ある日の夜のこと
「なぁ礼奈、もう良いだろ?」
礼奈の正面にまわる。
「ダメ!まだぬれてないのっ!」
礼奈は必死に両腕で隠そうとするが、俺は男の上に年上だ。礼奈が力で俺に敵うはずも無く、簡単に腕をどかしてやる。
「なんだもうぬれてるじゃん・・・うっわ、びしょ濡れだ。テカテカしてるな」
「恥ずかしいよぅ・・・見ないで兄さん・・・」
礼奈は顔を真っ赤にして今にも泣きそうな声だ。
礼奈の正面にまわる。
「ダメ!まだぬれてないのっ!」
礼奈は必死に両腕で隠そうとするが、俺は男の上に年上だ。礼奈が力で俺に敵うはずも無く、簡単に腕をどかしてやる。
「なんだもうぬれてるじゃん・・・うっわ、びしょ濡れだ。テカテカしてるな」
「恥ずかしいよぅ・・・見ないで兄さん・・・」
礼奈は顔を真っ赤にして今にも泣きそうな声だ。
「私が絵下手なの知っててどうしてそんなイジワルするのかな・・・?」
「ゴメンな・・・でも、流石にこれは水つけすぎだろ・・・紙フニャフニャになってるぞ」
今言った通り、礼奈が言う『絵』は水に浸したようにフニャフニャである。
「こんな絵でよく美術学校入ったな・・・いや入れた、と言った方が正しいか?」
礼奈の通っているのは大学の中の美術の専門クラスだ。
この学校はさらに高校クラスと大学クラスに分かれていて、礼奈は高校クラスから美術専門に通っている。
「だって美術専門って言っても、入学試験で絵を描くわけじゃなかったんだもん。」
入学試験は絵に関する知識の筆記テストで、授業は絵の上手い下手に係わらずに基礎知識からの講習と、定期的な実践だ。
絵が好きだが上手いわけではない礼奈にとって、最高の学校だったらしい。
ちなみになぜ今礼奈が絵を描いているかと言うと、別に大学の話がしたかったわけではなく、課題として『身近な静物』を書く事になってるからだ。
「そういやそうだったっけな・・・んで、そんな絵を提出するのか?」
「うぅ~、それは・・・」
「仕方ねぇな・・・ちょっと道具貸せ」
「え?」
礼奈はちょっと驚いてたが、素直に俺に道具を貸してくれた。
まず下書きは簡単に。続いて手前のものから順に塗り、背景を薄く塗る。最後に細かい所を調整して・・・っと。
「ほれ。こんなもんだろ。」
できた絵を礼奈に見せる。礼奈はただ驚いた顔のまま固まっていた。
「・・・す、すごーい・・・」
数分して出てきた言葉がこの一言。実は俺、絵には多少自身がある。ニートになる前は画家目指してたくらいだ。
「これはお前が書こうとしてた絵と同じテーマだぞ」
そう俺が言うと、礼奈は自分の絵と俺の絵を見比べて・・・真っ赤になった。
「なんならこの絵出すか?」
「いや、いいよ。学校行く度その絵見る事になったら、私学校行けなくなる・・・それよりアドバイスかなんかしてよ」
どうやら余計自信を無くしたらしい。
「ゴメンな・・・でも、流石にこれは水つけすぎだろ・・・紙フニャフニャになってるぞ」
今言った通り、礼奈が言う『絵』は水に浸したようにフニャフニャである。
「こんな絵でよく美術学校入ったな・・・いや入れた、と言った方が正しいか?」
礼奈の通っているのは大学の中の美術の専門クラスだ。
この学校はさらに高校クラスと大学クラスに分かれていて、礼奈は高校クラスから美術専門に通っている。
「だって美術専門って言っても、入学試験で絵を描くわけじゃなかったんだもん。」
入学試験は絵に関する知識の筆記テストで、授業は絵の上手い下手に係わらずに基礎知識からの講習と、定期的な実践だ。
絵が好きだが上手いわけではない礼奈にとって、最高の学校だったらしい。
ちなみになぜ今礼奈が絵を描いているかと言うと、別に大学の話がしたかったわけではなく、課題として『身近な静物』を書く事になってるからだ。
「そういやそうだったっけな・・・んで、そんな絵を提出するのか?」
「うぅ~、それは・・・」
「仕方ねぇな・・・ちょっと道具貸せ」
「え?」
礼奈はちょっと驚いてたが、素直に俺に道具を貸してくれた。
まず下書きは簡単に。続いて手前のものから順に塗り、背景を薄く塗る。最後に細かい所を調整して・・・っと。
「ほれ。こんなもんだろ。」
できた絵を礼奈に見せる。礼奈はただ驚いた顔のまま固まっていた。
「・・・す、すごーい・・・」
数分して出てきた言葉がこの一言。実は俺、絵には多少自身がある。ニートになる前は画家目指してたくらいだ。
「これはお前が書こうとしてた絵と同じテーマだぞ」
そう俺が言うと、礼奈は自分の絵と俺の絵を見比べて・・・真っ赤になった。
「なんならこの絵出すか?」
「いや、いいよ。学校行く度その絵見る事になったら、私学校行けなくなる・・・それよりアドバイスかなんかしてよ」
どうやら余計自信を無くしたらしい。
その頃、タマとキルケは二人の様子を見ていた。キルケは武装の手入れをしている。
「ますたーの絵、はじめて見るなぁ」
「そうなんですか?てっきりしょっちゅう見せているかと思ってましたよ」
「私がおうちにきたとき、ますたーがもってた絵のどうぐぜんぶしまっちゃったの。だからますたーがかいた絵をみるのははじめて」
「(タマがこんなに喋ったのも初めてですね・・・)」
キルケはそんな事を思いながら武装の手入れに戻った。
「ますたーの絵、はじめて見るなぁ」
「そうなんですか?てっきりしょっちゅう見せているかと思ってましたよ」
「私がおうちにきたとき、ますたーがもってた絵のどうぐぜんぶしまっちゃったの。だからますたーがかいた絵をみるのははじめて」
「(タマがこんなに喋ったのも初めてですね・・・)」
キルケはそんな事を思いながら武装の手入れに戻った。