ゆっくり運送2 -中編-その2

※今回は会話パートが多くてちょっとクドいかもしれません。ご了承ください。
※中編はここまでなので、次からこそは後編になります。すみません。
※話を考えすぎた結果がこれだよ!!














「うっう~♪じゃあはこんでくるどぉ~☆」

と、れみりゃ。
昨日の騒動から一夜明け、魔理沙達とも打ち解けたれみりゃ、今日から初仕事、張り切って配達に向かう。
昨晩以来変わった様子は無い。どうやら私の思い過ごしだったようだ。
ただ、「まえのおうち」から持ってきた荷物が予想以上に多く、部屋に持ち込むのに多少手間取った。

「うむ!緊張しないで気楽に行ってきたまえ!」

「ゆっくりいってらっしゃい!!」

「気をつけるんだぜ~!」

「「きをちゅけてにぇ!」」

「うっう~♪」

れみりゃの初仕事なので、今日はある程度注文を抑える事にしていた。
その影響で、魔理沙達もある程度いつもよりゆっくりしていた。
無論そのしわ寄せは私に来るのだが、仕方が無い。部下の育成にこの程度の苦労は付き物だ。
魔理沙達を迎えた時も最初はこんな様子だった。

「魔理沙君、霊夢君、チビ達、私はちょっと配達に行ってくる。れみりゃ君のサポートは任せたぞ!」

「まりさにかかればそんなのあさめしまえだぜ!!」

「れいむたちもがんばるよ!!ね!おチビちゃんたち!!」

「ゆっきゅり~!」

「フフ、まったく頼もしい限りだ。では行ってくる!!ハッハッハァー!!」










社長が運送に向かい、社内は魔理沙達のみとなった。
特に注文が入る訳でもなく、社内にはとてもゆっくりとした空気が流れていた。
子ゆっくり達がソファーの上で跳ねて遊び。霊夢と魔理沙がその光景を見て目を細めていた。

「ゆ~♪みんなゆっくりしてるぜ~!」

「そうだね!すごくゆっくりしてるね!!」

「おしょらをとんでるみちゃい~♪」

子ゆっくり達はひとしきり遊ぶと、寝息を立てて寝てしまった。
二匹は顔を綻ばせながら子ゆっくり達に毛布を掛けてやる。

「ゆっくりおおきくなってね!」 「ゆっくり大きくなるんだぜ!!」








         その直後の事だった………………………










「うあああぁぁぁぁ!!たいへんなんだどおぉぉぉぉ!!」

「ゆ!?れみりゃ!どうしたんだぜ!?」

「どうしたの!?ゆっくりせつめいしてね!!」

「うっう~……じつはね…………」


どうやら配達の途中で荷物を落としてしまい、落とした荷物も壊れてしまったという……
そしてパニックになり会社まで飛んできたらしい。

「うぅ~!こまったんだど~!!」

れみりゃはその小さな目に涙を溜め、今にも泣き出しそうだ。

「だいじょうぶだぜ!!なんとかしてしゃちょうにばれないようにするんだぜ!!」

「ゆゆ!そうだよ!やっぱりまりさはてんさいね!!」

「ゆへへ~♪てれるんだぜ~!」


二人がすっかりイチャ付いている中、れみりゃは信じられない、といった目をしている。

「うっう~…?れみりゃをたすけてくれるんだどぉ~?」

「ゆゆ?そうだよ!!れみりゃをたすけるんだよ!」

「う~……なんでだどぉ?」

「ゆ?なんでって…ねぇまりさ!」

「そうだぜ!」


二匹はふてぶてしい表情で言い放った。

「れみりゃはだいじななかまなんだぜ!!」 「だよ!!」

「う~…うぅ?…なかまだどぉ…?」

「そうだぜ!なかまはたすけあっていくもんなんだぜ!!」

「まりさかっこいい~!!」

「ゆへへへ~♪」


霊夢に褒められ胸(顎)を張る魔理沙。
ふと気付く、れみりゃの声が聞こえない…れみりゃの方を見ると、顔中から様々な汁を出しながら泣いていた。
二匹は何が起こったかわからず、れみりゃを必死に慰める。

「れみりゃ!どうしたの!?なかないでね!!」

「どこかいたいんだぜ!?ぺーろぺーろ。」


魔理沙達はれみりゃの頬を舐めて、必死に慰めた。

「うあぁぁぁ!!ちがうんだどぉ~!うれしくてないてるんだどぉぉ~!!」

「れみりゃ!わらいながらないてるぜ!へんなの~!!ゆっはっはっは!!」

「ほんとだ!おかしいね!!ゆふふふふ!!」


れみりゃは満面の笑みを浮かべながらボロボロと泣いていた。
それが恥ずかしくもあり嬉しかった。

「わらうんじゃないどぉ~!たぁ~べちゃうどぉ~♪」

「たべられちゃうんだぜ~!!」

「うっう~♪たぁ~べちゃうぞ~☆」


すっかりれみりゃはいつもの笑顔を取り戻していた。
そんな空気を凍てつかせたのは、ある人物の帰社だった……




「おぉ~い!今戻ったぞ~!」






社長が帰ってきた。





「ゆぇ!?ゆ、ゆっくりおかえりなんだぜ!!」

「ゆっくりおかえりなさい!!」

「お、おかえりだどぉ~…!」

「ん、どうした?やけに元気がないな…」

「ゆ!?そんなことないんだぜ!!すごくげんきなんだぜ!」

「そうだよ!れいむもまりさもすっごいげんきだよ!!」

何か様子がおかしい……帰社した直後から私はそう感じていた。
魔理沙も霊夢も眼を合わせようとしない。れみりゃに至っては首を180°近く曲げている。
そういえば、配達は無事に済んだのだろうか、一先ず本人に聞いてみる事にした。

「れみりゃ君!配達は無事に終わったかい?」

「う…うぅ~……」

「れみりゃはぶじにやりとげたんだぜ!!ものすごいはやさだったぜ!」


やはり様子がおかしい…

「魔理沙君、君には聞いていない。れみりゃ君、君に聞いているんだ。」

「ゆぅ、ごめんだぜ……。」

「しゃちょう!れみりゃはね……」

「霊夢君、黙っていてくれ…これは彼女の問題だ……」

「でもしゃちょう!!」

「うぅ~!やっぱりだめなんだどぉぉ!!しょうじきにいうんだどぉ!」


凍りつく空気、それを断ち切ったのは意外な事にれみりゃだった。
魔理沙と霊夢はオロオロと顔を見合わせている。

「ふむ、話してみたまえ、れみりゃ君。」

「うっうぅ~…じつは、おとしてこわしちゃったんだどぉ~…」

「やはりか…」

「うぅ~ごめんなさいだどぉ~!!まりさたちはわるくないんだどぉ~!たたくなられみりゃをたたくんだどぉ~!!」

「ふむ、よくわかった。れみりゃ君、ちょっと来なさい。」

「うぅ~…わかったんだどぉ~…」

れみりゃは覚悟を決めた様で、とぼとぼと私の方へ歩いてきた。
私はれみりゃの方へ向き直るとゆっくりと片腕を上げた。

「うぅ~……」

その腕は振り下ろされる事無く、れみりゃの頭の上に置かれた。
そのままクシャクシャと頭を撫でる。
れみりゃは眼をまん丸に開き、きょとんとしている。
状況が上手く飲み込めない様だ…

「う……?」

「よく正直に告白したな、その勇気と魔理沙達に免じて今回は許そう。先方には私から謝罪して置く、安心したまえ。」

「しゃちょう!」

「正し!今回だけだぞ、次回からはプリン抜きだからな。注意する様に!」

「うぅ~…わかったんだどぉ…ごめんだどぉ~。」

「わかったなら宜しい!さて、諸君!おやつにするぞ!!」

「ゆぅ~おやつおやつ!!」

「おやつだぜぇ~!!」

「うっう~☆ぷっでぃ~ん♪」

「全く、調子がいいんだか素直なんだか…」











[おまけに限りなく近い何か]




-紅魔館-

私は、れみりゃが壊したおぜうさま1/1フィギュアの謝罪をする為に、注文主であるメイド長の元に居た。

「此度は、誠に申し訳なく思っています。」

「申し訳ないじゃ済まないわよ。どうしてくれるのよ。この日を想像して流した鼻血が何リットルだと思ってる訳?」

「えぇ、私も謝罪なんかでは許されるとは思っていません…」

「じゃあ、どうするってんのよ……」

「コレを……天狗の新聞社から預かって来ました…。」

そこには!夜の森でゆっくりれみりゃと一緒にフリフリダンスを踊る紅魔館の主が写っていた!!

「………くら?」

「はい?」

「いくらでこれを売ってくれるの?」

「私はあくまで謝罪の粗品として持って来たまでです。それは差し上げます、どうぞ御納め下さい。」

「ま……まぁいいわ、今回は許してあげる。今後もひいきにさせてもらうわ。」

「有難うございます。本当に申し訳ありませんでした。では、私はこれで…」

「えぇ、またよろしくお願いするわ。」



社長退室後…



「あぁ…おぜうさま…おぜうさまぁぁぁぁぁぁ!!」



紅魔館はメイド長の生き血により更に鮮やかな紅に染まったそうな…
とっぴんぱらりんのぷぅ。








ゆっくり好きな新参者



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最終更新:2009年04月24日 21:00