ダゴンちゃん敗北す
ダゴンちゃん戦記
オーナーの私がこう言っては何だが、ダゴンちゃんは強い。
今まで26戦26勝。
ぶっちゃけ無敵街道爆進中だ。
それもこれも、機械マニアの姉に改造してもらった装備のおかげ。
見た目こそ普通のマリーセレスだが、装甲防御と自動攻撃能力は現行神姫の最先端を行く性能だ。
下位の神姫はもとより中位の神姫も殆ど相手にならない。
強さを求めるオーナーにとっては、最上級の武装神姫だと言っても過言ではないはず。
今まで26戦26勝。
ぶっちゃけ無敵街道爆進中だ。
それもこれも、機械マニアの姉に改造してもらった装備のおかげ。
見た目こそ普通のマリーセレスだが、装甲防御と自動攻撃能力は現行神姫の最先端を行く性能だ。
下位の神姫はもとより中位の神姫も殆ど相手にならない。
強さを求めるオーナーにとっては、最上級の武装神姫だと言っても過言ではないはず。
「問題は。私が欲しかったのは、着せ替えして遊べる神姫だったって事かしら?」
ところがあのタコ、服には全く興味を示さないでやんの。
可愛いワンピも、豪華なドレスも、背徳的なゴシックも―――。
可愛いワンピも、豪華なドレスも、背徳的なゴシックも―――。
「服とかはいい、お前の罪を数えるのだ」
とか言って着てくれなかったし。
「あーあ。黙ってればすっごい可愛いんだけどなぁ、ダゴンちゃん」
人間で言ったら、100人中100人が美少女と評して止まないだろう容姿だ。
神姫は赤壁を初めとした、ごく一部を除いて美少女揃いなのだが、マリーセレスの魅力は頭一つ飛び出ていると私は思う。
カナン神話は水の豊穣神から名を貰ったダゴンちゃんは、数あるマリーセレスの中から選びぬいた特上美少女だ。
少なくともこの子以上に可愛い神姫を私は知らない。
神姫は赤壁を初めとした、ごく一部を除いて美少女揃いなのだが、マリーセレスの魅力は頭一つ飛び出ていると私は思う。
カナン神話は水の豊穣神から名を貰ったダゴンちゃんは、数あるマリーセレスの中から選びぬいた特上美少女だ。
少なくともこの子以上に可愛い神姫を私は知らない。
親馬鹿じゃないわよ? ホントに可愛いんだから。
口さえ開かなきゃ。
あと変な事しなければ。
あと変な事しなければ。
「はぁ。着てくれないと分っていても、買ってきてしまう可愛いオヨ服」
朝一でゲットした本日の購入物はスクールスタイル。
ブレザー一式と上に着るコート。
ソックスやローファ等も完備した、正に至上のコスチューム。
ブレザー一式と上に着るコート。
ソックスやローファ等も完備した、正に至上のコスチューム。
「ただいま~、ダゴンちゃん居る?」
……。
玄関開けても返事は無い。
休日なので姉は寝ているのだろう。
あの姉、機械弄りは神懸っているが、それ以外のあらゆる才能を神に剥奪された一種のダメ人間だ。
料理一つまともに出来ないが、料理マシンを作って料理を作らせたらやたら美味かったのでムカついた。
玄関開けても返事は無い。
休日なので姉は寝ているのだろう。
あの姉、機械弄りは神懸っているが、それ以外のあらゆる才能を神に剥奪された一種のダメ人間だ。
料理一つまともに出来ないが、料理マシンを作って料理を作らせたらやたら美味かったのでムカついた。
まぁあの姉はいい。
毒にもならんが薬にもならん。
問題はダゴンちゃんだ。
アレは喩えるなら致死量をはるかに越えた猛毒だ。
はんどるびーけあふりーである。
そもそもあのタコ―――。
毒にもならんが薬にもならん。
問題はダゴンちゃんだ。
アレは喩えるなら致死量をはるかに越えた猛毒だ。
はんどるびーけあふりーである。
そもそもあのタコ―――。
「べちゃり」
「―――うぎゃぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「―――うぎゃぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
何か今べちゃって!! べちゃって!!
首筋に何か落ちてきた!!
へばりついた!!
首筋に何か落ちてきた!!
へばりついた!!
「孤独を愛するあまり孤独死しそうでした~」
「やはり貴様かぁー!!」
「やはり貴様かぁー!!」
首筋から吸着機でへばり付いてたダゴンちゃんを引っぺがして床に叩きつける。
乱暴とか言う無かれ。
コイツ、べちゃっとか床に張り付いて全然応えてないし。
乱暴とか言う無かれ。
コイツ、べちゃっとか床に張り付いて全然応えてないし。
「プルプル。私は悪いマリーセレスじゃないよ?」
「かなりギリギリ、グレーゾーンよ!!」
「寂しくて死ぬかと思たですし」
「兎ってガラ?」
「ダゴンちゃん触手です」
「かなりギリギリ、グレーゾーンよ!!」
「寂しくて死ぬかと思たですし」
「兎ってガラ?」
「ダゴンちゃん触手です」
はいはい、そうでした。
クラゲ型かと勘違いしてたのは私ですよ。
クラゲ型かと勘違いしてたのは私ですよ。
「…いや、ほら。クラゲ可愛くない?」
「イマイチですかもー」
「可愛いと思うんだけどね」
「イマイチですかもー」
「可愛いと思うんだけどね」
水族館でクラゲの水槽前に一日居ても飽きないし。
「虚しい青春送てますのねー」
「虚しくないよクラゲ? いやほら、可愛いは正義じゃない!?」
「んー、微妙ですかもー」
「虚しくないよクラゲ? いやほら、可愛いは正義じゃない!?」
「んー、微妙ですかもー」
そう言って壁にへばりつき、緩慢に登って行くダゴンちゃん。
「それではますたーも落ち着いた所で再会のハグを~」
「せんでいいわ!!」
「せんでいいわ!!」
天井から奇襲するのは敵相手だけにして欲しい。
「それより新しい服を勝って来―――」
「嫌(や)ですー」
「―――って早っ!!」
「嫌(や)ですー」
「―――って早っ!!」
ぴゅーっと走り去るテンタクルス。
そんなに早く移動できたのか。
あと如何でもいいけど、壁から降りろ。
そんなに早く移動できたのか。
あと如何でもいいけど、壁から降りろ。
「ホントにあの子は仕方の無い」
だが、嫌がるものを無理強いさせるのもアレなので、姉さん起こして早めのお昼にするとしよう。
◆
「水の中は落ち着くですしー」
水中にたゆたい安息を得るダゴンちゃん。
神姫にとって水の張ってあるお風呂は格好のプールだ。
水中戦の練習からレジャーまでお手軽に楽しめる。
神姫にとって水の張ってあるお風呂は格好のプールだ。
水中戦の練習からレジャーまでお手軽に楽しめる。
「ふわふわ。とってもいい気分ですかも」
まどろみの中で、自我が拡大してゆく。
「このまま世界征服とかできるかも知れぬです」
えらくすごい方向に拡大していた。
「でもめんどいですし、明日にするですよ」
そして早々に救われる世界。
ダゴンちゃんはゆらゆらと水中を漂う。
ダゴンちゃんはゆらゆらと水中を漂う。
「このままますたーがお風呂に入って来るのを待つですねー」
武装神姫は大概そうだろうが、ダゴンちゃんも例に漏れずマスターが大好きである。
四六時中へばり付いていたい位だが、何故かマスターはへばりつくと絶叫して引っぺがしにかかる。
もしくはへばりつく前に阻止されるか、だ。
ならばへばりつくには如何したらいいか?
答えは一つ。
マスターの意識していない時に、有無を言わさずへばり付いてしまえばいいのだ。
四六時中へばり付いていたい位だが、何故かマスターはへばりつくと絶叫して引っぺがしにかかる。
もしくはへばりつく前に阻止されるか、だ。
ならばへばりつくには如何したらいいか?
答えは一つ。
マスターの意識していない時に、有無を言わさずへばり付いてしまえばいいのだ。
「湯船に入ってきたらペッタリするですよー」
ワクワク楽しみ。
マスター大好き。
マスター大好き。
ダゴンちゃんに悪意は無い。
あるのはただ、(あらぬ方向に行き過ぎた)愛だけである。
あるのはただ、(あらぬ方向に行き過ぎた)愛だけである。
「ふわふわポカポカ気持ちいいですし」
人肌の温かさは好きだ。
もっとマスターにペッタリしたい。
もっとマスターにペッタリしたい。
「早くますたー来ないかな?」
ぬくぬく。温か。
「そう言えば来月から海ステージ解禁ですねー」
陸地は水没したビル群の屋上のみと言う素敵ステージだ。
天海では冷遇がちな、空戦型神姫や水中型神姫にとっては待ち望んでいた戦場でもある。
天海では冷遇がちな、空戦型神姫や水中型神姫にとっては待ち望んでいた戦場でもある。
「ますたー連れて行(い)てくれるでしょかー」
機会があれば件の海ステージで熱闘を繰り広げてもいい。
戦うのは特に好きでもないが、戦場の空気は好きなのだ。
あの、えも言われぬ緊張感はオーナーさんには分るまい。
戦うのは特に好きでもないが、戦場の空気は好きなのだ。
あの、えも言われぬ緊張感はオーナーさんには分るまい。
「あー。でも最近はそうでも無いですかも」
ライドオンシステムとか有るらしいし。
「ますたーにライドオンしてもらうのもいいですかもー」
ぐつぐつ。
マスターと一心同体になるのは、何だか少し恥ずかしい。
マスターと一心同体になるのは、何だか少し恥ずかしい。
「ほっぺ赤くなりそですよー」
水面から顔だけ出して、ぷしゅーと口から湯気吐くダゴンちゃん。
なんだかとっても身体が火照る。
なんだかとっても身体が火照る。
「むにー、なんだか意識がもーろーとして来たかもですしー」
熱い。
水面がぐらぐら揺れている。
水面がぐらぐら揺れている。
「もーだめ」
夢現(ゆめうつつ)の狭間で、ダゴンちゃんは自らの意識を手放した。
◆
「ぎゃぁーーーーーーーーーーーっ!! ダゴンちゃんがお風呂で煮えてるぅーーーーーーーーー!!」
湊の絶叫が貴宮家の風呂場に響き渡ったのはそれから一時間後だった。
対戦成績
引き摺りこむ深海聖堂:ダゴンちゃん。
VS姉ちゃん:はいぼく。設定温度50度は、既にお風呂じゃないとおもう。
引き摺りこむ深海聖堂:ダゴンちゃん。
VS姉ちゃん:はいぼく。設定温度50度は、既にお風呂じゃないとおもう。
ダゴンちゃん敗北す・完!!
貴宮家のお風呂は台所から遠隔操作で給湯、過熱ができます。
そして姉ちゃんは熱いお風呂が好き。
そして姉ちゃんは熱いお風呂が好き。
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