久し振りに60行勝負。オチなしヤマなし。
『暇だから』
春の日の雨は気分が悪い。休みの日だったりすると更に最悪で気分も五割ぐらい増しで悪い。
「おい、れいむ。暇だからなんか面白い事してくれ。」
「やだね。メンドクサイ。」
安アパートのボロ部屋の中、ごろごろと畳に寝転がる俺と、顔だけの姿で何時もの眉を立て
口をあんぐりと開けた表情のまま仰向けになって寝転ぶれいむが、どちらとも暇人丸出しでだらけている。
「じゃあ、たまには愛想良く俺に接してくれ。」
「最近、彼女にフラれたからって誰かに甘えようとする男の態度ほど惨めな物は無いね。」
れいむの痛すぎる一言に俺は寝転んだままれいむに背を向けて多少いじけて黙りこくる。
勿論、多少だ。多少過ぎる。あ、多少過ぎて泣けてきた。
しばらくして、何とか自力で立ち直った俺は、結局暇で仰向けになって天井のしみを数えてみた。
が、直ぐに飽きてれいむに視線をやってみたものの、れいむは相変わらず一つ表情を変えずに仰向けのままで黙っている。
寝てても大概眼を閉じないので判断が難しいが、もしかしたら暇で寝ているのかもしれない。
静かな部屋の窓に雨が叩きつけられる音だけが響く中、俺も寝ようかと眼を閉じまどろみに揺られるままでいると、急に
「ちゃらららん。れいむコプター!!」
と、ステレオサウンドでダウナーなボイスが某青い猫型機械人形的発声で部屋中に響き渡ったので、
驚き頭を上げてれいむの方を向いてみれば、頭のリボンを高速回転させてヘリコプターの様に飛んでいるではないか。
「どうだ。面白いだろう?」
「つまんね。大体、お前んなことしなくても何時も普通にふわっと浮いたり飛んだりしてんじゃん。意味ねー。」
「だったらお望みどおりふわっと飛んで爆撃でもしてやろうか!!!」
「何で涙目になってんだ。つーか爆発オチは止めとけ。俺もお前も部屋も真っ黒になって掃除大変だし。」
俺が冷静に突っ込み終えると、れいむはポトンと着地し表情も冷静にこちらを見つめて言った。
「だったら、あんたはんがオモロイもんの見本、見せておくんなまし。」
「いやでがんす。」
一言で切り捨ててから背を向け、寝る意思を表示するが、れいむの視線がじっと痛いぐらいに俺の首筋辺りを攻め立ててくる。
視線は凶器と言うが正しくそれだ。まるで眼からビームでも出ているかのように・・・って。
「あっつ!!!この、首狙うとか殺す気か!!!」
「大丈夫、少し火傷するぐらいの出力だから。」
実際、れいむの眼から発射されたビームが俺の首筋を焼いていた。
「私だけやらせといて、アンタは何もやらないとは何事か。首、焦がすぜ~。ちょー焦がすぜ~。」
「・・・。はいはい、俺もなんかやりゃいいんでしょ。」
半ば納得できないまま、俺は立ち上がり、ギターを持ち、昔バンドをやっていた頃を思い出しながら、
テンションを上げてポーズを決め全力でシャウトする。
「へーい!!今日は俺のライブに来てくれてセンキュゥーーーベイベッ!!」
しかし、隣の部屋から壁をそれはもう突き破るんじゃないかと思うぐらいの勢いで叩かれたので俺は素直に止めた。
「はいはい、サイコーサイコー。」
「うるせー、れいむ。もう黙って寝ろ。俺は寝る。」
その後俺は寝付けないまま、れいむも何もすることも無く、結局お互いだらだらごろごろと夕食時まで寝転んでいた。 即興の人
- れいむじゃなくて霊夢本人みたいな。 -- 名無しさん (2011-07-29 08:29:18)
最終更新:2011年07月29日 08:29