「鬼はー外ー、福はー内ー」
「おにはーそとー♪、ふくはーうちー♪」
この季節になるとどこの家からも威勢の良い声と共に豆の散らばる音が聞こえてくる
この紅魔館でも例に漏れず豆撒きが開催されていた
「うー☆ うー☆ つぎはあっちにまくどぉ~♪」
「あんまり散らさないでね、片付けるのが面倒だから」
「だいじょうぶだどぉ~♪ でかけてくるどぉ~♪」
「はい、いってらっしゃい・・・ん?」
パチュリーの元を離れ一人で豆撒きを開始するれみりゃ
とはいっても広い図書館。豆を撒き散らしながら入口へ向かっていく
「うー♪ こあー♪」
「あら、れみりゃ嬢。どうしたんですか?」
図書館の出口付近で小悪魔に見付かるれみりゃ
不思議そうな目で見て来る小悪魔に事情を説明する
「豆まきしてるんだとぉ♪」
「なんですか?それ」
「おにさんをやっつけるんだどぉ♪」
「鬼を・・・ですか?ここには鬼はいませんよ?」
「このおめんをつけておにさんのかわりをやってほしいどぉ♪」
「こんな感じで良いですか?」
「うー♪ にあってるどぉ♪」
頭につけていたお手製の鬼のお面を小悪魔につけてもらい準備は完了
再び豆撒きの再開である
「ではいきますよ・・・がおー!!たーべちゃうぞー!!」
「うー♪ たーべられちゃうどぉー♪」
「れみりゃ嬢・・・食べられちゃ駄目ですよ・・・」
「そうだったどぉ☆ おにはそと~♪」
「うわーやーらーれーたー!!」
少々大げさなリアクションを取りながら床に倒れる小悪魔
鬼を倒したれみりゃはご機嫌らしく踊っている
「う~♪ かったどぉ♪ うー♪ うー♪」
「いたた・・・はいれみりゃ嬢、お面返しますね」
「ありがとうだとぉ♪ おしごとかんばってねぇ~♪」
とてとてと走っていく背中を見送ったあと自分の回りを見る
これだけの豆を持っていたのだ、多分ここだけではない
自分の主と奥でもっと撒いているはずだ
「ふう、図書館の豆掃除今日中に終わるかなぁ・・・」
つい溜息が出てしまうが口元は笑っていた
その後も屋敷の中を歩きながらそこかしこに豆を撒いていく
最後に向かったのは門番である美鈴のところ相変わらずシエスタの真っ最中であった
起こさないようよじ登り頭に鬼のお面を乗せる
「うー♪ つぎはめーりんがおにだどぉ♪」
「zzz・・・」
「おには~そと~♪ うっ♪う~♪」
「んあ・・? れみりゃ嬢? なにしてるんですか?」
「まめまきだどぉ♪ おにはやっつけるどぉ♪」
「豆撒きって・・・!? 咲夜さーん!! パチュリー様ー!!」
突然大声で咲夜とパチュリーを呼ぶ美鈴
なぜなられみりゃのもっていた豆は『炒った豆』
この館の主の弱点だったのだ
「な、な、なんでそんなものも持ってるんですか!?」
「うー? ぱちゅりーがくれたんだどぉ?」
「パチュリー様が? なぜ?」
「きょうは『せつぶん』だっていってたんだどぉ?」
「よく事態が飲み込めないですけど・・・」
待つ事数刻、合流した咲夜とパチュリーから今回の事件についての説明を受ける美鈴
「そういうことだったんですか・・・びっくりしましたよ」
「悪い事をしたわね。次からは事前に説明するようにするわ」
「つぎはしゃくやがおにのばんだどぉ♪」
「えっ!? まだやるんですか? 館の片づけがまだ・・・」
とは言いつつも鬼の面を頭に被る咲夜
「しゃくやかっこいいどぉ~♪ かりすまだどぉ~♪」
吸血鬼の住む館、紅魔館
今日もまったり時は流れる
最終更新:2009年04月06日 21:32