【リレー小説企画】ゆっくらいだーディケイネ 第20話-2


~☆~


ディケイネたちは階段を登りきり、神社の境内に突入した!

「…思ったより静かね。」

「てっきり、ゆっくりの大群が待ち構えているのかと思ったのにねぇ。」

…神社の境内はシン、と静まり返っていた。
まるで、そこに生物がいないくらいに。

「まぁ、居ないなら居ないで都合が良いでしょ、余計な戦闘をしなくてすむから。」

霊夢はそう言って神社の方へと歩いて言った。
「ちょ、勝手に先に行くんじゃないって!」
ディケイネは止めようとするが、元々団体行動なんてものを東方キャラに求めるのがどだい無理な話なのだ。
「…アリス、神社の中に居るんでしょ?…大人しく出て来なさい!」

ドガアッ!

霊夢は神社の扉を乱暴にけり破って中に入った!
「…え!?」
そこで霊夢は自分の目を丸くする。

霊夢の目の前には、広大な空間が広がっていたのだ。
「…え~と、ここ、博麗神社よね。」
霊夢は神社の外に一旦出て外観を確認する。
うん、間違いなくここは博麗神社だ。
しかし、その神社の中はどこかの御殿じゃ無いかと思えるほどに広大な空間が広がっていた。

「どうしたのよ霊夢、勢い勇んで入ったと思ったらそんなに戸惑って。」

と、そこへ魔理沙が追いついてきた。
勿論、後にはディケイネ達もついてきている。
魔理沙は神社の中を除きこみ、霊夢が戸惑っている理由を理解した。

「ちょ、どうなってるのよこれ?外と中の様子が一致してないじゃ無いの!」

「そんなの解らないわよ!」


「…あ!あそこに誰か居るよ!」

と、その時、れいむが奥の方を見てそう叫ぶ。
霊夢達は一斉に神社の奥の方を見る。


        ,-r⌒L⌒」⌒yヽ、
     _r─ノヽヽ,_ _,ノヽヽイゝ、
    rヽ,/ /       `ヽイヽ,
   r` /  ./λ    入、ヽ、ヽi
    'y r .イ ____ヽ,  ノ____ヽ、ヽ, |
   ∠/   /____  i レ'_____  ヽヽ、i
    /   イ}ヽヒ_i´ ´ ´ヒ_,!フ イヽヽ、
   / /くl""    ,    ""{yイ\ ゝ
   i//{.人   ー─,-   ,イiy}イ´/!
    //y}レヽ..、 ̄  ,イゝ|{yレV
    ´ ,{y -─r ̄´=イ─'- y}、


そこには、カチューシャを着けた銀髪のゆっくりの姿があった!

「うわあい、さくやちゃ~んだぁ~!」

伝子はそのゆっくりを見るなりそいつに抱きつこうとする。
「アホ!無闇に飛び込むな!」
デイケィネは彼女の後頭部にとび蹴りを食らわせた!
「うぶっ!」
うつぶせに倒れる伝子。
ゆっくりはいつの間にか神社の更に奥へと消えて行った…。


「あぁ~さくやちゃ~ん…。」


伝子は名残惜しそうに神社の奥に向かって手を伸ばす。
「…ハァ、伝子、少しは場の空気をわきまえなさい。
 でもまぁ、今のさくやで神社の内部がこんなに広くなっている原因ははっきりしたわ。」

「え?」

「あのさくやの力を使って空間を操ったのよ。
 だから神社の外観に対して内部が異様に広くなっている訳。」

「へぇ、そんな事できるゆっくりも居るのね。」

「それより問題なのは、何故こんなに空間を広くしたのかって事だねぇ。」
魅魔が、広大な空間を見渡してそんな疑問を口にした。
「どうせ時間かぜぎでしょ、こんなセコイ手を使ってないでさっさと出て来なさいっての!」
霊夢がイライラした様子でそういったその時だった。


「…言われなくても、出て来てあげるよ。」


何処からとも鳴く、そんな声が聞こえてきた。
「!?」

全員が戸惑う中、霊夢は一人冷静だった。

「ふう~ん、随分と自信満々ね、なら出て来なさいよ!」
霊夢は神社の奥に向かって叫ぶ。
すると、神社の奥の暗闇から浮かび上がるように、そいつは現れた。


        ┃ _,,.. --─┃、..,_
       ,. ┃ ___,,,,....、┃   `ヽ.
      ,:'´,.┃ ´ ̄ ̄`┃'ヽ:ヽ,   ':,
    / /' ┃ ┃ □┃ ┃  Y ヽ.  ',
    ,'  i  !/ー┃┃┃ -┼ _,ハ  ',  i
    i   !  'rr=-, レ'  r=; ァ,Ti !ハノ ,'
    !ヘ ,ハ !"┃ ┃  ┃""イ/ i   〈
    ヽ ヘハ   'ー=-'    ハ〈   ハ
      ) | .l、    ┃     / /  ノ
    / ノ ノ ,i>: 、.,,__,,. イ/ ン' イ ノ
     '〈r'k' ∨       ∠、_! /_ン



「馬鹿みたいだね、一度やられたのに、まだ懲りてないの?」
既にゆっくらいだーに変身済みのアリスは不敵な笑みを浮かべてそう言った。
その周りには大量のゆっくりをはべらせている。
霊夢は余裕綽々のアリスに向かってこう言い放った。

「生憎だけど、私達の辞書に降参の文字は無いのよ。」

「そうだぜ!諦めないことが最大のゲーム攻略の極意なんだぜ!」

「…まりさ、アンタ何言ってるのさ。」


「…さて、今更こんな質問するのも何だけど、あえてさせて貰うわ。
 大人しく、神社を返す気は無い?」


「…返す…クスクスクスっ。」
霊夢の問いを聞いて…アリスは笑った。
「馬鹿じゃ無いの?アンタは私の大切な場所を滅茶苦茶にした、
 そのお返しに私はアンタの大切な場所を滅茶苦茶にしてやるのよ!」


「人のもの盗んでやることがそんな下らない事とはね。」


と、霊夢とアリスの会話に割って入ってくる人間が。
「やられたらやり返すなんていうのは野蛮人の思考よ、ゆっくりのお姫様?」
伝子がアリスに向かってそう話しかけた。


「あら、あなたも加勢に来たんだ…でも、ただの人間がここに来たって何の意味もないでしょ。」

アリスはキーホルダーを見せびらかしてそう言った。

「そうかもしれないわね…でもゆっくりを悪いことに使っているあなたを放っておく訳にはいかないわよ。
 一人のゆっくり好きとしてね。」

対する伝子は、脅えた様子も微塵も見せずにそう返す。
そして、アリスに右手を突き出してこう言った。

「…それを返しなさい、そいつの力はアンタみたいなお子ちゃまにはまだ早いわよ。」

「…言って素直に返すと思う?返して欲しければ…。」


「ゆるるるるるる…。」


アリスの号令と共に両隣のゆっくり達が唸り声を上げる。


「力尽くで取り戻しなさい!」


「ゆがあああああああっ!」


アリスの号令と共にゆっくりがまるで獣のように牙をむいて霊夢と伝子に飛び掛ってきた!
「霊夢!でんこ!危ない!」
思わず叫ぶディケイネの声にこたえたのは魔理沙だった!

「任せて!」

魔理沙が箒に乗って高速で伝子に突撃する!

しゅっ!

魔理沙はすぐに伝子を回収した!
一方、霊夢のほうにはそのままゆっくりが噛み付いてこようとしている!
「うわあああああっ!」
霊夢はとっさに結界を展開した!


ガッキイインッ!


結界に阻まれて、ゆっくりは霊夢に噛み付く事は出来なかった。
「あ、危なかった…。」
霊夢はほっと一息ついた。

「霊夢ちゃん大丈夫?」

「魔理沙~!助けるならこっちも助けなさい!」

霊夢は魔理沙が伝子だけ助けたことに非常に怒りを感じていた。

「あら、一般人を助けるのが先決でしょ。」

怒り心頭の霊夢に対して魔理沙はしれっとそう答える。
一方、伝子のほうはと言うと。
「…ああ、ちょっとゆっくりに噛みつかれてみたかったかも。」
…なんか、残念そうな表情をしていた。


「ふうん、やっぱり一匹や二匹じゃあ話にならないね、ならこれはどう!」


ゾロゾロゾロゾロゾロゾロゾロゾロ

アリスがそういうと同時に何処に隠れていたのか、あちこちからゆっくりが現れた!
「!?やっぱり出て来たねぇ!」

「まぁ、予想はしてたけど!」

あっという間に、ディケイネ達はゆっくりの大群に囲まれてしまった!
「…ゆ、ゆっくりがいっぱい…。」
大量のゆっくりの視線に、体が震えまくる幽香。

「幽香!今はこらえな!」

「わ、解ってるわよ!」

魅魔に言われて、幽香は体の震えをこらえる。
「お姉ちゃんたち、何で神社の中をワザワザ広くしたか、解る?」
アリスはニヤニヤと笑いながらそう言った。


「静葉ごっこ!」

「一輪ごっこ!」


「何その遊び!一体どんな遊びなの!?」

れいむとまりさの答えに思わずつっこんでしまったディケイネであった。
「…どんな遊びかは気になるけど…どっちもハズレよ…
 正解は…ゆっくり達を好き勝手に暴れさせるためよ!
 さあ!今度こそコテンパンにやりなさい!ゆっくり達!」

ワアアアアアアアアアアアアアアッ!

ゆっくり達は一斉にディケイネたちに飛び掛った!

「来たわよ!準備は出来てる?」

飛び掛ってきたゆっくり達を見て霊夢がそう叫ぶ。

「勿論!行かせて貰うよ!」

ディケイネはメダルを取り出し、ペンダントにはめ込んだ!


「ユックライドゥ!すすすすすいか!」


ペンダントを閉じて激しい光が放たれる!
それは、ゆっくり達が一斉に飛び掛ってから、僅か数秒の出来事だった。
「え…な、何!?」
光に怯んだアリスが次に目を開いた瞬間、その瞳は信じられない光景を映し出していた。


「…む~にゃ、む~にゃ…。」

「ゆっくり~…。」


なんと、ディケイネたちに飛び掛ったゆっくりが、なんとも安らかな顔で眠りこけていたのだった。

「…う、うまく行ったの?」

「見れば解るでしょ、作戦はうまくいっいたみたいだねぇ。」

「あらあら、本当に安らかな顔で寝てるわね。」

「こうしてみると、可愛いもんだねぇ、ゆっくりって生き物は。」

「…やべぇ、私もゆっくりに添い寝してぇ。」

「でんこさん、ここは落ち着いて。」


「ふう、ぶっつけ本番だったけど、うまく言ってよかったよ。」

すいかに変身したディケイネは満足そうな顔でそう言った。
「…あ、あなた何したの?」

「ん?そこいらじゅうの眠気とか睡魔を集めてゆっくり達にぶつけたのさ。これ、結構効くよ?」

「経験者が言うんだから間違いないね!」

体験者であるディケイネはそう言ってニヤリと笑った。
その表情に、非常にイラつきを覚えるアリス。

「ふ、ふん!そいつらを眠らせた所で、まだゆっくり達はいっぱい居るんだから!」

アリスがそう言うと、また何処からかゆっくりがわさわさと沸き出て来た!
「さあ!どうするの?」
アリスはディケイネたちにそう問いかける。
「…アンタこそ、何でゆっくりを眠らせたか、解ってないね。」
ディケイネは脅えもせずにそう言った。
そして、ディケイネはメダルを幾つも取り出す。

「見せてあげるよ…これが私の、とっておきだ!」

デイケイネはそう叫んで、メダルをペンダントにはめ込んだ!


「ファイナルフォームライド!」


それと同時に、ペンダントから無数の光が飛び出した!
無数の光は眠りに落ちていたゆっくり達と同化する!
「こ、これは!?」

「やった!あいつの言うとおり成功した!」

次の瞬間、光に包まれたゆっくり達はさまざまな物に変化した!
「…な、何よこれ!?」
アリスはいろいろな物に変化したゆっくり達を見て驚きを隠せない。

「コイツが私のとっておきさ!みんな!」

「わかってるわよ!」

霊夢達は武器に変化したゆっくり達を拾い上げ、装着していく!
そのあまりの手早さにアリス達は呆然とする。

あっという間に霊夢達は、変身したゆっくりで完全武装していた。

「良いかい!そいつの使い方は昨日のうちの教えたとおりだ!
 思いっきり暴れなさい!」

「言われなくても…。」

「暴れまくってやるわよ!」

霊夢達は武器を手に大声で叫んだ!

「くっ!…やれるものならやってみなさい!」

アリスは急に勢いづいた霊夢達に押されながらもゆっくりにそう指示を出す!
ゆっくり達は一斉に霊夢達に襲いかかった!

「よし!まずは私からだよ!」

まず最初に動いたのは魅魔であった。
その手に握られているのは二対の扇子。
ゆかりのファイナルフォームライド『境界扇子』を一振りすればあら不思議!
魅魔様の周りに無数の隙間が現れた!
「そいでもって…ホイ!」
そして、魅魔は隙間の一つにレーザーを打ち込む!

ババババババババババババ!

すると、残りのスキマから無数のレーザーが飛び出て来た!
無数のレーザーがゆっくり達を吹き飛ばし、ただのメダルへと戻していく!

「フフン!この私に掛かれば、ちょちょいのちょいってもんさ。」

魅魔は口元に扇子を当てて、ホッホッホ、と笑い声を上げた。
そんな魅魔にあこがれの視線を送るものが。
彼女の弟子、魔理沙である。

「さすが魅魔様!よーし!私も行くわよ!」

魅魔の活躍ぶりを見て魔理沙もやる気満々だ!

バサアッ!

魔理沙の背中に、一対の黒い羽が現れる!
きめぇ丸のファイナルフォームライド、「烏天狗の翼」
その翼を背中に生やし、魔理沙は箒に乗り込んだ!

「ふんっ!」

ゴオッ!

魔理沙が翼を広げると同時に高速でゆっくり達につっこんだ!

ドッガァアアアン!

突撃の衝撃波だけで魔理沙に近づいたゆっくりは吹っ飛ばされる!
また、近づかなかったゆっくりもタダではすまなかった。

カッチーン!

突っ切る際に発生した風を浴びただけでゆっくり達はカチコチに凍り付いてしまったのだ!
何故か?その秘密もまた魔理沙の背中にあった。
彼女の背中にはきめぇ丸の変化した翼だけではなく、ちるのが変化した翼も背負われていた。
翼から放たれる絶対零度の冷気が風に乗ってゆっくり達を氷付けにしていったのだ。

「いやっほぉおおお!こんな早く飛べるなんて滅多にないわよぉおおおお!」

魔理沙はあまりの飛びっぷりに、少しハイな状態になっている。
「まずい!このままじゃあみんな凍り付いちゃう!ドスまりさ!」
アリスが叫ぶと同時に、魔理沙の目の前に巨大な壁のようなものが現れた!
「!?」

ボヨン!

壁に激突した魔理沙は、その弾力で弾き飛ばされる!
「あいたたた…一体何よ!」
地面に転がり落ちた魔理沙はその壁を見上げた。


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/  ヽ,! ヽ       ,.! /,ヽ _____,  , /|   /  ヽ、



目の前にいたのは人間の何倍もの大きさがある巨大なまりさ―通称、ドスまりさだった。
ドスまりさはそのまま魔理沙に圧し掛かろうとする!
「ま、まずい!」
潰される!魔理沙がマジでそう思ったその時だった!

「うりゃああああっ!」

いきなり飛んできた、三角錐の物体が、ドスまりさに体当たりを繰り出す!
「ゆうううっ!?」
ドスまりさは壁際まで吹き飛ばされた!
吹き飛ばされるドスまりさを呆然と見つめている魔理沙。

「え?一体何が起きたの…?」

戸惑う魔理沙の目の前に、一枚の羽衣がふわふわと浮かんでいる。
羽衣はそのままフワリと何処かに飛んでいく。
魔理沙が目で追っていくと、そこには霊夢の姿があった。

「全く、世話を焼かすんじゃないわよ。」


霊夢は魔理沙に向かってそう言った。
先ほど飛んできたものは霊夢が飛ばしたドリル型に変化した羽衣だったのだ。
無論、そんな羽衣がタダの羽衣のはずがない、
いくのファイナルフォームライドで変形させた、電撃を纏った羽衣だ!

「ありがとうね霊夢、これでさっきり貸し借りは無しって所かしら?」

「いや、アンタ別に私を助けてなかったじゃない。」

「あら、心の中では助けたつもりよ。」

「想像の世界だけじゃなくて現実でも助けてよ!」


ゴゴオッ!


と、そんなやり取りを繰り広げている霊夢達の目の前にドスまりさが現れる!


…カッ!どぉぁあああああああっ!


ドスまりさはさっきのお返しとばかりに極太レーザーを発射してきた!
「霊夢!危ない!」
思わず叫ぶ魔理沙。
しかし、霊夢は避けもせずに右手を極太レーザーに向けてかざした!
その右手には、龍の文字が刻まれた星型のエンブレムが光っていた!


カッキイイイイン!


霊夢の目の前に現れた馬鹿でかい中の文字が極太レーザーを跳ね返す!
これはめいりんがファイナルフォームライドしたもので、
ありとあらゆる弾幕を反射する最強の結界を生成するエンブレムなのだ!

「!?!?!?!?!?!?!?!?」

跳ね返されたレーザーを食らったドスまりさはそのまま吹き飛び、元のメダルへと戻っていった。
「れ、霊夢、凄い…。」

「さあ!ぼおーっとしている場合じゃ無いわよ、魔理沙!」

霊夢は魔理沙に向かってそう言った。
まだまだ、アリスの召喚したゆっくりがこっちに敵意を向けているのだ。

「そうね…早いとここいつらを倒して、アリスの元へと行かないとね!」

魔理沙がそう言ってもう一度背中の翼を広げたその時だった。


ドッカァアアアアン!


突然爆発が起こり、ゆっくり達が思いっきり吹き飛ばされた!
「!?!?!?!?!?!?」
何が起きたのか解らず、ビックリする霊夢と魔理沙。
その時、彼女たちの目の前に、一人の妖怪が舞い降りた。

両腕にはゆうぎとパルスィが変化した白黒の両腕を身につけ

右手にはれみりゃが変化したスピア・ザ・グングニル。

左手にはよりひめの変化した綿月の大太刀を見につけた幽香であった。


「フフフ…昨日の恐怖を乗り越えて、今、私は蘇ったわ!」


その姿は、正にアルティメットサディスティッククリーチャーの名に相応しい物だった。
霊夢と魔理沙ですら、今の幽香の姿に恐怖を覚えている。
「さあ!次の灰燼に返りたいゆっくりはどこに居るのかしら!」
幽香はゆっくりの大群に飛び込んでは次々と凄い勢いで吹き飛ばしていく!
霊夢と魔理沙は無双状態の幽香を呆然と見つめていた。
「…あれまぁ、完全に復活した見たいだねぇ。」

「あ、魅魔様!」

「いつの間に後ろに回ったのよ。」

いつの間にか霊夢達の後ろに現れた魅魔に、二人は驚きの声を上げる。
「驚いている場合じゃ無いでしょ。見てみなよ。」
魅魔はそう言って周りを指差した。
霊夢の周りには、まだゆっくり達がひしめき合っていた。
キーホルダーの力で生み出されたゆっくり達には感情といえるものがない。
主が戦えと命じればどおり、戦いを続けるだけだ。
恐らく、ここに居るゆっくり達は最後の一匹になるまで戦いを挑んでくるだろう。

「…どうやらとことんまでやるしかないみたいよ、霊夢。」

魔理沙は翼を広げながら霊夢に向かってそう言った。

「上等、こうなったらとことんまで暴れてやるわ!」

「あたしもさ!祟り神の本領を見せてあげるよ!」

「フフ、今宵のスコアは億単位まで行きそうね!」

霊夢達はそう言ってゆっくりの群の中へとつっこんでいった。


~☆~

「ああ、ゆっくり達がかわいそうだよ~。」

伝子は霊夢達の闘いを見て涙を流していた。
「泣くな、気色悪い。」
ディケイネはそんな伝子にハリセンで突っ込みを入れた。

「痛い!何するのよ!」

「きしょいから思わず叩いた、文句あるか!」

頭を押さえて怒鳴りつけてくる伝子に対してディケイネは大声でそう苦闘した。

「それにしても、ファイナルフォーム作戦は大成功だね!」

「この分ならあの偽魔理沙達だけでゆっくりを撃退できるぜ!」

と、何処からともなく声がしてくる。
「この声はれいむとまりさ?どこに居るのさ?」

「ここだよ!」

ディケイネの目の前にいきなりれいむとまりさが現れた。
「うわ!?」
ディケイネは思わず驚きの声を上げた。

「そんな驚かないでよ、この装置の効果だよ!」

霊夢はそう言って変な装置を取り出した。
これはにとりが変化した光学迷彩。
姿を消すばかりか、気配まで自動的に断ってくれる優れものである。

「あんた、ちゃっかり逃げるのに役立つアイテムを回収するとは…。」

妙な所で抜け目のないれいむとまりさ達であった。

「そんな事より、アリスの事をほっといて良いの?ホラ!」

霊夢がそう言ってある方向を向いた。
そこにはこそこそと神社の奥へと逃げていくアリスの姿があった。
「あ!アイツゆっくりには戦わせておいて!」

「れいむ!光学迷彩は!?」

「ちゃんとおねーさん達の分もあるよ!」

れいむはそう言って光学迷彩を二つ取り出した。
これを使えばゆっくりに襲われずここを抜けることが出来そうだ。
「よし!追いかけるよ!」

「りょ-かい!」

ディケイネ達は光学迷彩で姿を消すと、アリスの後を追いかけ始めた。


~☆~


「ハァ、ハァ、ハァ…。」

アリスは息を切らせながら神社の奥の一室まで逃げ込んだ。
元は霊夢の寝室であるその部屋の中心でアリスは身体を休ませる。

「うう、お姉ちゃん達があそこまでやるなんて予想外だよ…。」

まさか霊夢達が自分の呼び出したゆっくりを逆利用するなんて思いもよらなかった。
ゆっくりが変化した武器を見につけた霊夢達の戦闘力は明らかに化け物と呼べるほどになっていた。
とりあえず、自分たちを守るだけの分のゆっくりを残してゆっくりを呼べるだけ呼んだが、あれでも時間稼ぎにすらならないだろう。
「作戦は完全に失敗だ…とにかくここは逃げ出して、体勢を整えなおさなくちゃ…!」

「何処に逃げるつもり、アリスちゃん?」

「!?」

突然、彼女の背後から声が聞こえてきた。
振り向くとそこには伝子の姿があった。
勿論、後ろにはディケイネとその仲間のゆっくり二人がついてきている。

「さあ、キーホルダーを返してもらうわよ。」

伝子はそう言いながらアリスに近づいていく。
アリスは脅えながらもキーホルダーとメダルを取り出した。

「あら、素直に返してくれるの?」

「そんなわけ…無いでしょ!」

アリスはそう言ってメダルをキーホルダーにはめ込んだ!

「ユックライドゥ!ゆゆゆゆゆかり!」

それと同時にキーホルダーからゆかりが現れた!

カキインッ!

瞬間、伝子を拒むように結界がアリスの周りに張られたのだ!
「ご、ゴメンね伝子お姉ちゃん…まだ返すわけには行かない…。」

「だから、それはアンタには危険すぎるって!さっさとこのゆっくり馬鹿に返しなさい!」

ディケイネはメダルを取り出して、ペンダントにはめ込んだ!


野符「将門クライシス」


バババババッ!


ディケイネは弾幕をアリスに向けて展開する!


カキキキキインッ!


しかし、弾幕はゆかりの作り出した結界の前に全て阻まれてしまった。
「あ、しまった!」

「へへんっ!この結界の丈夫さは昨日アンタが散々証明したでしょうが!」

アリスはディケイネに向かって馬鹿じゃ無いの?といった顔でそういった。

「おねーさんどうするの?あれじゃあアリスに近寄れないよ!」

「わ、解ってるよ!」

どうしたら良いかディケイネが考えてると、伝子は更に結界へと近づいていく。
アリスは伝子の急な行動に少し動揺した。
「ふ、ふん!いくら近づこうとしても、結界に阻まれるだけよ!」
アリスの言うとおり、伝子は結界に阻まれる。

「…フフン、確かに、私はあなたにふれる事は出来ないみたいね…。」

しかし、伝子はそれでも…笑っていた。

「…じゃあ、私以外の存在ならどうかしら?」

「え…?」

伝子の言葉に、アリスは驚きの声を上げる。


「さあ!こいしちゃん!出番よ!」


伝子が叫ぶと同時に、アリスの背後からヌッ、と手が現れた!


「いっただきいっ!」


手は、アリスからキーホルダーとメダルの入ったポーチを取り上げた!
「え!?」
アリスは驚いた。
今まで意識しなかった方向から、いきなり手が現れたことに。

「紅里!ゆかりの能力で結界の内と外を繋いで!」

「え…わ、解った!」

ディケイネは言われた通り、メダルをはめ込んでゆかりに変身!
「スキルライドゥ!ゆゆゆゆゆかり!」
すぐにメダルをはめ込んで、結界の内と外に隙間を作り出した!


「よいしょっと!」


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                `ー--ィ:Y:i
                     ヽ_ノ



黒い帽子を被った胴体付きのゆっくりが、スキマから現れた。
「こいしちゃん!良くやった!」

「ま、無意識を操れば、簡単なことよ。」

こいしと呼ばれたそのゆっくりは、キーホルダーとポーチを伝子に手渡した。

「ご褒美として、熱いベールとキスを…。」

「いらない。」

抱きつこうとした伝子の顔を、こいしは思いっきり蹴っ飛ばした。
「ああん、ウブ何だから…。」
伝子はそういうが、絶対に違うと思う。

「…あ、アンタもしかしてゆイタニック号にいた…?」

ディケイネはこいしの姿を見てそう言った。
「あら、コンニチワ、いや、あなたにとっては久しぶりかしら?
 そうよ、私はゆイタニック号の幸せの部屋の管理人、こいしちゃんよ!」
こいしはディケイネ達の姿を見るなり、荒ぶるグリコのポーズを取りながら挨拶した。
相変わらず、無意味なポーズを取りながら会話するゆっくりである。

「…久しぶりって、その言い回しはどういう意味?」

こいしの言葉に首を傾げるディケイネ。

「あのゆイタニック号で出会ってからこいしちゃんはズーッと私の傍にいたのよ、
 あんた達は無意識を操る力の所為で、存在に気づいてすら居なかったみたいだけどね。」

「はぁ!?」

伝子の言葉にディケイネ達は驚きの言葉を上げる。
「な、何でこいしちゃんが伝子なんかと一緒にいるんだぜ!?」

「え?そ、それは…。」

まりさの言葉に、伝子は顔を赤らめてモジモジし始めた。
…オイ、何があった。
あの13話Cパートの後で伝子とこいしの間に一体何があった!

「おッと、こんな事してる場合じゃなかったわね。」

伝子はそう言ってキーホルダーからディエイキのメダルを外す。

スウっ…。

「あ…!」
アリスの姿が元の人間の姿に戻る。
それと同時に、アリスを囲んでいた結界も消え周りの景色も変貌する。

「あれ?いつの間にか周りがちんけな和室になってるぜ。」

回りの景色が変わったことに驚くまりさ。
あの広大な部屋から、少しせまっ苦しい和室になったんだから驚くのも無理は無いだろう。

「アリスの変身が解けたことで、空間を弄っていたさくやもメダルに戻ったんでしょ。」

何が起きたのか、こいしは実にわかりやすく解説した。
「さて…これでアンタはタダの女の子に戻ったわけね。」
伝子はそう言ってアリスに一歩近づく。
アリスは脅えて一歩後退する。
伝子は、そんなアリスに手を差し出してこう言った。

「一緒について来てあげる、今から霊夢さん達に謝りに行きましょ。」

その言葉が、アリスの怒りの琴線に触れた。
彼女は昔から、子ども扱いされることは大ッ嫌いなのだ。
「…まだよ。」

「え?」

「私は、まだ負けてない!」


アリスはそう言って、懐から一枚のメダルを取り出した!
「おねーさん!アリスがまたメダルを取り出したよ!」
れいむがアリスの持つメダルを見てそう叫ぶ。

「大丈夫よ、メダルだけ持っていたって何もできないじゃ無い。」

ディケイネの言うとおりだった。
例えメダルがあったとしても、その力を具現化するペンダントかキーホルダーがないと
何の意味も無いのだ。
…しかし、それでもアリスは不敵な笑みを浮かべるのだった。

「まだ私には、これがあるわ!」

アリスは一冊の本をディケイネたちに見せ付ける!
「?何だぜ?その古臭い本は。」

「…!まさか、そいつは魔界に伝わる伝説の魔道書って奴?」

ディケイネはその本を見てそう言った。
「あら、この本を知ってるなんてよっぽどのマニアなのかしら?
 そう、この本こそ魔界に伝わる最高峰の魔術書、グリモア・オブ・アリスよ。」
アリスはエッヘンと胸を張ってそう言った。

「…勝手に持ち出したもん掲げて何を偉そうにしてるのさ。
 …で、そんなもんで何をするつもりなのさ?」

ディケイネはアリスにそう問いかける。

「フフフ…こうするのよ!」

アリスは魔法書を開き、書かれていた呪文を詠唱し始めた!
それと同時に、メダルが宙に浮き、エネルギーを収束し始める!

「…まさか、魔道書の力で無理やりメダルの力を引き出すつもり!?」

「そうよ?悪い?」

「やめなさいアリス!そんな無茶な事をしたらどうなるか解らないわよ!」

「アハハハ!私をここまで追い詰めたおねーちゃんたちが悪いんだからね!」

半ば狂気に満ちた叫びで、アリスはそう叫ぶ。
やがて、メダルの周りにオーラが現れ、形を成していく!

「まずい!あれを放って置いたら何が起きるか解らないぞ!」

「だったらまりさに任せるんだぜ!」

まりさはそう言って一歩前に出た!

「行くぜ!どりゃああああああ!」

   _,,....,,_  _人人人人人人人人人人人人人人人_
-''":::::::::::::`''>   ゆっくりマスタースパーク!!!<
ヽ::::::::::::::::::::: ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
 |::::::;ノ´ ̄\:::::::::::\_,. -‐ァ        ,,,;;;;;;;;:::::::::::
 |::::ノ   ヽ、ヽr-r'"´  (.__     ,,;;;;;;;;
_,.!イ_  _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7   ,,;;;;;;;;
::::::rー''7コ-‐'"´    ;  ', `ヽ/`7 ,,;;;;;;;;
r-'ァ'"´/  /! ハ  ハ  !  iヾ_ノ,,;;;;;;;;  ゝ、:::   /_::::
!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ  ,' ,ゝ,,;;;;;;;;  (ヒ_]     ヒ_ン )
`!  !/レi' (ヒ_]     ヒ_ン レ'i ノ ,,;;;;;;;; ""  ,___,   ""
,'  ノ   !'"    ,___,  "' i .レ'  ,,;;;;;;;;    ヽ _ン:::
 (  ,ハ    ヽ _ン   人!     ,,;;;;;;;;
,.ヘ,)、  )>,、 _____, ,.イ  ハ     ,,;;;;;;;;
                        ,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;

まりさは極太のビームをメダルに向かって発射した!

ゴオッ!

…が、メダルはビームを吸収してしまった、
「がーん!まりさの渾身の一撃が…!」
ビーム通用しなかったものだから

「って言うか、まりさのビームを受けてメダルが更におかしくなってない?」

れいむがメダルを見て、そう言った。
彼女の言うとおり、メダルを覆っていたオーラが異様な形に膨れ上がる!
「…まりさ、もしかしてアンタ余計なことしちゃったんじゃない?」
ディケイネは冷や汗混じりにまりさにそう言った。
「…そうかもしれないぜ。」


ゴオッ!


突如、オーラがアリスに襲い掛かる!
「え?きゃあああああああ!」
アリスはあっという間にオーラに取り込まれた!

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最終更新:2009年10月31日 21:46