ゆっくり愛で小ネタ24 ゆっくり怪談「こんどは」

ある夫婦がいた。二人には子どもが一人いたが、ある日、歩道橋の上で妻が子どもを抱っこをしているとき、地震が起きた。
小さな地震だったが、驚いた妻は思わず腕を緩めてしまい、子どもはそのまま階段を転げ落ちていった。
そして、そのまま逝ってしまった。

夫婦は悲しんだ。妻は半ばノイローゼとなり、死んだ子どもに会いたいとしか言わなくなった。
夫は愚直にそれを叶えようとした。幾多もの霊媒師に頼んで子どもを呼び寄せようとした。
しかし、どの霊媒師も口を揃えてこう言うのだ。
「お子さんは、もう何かに生まれ変わっておられます。」

それがなにかは、どの霊媒師にも分からかった。


妻が落ち着いた頃、夫婦は道端でゆっくりれいむを見つけた。
「かわいいな。あなた、このこをかってもいいかしら。」
妻がそう言うので、夫はこのれいむを飼うことにした。

しばらくして夫婦には二人目の子どもができた。妻も夫も泣いて喜んだ。れいむも、
「おめでとう!れいむがおねえさんになってあげるね!」
と言ってくれた。


何年か経って。
二人目の子は、もう亡くなったお姉さんより年上になっていた。

ある日、れいむを抱いて散歩をしながら、妻は思った。あの子は弟が出来たと知ったらどう思うかな、と。

気が付くと、あの歩道橋の前に立っていた。
あれからこの歩道橋は一度も渡っていない。また何かを失いそうで、妻は怖かったのだ。
だけど。

妻は、何年も前に生まれ変わったというあの子と決別するため、その歩道橋をもう一度渡ることにした。

しかし、運命というのは奇遇なものだ。
ちょうど子どもを落としたあの場所で、またも地震が起きた。
思わずあのときのことを思い出して、妻はれいむをギュッと抱き締めた。もう今度は大切なものを失いない。だから、尻餅をついてでも手を緩めなかった。例え階段から落ちたとしても、緩めなかっただろう。


地震が収まって、妻は真っ先にれいむに声をかけた。
「れいむ、大丈夫?」
すると、れいむはこう言った。
「ぅゆっ!あ、ありがとね!今度はおとさないでくれたね!!!」
と。


  • 最後の最後で少しだけ寒気が走りました… -- 名無しさん (2008-12-06 20:12:30)
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最終更新:2008年12月06日 20:12