10-212「キョンからのプレゼント?」

「よぉ、佐々木。待たせたな。」
駐輪場で待ってもらっていた佐々木は、声をかけてようやく俺の存在に気がついたようだ。
「ああ、気にしないでかまわないよ。
ただ、キミが運悪くも先生に仕事を頼まれてしまった、それだけのことだろう。
まさかそのあとどこかで道草を食っていたとも思わないし、そんなことはないだろう?」
ああ、俺は人を待たせてそんなことをするやつじゃないぜ。
「ところでお前の持ってるそいつは何だ?」
「ああ、これかい?最近の若者はあまり使っていないようだね、ラジオだよ。携帯式の。」
そうかい、確かに最近のやつらはケータイもってるからな。使わんだろうよ。
そういいながらぐちゃぐちゃに絡み合った自転車の中から自分のものを引きずり出す。
「ほら、乗ってくれ。」
「ああ、いつもすまないね。ただ、今日はキミの用事で少しばかり時間をとってしまった。
少しばかり以上に急がないと遅れてしまいそうだね。」
そう言って左腕につけている丸っこい小さな腕時計を見せ付ける。その腕の白さと細さに
ああ、やっぱり佐々木は女なんだなと最近時々思うようになった。
「ん?どうしたんだいキョン。僕の腕時計に何か思うところでもあったのかい?」
「いや、なんでもない。さて、急ぐぞ。俺が遅れることはなんとも思わないが、
俺のせいでお前が遅れるようなことがあったら、何を言われるかわからんからな。」
しっかりつかまってろよ、振り落とされないようにな。
そういうが早いか、全速力で出発。
「キョン、ちょっと早すぎはしないか?さすがにこの速度だと、
抑えていてもスカートがめくれてしまいそうだ。
いや、僕としてはそこまで大きな問題だとも思っていないんだがね。
やはり、少しは気になるものなのだよ。このぐらいの年頃では特に、ね。」
むぅ、そういわれては速度を落とすしかないじゃないか。だが、それでは塾に遅れてしまう。
塾に遅れたら、お前は困るだろ。
「どうするのが最善の策だ。俺には思いつかん。」
「おやおや、キョン思考放棄かい。
まあ、確かにどうしようもないという選択も1つの選択肢であることに間違いはないけれど、
あまり良い考えだとはいえないな。」
云々、佐々木の話を聞いているうちに結局そのままついちまった。
「どうやら間に合ったようだね、結局先ほどの問題は解決されないままだが、
また今度改めて考えることにしようじゃないか。くっくっ」
佐々木は何がおかしいのか、肩を揺らして笑っている。
自転車止めてくるから先に行っとけ。ここまできて遅れたらそれこそ元も子もない。
「そうかい、悪いね。では教室で先に待たせてもらうことにするよ。」
さて、どこが空いてるかな。あーくそ、こういうときに限って空いてねぇ。
きちんととめることをあきらめて、誰かの自転車のあいだに押し込む。
そこから教室までダッシュ!
「やぁ、キョン。どうやら間に合ったみたいだね。でも、どうせ自転車置き場に空きがなくて、
そのままあいだに押し込んできたんだろう。帰りには誰かが躓いてドミノ倒し的にこけているかも
知れないね。ところで、キョン、もともとドミノというのは倒して遊ぶものではなく外来遊戯のひとつで……」
そこで、教師が入ってきた。
「よーし、はじめるぞ。38ページをひらけ~」
奇妙なピンクのシャツを着た中年男の話を右から左へ流しつつ
(ラジオか、確か昔古くなったやつをもらって物置にしまっといたよな。)
あとで引っ張り出してくるか、とかいろいろ考えているうちに授業は終わっていた。

みんなが、ぞろぞろと帰っていく中その波に乗って自分も駐輪場に向かう。
っと、佐々木はどこだ?
「キョン」
後ろから、突然。
「ああ、佐々木。」
「どうしたんだいキョン。誰か探しているのかな。それとも、
僕が先に教室を出たのに気づかずに、『っと、佐々木はどこだ?』とでも思ってたのかな?」
ご名答、よくわかるな。
「それはキョン、キミのことだ、授業で半分眠ったようになっている頭で、
ほかの人より、そんなに背の高くない僕を見つけるのは難儀なことだろうからね。
それにしても、わざわざ親御さんに高いお金を払ってもらっているんだから、
せめて、ノートぐらいはまともに取るべきではないかなと忠告しておくよ。」
ちゃんととってあるさ、それだけはやってるはずだ。ここでは
「だったら、あとで見直してみるといい。きっと半分は読めないだろうからね。
まあ、僕もそんなに忙しい身じゃないし、わからないことがあったら休憩時間にでも
きいてくるといい。わかるように説明できるかは保障できないがね。」
テスト前は頼むぜ。
「そういえば、お前、今日ここにくる前ラジオ聞いてたよな。」
「ああ、これのことかい。」
そう言って佐々木が取り出したのは黒いポケットラジオだった。
「これは、先日うちにきた従兄がくれたものだ。今大学2年生でね。僕が3年になって
受験勉強をしていると聞いて、くれたんだ。受験前になるとどうしても
親が、テレビを見る時間を減らすだろうから、部屋でこれでも聞きながら勉強しろとね。
それで、聞いてみるとなかなか面白いじゃないか。それですっかりはまってしまってね。
朝の登校中なんかにも聞いたりしているのさ。」
ってことは、学校に持ってきてるんだろ、休憩時間にでも聞けば良いのに。
「何をいっているんだいキョン。学校ではキミがいるじゃないか。僕にとってもっとも有意義な
時間だよ。それをわざわざつぶしてまでラジオを聞こうとは思わないさ。」
「そ、そうか」
「あぁ、バスがきてしまったみたいだ。キョン、また明日学校で…」
ああ、またな。
その日から、時々ラジオを聞くようになった。確かになかなか面白いもんだな。
初めて投書するときは、さすがに緊張した。結局放送されなかったけどな。
まあ、そんなこともある。そして、このなかには佐々木の投書も混ざっているのだろうか?
そして、春休みも過ぎた頃だ。

「やぁ、キョン。」
この前佐々木と会ってからまだ、2週間ほどしかたっていない。
「佐々木か、よく会うな、最近。」
「そうだね。僕にとっては大変喜ばしいことだよ。キミにとってもそうではないかな。
もし、キミに会いたくなかったんだと言われたなら僕はとてもショックだが、
キミは仮にそう思っていたとしてもそんなことは言わないだろうね。
キミは優しすぎるほどに優しいから。」
「さあな、俺が優しいかどうかは俺にはわからん。
ただ、ただお前に会いたくなかったなんてことはないな。」
むしろ、お前に会いたくないなんてやつがいるなら見せてもらいたい。
「そんな、僕は会いたくないと思われる人がいないほどの善人ではないと思うけれどね。
まあ、人に恨みを買うような行為をわざわざするつもりもないけれど、中学時代に
僕が振ってきた彼らは僕にあったらどんな顔をするだろうね。くっくっ。
ところでキョン、ここにいると言うことはまた涼宮さんたちを待っているのかな?」
今日は誰を待ってるんでもねーよ。テスト前だからな。国木田のとこにでも行って
わからんところを教えてもらおうと思っただけだ。約束してたわけじゃなくて、
今から押しかけようとしてるだけなんだがな。
「そうかい、確かに彼の説明はなかなかに明瞭だ。ただキミのわからないところというのは
要するに寝ていたところではないかな、特に数学の。それより、キミは現在話している相手が
僕だということを失念していないかな。さすがにそれはないって。
だったら、僕が協力させてもらっても問題ないだろう。彼よりもうまく教えられるという
とは言い切れないけれども。彼とはいつでも話せるだろう。久しぶりに2人で時間を取れるんだ
こんなときぐらいは頼ってもらえないだろうか?」
お前が教えてくれるほど頼りになるモンはないな。家庭教師をできるぐらいの秀才だしな。
「家庭教師か、どうだろうね。あまり僕に向いた仕事とは思えないしそんなに僕は秀才でも
ないよ。君が思っているほどはね。ただ、『キョンの』家庭教師というのであれば、
それにはまったく不服はないね。むしろ光栄なぐらいだ。キミほど教えていて楽しい生徒は
いないだろうからね。」
どうせ俺は基礎の問題でも当然のように躓く授業中に寝てる劣等生だよ。
「キョン、拗ねないでくれたまえ。僕はただほめているだけだ、以前に話したかもしれないが、
キミは授業を理解していないのではなくて理解しようとしていないだけではないかな?
現に、中学のときのテストでも、僕が教えたところだけは、ほぼ全部正解していたし。」
学校の授業中には羊がそこら辺を漂って俺を睡魔と言う魔物にひきあわせてるんだよ。
「くっくっ相変わらず面白いねキミは」
ところで佐々木よ、お前誰かを待ってるんじゃないのか?
「どうしてだい、キョン。僕は別に誰も待っていないさ。第一誰かと約束があるのなら
僕はキミに勉強を教えようかなどとは言わないと思うはずだ。キミがどうして
僕が誰かを待っていると思ったのか。ぜひとも教えてほしいね。」
そういわれてみればそうだな、どうやらテスト前で注意力が散漫になってるんだろうよ。
「どうしてかっていわれたら、それだな。」
そう言って、佐々木の胸元を指し示す。そこにあったのは、黒いラジオだった。
「このラジオは、確か前に見せたことがあったね。いつも君が先生に呼び出されて
それを待っているときだったかな。確かに、誰かを待っているのでもない限り、外で
わざわざラジオを聞くような変わり者は少ないかもしれない。ただ、今回は
買い物に行くついでにバスの中で聞いていただけのことさ。気に入っている番組が
この時間にあってね。」
買い物って、何買うんだ?
「服をね、先日目をつけていたものが、2着ほどあったんだけど、1着しか金銭的に
都合がつかないんだ。ちょうどいい、キョン、キミに決めてもらおうじゃないか。」

佐々木にぐいぐいと腕を引っ張られて、デパートに引きずり込まれる。やれやれ、
昔からこんなに強引なことがあっただろうか。せいぜい、傘を忘れたときに無理やり
入らされたぐらいだと思うんだがな。
「さて、キョンどちらが良いだろうか。キミのことだ、服にたいしたこだわりはないだろう
こんなときはむしろ悩まずに直感で決めてくれたほうが、いいのかもしれないね。」
そういわれてもな、さすがに決めかねるぜ、俺でも。
自分のならテキトーにこれでいいやで決められるんだが、そうだな。
いくらか手にとってじっくり見た後
「こっちだ。」
一方を示す。
「決めかねると言った割には存外あっさりと決めてしまったね、キョン。
一体どういった基準で決めたのかな。」
気にするな。第六感ってやつが俺にささやいてきたんだよ。
「では、そういうことにしておこうか。」
支払いを済ませて、俺たちは駐輪場へ向かう。
「しまったな。」
「ん、どうしたんだいキョン。何か買い忘れたものでもあったかな。昔からキミは
何かにつけ、遅刻したり、忘れ物をしたり、課題をやってこなかったりしたものだが」
「ああ、悪い、ノートと赤ペン。切れてんだ。すぐ戻るから。先に駐輪場行っててくれ。」
言うが早いか彼は走っていってしまった。
「まったく、こんなときは小さな買い物でも一緒にしたいと言うのが乙女心だと
わからないのかな。まあキョンらしいと言えばキョンらしいのだけど。」
はぁ、と浅いため息がこぼれる。私がこんなにも思っているのに
彼は何で気づいてくれないのだろう。ああ、そういえばラジオの電池が切れたんだった。
駐輪場へと向かいながらケータイを取り出す。1コールで反応。彼にしては早い
「キョン、僕だ。」
『佐々木、どうした?何かあったか?』
こんなときでも心配してくれる。彼のいいところであり好きなところでもある。
「いや、ただついでに単4電池を買ってもらおうと思ってね。
それとももう支払いは済んでしまったかな?」
『ああ、まだだ。わかった、ついでに買っとくよ
………………………ああ、はいそれで良いです。』
小さい声で彼の誰かとの会話が聞こえる。敬語を使っていることから推測するに店員だろう。
年上の女性の・・・まったくキョンは・・・
『じゃあ、切るぞ。いいか?』
「ああ、悪かった。頼むよ。」
それにしても、なぜノートと赤ペンを買うのに店員と話をする必要があるのだろうか。
妙にあせっていたようだけどそれと何か関係あるのだろうか。

「やあ、キョン、ノートと赤ペンを買うにしては少し遅かったね。」
悪かったな、ノック式の赤ペンが見つからなかったんだよ。
「で、勉強場所は、どうする。ここからだと俺の家が近いが。」
「そうだね、いや。やっぱり、僕の家ですることにしよう。久しぶりに君の自転車にも
乗りたいしね。」
「そうかい、そんなにいいもんか、あれが。」
「人の価値観はそれぞれさ。キミにとってつまらないものでも僕にとってはかけがえのない
ものだってあるだろう。その逆もまた然りだね。」
まあ、そうかもな。それにしても、あれからもう1年経ってるとはな。
「そうだね。キミは涼宮さんのおかげで楽しそうだね。忙しそうではあるけど。」
「そうかもな、お前はどうだ。何か楽しいことは?」
「先日話したばかりだが、やっぱり勉強のための勉強というのは押し付けられている
感じがしてどうも性に合わないし、キミがいないとこういった話をする相手がいなくてね、
すこしつらいかな。おっと、久しぶりでもろくなっているのかな。
いつになく弱気になってしまったようだね。何心配しなくても良いさ。
僕は大丈夫。なにせ今日キミに会って存分に話をしていられるからね。」
わるいな、わざわざ土曜日つぶしてまで勉強につき合わせて。
「キョン、それを聞いて僕はキミが僕の話を聞いているのか少しばかり不安になってきたよ。
つらいのは日々の勉強をすることによって消耗していく体力ではなく。
話す人がいないという孤独感からくる精神の消耗なわけだ。
そしてキミとの会話はその精神の消耗を回復する手段の一つなんだよ。」
わかってる。そういう意味じゃなくてだな、勉強以外のことができればよかったってことだよ。
「そうかもしれないが、それはまた次の機会にとっておこう。さて、ついたね。
僕としてはもう少し乗り回してもらいたい気もするが、そのせいでキミの勉強時間を
削るのも罪悪感があるしね。ああ、自転車はそこに置いておいてくれたまえ。」
久しぶりに入った佐々木の部屋は変わっていなかった。
変わったことと言えば教科書が中学のものから高校のものになり、辞書の数と参考書の数が
増えていることだろうか。相変わらず円卓と机とベッド、本棚しかない女の子らしからぬ
部屋に妙に安堵する。
「まずは数学からだ。さあ、教科書を出したまえ。キミにとっての最難関であり、
僕の最も得意とする教科だ。」
しばらくそうして佐々木に問題を出されては、悩み、教わりを繰り返していたところで
突然チャイムが鳴った、
「出てくるよ、そのあいだにこの問題を解いておきたまえ。」
時計を確認する、現在時刻は6:10。2分ほどして佐々木は、ピザとオレンジジュースを
もって現れた。
なんだそれは。
「ピザだよ。母が出張なので、頼んでおいたものだが、キミに会う直前に父から
飲み会の予定が入ったと連絡があってね。キャンセルしようかと思ったんだが、
そこでキミにあったというわけさ。どの道一人では食べきれない。夕食にしては
軽いかもしれないが、一緒に食べようじゃないか。」
ああ、ちょっとまて
そう言って、ケータイを取り出す。
「ああ、母さん。今日は友達と夕食食べることになったから。ああ、わかった。
大丈夫、金はあるから。」
「親御さんに連絡かい。賢明な判断だね。さすがにこれを食べたあとで普通の夕食は
厳しいだろうし。」
「そうだな、それはそうと、佐々木よ。ラジオをつけてくれないか。」
「いいよ。どこの番組だい?」
俺は、番組名を告げると
「ああ、僕も毎週聞いているんだ。ちょうど良かった。」
その番組は、投稿された詩を紹介したり歌を流したりしている、まあ、結構ありふれた
番組だ。
佐々木は、わざわざカセットに録音しているようだった。
「わざわざ録音しておくようなものか?」
「いや、キョン君と話をして聞き逃すこともあるだろうし、僕もふと書いてみたくなってね。
書いたのは良いんだが、送り先がわからないんだ。間違った先に送っても恥ずかしいし、
住所などの個人情報も記されている。間違いのないように録音しているだけさ。
いつもいつもしているわけじゃない。で、キョンはこの番組に投稿したことがあるのかな。」
ああ、2,3回な。
”さて、今週も多くの方からの投稿ありがとうございました。では早速いってみましょう。
まずは、ペンネームみちるさんからの投稿でタイトルは『時』だそうです。”
「それにしてもキョン。キミが、この番組を聞いていたとは思わなかったよ。」
そうかもな、俺だって自分が何で聞いてるのかわからない。ただ・・・・
なんとなく無性に聞きたくなってくるんだよ。たまにな。
「そうかい、なんとなくか、くっくっ、まったくキミらしいね。それとも僕が特殊なだけかな。
物事すべてに理由がなければいけないなんていう気はないけれど。娯楽を求めるのに、
面白いとか、何らかの情報を手に入れたいという理由すらなく聞いている。
ただ、何かを聞いていたいと思う。」
佐々木よ、そろそろわけがわからんぞ。
「そうかい。別に脈絡のない話をしているつもりもないんだが、まあいい、
せっかくだ。一緒に聞いていようじゃないか。」
そう言って佐々木は、ラジオのほうを指す。どうやら先ほどの詩がおわったようだ。
”さて、次は92,35s,00,さん。なんて読めばいいんでしょうねこれ?
何かの暗号のような気もしないでもないですが。からですね。タイトルは「SaKaSa」です。
どうやら、見紛う事なき恋の詩のようですね。

『あいつが俺に微笑む。その笑顔はただきれいだ。そこには俺への思いがあるのか。
ちがう、間違いだ。そんなはずがない。思い込みを即座に否定する。
あいつが俺の手を握る。思わず体が硬くなる。俺はあいつのことを思っているのか。
今のあいつに俺の手は届かない。容姿端麗、秀才、そんなあいつに・・・
この想いはあいつにとって迷惑なだけだろう。それでも想わずに入られない。
あいつの言葉に、しぐさに、表情に、心臓が高鳴る。
やめろ、勘違いするな。それは俺がそう思いたいだけ。
ただの、どこにでもいる凡人。ただ平凡なだけの俺はあいつと釣り合わない。
わかっていてもとまらない。あいつの言うとおりだ。恋はただの病気でしかない。
俺の想いは止まらない。それは、あいつにとって邪魔だろう。
わかっている。この想いをうずめて、隠して、笑う。いつかはきっと・・・』

さて、聞いているこっちが恥ずかしくなりそうな、まっすぐな詩ですが
だからこそ、胸にしみてきますね。私も若い青春を思い出しました。
ですが、なぜ「サカサ」なんでしょうね?名前と同じく何かの暗号とか?
このまま推測を続けるのも楽しそうですが。まだ、たくさんのお便りが、待っていますので。
次に移りましょう。”
「なんというか、熱いね。まったく僕には到底かけそうにない。あんなことをかける人もいる
世の中は広いね。キョン、そうは思わないかい?」
そうだな、どうやら、こいつの想い人はお前と同じようなやつらしいな。
「おや、どうしてだい?」
「終わりのほうにあったろう。『あいつの言うとおりだ。恋はただの病気でしかない。』って」
「そういえばそうだったね。何か引っかかりを覚えないでもないけれど。
まさか、キョンこれを書いたのがキミと言うことはないだろう?」
お前は俺がこんな恥ずかしいことかけると思ってるのか?
「そうだね。まさか、キョンほどの朴念仁がこんなことを書けるとは思ってないよ。
まあ、もしかしてとおもってカマをかけてみた。そんなところかな。
さて、キョンピザは食べ終えたようだね。そろそろ勉強に戻ろうか。」
「そうだな、でも、遅くなっても悪いし。そろそろ帰るさ。」
「そうかい、まあ、こんな時間だ。土曜日だし、いっそのこと泊り込みでもいいかとも
思ったんだけど、準備もなしにそれは無理だろうね。続きは明日にしようか。」
あ、明日もやるのか。
「何をいっているんだい。キョン。当然じゃないか。結局今日は数学と英語だけで
終わっているんだからね。少なくとも物理と科学だけはやっておかないと。」
そうか、明日・・・
「何か用事でも入っているのかい。それならば無理にとは言わないが、僕としては
やっておいたほうが良いと思うけどね。」
「いや、じゃあ、頼む。何時からだ?」
「14時ぐらいからかな。午前のうちに国語社会と今日の復習をしておくことをお勧めするよ。」
わかったよ。じゃあまたな。

そういうと彼は、帰っていった。もう少し遅くまで引き止めておくつもりだったのだが。
まあいい。また明日。約束はできたのだから。そのとき突然チャイムが鳴った。
父だろうか?それにしては早すぎる。キョンが何か忘れ物でもしていったのだろうか?
疑問に思いつつ玄関をあける。
「宅急便です。佐々木さんのお宅で間違いありませんね。」
「はい、そうですが。サインで良いですか?」
「はい、では、こちらにお願いします。」
誰からだろう。受取人は自分で、差出人の名前は書いてない。中に入っていたのは
「服・・・どうして?」
それは、今日買わなかったほうの服だった。あの服のことはキョンにしか見せてない。
それも今日のことだ。今日半日一緒に行動していたのだから、彼ではないはずだ。
とりあえずその服を広げて見る。間違いない。ほしかった服だ。
「あれ?」
服の中から一枚のカードが落ちてきた。そこには『少し早いけど誕生日おめでとう』
とだけ書いてあった。宅急便なのだから、誕生日に直接指定して贈ればいいものを。
だけど、差出人の名前はない。やはり、キョンなのだろうか?
裏を見ると。そこには『XY X:1→9=わ→か、Y:1↓5=あ↓お s=small』とかいてあった。
XYには2桁の数字が入るのだろう。でも、そんな数字は手元にない。
しばらく、考えながら、食事の後片付けを済ませる。服はハンガーにかけて近場にかける。
明日はこれを着よう。
5分ほど悩んでいるとメールがきた。どうやらパソコンのフリーメールから送っているようだ。
誰から送られてきたのかはわからない。ただし、タイトルは「挑戦状」
そして、中にはただ「逆」とだけ書かれていた。
ヒントのつもりだろう。確かにこれだけで十分だ。カセットを巻き戻して再生。
「次は92,35s,00,さん・・・・・・」この数字、Xは行をワ行から順に前に
Yはあからしたに順番と言うことなのだろう、この暗号は。
00はあ~をにふくまれない「ん」sは小さい文字だとすると。
「キョン?」
まさか、でも、服のことを考えるとやはり彼なのだろうか。
だとしたら一体どうして私にあんな詩を聞かせたのだろうか。決して私ではないだろう。
でもそれならなぜ私に聞かせたの。あぁキョン、一体何のつもりなの!!?
はぁ、明日どういう顔して会えばいいんだろう。

fin














番外

同時刻、佐々木が心の中であらざる奇声を上げていたころ
「閉鎖空間に『神人』とおもわれる人型存在を確認。周りの建築物を破壊しています。」
今までになかった報告を受けた橘はあせっていた。
「一体何が原因でこんなことに、彼は今自分の家にいる、電話しているわけでもないのに
でも、彼以外に佐々木さんをこんな不安定な状態にさせる人なんて・・・」
どうやら今夜は橘にとって眠れぬ夜になりそうなのだった。

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最終更新:2007年07月26日 12:20
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