【リレー小説企画】ゆっくらいだーディケイネ 第15.5話

   ゆっくらいだーディケイネ  第15.5話  とある店にて


……

いらっしゃい……

ゆっくりしていってね……

あら

見ない顔ねえ

なに?

世界を越えて、旅をしている?

あらそうなの

ふうん

まあいいけどね

金さえ持っていればどうだっていいさね

アタしは人のことは詮索しない主義だからサ

脛にどんな傷もってようがしったこっちゃないさね

……

で、なに?

女がらみかい?

なんだいやっぱりそうなのかい

こう見えて目利きには自信が……

……こらこら

暴れないでおくれよ

その紅白のコだって悪気があったわけじゃないんだし

ほんの冗談じゃないか

まァそのコはどうだっていいけど、商品に傷でもついたらどうするのサ

……マッタく、

今の若いコは仕付けってものがなってないねェ

まぁいいさ、それで、なんにするかい……え、修理?

調子が悪いって?

ふうん、どれ、なんだかパッとしないデヴァイスだねぇ

アタシならもっと、こう……

あッ

おいおいよしとくれよ、

あたしゃそのテのしごとからさっぱり足をあらったんだよ

あたしはしがないちぃママに、

ここは小粋なスナックに生まれ変わったのさ

だいたいオモテの看板にも書いてあるじゃないか

エッ、消えてる?

しょうがないねぇ……ホラ、ついたよ

よくみてごらん

『スナック 紅里……ぐはぁッ!?」




いかにも"うらぶれた"店の中、頭から煙を上げているゆっくりと、その横で手を平らにした女性の姿があった。
勿論、床次紅里その人である。
傍らには紅白と白黒がいつもの通り跳ね回っている。
「……ハッ、ツイテガデテシマッタ」
「おねえさん、ロボット語で誤魔化してもだめだよ!」
「そうだぜ、暴力はいけないのぜ!」
「えー、だってえ」
「店が同じ名前だからって!」
「そうだぜむしろ光栄に思うべきだぜ!」
「いや、私だって普通の店ならどうでもいいんだけど」
紅里はいやな汗を首筋に感じながら、今しがたはたいたゆっくりを見る。









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         ̄二つ )、_
      _,. -'"      ー 、  _人人人人人人人人人人人人人人人_
     ,.'"   、    -、    ヽ >  ゆっくりしていってねぇ~ン♪  <
    , ' γ ハ ハヽ、ヽ i ハ   i ゝ ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
   .,'  ノ_ ハ -ー 、ハノ_ i-ーハ i ゝ
   i' くレ イァ仟ヒト ⌒ イfヒ心ノ イ´
   i  i ヘイ!ァ弋cソノ   i弋cソ)! ハ>
  ノ   ハ | /// ,、,、/// l !
   |,.イ λゝ.    ヾソ    人!
     レヘハイ>,、 _____,,  イ





「よりにもよってオカマバーについてるとか、なんか意図的すぎない?」
「……気持ちはわかるけどね!」
「これ飲んでゆっくりしてね!」
「どさくさに紛れて青汁飲ませようとするな」




「え? 紅里(あかり)? ああ違うよ、ほらこっちは『紅里ん』、つまり紅里ん(こうりん)だ」
「んなこじつけな……」
半分くらい飲んで気が沈んだのか落ち着いたところを見計らって、
話がしやすいように一同はカウンターからテーブル席へと移動していた。
といっても本当にカウンターとテーブルがあるだけで、基本的に内装は雑貨屋のそれである。
スナックというより、カントリー系喫茶店のような雰囲気だ。
「変態でこちんに、ここなら修理して貰えるって聞いたんだけどさ、なんでまたスナック?とかやってるの」
「フッ……」
伏し目がちにため息をつくちぃママ……ゆっくりこーりん。
その様子を見て、紅里は直感的に思った。
「なんだかめんどくさそーだぜ」
「こら、そういうことは思ってても言わないの」
「あれはある晴れた日のことさ……」
そんな紅里とまりさは無視し、こーりんは言葉を続けた。
「ヒラヒラと一枚の紅葉が落ちてきて、世界の真理に気づいてしまったのさ……」
「真理?」
「そう、それは……」









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  ,.. -─''""´ ̄`"''-、ノ ノ
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/ /     /`ヽ    ヽ    > 東方香霖堂が一向に出ないのは <
/  /  /  / /    i     ヽ 、 >   ボクが 男キャラ だから    <
'  /  / /\ト、 i  ハ  i/  ,  ',  >  だったんだよ!!!!!!!  <
! 〈  | /rrー‐-!、ハノヽハ‐!- i  ,ゝ  ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
| | ハ i-'T(ヒ_]|.- 、/ヒ_ントヘハ |  クワッ   _
ノシレ|  'ゝ`ー--‐',___,ヽ、_,ノ、/  ゝ   , --、   i´!⌒!l  r:,=i
|,.イ| |  |  U  |  |   イ | ハ|   .|l⌒l l  | ゙ー=':| |. L._」 ))
 レ| | ハ    ヽ _ン  ハ ハ|    i´|.ー‐' |  |    |. !   l
  .! !ハ ヽ.      / |//   .|"'|.   l'  │-==:|. ! ==l   ,. -‐;
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  ノ、 V>ヽ、______7、レヘ|´/__ │ l    l、 :|    | } _|,.{::  7 ))
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「「「な、なんだってー!」」」
思った通りめんどくさい話ダナーっていう顔をしながら3人は形式的に相槌を打った。
「そうさ! 郵便ポストが高いのも、電信柱が赤いのも、ボクがゲームに出られないのも、全部女キャラじゃなかったからなのさ!」
「あー、もしかして」
「オカマキャラに」
「なろうとしてたのって……」
「……女の子に、なりたかったんです……」
だってだってこうしてる間に三月精だってうどんげっしょーだって普通に刊行してるんだモン!と駄々をこねだす始末。
「グリマリだってでちゃったモン!(ジタバタ)」
ちなみに「紅里ん」という源氏名は、不人気キャラから一躍転進を遂げた、さる大女優の特性にあやかってつけたそうだ。
「あーこりゃもうだめなのぜ」
「一回男らしいこーりんに戻さないと、ゆっくり修理してくれないよ!」
「男らしくって……言ってもなぁ」
紅里は頭を掻いた。
「どうすりゃいいのさ」
それに対し、分かりきったことを―――とばかりに見つめる白黒と紅白。
「おねえさんと暮らせばいいん「だよ&だぜ」!!」
「どうしてそうなる……つーか船のときも同じ事やったじゃん」
「てんどんは芸の基本だよ!」
「そうだぜ! それにまりさはおねえさんと一緒になって、ずいぶんたくましくなったのぜ!」
そういうと、金色のお下げが心なしか膨れたようになる魔理沙。
(力こぶ……のつもりか?)
「やったー! まりさかっこいい!」
「……とりあえずそれでいいけど……何だか納得いかないなぁ」
首を傾げる紅里ん(あかりん)であった。









――――半日後





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                       ̄二つ )、_
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                   ,.'"        >  ゆっくりした結果がこれだよ!  <
                  , ' γ   、    -、 ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
                 .,'  ノ_ ハ ハヽ、ヽ i ハ   i ゝ
                 i' くレ イ,. --=.、ハノ_ イ、 ハノ イ´
                 i  i ヘイハ'。ヒ_ ノ ⌒ i ヒン ! ハ>
                ノ   ハ |   ̄ ,___, ー-'ul !
                 |,.イ λゝ. u  ヽ _ン    人!
                   レヘハイ>,、 _____,,  - 、_
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「「うほッ、男らしい!!」」
「納得いかねー!」
こーりんが肉体美を見せ付け、れいむとまりさが感嘆をあげるなか、
紅里はまさに納得の行かない顔をしていた。
「まぁまぁおねえさん、結果オーライなのぜ!」
「そうだよ、いくらおねえさんが……」
「海軍式コンバットプログラムはまだ10分の1も進んでないのに!」
「納得いかないのってそっちかよ!」
れいむが突っ込みを入れた。
「それじゃおねえさん、次は香霖堂の本のほうだぜ!」
「え、本……?」
「そうだよ! この異変の元は本が出ないことなんだよ!」
「あー、これ異変だったのか……」
「さあ、はやくなんとかするんだぜ!」
期待の目を向ける3人のゆっくり達。
「そうだなぁ、えーと」
「「「じぃ~………………………………………………」」」

「……………………………………………………………………」













                   " ̄~ヽ
                 /     _,.-‐"':" ̄~゙' ‐-、      __
      _,---‐" ̄\     ´     ヽ           、    ノ   \
    /        ヽ  l      ;;;;;;"           、 /      \
   /   ぐ      | l        い::::ノ         |      わ \
  /    ら で     |  l::::::     |ソノ             |   ・   た  |
  |    .い き    |  1:::::::   l       ,;';;,, リ リ  . |   ・    し  |
  |     ・  な    |  !::::::::::::..l............:::::::::;;,'^;ヘ リ、::::'''..リ,, |   ・   に . |
  |     ・  い    |  j::::::::::/:::::::::::::::::::::;"゙, /i j゙~゙/''::;'゙; /リ|  ・   だ.  |
  |    あ  こ    | ノ:::::::ノ、;;::::::::::::::;/ ), j  :.'.,、 ノノ|  ・   っ  |
  |    る  と    |  ,リ::ノ ヘミ`'''''"´  .:;/ ; ;j  .:::_ヽ  |  ・   て   |
  |    ・        Y   \       .::;い   ::::ゝ    |  ・         |
  |    ・       ∧    \     ::::::、   .:;`     |         |
  |    ・       |ヽ丶    \;;  :::;;;;::..,,、. ::i       |          |
  |    ・       | `       \;;;;/    `゙"       \


「結局MMR落ちかよ!」









<今日の伝子>

「お困りのようね!」
ばば~ん! と扉が開き、あらわれたのはご存知でんこちゃん!
「……何しに来たのよ」
「ふっふっふ。こんなこともあろうかと、予め東方香霖堂を書いておいたのだった!」
「なら最初から用意しとけ!……って、書いた?」
伝子は胸元から1冊の本を取り出した。
「……これって本っていうか同人誌じゃね?」
「……まあいいじゃない」
「うほっ、いい単行本!」
「あ、本当にそれでいいんだ……」
こうして機嫌を直したこーりんは、無事紅里のディケイネペンダントを修理することとなったとさ。




「ちなみにあんた、このこーりんに関してはどうなのよ?」
「あッ、目にゴミと窓に雷がッ!」
「……そういうくらいって事なのね」






ちなみに、カバーは縁取り箔押しエンボス加工でピンク地に緑のストライプというそれは、
やがて “幻想郷の” 香霖堂に流れ着いたとか着かなかったとか。



☆おしまい
                                -- うりとぅん ばい "むの人"

NEXT>>>第16話 君が見た(脚本→→sumigi)

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最終更新:2009年11月21日 22:01