決闘は厳寒の駐車場で静かに行われた
相手の正確な人数を測りつつ、すいかが思い出していたのは、クリスマスの夜に違いない。
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――― 博 麗 に 来 た れ ―――
その文字は、パーティーで支給されたカップ麺のケースの底に書かれていた。カップ麺には不気味な
傘の玩具がオマケとして付属されていたので、もしかしてそれがもう一本ついてくるのかと辟易したが、
誰に申し出ればいいのか解らなかった。
がだ、ニコラフスキーとかいう業者の人間が、むらさと一緒に配っていた事を思い出して、ケースを
片手に村の会場を探し始めた。
それにしても、まずいラーメンだった。突然入ってきた人間の老人が口直しに持ってきた菓子が非常に
救いだった。
いつの間にか、てんこ大家族(ファミリー)が、イクさん家族(ファミリー)と一緒に楽しんでいた。
更に、ボスてんこが家出していた幼いナズーリンを何故かつれている。
途中で長老の前を通ると、めざとくそのケースの中の文字を見つけた
「君に決まったか」
「長老、知っているのですか?」
「巨悪がこの村を襲おうとしているね! 残りの4人を集めなくてはいけない」」
「カップ麺のケースの底辺に『選ばれたもの』の印が刻まれるのは稀によくあること」
あるのかないのか。
巨悪とは何だろう?長老は知っているわけでは無さそう。いつも、何かの陰謀論をと耐えては「奴等」と言っているのだが、
今回初めて「巨悪」とはっきり言った。
「悪」? 何をもって?
「その……何かね?この底に書いてある文字でってことは、殆ど抽選ではありませんか。そんな当たりくじのよう決め方で
よいのですか?変に限定されますし」
「限定されるからいいんじゃないか」
「あと、『巨悪』ってことは、『何か』と闘わなければならないのですか?」
「まあ、仕方ないね。この『ハクレイ村』をフランたちや、ゆかりおっかさんと作った時から、こうなる事は予測していたんだ。
あそこに立ってる、雑貨屋の爺さんの幽霊も知ってるよ」
そんなものは見えなかった。ついでに言うと、「ハクレイ村」という単語自体始めて知った。
「何ですか、そのいかにも後から作ったような名前。 生首村じゃなかったんですか?」
「生首 なんて自虐的な名前を自分達でつけるわけ無いだろうJK」
いや―――思い当たる節はある。 あながち後付け設定とも言えないだろう。
すいかは、自分の胴体を具現化させた
「となると」
周りを見つつ、こっしろちすそをたくし上げ、足の付け根をらんに見せる。
―――そこには 「は」 の字の痣があった。
「これは、生まれたときからついていたあざで、正直不気味に思っていたんです。だが、はっきりこの痣と自分の生まれた意味が
わかった気がする」
おそらく、「く」 と 「れ」 と 「い」 の文字の痣を持つ者が近くにいるのだろう。
らん長老と、いつも何か集まっていた村長たちも、呆然と見ながら言った。
「何それ怖い。 知らない…………」
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考えてみれば5人を必要とするのだから、「ハクレイ」では一人余る( 『!』や『村』をカウントすればいいのかもしれないが、
それに当たった奴は気の毒だと彼女は思った)。
大体カップ麺の底の文字で「選ばれた」と言われた訳だ。これは、別物として考えるべきだろう。
大晦日の日に、すいかを尋ねてきた者達がいる。
パルスィだった。
「―――何用?」
「いや、カップ麺の底に、青文字で書かれていて………」
次にやってきたのは、てんこだった。てんこ家族(ファミリー)の最初から来ていた奴だ。付き添いで、ルードヴィヒとかいう人間も
来ていると思ったら、こいつも「当たった」のだという。
どうにもバランスが悪い、
試しに、体のどこかに 「く」 か 「れ」 か 「い」 か 「!」 か 「村」 の文字が無いかと聞いたら、パルスィが 「く」、
ルードヴィヒが「い」の痣を持っていた。 てんこは一人気まずそうだった。
あと一人足りないが、長老は説明会を開いてくれた・
「よく集まってくれた、勇者達よ」
山の麓の、極寒の駐車場にて。
「何か質問はあるかな?」
「あの、巨悪って本当に何なんですか?」
「決まってるだろう!!!」
極寒の山の麓の古さびた駐車場。
信じられないほど悪辣な顔を、らん長老は作っている
「―――『もりや』のやつらだよ」
初耳だった。
決まっている、と言われても。それに、らんの表情はなんだかうそくさい。それに、これではらんの方が余程悪人に見える。
「そういう村でもあるんですか?」
「この村ができて、少し経ってから吸収合併の話があってね」
「なーんだ、単なる派閥争いじゃねえですかい」
ちゃちを入れるのは、唯一の人間・ルードヴィヒ。
しかしらんは、元の顔に戻って言った
「皆平和が好きだから、最初はそのまま吸収されてもいいと思ってた。 ただ――――奴等が吸収しようとしていたのは
この村だけじゃなかったんだ。他の山の集落にも手を伸ばして、この辺り一体のゆっくりを一本化しようとしていた」
「人間だけじゃねえんだな」
「ま、てんこファミリーは最強すぎてそんな事する必要も無いけどな」
そういえばそんな歴史もあったかな
「ゆっくりは変に外に広めたり、宣伝するものじゃない。それだけで私達はの集まりは価値があって楽しいし、自然に
呼ぶものだよ」
……………………
「そういう訳で、平和を乱す奴等とはあくまで戦うよ!!!」
それがおかしい
大体、5人揃った所で何かが始めるわけでもあるまいに……
とはいえ、4人揃ったという事でその日は飲んだ。
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ウオトカを呷っているとおもむろに、てんことルードヴィヒが指輪を見せた
「うあああああああああああ。マフィアの人間とゆっくりでそういう……?」
「いや………そうじゃなく」
桃を半分に割ったような、中途半端なデザイン
「俺達、後継者争いに巻き込まれてるんだ」
「私達のリーダーが11代目候補らしい。で、直径の子供の暗殺部隊と、チーム戦で指輪の取り合いをするんだ」
そのための修行もあるとかで、ここにはずっとは来られないという。
むしろゆっくりマフィアが、こんな所まで付き合ってくれてるだけでも感謝しなければいけまい。
何やら少し困った顔で、パルスィも言った。
「実は私、宿敵が個人的にいるんだ…………」
「へえ」
憎んでる訳じゃないんだけど
「毎回年に一回、冬にそいつと決闘することになってる。来年、年明けにはいなくなると思う」
「まあ、ゆっくり頑張ってきてね」
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翌日の元旦に、あやがやってきた。それ以外に何か痣は持っていなかったそうだが、背中に白虎の刺青があった。何で天狗が
そんな彫り物をしているのか意味不明だったが、知り合いのめーりんは、清流の刺青を生まれつき持っていて、更に普段仲の悪い
もこうには、朱雀の刺青があると言っていたが、それには耳を貸さないことにした。
結局5人が揃ったので、カップ麺の裏側を改めて見ると………
赤……あや
青……パルスィ
黄……すいか
黒……ルードヴィヒ
桃……てんこ
―――――ちなみにすいかは、カレーは大好きだった。カップ麺もカレー南蛮を選んだほど。腕相撲は、この中で一番強い
ジャンケンもトランプも、自信を持って 弱いと言える。
彼女はたまらなく、残りの「れ」の痣と「!」か「村」のメンバーを見つけ出したかった。しかし、長老が翌日の朝から説明会を始める
らしいので、新聞に広告を出すだけに留まった。
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そして――――再び「モリヤ」使者がやってきたのが、三が日を過ぎてから。
村長との交渉は決裂し――――この先ずっと独立を宣言したハクレイ村に、モリヤ村は実力行使を宣言した。
「こっちは5人ですよね? 向こうのその、代表のメンバーといいますか、幹部もそれくらいとして、誰になるんでしょう?」
「え?」
「さなえさん、けろ、カナコンは解るとして――――秋神や厄神も含めるのかな?そうすると6人か………」
「いやいやいや…………」
らんは悲しそうな目で肩を優しく叩く。
「神様はね、八百万 なんだよ」
決戦当日――――――――
てんことルードヴィヒは、ファミリー内の決闘のため、来られなかった。
パルスィも姿をくらましている。 最初から予告はしていたしね。
あやも来なかった。 刺青と何か関係しているのは目に見えている。 ――――しかし、玄武の刺青をしているのは誰なのだろう?
「まあ………この集まりが一番バランス悪かったからなあ………」
すいかは一人ごちる。
新聞に広告を出したが、「れ」 か 「!」 か 「村」 の文字の痣を持った相手は、ついに現れなかった。
皆、それぞれの人生を生きている。
抱えているものは一つじゃない。
「運命か……………」
それに逆らうのは骨が折れるが、そうした生き方をする人達は嫌いではない
しかし――――
「そういうのを、全力で受け止めるのもいいかもしれないな」
今日来なかった4人の仲間達も、自分なりに考えた結果なのだろう
今来ている敵の数も、これで全てではないと思う。
歴史に残る多勢に無勢だが―――― すいかは心が躍った。
―――ゆっくりであると同時、彼女は 鬼 だ
「決着はどうやってつけるのかね?」
「伝統にのっとって雪合戦です」
相手の指揮官は―――――
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――――彼女にもいろいろあったのだろう。
雪ならば、嫌というほど、害になるくらいこの国にはある。
「受けてたとう」
すいかは戦闘態勢に入る。
何かあったら、あの4人か新キャラが土壇場で助けに来てくれるかもしれないと思ったが、その考え振りほどき――――― 決戦が始まった
了
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私の戦闘力は53万です -- 名無しさん (2010-01-10 23:22:16)
最終更新:2010年01月10日 23:22