってるのかな」 「そんなのお前の方が良く知ってるだろ。中学...
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67-9xx「……笑わないでくれよ?」
「……なあ、やっぱり止めないかキョン。ホントに痛いんだよ。色んな意味でだ」 「そう聞いちゃなおさらだ。観念しろ佐々木」 着替えが終わったよ、と俺が部屋に入ることを許しつつも、あいつはカーテンから顔だけを出していた。 佐々木よ、言っちゃなんだが白カーテンだから光でちょっと透けて見えてるぞ。 「え」 「まあ身体のラインくらいだが」 「うう……」 「まあ観念しろ。それにな、そもそも最初に話を飲んだ時点でお前の選択は既に終わっているんだ」 「……キミに言葉責めの趣味があったなんて知らなかったよ」 俺はいつもお前に言葉責めされている気がするがな。 「……笑わないでくれよ?」 「保障はしない」 「うう」 それでも姿を見せたのは、常に筋を通すあいつらしい頑固さの賜物か、或いはその頑固さを利用した俺の勝利か。 ピチピチに張った服を着た佐々木がカーテンから現...
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22-723「アンダー・グラス・ラブソング」-1
1「小さな背中」 無機質な灯りが目の前を流れていく。雨に洗われたコンクリートの塊は、より暗く沈んで見えた。遠くに見える山々の暗闇にいつでも押しつぶされそうなこの町。そんな町の中を、命に無関心な静脈のように夜の電車は流れていく。俺はひたすらに意識をドアの窓ガラスの奥底に映る暗闇に向けようとしていた。 それでも、車内の無機質な蛍光灯の灯りは窓ガラスに反射する。反射した光の鏡像は、その窓から見える景色にユーレイみたいに重なった。俺はユーレイたちから逃れるように、必死に窓の外の景色に集中しようとする。それでも、時折、ふと油断した瞬間に窓に映った自分の影と目が合ってしまう。そこではくたびれた目が、救いを求めるように鈍く光っていた。 自分の影から俺は目を逸らす。そして逃げるように視線を車内に向ける。夕方の地方私鉄の普通列車は通勤ラッシュとは無縁で、ところどころに抹茶色の座席が見える。その...
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22-65「今も、今でも」
「今でも時々、キミと一緒にいた中学時代の夢を見るよ」 佐々木はそうあっさりと言い放つと、目の前のストローに口を付けた。静かにレモンティーのトパーズ色をした水面が下がっていく。 秋に移り変わるこの時期、喫茶店のエアコンはどうしたらいいかわからないように、遠慮がちに店内を冷やしていた。 佐々木はストローから口を離すと、その先を手にとって、軽く頬杖を付きながら、無造作にグラスをかき混ぜた。カラカラと、氷がグラスに当たる音が涼しげに響き渡る。 「中学時代の夢?どんな夢だ?」 その素っ気無さの奥に隠された佐々木の意思を確かめるべく、俺はその夢の内容を尋ねた。 「そうだね。うん、そう、うまく思い出せないね」 「なんだよ、そりゃ」 天井を人差し指で指して、さあね、と佐々木はその指先をくるくる回した。 訝しげな俺の顔を見て、佐々木は楽しそうにくっくっと笑う。いったい何が面白い...
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24-386「驚愕ラストの妄想」
「ありがとうキョン、キミとなら次の再会が何年後か、それとも何十年後になるかは分からないが、変わらぬ友誼を約束出来るよ」 それが、『佐々木』を見た最後だった。 その後も俺達はハルヒと馬鹿騒ぎを繰り返した。 ハルヒの力は徐々に無くなっていき、観察者達も去っていった。 まず、藤原が未来に帰り、朝比奈さんも卒業と同時に未来に帰った。朝比奈(大)とは1度しか会わなかった。 思念体と天蓋領域のインターフェイスは、そのほとんどが、肉体の殻を捨て去った。 長門と九曜は人間として、幼児から再出発した。 橘は関東の実家に帰り、古泉は地元の北海道の大学に行った。 そういえば、ハルヒとは3年から別のクラスだった。 入学当時、一人孤独だったハルヒは卒業時には多くの友人に囲まれるようになった。 そして、俺は、ハルヒと別の大学に入った。 さすがの俺も高校3年の時には真面目に勉強して、その甲斐あ...
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30-711「キョンポエム」
一年前のこと 「お兄さん。付き合っている人いますか?」と妹の友達に聞かれた 「いない」と答えた。嘘をついているような気分で。最も親しいクラスメートの顔を思い浮かべながら 「好きな人いますか?」と続けて聞かれた 「いない」同じ答え。そして、同じ顔が瞼に浮かぶ 「今まで女の人とお付き合いしたことありますか?」 「残念ながら無いな」また嘘をついている気分。俺のあだ名を広めた変な女の顔が浮かぶ 「じゃあ、お兄さんが一緒にいて楽しいと感じる人は誰ですか?」 「うーん、よくわからないな…」言葉を濁す俺だが、本当は自転車の後部座席にいつも乗せている奴が、一番だと思っていた 「それじゃ、一緒にいるとホッとする人は?」 「うーん、それもよくわからないな…」それも同じ女だった 「これで最も世話になっている子にプレゼントしなさい」とお袋が言って渡した千円札 それで買った文庫本を、僕っ子はすごく喜んでくれた 「キ...
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2-876「中学時代のなんてことない話」
「キョン。たわいもない世間話にもならないくらいのどうでもいいような話なんだが、キミはサンタ クロースの存在をいつまで信じていた?」 中学三年の初夏の事だったろうか。僕がこんな季節外れな質問を”彼”にしたのは。 彼―キョンという変わったニックネームで呼ばれている―はしばし考えるような素振りを見せた 後、どこか寂しげな顔をしてこう答えた。 「…最初からだ」 「最初から、というと?」 「俺がサンタっつー赤服じーさんがどういう存在で何をする人なのかを理解した時、からだな」 僕がこんな質問をしたのには勿論理由がある―という訳でもない。僕ら二人は文字通り”たわ いもない世間話にもならないくらいのどうでもいいような話”をしては休み時間を無為に過ごす のが専らとなっていた。 キョンと僕が同じ学習塾に通っている誼で話すようになったのは四月中頃の事。彼が高校進学 を危ぶんだご母堂によって半ば強制的に塾へ叩き...
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71-x『その場限りの思考暴走』
『よいではないか、よいではないか!収録が終わったら謝りますから、監督が!土下座もさせて頂きますから、監督が!』 「……まさかこんなところでこのネタを見るとはな」 ある日の事。映画館で見た予想外のシーンに、ふと俺の口から呟きが漏れ出でた。 隣にいる佐々木が怪訝そうな顔をする。 「キョン?」 いや。なんでもない。 映画館の暗闇の下、佐々木が小首を傾げる。 中学時代と同じ笑みがそこにあったはずだったが、傾げた拍子にさらりと漂った香りは、明らかに昔と違う趣があった。 するり、その拍子に、スクリーンのすっとんきょうな叫びが耳から脳へと侵入し ガンガンと脳内で反響する。 『よいではないか、よいではないか!収録が終わったら謝りますから、監督が!土下座もさせて頂きますから、監督が!』 「なあ、親友」 「なんだい? 親友」 「もしも俺が…………...
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65-459 ディナーへようこそ!「オマケ)自転車を止めて小銭を払い、中学時代の四方山話(『分裂』P69より)」
65-459 ディナーへようこそ!「3-一日デートは誰のもの?」より 喉の奥を響かせるような音。 「なんだよ急に笑ったりして」 「思い出し笑いさ。キョン、妹さんは元気かい?」 「ああ、ウンザリするくらいにな。時々耳栓がほしくなる」 「甘えたい盛りなのさ。どんと構えて、受け入れて上げなよ。それが兄たる者の矜持ってものじゃないのかい?」 「言うは易く、行うは難しさ。実際まともに付き合ってたら次の日寝込んじまうに決まってる。 精根尽き果てたミイラになっちまうわ」 「それは大げさというものだろう? キョン。 以前一緒に水族館へ行ったときは、帰り道に彼女を背負って帰るくらい余力があったじゃないか」 「あん時よりはでかくなってるよチンチクリンなりにな。今なら引っ叩いてでも起こして、自分で歩かせるね。 帰り道ずっと背負い続けるなんてとてもとても……なんだよ佐々木」 ...
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70-x 鍋音スケルツォ
くつくつ、くつくつ。 沸騰させすぎないようにした鍋の水面が、いつものように音を奏でている。 いつもと違うとすれば、それは音を聞く静けさの存在だろうか。 たこ糸で肉を縛る細工の途中、ふと耳を傾けてしまう。 ふと、思い出してしまう。 中学時代の、そう、調理実習だったかな・・・ と、フラッシュバックした風景を強制的にシャットダウン。 けれど僕の未成熟な脳は処理し切れなかったのか、連鎖的にあの春の事件が想起された。 わたしが、言葉にも出来なかった想いがあった。 わたしがもらった、言葉にしてもらった想いがあった。 続いてフラッシュバックをしたのは、私への想いを、言葉にしてくれた人。 少しだけ露なまなざしで、けれど哀しみを精一杯に隠して、私を見つめ返してくれた人。 僕に、告白をしてくれた人。 保留していた返事は、彼の意には添...
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17-570「変化」
『変化』 はっきり言ってしまおうか。 中学時代俺は佐々木を女と思っていなかった。 いや、もちろん身体的体力的に佐々木が女性であることは理解していたし、 今話している相手が女性であることを忘れたことは無かったさ。 より正確に言い換えるならば…そうだな、「恋愛対象ではなかった」が正しいだろう。 佐々木はこの間俺のことを親友といっていた。 もちろんそれに異論は無い。だがより正確に表現するなら「ツレ」だと思っている。 男とか女とかそんなものは遠く離れた地点に置き去りにしてきたような関係だったはずだ。 中学のころ佐々木とは色んな話をした。 それこそ次のテストの話しから心理学を絡めた人間の行動原理までな。 ……今思い出しても健全な思春期の男女がするような話しではないものが大量に含まれているな。 その中には性衝動やら欲求の開放やらアホの谷口ならば途端...
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66-10 佐々木さんのごまかし
あれは高校二年に進級する寸前、春休みの事だったろうか。 僕は、告白された。 「佐々木さん!」 実にストレートな告白だったと記憶している。 後で「僕に告白するなんて、なかなか物好きなものだ」などと思ったものだが この時は不意打ちをくらったようなもので、とっさに返答する余裕がなく、ひとまず保留と言う事にしてもらった。 一年前なら一蹴していた事だろう。 恋愛なんて精神病の一種だと言うのが僕の持論だからだ。 だが、この一年、僕を支えるこの価値観に揺らぎが生じているのを感じていた。 キミのせいだよ? キョン。 まぶたの裏の、元同級生に問いかける。 ここしばらく、何かの拍子に浮かぶ風景があった。 それはダルそうな元同級生の顔と、彼と過ごした日々の事。 彼の机に乗り出し、間近に見上げた彼の顔。机を並べて給食を食べるのはほぼ毎日の...
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22-723「アンダー・グラス・ラブソング」-2
4「桜、サクラ、小春日和」 それから数日たったある日。桜が満開の季節。気温はほどほどに暖かく、油断をすれば睡魔にすぐに襲われてしまいそうな、気持ちのいい小春日和。その日はちょうど新入生への文化系クラブ紹介の日だった。 例によって、ハルヒがそんなイベントをみすみすスルーするはずもなく、なぜか文芸部の紹介として俺たちも中庭にブースを構えていた。 肝心の首謀者ハルヒはどこをうろついているのか、俺たちをほっといて、朝比奈さんも連れ出してどっかに行ってしまった。 桜の花びらが春一番に吹かれていた。こんな日は部活紹介じゃなくて、花見でもしたほうがいいね。俺は椅子に浅く腰掛けて、真上の桜の樹を眺めていた。 「最近涼宮さんの様子はどうですか?」 同じく、俺の隣の椅子に座った古泉が唐突に話を振ってきた。 「様子もへったくれも、見てのとおり元気いっぱいだ。こっちがうんざりするくらいに...
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7-194「キョンデレ」
「キョンデレ」 中学の卒業式から数日が過ぎた。 俺は学業から解放された他のクラスメイト達と連日遊びに出かけている。 だがそこには佐々木はいない。 「キョン、勘違いしているのであれば忠告しておこう。 確かに僕たちは中学の学業は修了した。だがそれはつまり高校の学業の始まりでもあるのだよ。 ということはこの間に中学時代の復習かこれからの予習をするべきだと僕は思うのだが。」 とは佐々木の弁だ。 そんなわけで俺は今に至る。 一緒に勉強しないか、という佐々木の誘いを断った俺を誰が責められようか? 確かに罪悪感はある。が、しかしせっかく勉強の義務を解かれた身であるにもかかわらず 勉強をせねばならんのだ?どちらにせよモチベーションは10分も持たないだろう。 などと理論武装した俺は今日もチャリで友人達が待つ場所へ向かっていたのだが、 俺はここ数日、何故かチャリに違和感を感じていた。故障でもした...
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3-844「中学生日記」
女として否定されたくない、だけど親密にはなりたい、だけどやっぱり物足りない、だけど相手は気付いてくれない。 だけどそれはこの私の態度のせい、こんな関係も悪くはない・・・あなたのそばに居られるなら・・・。 ・・・それもやがて終わる日が迫っている。 残された時間はそう多くはない。 ・・・止めよう、私らしくないよ、こんなの。 中学時代の日記を読み返しながら彼女は顔を真っ赤にして悶えていた。 (ま、まるで成長していない・・・) 日記を拡げたまま顔にかぶせ、ベッドに寝そべってみた。 閉じられたカーテンから僅かに日差しが差し込み、ハードカバーの表紙に小さな陽だまりを作る。 「・・・キョン」とかすかにつぶやいた。 「キョン君!」 「・・・どうした?」 「あのね、」 「・・・ん?」 「・・・す」 「す?」 「す・・・・・」 「・・・・・・」 家族は全員留守だったが、もし誰かがいれば階下にさえ聞こえ...
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68-115「佐々木さんのキョンな日常 春咲小町」
”高校生活の二年間は、モラトリアムよ、キョン。それは学生の特権なんだ。” 中学時代、そんなことを俺に言っていた同級生がいた。しかし、あとになって考えてみると、それは 俺には当てはまるが、あいつには当てはまらないような気がした。何せ、あいつは県内一の進学校に入学した のだから。毎日、勉強、勉強じゃなかろうか。あいつと、俺とじゃ頭の作りからして違うと思っている(そう 言うと、あいつは笑って否定したが)が、あの進学校じゃ、そんな日常が待ち構えているんだろうな。 そんなことを考えていると、不思議な感慨に囚われる。つい、ひと月前まで、俺とあいつは同じ学校で重なり合う ときを過ごしていた。そして、別の学校に進学して、俺たちは別々の道を歩き始めたのだ。 「やれやれ」 これから俺が3年間通うことになる高校へ続く坂道を見たとき、俺は思わずため息をつき、口癖になっている言葉を...
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67-9xx「いや謝らせてくれ、佐々木」
67-9xx「そう謝らニャいでくれ、キョン」の続き。 「涼宮さんの能力が、僕に影響を及ぼした事は理解しているつもりニャよ」 「そうだ。その事が問題なんだ」 小鼻の傍に生えた左右計六本のひげをしきりに撫でながら佐々木は苦笑する。 大丈夫だ、心配なんかしていない、と。 だが俺はそうではないんだ。 心はあの春の騒動に立ち返る。 あの騒動の時、騒動の発起人である橘が危惧したのは「ハルヒが力を暴走させ、世界を危機に陥れる」事だった。 その為に「精神が落ち着いた神候補、佐々木」に力を移し、世界を安定させようとしたのだ。 だが俺は提案を一蹴した。 ハルヒの奴はそこまで精神をボーダーの向うまでやっていない。 せいぜいがストレスで神人を発生させ、古泉の小遣い稼ぎを手伝ってやる程度でしかない。だから心配は要らないのだと。だが…… 「……キョン...
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26-572「佐々木さんへの恋文」
『佐々木さんへ いつも勉強を教えて下さってありがとうございます 僕はあなたを一目見た時からあなたに恋してしまいました あなたのその瞳、知的で凛々しい顔 あなたの全てが好きです あなたに勉強を教えてもらう時、あなたと他愛のない会話をする時 いつも僕の鼓動が高まり、抑えることができません もしかして、既に素敵な恋人がいらっしゃいますか? もしそうならば、同級生の一人が馬鹿な事を言ったと笑い飛ばして下さい そして、この手紙のことは忘れて、友達として付き合って下さい 僕は佐々木さんが幸せならそれで充分幸せです そうでないならば、どうか、僕の彼女になることを考えて下さい。お願いします 佐々木さんの高校の同級生A』 ・ ・ ・ ・ 佐々木さんへの恋文を手渡そうとした時、佐々木さんが男といるのが見えた。 とても...
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66-677「報道された出来事だけが事実となるかい?」
「春だね、キョン」 夕暮れ時、二人それぞれ自転車を押して歩きながら 佐々木は綿毛になったタンポポを摘むと、ふっと息を吹きかけた。 小学校低学年がよくやるような、子供っぽい、ふだん必要以上に大人びた佐々木らしくない仕草。 その瞳のまま、こちらをくるりと覗き込んでくる。 「おや、何か言いたそうじゃないか親友」 お前が何か言いたいからそう見えるんじゃないか、佐々木。 「くくっ、それは当てはまらないね。今まで僕がキミに語りかける時、そんなきっかけを必要としていたかい?」 「まあそうだな。お前はいつも聞いてもないのにベラベラ喋る、そんな奴だ」 「嫌なら留めてくれたまえ。僕はどうも空気というのを読むのが苦手でね」 お前で苦手レベルなら俺はどうなる。 「鈍重な感性だとは思っているよ」 「わざわざ引き伸ばすな」 鈍感で二文字だろ。 「くく、悪いね。どう...
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67-846「二人きりでって訳じゃないんだろ?」
『くく、それは二人きりでって訳じゃないんだろ? なら構わないよ』 俺と佐々木とは中学と塾通いだけが接点で、放課後一緒に遊びまわるような仲ではなかった。 今思えばあいつの家に行った事もないし、あいつが俺の家に来るのも、それは俺の自転車に乗る「ついで」みたいなものだったしな。 けど、別に放課後まったく一緒に遊ばなかったって訳じゃない。 そこまでいったら逆に不自然だ。 当たり前だろ? けど、結局たった一度だけだった。 俺と佐々木が、たった一度だけ放課後一緒に遊んだ時の事。それはそう、月めくりカレンダーの十枚目をめくった頃だったろうか。 ……………………… …………… 「佐々木、たまにはお前も一緒に来ないか?」 「くく、それは二人きりでって訳じゃないんだろ? なら構わないよ」 残暑がしつこく居座る十月、俺が冬服の上着をずだ袋か何かのよう...
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25-312「女同士の会話」
Haruhi-Side 佐々木さんと二人で会うようになったのはつい最近の事だった。 初めの頃はキョンが惚れた(に違いない)女性のあれやこれやとか昔話を聞き出したり、あわよくばキョンの事を 諦めさせようと思って彼女に会うようになったわけ。 でも話し込んでいる内にだんだんとあたし自身が彼女の魅力に惹かれてしまったようで、普通の女の子同士がす るような会話に変わったのはそれほど時間は掛からなかった。 ただ、最新ファッションとかテレビとか、あたし的にはどうでもいい話は彼女も好きじゃないみたいで、お互い の考え方や色んな評論とかを話すようになった。 あたしも人の尻尾を追っかけるような話題には興味無いし、彼女との会話は知的な好奇心で心地よい疲労感を与 えてくれたから、それはそれで非常に有意義な時間だった。 キョンとの会話も楽しいけどあいつは突っ込み専門...
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22-723「アンダー・グラス・ラブソング」-3
7「俺らしくもない」 その日は午後の授業にも全く身が入らなかった。もともと、真面目に授業を聞く性質の人間ではないが、その日は余計にそうだった。国木田の言葉が頭の中でいつまでも繰り返されていた。心の中にウィルスをまかれたように、何か黒いものが自分の胸を埋め尽くしていくような気がしていた。 「ねえ、キョン」 授業中だというのに、ハルヒが俺の背中を突いてきた。 思えば、こいつが最初にSOS団なんてものを思いついたときも授業中で、その時も授業中だろうとお構いなしだったな。 「なんだ、ハルヒ」 一応前を向いたまま、ハルヒに応えた。 「なんかあったの?」 「なんか、ってなんだ?」 窓の外では体育でサッカーをやっているらしく、時折高校生らしい歓声が聞こえた。ボスッ、と鈍いボールをける音。遠い世界の出来事のように聞こえた。 「あんたちょっと様子が変よ。ただでさえ普段ボーっと...
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69-x バレンタインな関係葛藤
バレンタインとは日本国内のごく一部のイケメンがチョコを貰う日である。 つまり俺には一切関係がなく、そんな非日常が俺の周囲を通り過ぎていくだけのいつもの日常に過ぎない………などと皮肉ぶっていた事態は過去のものとなり 俺にとってもこの日が「チョコが貰える日」となってから早くも二年目をマークした。 この点についてはハルヒ様々と言ってやるにも吝かではない…… …………… …… そうだな。去年同様の俺なら、例によってハルヒの奴が企画したバレンタイン大騒動による疲労に身を委ねながらも とっくりと幸せオーラを感じてやっていただろうと思わないでもない。 いや、実際俺は幸せオーラとやらに浸っている。 そうだ。そのはずだ。 なのに何故か俺は足早くその場を立ち去ろうとしていた。 SOS団のメンツと別れ、駅前に停めていた自転車を回収するという俺任務に奇妙な...
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14-331「佐々木とキョンが1年会わなくても平気だった訳」
佐々木とキョンが1年会わなくても平気だった訳 「やぁキョン、いらっしゃい」 眠っている俺の頭上から声が聞こえた。 聞きなれた声だ。 俺はゆっくりと目を開けた。 俺の横には中学のときの親友、佐々木が座っていた。 「久しぶりだね、キョン」 俺は目をこすりながら起き上がる。 体を見ると着ているのは中学時代の制服だ。 周りを見るとどうやら俺の通っていた中学のようだ。 やれやれ、またか。 「何が久しぶりだ、今月はもう5回目じゃないか」 因みに今日はまだ15日だ。 「くくっ、現実世界であっていないのだから久しぶりには変わりないさ」 あたりを見渡す、やはり人っ子一人いない。 そう、ここは普通の場所ではない。 閉鎖空間だ。 もっとも、俺がその名前を知ったのは最近だがね。 「やれやれ...
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72-31「~夏の終わりに~」
あと二日で夏休みは終わる。 去年の夏休みの、最後の日のことを私は思い出していた。 あれから一年。 「キョン、いるかい?」 キョンの家のインターフォンを押すと、家の中からキョンの妹ちゃんが出て来た。 「佐々木のお姉ちゃん、いらっしゃ~い」 キョンと二人で私の母の実家に遊びに行ったとき以来、この家には来ていないけど(キョンは私の家によく来ている)、 妹ちゃんは夏休みを満喫していたらしく、かなり健康的に焼けていた。 「キョン君ならいるよ。自分の部屋でクーラ-かけて涼んでいるよ」 その様子も、去年と全く同じだ。 キョンの家にあがり、キョンの母親に挨拶をして、私はキョンの部屋のドアを叩いた。 「・・・・・・え?」 我ながら、少し間抜けな声を出した。 「夏休みの宿題だろ?今年はもう、全て終わらせたぜ」 妹ちゃんが持って来てくれたジュ-...
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44-10「といつめ」
俺たち、俺と佐々木はいつもの喫茶店で向かい合わせに座っていた。 なんでかって? そいつはかなり単純な話になる。話したいこと、告げ たいことがある。そう言って、佐々木に呼び出されたのだ。とはいうも のの目の前にいる中学時代の友人は、さっきから押し黙ったきりで何も 話そうとはしてくれない。 まぁそんなわけで、ここにいたる経緯を俺が思い起こすぐらいの時間 は十分にあるのだった。 ちなみに、本日はバリバリのウィークディ。昨日の深夜、すなわち今日 が始まってからすぐに、本日の予定を佐々木に握られた俺は、いつもの SOS団の活動(ちなみに今日は古泉とトランプのスピードで遊んでいた。 戦績は言うまでもないだろう)を終えたその足で指定された場所――御想 像通りにSOS団御用達の喫茶店である――に向かっていた。 佐々木の指定した時間は、団活動の終了時間を読んでいたとしか思えな いくらいにぴったりだっ...
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39-895「どっち!?」
母親は、中学時代のキョンには、多大な希望を持ってた。(頑張れば、佐々木レベルに!) 高校では、「そこそこでいいわ。」になった。 だが、母親の予想を超えてキョンの成績はがた落ち。 いつかはやってくれると信じているが、その限界が高2の夏まで。 ハルヒが勉強を教えだしたのも、危機感があるからではないだろうか? そして、佐々木もキョンの心配をしているのだろう。 「でだ、今日から交代で俺に勉強を教えてくれると・・・・そういうわけだな?」 「そうよ!いい?あんたの成績が落ちたのがSOS団のせいだと思われたら迷惑なの!!」 「キョン。君は、中学時代、僕と同じ大学を目指してたじゃないか?あの時のことを思い出すんだよ」 「俺は、別に佐々木と同じ大学を目指していなかったぞ?」 「え?そうなのかい?ご家族の方がいつも「勉強しないと佐々木さんと同じ大学にいけない」と仰ってたじゃない...
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31-947「今日はエイプリルフールだ」
今日はエイプリルフールだ 長門「……彼は1月前、私のアパートに泊まった」 阪中「キョンくんは一週間前わたしにキスしたのね」 鶴屋「この前少年は『鶴屋さんのお婿さんにしてくれ』とめがっさ頼みこんだにょろ」 橘「キョンさんが『中出しさせてくれたらお前の頼みを聞いてやる』と言ったので処女をあげたのです」 みくる「えーと、わたしのお腹にはキョンくんの赤ちゃんがいましゅ」 古泉「彼とは男どうしの愛情を確かめあう仲ですよ」 九曜「――あなたは――私の――婿――」 ハルヒ「……キョーン。一体何人に手を出しているのよ。この女たらしが」 キョン「落ち着けハルヒ。今日はエイプリルフールだろうが」 ハルヒ「そうだったわね。やけにリアルだったから危うく騙される所だったわ」 どこがリアルなんだよ 佐々木「彼とは長い付き合いだけどキスもしてくれない仲だよ」 ハルヒ「へー、佐々木さんって実はキョンに相手されてなかったの...
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21-337「左の握手」
佐々木との再会から1月以上が経った。 長門がやっと退院した頃、佐々木から電話がかかってきた。 「今晩は、キョン。頼みがあるんだ」 「何だ、たとえ親友でも聞けない頼みもあるんだが。」 「僕が神になる話だが、明日の土曜日、正式に断りたいので君についてきてほしいんだ。そして、涼宮さん達には危害を加えないように説得するつもりだ。」 「そうかわかった。」 良かった。親友にあんな変態的パワーを持たせるのは不幸だからな。そうだ、明日のSOS団の活動を休むと電話しなければ。 土曜日。佐々木はミニのスカートをはいていた。そういや女だったな。そして、中学時代と比べて胸元の膨らみが 「久しぶりだね、キョン。君が変わってなくて安心したよ。」 「1月やそこらでそんなに変わるものなのか?」 「今日は、佐々木さん、キョンさん。四方山話は今度にして、まず私の話を聞いて下さい」 「その前に、朝比奈さ...
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17-118「親友(性的な意味で)」
ハルヒ「それ、誰?」 キョン「ああ、こいつは俺の……」 佐々木「嫁」 ハルヒ「は?」 佐々木「といっても中学時代の、それも三年のときだけどね」 佐々木、顔を赤らめながらキョンの股間を見て 「そのせいかな、薄情なことに一年間も音沙汰なしだった。これはお互い様だが///」 ハルヒ「・・・」 佐々木、恥ずかしそうに下を向きながら 「でもね、一年ぶりの再開(⇔再会)だったとしても、ほとんど挨拶抜きで(会話を)始められる知り合いというのは、 充分夫婦に値すると思うんだよ。僕にとってはキョン、キミがそうなのさ///」 ハルヒ「・・・」 性的な意味で捉えるとこう続くな
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佐々木さんの仮面と驚愕シリーズ
トップページ >SS >シリーズもの>佐々木さんの仮面と驚愕シリーズ 66-178 佐々木さんのRainy Noise (驚愕(前)、Rainy day、中学時代)。 66-209 佐々木さんの戸惑い (分裂) 66-236 佐々木さんの踏ん切り (分裂~驚愕(前))。 67-9xx 佐々木さんと「じゃあね、親友」 (驚愕(後)時間軸)。 67-9xx 佐々木さんと「やあ、親友」「そして」 (驚愕(後)時間軸)、完結。 ■別解釈 66-10 佐々木さんのごまかし(分裂) 66-36 佐々木さんの仮面と驚愕(分裂~驚愕(前))。 66-36β 佐々木さんと「やあ、親友」(驚愕(後)時間軸)、完結。 66-164 火曜日と自転車の荷台(ifルート短編)。
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