36 名前: 371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg [sage] 投稿日: 2007/05/31(木) 20:46:17
本来くつろぎの空間であるはずの、衛宮家の居間。
だが、今やその空気は、戦場のそれと化していたのだった……!!
「では私の番ですね。
ルーレットは……おや、6ですか……1、2、3……っと」
「ええっと、そこは『Sランクアイドルに昇格。2000万円を得る』ですね」
「なにっ!?
チッ、やはり先ほどの『エージェント夜を往く』を阻止していれば……!
セイバー、まさかルーレットに仕掛けをしてはいないだろうな!?」
「いいえ、バゼット。
私は単に運が味方をしているだけです。
……ライダーあたりはどうだか知りませんが」
「失礼なことを言ってくれますね、セイバー。
このようなゲームで不正行為を働くような性根は持ち合わせていません。
……っと、また『真夜中の計画的犯行』のマスですか」
「わー、ライダーこれでもう赤ちゃんが5人目なのよー」
「甘いわ、ライダー! トラップカード『家政婦は見ていた』を発動!
これによって秘密裏に行われていた行動は全て無効となるのよ!」
「う……桜、そんなに自分に子どもが出来ないのが不満なのですか?」
「ふふふ、雛苺ちゃんの情操教育によくないマスによく止まるわよね、ライダーったら。
私なんて、正妻が無理だったから愛人関係なのに……」
「さ、桜、自信を持ってください!
籍を入れていなくとも、出産の可能性は残っています!
……さ、さあ、次は雛苺の番ですよ」
「うい! 雛が回すのー! ……えーと、4!」
「そこから4進むと……『なぜダイワハウスなんだ?』マス、ですね。
雛苺の持っている『姉は一級建築士』カードと併用すれば、豪邸を建てる事が出来ますよ」
「わーい! 雛ね、お菓子のおうちを建てるのよー!」
「これで、決算がかなり有利になったはずです。
良かったですね、雛苺」
「うん! 次はバゼットの番なのよ!」
「はい、わかりました。
それっ…………む、『今欲しいんだよね、君の力』マスですか。これで私も職につける……」
「あ、すみません、それに対して『働きたくないでござる』カードを使用します」
「なっ!? ま、間桐さん、先ほどからあなたは何枚妨害カードを持っているのですか?!」
「いえ、たまたまですよ、たまたま」
「しかし、これでバゼットは未だフリーターですか。
その上、すでに男を一人養っていますし、このままでは厳しいですね」
「ふっ、フリーターを馬鹿にしないで貰いたい!
それに、まだ共働きで倍返しという可能性が残っています!
……さあ、次は遠坂さんの番です!」
「ここで稼げば借金返済……ここで稼げば借金返済……」
「と……遠坂、さん?」
「凛は相当、切羽詰ってきてるわね。
まあ、約束手形があれだけ残ってるし、仕方ないかしらね?」
「イリヤスフィール、先ほど凛に『一心同体少女隊』マスの効果で約束手形を押し付けたのは、貴女だったと記憶していますが……」
「くっ、まだ、まだよ……次の決算日に『エスポワール号』で人生最大の賭けが残っているわ……!」
「凛、それに失敗したら地下王国送りになりますよ」
「ええ、わかっているわよセイバー。
その前に、お金を貸してくれる親切な人たちへの担保に息子を差し出すのが先よね?
なぁに、運が良ければどこぞのお嬢様が拾ってくれるわよ」
「あぁ……いえ、私からはもう何も言えません」
「よおーし、ようやく私の番ね!
桜ちゃん、株よ株! 株をちょーだい!!」
「藤村先生、株の前に保険に入っておいたほうがいいんじゃあ……」
「甘いわよ桜ちゃん、最後に勝つのは株を持っていた人間なのよ!
そして見なさい私のディスティニーロール!!」
「大河、そのマスは『ゴートの贋金』マスです。
今所持している金券の価値が全て半減しますよ」
「な、なんだってー!!」
37 名前: 371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg [sage] 投稿日: 2007/05/31(木) 20:47:09
居間のテーブルをどかせて作った、広い空間。
そこに車座になって座る、8人の女性の姿があった。
セイバー、遠坂、桜、ライダー、藤ねえ、イリヤ、雛苺、そしてバゼット。
彼女たち8人が、広げられた空間を使って、何かのゲームに興じている。
恐らくは藤ねえが持ち込んだのであろう、そのゲームは……俺にも見覚えがあるゲームだった。
「……人生ゲーム?」
そう、彼女たちが囲んでいるのは、すごろくを進めつつ、所持金を増やして勝敗を争うボードゲーム……人生ゲームだった。
なるほど、確かにこれだけの大人数、一緒に遊べるゲームとなると人生ゲームはいい選択だろう。
だが問題点もある。
人生ゲームに限らず、大抵のボードゲームやテーブルゲームって……人間関係が露骨に表れてくるんだよなぁ。
現に、参加者の半分以上はかなりエキサイトして、プレイしてるみたいだし。
唯一の救いは、みんな雛苺に対してだけは容赦のあるプレイをしているらしい、ということか。
「なお、この人生ゲームはフィクションであり、実際の現物とは一切関係がありません」
「ん? 衛宮、誰に向かって説明しているんだ?」
「いや、なんでもないよ、氷室」
……さて。
いつまでもここで見ているわけにも行かないだろう。
俺は覚悟を決めると、次の行動に移ることにした。
α:区切りのいいところで、みんなにブレイクタイムを申し出よう。
β:みんな昼食はまだみたいだし、今のうちに昼食を作ってしまおう。
γ:あっちは置いといて、氷室に座布団を勧めて二人で話をしていよう。
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最終更新:2007年05月31日 22:34