ゲスト(1)が出てきますが、キャプではありませんのであしからずー
長文御無礼。


紫炎姫:よお、使えない子ノシ
ステルスモモ:こんばんわっす
ステルスモモ:今日はのどっちさん来てないんすね
紫炎姫:来てたけど明日早いからって先に落ちた
ステルスモモ:あー、そうなんすか
ステルスモモ:実は私も明日早く出ないといけないんすよ
紫炎姫:朝から外出?
紫炎姫:どこ住んでるのか知らんけど、寒いのにご苦労なこったな
ステルスモモ:冬っすからねえ
紫炎姫:明日は全国的に寒くなるらしい
ステルスモモ:ひゃー、それなら明日はフル装備っすね
ステルスモモ:あ、卓が立たないのでしたらこれで
紫炎姫:おう、使えない子ノシ





 さくさくさくと昼の光にも負けずに残っている雪を踏んで進む。
 鶴賀学園を訪れるのは三度目だ。
 一度目は入試前日の下見、二度目は入試本番。
 そして、今日の合格発表。
(いやあ、見事に遅刻したっすよ)
 あふ、と小さな口から欠伸が漏れる。
 結局、ネトマは早々に退散してPCの電源も落としたが、布団の中でなかなか寝付けなかった。
(うーん、緊張とかしてたんすかねえ……)
 柄にもないっす、と小さく笑い、マフラーを口元まで引き上げる。
 中庭の掲示板の前は、無人だった。
 大半の受験生や保護者、学校の先生などは午前中のうちに確認を済ませているのだろう。
(えっと、1045……1045……)
 自分の名前と語呂が近いので受験票がなくても覚えている番号は、特に探すまでもなく見つかった。
 合格したといっても、特に感慨などはない。
 そもそも、第一志望だったとはいえ、ここを選んだのは徒歩で通えるからだ。
(朝、混雑している電車に乗るとか、できれば避けたいっすからね……)
 何もない空間だと思って勢いよく突進→そしてぶつかってこられるのは、正直、たまらない。
 高校に進学するにあたって一番心配していたところだが、どうやら大丈夫そうだ。
(あー、うん。それは純粋に良かったと思えるっすね)
 いつものようにフラットだった心が、ほんの少し浮き立つ。
 後からにしようと思っていた家族への報告に携帯電話を取り出し、メールを打ち始める。
 画面を見ながら踵を返そうとして――
 不意に、視線を感じた。
(―――――ッ!)
 勢い良く、振り返る。



 新しく割り振られた部室で、端正というよりは鋭さの勝る印象の女生徒が窓際に立っていた。
 ふう、と唇から吐息が漏れる。
「分かってはいるのだが、悔しいものだな。もう少し早く思いついていれば……ん?」
 無人の中庭を見つめている紫がかった瞳が、すっと細くなる。
「どうしたー、ゆみちん」
 雰囲気の変化を感じ取ったのか、何枚ものA4コピー紙をペタペタ貼り合わせていた女生徒が後ろから声をかけてきた。
 いや……今、掲示板の前に誰か受験生がいたような気がするんだが」
「もう昼休みなのに、ですか?」
 奥の長テーブルで同じように作業していた黒髪をポニーテイルにした女生徒が口を挟む。
「合否の確認ならだいたい午前中に終わってるかと。雪が反射して光ったのではないでしょうか?」
「誰か在校生が知り合いの番号を確認してるんじゃないのかー」
「いや、違う。少なくとも学校指定のコートではなかった」
 ではどういうことだと中庭を見つめたまま思考に没頭しはじめた女生徒の意識を、あの、とポニーテイルの女生徒が遮った。
「これ、一応、完成したのですが……どうしましょうか?」
「こっちもできたぞー」
 それぞれ、手元で作業していたA4コピー紙の貼り合わせを掲げる。
 A4を縦に三枚、横に三枚。合計九枚貼りあわせて、手軽に大きく印刷するポスター印刷と呼ばれるものだ。
「さっそく窓に貼り出すとしよう」
「わっはっはー。この押っ取り刀テイストがうちらしくていいなあ」
「そう言うな、蒲原。合格発表は間に合わなかったが、まだ入学説明会がある。在校生へのアピールにもなるし、速やかに貼って損はないはずだ」
「それはそうだけどさ。ゆみちん、授業中に『ナイスアイディアを思いついた!』と立ち上がって叫ぶのはやめたがいいぞー」
「……それは言わないでくれ」
 振り返って、こほん、と咳払いをする。
「先輩……」
 ポニーテイルの女生徒が、なんともいえない表情を浮かべた。
「ほらみろ、睦月に呆れられてしまったではないか!」
 少し顔を赤らめながら、さっきまで立っていた窓際に椅子を寄せる。
「蒲原、私が上を貼るから下は任せた。睦月は両面テープを貼って渡してくれ」
 ローファーを脱ぎ、椅子の上に立ち上がった。


 振り返ったが、誰もいない。
(視線を感じたっすけど……気のせいっすよね)
 ネット上であればともかく、リアルで誰かに見つけられるはずがない。
 それでも一応、中庭の向かいに建っている三階建ての校舎を見つめる。
 全ての窓を確認したが、誰の姿もみあたらなかった。 
(……やっぱ、気のせいだったっすね)
 今度こそ帰ろうとした時に、校舎の三階に人影が現れる。
(まさか、さっきの視線の主――?)
 驚きで目を見張ったが、女生徒はこっちを気にした様子は全くない。
 後ろから受け取った紙を、ガラスにはりつけ始めた。
 模造紙か何かで大きなポスターを作ったらしく、それが横に並べられていく。
(……えっと、麻、雀、部、入、部、歓、迎……って、麻雀部っすか!)
 高校の公式サイトの部活紹介には載っていなかったはずだ。
 唯一の趣味らしい趣味なので一番にチェックしたので、間違いはない。
(実はあったんすね……あるいは、最近できたばかりなのかもしれないっすね)
 少し、興味を引かれた。
 しかし、入部しようなどとは思わない。
 リアルで人に関わるつもりは全くない。
 コミュニケーションと面倒さを天秤にかけて――今のこの状況がある。
(ひとごみの中とかはかなり大変っすけど、他には別に嫌なわけじゃないっすからね)
 ただ、と口の中だけで呟く。
 心に思い描くのは、最近いつも通っているあのネトマの部屋だ。  
(もし……ここの麻雀部でもオンライン対戦とかできるのなら)
 ちょっと参加してみてもいいかもしれないっすね――
 マフラーの下でわずかに口元を緩め、今度こそ帰路についた。



ステルスモモ:こんばんわっす
紫炎姫:使えない子ノシ
のどっち:おう、今日も俺に飛ばされにきたか
のどっち:つっても、今日は俺いろいろあってなー
ステルスモモ:いろいろっすか?
のどっち:おうよ、普段行かないところとか行くと疲れる
のどっち:つっても、これから慣れないといかんわけだが……
のどっち:ああ、面倒だ。いっそネットで全部済ませられんものか
紫炎姫:リアルの愚痴なら余所でやれ
のどっち:あー悪ィ悪ィ
ステルスモモ:まあまあ、今のくらいは問題ないんじゃないっすかね
紫炎姫:
のどっち:
ステルスモモ:……? どうしたっすか?
紫炎姫:どうした、何があったんだ
ステルスモモ:何がっすか?
紫炎姫:なーんか、いつもと違うぞ
ステルスモモ:そうっすかね?
のどっち:確かに、今日のフォローは感じが違う気がするな
ステルスモモ:自分じゃ気が付かないっすけど……あ
ステルスモモ:そういえば、私も今日は用があって出てたんすよ
ステルスモモ:そこで、ちょっと面白いことがあったんす
紫炎姫:リア充は氏ね
ステルスモモ:ちょww
ステルスモモ:何故にそれくらいでリア充認定なんすかw
のどっち:充分リア充だろ
ステルスモモ:のどっちさんまでw
のどっち:俺が慣れない道をひーこら歩いてる時に面白いこと体験しやがるのは許せんな
紫炎姫:よーし、もっと言ってやれww
のどっち:お前も、さっきのもう一回言ってやれよ
紫炎姫:リア充は氏ねw
のどっち:紫炎姫、通報しますたm9(^Д^)
紫炎姫:ちょwwwwwおまwwwww
紫炎姫:テメエもさっき同じこと言っただろうがゴラァ!!!!
のどっち:いってませーんww
のどっち:書いたのは(ryだけでーすwww
紫炎姫:小学生かww
のどっち:じゃあ、小学生に麻雀で負ける紫炎姫さんマジカコワルイwww
紫炎姫:テwwメwwエwww
ステルスモモ:……普段はあんなに罵倒しあってるのに、息ぴったりっすねw
紫炎姫:お ま い は こ れ が 仲 良 し に 見 え る の か
のどっち:こ の 負 け 犬 と 仲 良 し と か ま っ ぴ ら だ
ステルスモモ:ほらw
紫炎姫:
のどっち:
ステルスモモ:フツーに仲良いっすよ?
紫炎姫:ぐぬぬ
のどっち:ぐぬぬぬ
ステルスモモ:またまたw
ステルスモモ:そういうところみせられると仲良いなあって思うっすよw
紫炎姫:
のどっち:
紫炎姫:……ちっ
紫炎姫:ま、仲とかどうでもいいさ。ここでやることは麻雀だけだしな
のどっち:ああ、まーなー
のどっち:今日はもう落ちるつもだったが、止めた。ちょっと打ってやる
のどっち:この負け犬に俺との実力差ってもんを分からせてやんねーとなw
紫炎姫:ふざけんなw
紫炎姫:てことで、リア充
紫炎姫:ロビーに行って誰か呼び込んでこい
ステルスモモ:えー、私っすか?
紫炎姫:リア充逝け
のどっち:リア充行け
ステルスモモ:orz
ステルスモモ:ステレオで言われたらしかたないっすねえ……じゃ、ちょっと誰かに声かけてくるっすよ


ステルスモモさんが退室しました

ステルスモモさんが入室しました
ゲスト(1)さんが入室しました


ステルスモモ:戻ったっすよー
紫炎姫:使えない子ノシ
のどっち:おう、早かったな
ステルスモモ:あー、ちょうど余っていた人がいたっすから
ゲスト(1):よろしく頼む。
ゲスト(1):実際の麻雀はともかくネットでは慣れていないもので、不調法の段は勘弁してくれ。
のどっち:あー、おkおk。そんなお行儀のいい連中じゃねーし
紫炎姫:スタートすんぞ
ステルスモモ:頑張るっすよ
ゲスト(1):ああ。


~対局開始~

~対局終了~


のどっち:ば……
紫炎姫:馬鹿な……
ゲスト(1):ふむ、トップだったな。
ステルスモモ:ゲストさん、強かったっすねー
紫炎姫:使えない子でしたorz
紫炎姫:つか、尻上がりに調子が良くなってどうにもできねえYO!
のどっち:あ、ありえねえええええええええええ!!!!!!!!!!!!
のどっち:もう一回だ、もう一回打つぞゴルァ!!!!!!!
紫炎姫:もちつけww
ステルスモモ:気持ちは分からなくもないっすけど、とりあえず落ち着くっすw
ゲスト(1):再戦の申し込みは光栄だがね、
ゲスト(1):寄る年波には勝てなくてな。もう眠いので勘弁してくれないか。
のどっち:テメエ勝ち逃げとか許されると思ってるのかよ!!!!!!!
紫炎姫:また来てもらえばいいじゃないか
ゲスト(1):それは難しいな。
ゲスト(1):今は出張先の鹿児島のホテルでね。たまたまパソコンが空いていたから、大沼さん……いや、知り合いに教えてもらっただけなんだ。
ステルスモモ:あ、そうなんすか
ゲスト(1):ああ。
ゲスト(1):しかし、君たちはずいぶんネット麻雀には慣れているようだが、やはり若いのだろうか?
のどっち:そういうのを聞くのはタブーだっつーの
ゲスト(1):そうなのか、済まなかったな。
ステルスモモ:あー、他の人は知らないっすけど、私は否定しないっすよ
紫炎姫:まあ、俺も若いっちゃ若いだろうな
のどっち:んじゃ、俺、小学生w
紫炎姫:おいwwwwww
ステルスモモ:まだそのネタ引っ張るっすかwww
ゲスト(1):小学生でその打ち筋とは……後輩恐るべし、だな。
紫炎姫>のどっち:おい、小学生って信じてるじゃねーかwwww
ステルスモモ>のどっち:小学生ネタ信じちゃったっすよwwww
のどっち>紫炎姫>ステルスモモ:俺にも想定外wwwどうしようか焦ってますwwww
ゲスト(1):ふむ……それなら、孫にパソコンを贈るのも良いかもしれないな
のどっち:ちょwww孫ってwwww
紫炎姫:ブーメランを承知の上であえて言うぞ
紫炎姫:孫のいるジジイに負けるのどっちさん乙wwwwwwww
のどっち:つ鏡
ステルスモモ:つ鏡
紫炎姫:あーあー、何も見えない聞こえない
紫炎姫:そして、強引に話を変えるww
紫炎姫:マナー違反だって分かってるけど、聞くわ。孫いくつ?>ゲスト爺さん
ゲスト(1):今度の四月に高校一年になる。
紫炎姫:だったら今すぐPC与えても問題ないだろ
のどっち:だな。つか、今までもたせてないほうがびっくりだ
ステルスモモ:そうっすね。いろいろ便利なんで、贈るべきだと思うっすよ
ゲスト(1):そうか。いや、聞いてみてよかった。
ゲスト(1):そもそも、出張で家を空けることも多くてね、その間独りで留守番をさせているから、なかなか麻雀の相手をしてやれなくて困っていたんだ。
ゲスト(1):こうやってネットで麻雀をすることができると、本人の研鑽にもなると考えてな。
ステルスモモ:……実はお孫さんて結構強いっすか?
ゲスト(1):一応は、プロ志望だ。私から言わせればまだまだ未熟だが、同年代の間では強いのではないかな。
ゲスト(1):君たちとは年代が近いようだから、いつかは対戦する機会があるかもしれない。
のどっち:ハッ、プロ志望だがなんだか知らねーけど、俺がボコボコにしてやるっての
ステルスモモ:リアルじゃ無理っすけど、ネット対戦でしたらいつでも受けてたつっすよ!
紫炎姫:デジタルネイティブとしては、今からネット麻雀始めるヤツに負けるつもりはねえな
ゲスト(1):ふふ、みな自信があるようだな。孫にも強敵がいると伝えておくよ。
のどっち:首を洗って待っとけよ
ゲスト(1):意味が分からない発言もいろいろあったが、なかなか有意義な時間だった。
ゲスト(1):それではお休み。寒いので風邪を引かないよう気を付けなさい。

ゲスト(1)さんが退室しました

のどっち:
ステルスモモ:
紫炎姫:
ステルスモモ:……風邪を引かないようにーとか何だか久しぶりに聞いた気がするっすよ
のどっち:あー、俺も独り部屋だしな。お休みくらいは言うが、それだけだよな
のどっち:……今日はここで終わるか
ステルスモモ:そう、っすね
紫炎姫:まあ、いいんじゃないか
のどっち:じゃあまたな。風邪とか引いてネット繋げねえとかヘマするなよ
ステルスモモ:こっちの台詞っすよ。暖かくして寝るっすよ
紫炎姫:……今日はワイシャツ一枚はやめておくか
のどっち:
ステルスモモ:



以上です。
モモたちがまだ中三(高校入学前)の時の話です。
鶴賀というかモモの過去話はでっちあげなので、鶴賀ピクドラの発売日までに、と急ぎました。公式で書かれるまえに……というやつですよー。

  • GJでした!!!最初はかつ丼さんかと思ってたけど南浦プロだったかwこれでnamberもネットができるように…良い話だ -- 名無しさん (2009-12-02 16:01:40)
  • 南浦プロ最近大活躍だなw -- 名無しさん (2009-12-02 17:55:20)
  • GJっすじいさんが孫思いのいい人に見える…まぁ悪いイメージもなかったが -- 名無しさん@お腹いっぱい (2009-12-02 18:02:27)
  • もっと鉄火場チックな雰囲気だったが
    のどっちと逆にオンラインでは丁寧になるタイプかな

    のどっちの台詞「リア充は(ry」を探し回っちまったぜ -- 名無しさん (2009-12-03 20:08:26)
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最終更新:2009年12月03日 20:08