※この話は同作者の『
夜雀たちの歌』シリーズの続編です。
※故に東方キャラ登場注意です、その性格とかには独自の解釈を含みます。
6ボス。
それは幻想郷の中でも屈指の実力を持ち、
この世界のバランスを狂わせる『異変』と呼ばれる天変地異を、
たった一人の力で起こし得る、、
この世界に於いて絶対の力を持つ者達。
そのカリスマは多くの妖怪や人間をひれ伏し従え、
外の世界でも大きな影響力を持つ伝説として語られる程である。
「ククク‥。これで主役は揃ったのかしら?随分豪勢な顔ぶれじゃない?」
東方紅魔郷。
太陽隠しの紅霧異変。
幼き少女の形をした吸血鬼。
永遠に紅き幼い月。
レミリア・スカーレット。
「あらあら、吸血鬼さん、慌てては駄目よ。まだこの宴の主催者が現れていないじゃない」
東方永夜抄。
月を無くした永い夜、永夜異変。
終わりなき命を持つ月の姫。
永遠と須臾の罪人。
蓬莱山輝夜。
「それよりお酒まだぁ。私ずっと待ってるんだけど~」
東方萃夢想。
無自覚に繰り返されし大宴会、三日置きの百鬼夜行。
幼き外見に似つかわしくない長く鋭い二本の角を持った鬼の娘。
萃まる夢、幻、そして百鬼夜行。
伊吹萃香。
「萃香、暫し座して待ちなさい。貴女は少し落ち着きが無さ過ぎる」
東方花映塚。
生きとし生きる、死に逝き死する全ての者の断罪者。
片手に悔悟の棒を持つ凛々しく厳格な雰囲気を纏った閻魔。
楽園の最高裁判長。
四季映姫・ヤマザナドゥ。
「そうよー萃香。閻魔様の言うとおりだわ。心配しなくてもお酒は逃げないわよ」
そして、東方妖々夢。
神隠しの主犯。
貴族の令嬢のような風貌に、どこか胡散臭い笑み浮かべる大妖怪。
幻想の境界。
八雲紫。
幻想郷の中でも最強の一角に入ると謳われる5人の少女。
そして、その少女達につき従うように側に座るのは4人の従者。
「差し詰め、ラスボスオールスターと言ったところですか」
完全で瀟洒なメイド、十六夜咲夜。
「それより、今日は一体何の集まりなのかしら。私も姫も聞いていないんだけど」
月の頭脳、八意永琳。
「別に何でも良いんじゃないかい、食えて飲めればさ」
三途の水先案内人、小野塚小町。
「私はてっきり最近妖怪の山に越してきた神様について話合うものかと‥、この様子じゃ違いそうだなぁ」
策士の九尾、八雲藍。
彼女達もまた、主の右腕として十分な実力を持つ者同士。
それがこうして同じ部屋に一斉に揃っていた。
そのカリスマとプレッシャーは部屋を埋め尽くし、今にも邸全体を埋め潰しそうな程だ。
そんな、如何にも普通じゃない、
常識で測れない力を持つ者が集まるこの部屋で、
(な、何で‥)
俯いて嫌な汗をだらだら垂らしながら、
チョコンと小さくなって他の実力者と同様に座り込んでいる一人の夜雀が居た。
(何でこんなことに‥)
もちろん涙目。
その名は、ミスティア。
東方永夜抄、2面ボスの、夜雀ミスティア・ローレライ。
夜雀たちの歌 その後の後 Aパート
話は数十分前に遡る。
季節は秋上旬。
紅葉し始めた木々の隙間からは清清しい日の光が差し込んでいる。
暑過ぎず、寒過ぎず、全ての動物と妖怪を心地よい暖気で包んでくれる秋晴れとした日。
冥界。
幻想郷と門一つで繋がる、転生や成仏を待つ霊魂が住まい辺りを漂う異世界、
その入り口から長く続く階段の先にある大豪邸、白玉楼。
その広大な敷地を覆う塀に張り付くようにして、その邸の内部の様子を伺っている一つの人影があった。
翼を模した飾りの付いた珍妙な帽子、ミミズクのように尖がったふさふさの耳、
両足をすっぽり覆った可愛らしいロングスカート、
そして背中から伸びるのは大きく逞しい、鳥のものとも蟲のものとも思えぬ奇妙な翼。
幻想郷の森に住まう夜雀の少女、ミスティア・ローレライである。
「そろ~り、そろ~り」
「馬鹿、大きな声出さないで」
そして、そこに居たのは彼女だけではなかった。
彼女の脇をパタパタとのんびり浮いているバスケットボール程の大きさの丸型生物が1匹。
ミスティアと同じ帽子、同じ耳、同じ翼。
ミスティアの姿を模した謎の饅頭、ゆっくりみすちーである。
「よし、見張りは誰も居ないみたいね」
声を潜めて、脇を飛んでいる相棒に確かめ合うようにミスティアは言う。
白玉楼は冥界屈指の大豪邸だが、見た限りその門を見張る見張りや門番といった存在は居ないようだ。
「ところでお姉さん」
さっき五月蝿いと言われ反省したのか、ゆっくりみすちーもヒソヒソ声でミスティアに話しかける。
「何よ?」
「何でこんなにこそこそしてるの?」
「何でって‥、当たり前でしょ。ここの邸の主人は西行寺幽々子。敵なのよ?」
西行寺幽々子。
ミスティアの言うとおり白玉楼の主人にして、冥界を統括する亡霊の姫。
そして、ミスティアが2週間ほど前、決死の思いで戦った相手だ。
雅で穏やかな風貌とは裏腹に、その実力は幻想郷の中でも五指に入るほど。
幻想郷の一妖怪でしかないミスティアが警戒するのも当然のように思える。
しかし、ゆっくりみすちーは呆れるような顔をして返した。
「ちーん、いやお姉さん?みすちー達今日ここに遊びに来たんだよね?」
「う‥」
そう、ミスティアは幽々子と命を懸けて戦ったのには変わりないが、それはもう過去の話。
決着が着いた以上、もう二人が戦う理由も敵対する理由もない。
戦いが終わった後、幽々子がミスティアに対し別れ際に言った言葉、
『良かったら今度は勝負抜きで、白玉楼でミスティアの歌を聞かせて欲しい』
今日はその言葉に応える為に、ゆっくりみすちーと一緒にここまで来たのだ。
口上だけとはいえ邸の主人に招かれた以上、彼女達の立場はお客様ということになる。
わざわざこんな風に警戒しながら門に近づく必要はないはずだった。
「い、いやだって、いきなり正面からだなんて、ちょっと、ねぇ?」
「お姉さん? まさか恥ずかしがってる?そして緊張してる?」
「‥‥‥」
ミスティアは無言でゆっくりみすちーから視線を逸らした。
「図星と見たァ!!」
「ち、違うわよ!!そんなんじゃないんだから!
何で私があいつの家に入るのに緊張とか恥ずかしがらなきゃいけないのよ!?
私はまだあいつを信用してないだけ!!
ほら、真正面から行ったらどんな罠とか不意打ちがあるか分からないじゃない!?まだ私を食べちゃうの諦めてないかもだし」
「ないない」
ゆっくりみすちーが呆れたような顔で溜息をついた。
「もう!!みすちーは先に行くよ!安全だと思ったらゆっくり着いてきてね!」
これ以上ミスティアの話に付き合っていたら何時までも前進できないと感じ取ったゆっくりみすちーは、
ミスティアを置いて門の方へ羽ばたき始めた。
「ま、待ってよ!」
ミスティアはその頭をガシっと掴み上げ呼び止める。
ていうか無理矢抑え付ける。ちょうどプロレス技で言うアイアインクローの状態だ。
「ちーん!離してよー!」
「いや!一人にしないで!ていうか寧ろこのまま頭掴ませてて!」
「嫌だよ!責めて抱きかかえてよ!」
「だって門から入っていきなりばったりあいつに会ったらなんて言えばいいか分からないんだもん!
何て挨拶すればいいの!?いきなり来て迷惑じゃないかな!?」
「やっぱ緊張してるよ!落ち着こうよ!」
「それより私の髪変じゃない!?寝癖とか立ってない!?服装とか乱れてない?」
「デート前の女子学生か!? その辺は来る前に何度も確認したでしょぅ!!」
「だって心配なんだものッッ!」
「大丈夫じゃない?見たところおかしなところは見つからないわ」
「そう、かなぁ~。でもちょっと心配だよ。ここまで来るのに大分飛んだし」
「手鏡貸してあげようかしら?」
「あ、有難う」
「うふふ、どうも致しまして」
ミスティアは礼を言って、取り敢えず片手で持っていたゆっくりみすちーを手放し、隣に座っている少女から手鏡を借りた。
「あ、ちょっとZUN帽がずれてる」
手鏡で自分の顔を確認し、自分なりのお洒落の微調整を行う。
「女の人って出かける前の準備面倒だよねー」
「ええ、でも女の子には必要なことだわ」
残されたゆっくりみすちーは、隣に座る少女にそんなグチを言ってみる。
「よし、これで良し。じゃぁこれ有難う」
すっきりした笑顔でミスティアは隣に座って微笑む少女に対し笑顔で礼を言い、
「いえいえ、淑女として当然のことをしたまでですわ」
手鏡を貸してくれた、白い西洋風の傘をさした金髪の少女も、笑顔で礼に応え、
「あれ‥?」
ミスティアの顔は軽く青ざめた。
「さて、ここからが本題」
少女はにっこりとした笑顔のまま、ミスティア達に問い掛ける。
「貴女達は、この私八雲紫の友人、西行寺幽々子の邸の前で、一体何をしていたのかしら?」
次の瞬間、その少女が座っていた空間の裂け目、
隙間がその入り口を大きく開き、
「答えは、CMの後」
息を飲む間も与えないまま、うわばみのように1人の夜雀を飲み込んだ。
そして、現在に至る。
ここは白玉楼の客間の一室のようであった。
20人は入れそうな広さの和室に、人数分の座布団と料理台が円を描くように置かれていて、
6ボスの少女達とその従者達が各々の席に鎮座している。
白玉楼の塀で隙間妖怪の隙間空間に全身を吸いこまれたミスティアは、気がつけば彼女一人だけこの部屋に放り出されていた。
ゆっくりみすちーの姿は何処にも見当たらない。
その代わり目の前に居たのは、ミスティア達を隙間に放り込んだ妖怪少女、八雲紫だった。
『へぇ、遊びにねぇ。そりゃ随分良いタイミングだったじゃない』
その言葉の意図を測り損ねているうちに、部屋にはぞろぞろぞろぞろと、6ボスクラスの実力者とその従者が集まりだした訳である。
もちろん逃げ出す暇なんてありませんでした、とはミスティアの後日談。
中には彼女の見知ったような顔もあったが、
(‥‥、あのメイド、どこかで見たことがあったような記憶が‥ ない‥かな?)
鳥頭は伊達ではなかった。
「ねぇ、紫?」
頬杖をつきながら、レミリアが不遜な態度で聞く。
「その鳥は一体どうしたの?今日のメインディッシュていうのなら、捌くのうちのメイドに手伝わせてやるよ」
その言葉に応えるように、レミリアの脇に座っていた咲夜が、ナイフ片手に鋭い目つきでミスティアの方を睨む。
「ひっ」
ミスティアは一生懸命彼女の方から顔を逸らした。
よく覚えてはいないが、あのメイドには何度か夕飯のおかずにされかけた記憶があるような気がする。
もしかしたら過去に腕の一本や二本持っていかれているかもしれない。
「駄目よ、レミリア。この子幽々子のお客さんなんだっていうから。そういうのは本人が来るまで待ちましょう」
「幽々子の客って‥、それじゃメインディッシュ確定と同義でなくて?」
「あらぁ、私こんなに大きい鳥料理なんて初めてだわ。私も料理手伝ってもいいかしら?ね、永琳?」
「姫、その話はまだ早いですよ」
呆れ顔で呟いたレミリアに追随するように、輝夜と永琳がまるで決まったことのように会話に参加してくる。
「鳥料理かぁ~。なら私はから揚げがいいなぁ~。酒に合うんだもん、あれが」
既に半分酔っ払ったような顔で、萃香がミスティアの方をニヤニヤしながら見つめる。
「コラ」
「いっ!」
そんな萃香の頭を、隣に座っていた四季映姫は悔悟の棒で軽く叩いた。
「何すんだよ~」
「彼女が怯えています。弱肉強食は世の理ですが、捕食の必要のない相手にまで恐怖を与えるのはただの愉悦、罪なる行為です。
ましてや、些か力を持ちすぎる我々のような存在であるならば尚更です。
レミリア・スカーレットに蓬莱山輝夜の両名も心得てください」
幾万の死者を裁いてきた鋭い瞳で、四季映姫はミスティアを鳥料理にせんと画していた者二人を睨みつけながら釘を刺した。
「はーい」
「ちっ」
レミリアはつまらなそうに舌打ちをし、隣に座る紫に小さな声で囁いた。
「おい、隙間。誰よ、あいつ呼んだの。私聞いてなかったんだけど」
「私だって知ってたら今日この場所に来てないわよ。幽々子はその辺見越して私たちには黙っていたみたいだけど」
「たくあの亡霊がぁ。あいつの所為で宴に興が乗らなかったら私暴れるわよ」
「その時は御一緒してあげるわ、吸血鬼」
「二人とも」
コホン、とわざとらしい大きな咳払いをして四季映姫は両者を睨みつけた。
「私の聴覚は文字通り地獄耳ですので、その辺りも心得るように」
「はいはい、分かったわよ」
「はい、閻魔様の言うとおりですわ~」
レミリアはとことんまで詰まらなそうな顔で、紫は引きつった笑顔でそう答えた。
その返事に取り敢えず満足し、四季映姫は深く頷いた後、それまでとは打って変わった優しい瞳で、
小さくなって震えていたミスティアに声をかけた。
「大丈夫ですよ、ミスティア・ローレライ。此処に呼ばれた以上、私も貴女も立場の同じ客人。
私の目が黒いうちはここに居る者達に貴女を食させはしません」
「あ、その‥、有難う」
この場で初めて優しい声をかけてもらえて嬉しかったからか、ミスティアは素直に四季映姫に礼を述べ軽く頭を下げた。
「いいのですよ。これも私にとっては当然の善行なのですから。しかしこんな所でまた会うとは思っていませんでしたよ。
私が言った善行、今も続けていますか?」
「ていうかアンタ誰だっけ?」
何気ない、本当に何気ない、そして本当に空気の読めてないミスティアの一言。
それは場の空気を凍らせるのに十分な威力を持っていた。
その場に居たほぼ全員がミスティアを可哀想なものを見るような瞳で見つめる。
四季映姫はそれでも変わらぬ笑顔で、うんうんと頷いた後、
「小町、もしあの夜雀を掻っ捌くことになったら貴女も協力しなさい、その鎌で」
「うぃ~っす」
「な、えぇ!!どうして!?さっきまで優しげな雰囲気だったのに!!」
「あ~、やっぱ鳥や妖精にまで説教説いてる私が悪いのかなぁ」
「ま、ま、四季様は真面目すぎるんですよ。これからは、もちょっと緩めに仕事しましょう」
「貴女は緩めるところなんて見つからないくらいゆるゆるじゃない」
「やったわ永琳。閻魔様もあの鳥を捌く方向で話が纏まったみたい」
「あらあら、お可哀想に」
「咲夜、他の奴らに遅れるんじゃないよ。
幻想郷家事全般に於いて紅魔のメイドの右に出る者無しということを知らしめてあげなさい」
「畏まりました、お嬢様」
「紫様‥、流石にこのメンツで囲んで仕留めるというのは可哀想過ぎるのでは?」
「あら、じゃ貴女止めてみる?今度は狐鍋にしようだなんて話が始まるかもよ」
「ま、私は飲めれば何でもいいんだけどねぇ~」
あれ、何だろうこの現状?
気がつけば 満場一致で 鳥料理(みすちー心の川柳)
ミスティアは今自分を取り囲んでいる状況が、嘗てない程に戦々恐々としていることに気がついた。
昨年の夏、幽々子とその従者、妖夢の二人と戦った時以上の命の危機だ。
今、目の前には幽々子と妖夢と同じくらいの実力者が、その5倍くらいの人数でミスティアを獲物を見る目で見つめているのだから。
もし本当にこの人数全員がミスティアを仕留めにかかったら、彼女の丸焼きが皆に配り終わるまで3分もかからないだろう。
下手すれば捕獲時間より調理時間の方が長くなるレベルだ。
「あ、あのね。ちょっと待って、待ってよ」
ミスティアは自分に集まる並大抵でないプレッシャー振り払う為、両手で目前に壁を作り、なるべく自然に振舞いながら言う。
「私は別にあの亡霊、幽々子の食料にここに来たんじゃないのよ?
えっと、ちょっと前、私の歌が聞きたいって言ってたから、今度ここにおいでって言われたから、ここに来たの。
食べちゃ駄目絶対。鳥料理反対」
「それってあんた騙されたんじゃないの?」
レミリアは疑うような目つきで、半分呆れたような態度でミスティアに食って掛かかった。
「え?」
「だって幽々子と書いてグラトニーって変換できそうなあの幽々子よ。
目の前にあんたみたいな獲物が居て食べない方がおかしい、ましてや、館に呼んで持て成すなんてもっての他」
「いや、でも、ああ、確かにそうかもだけど‥」
ミスティアの顔がまたうっすら青ざめていく。
確かに、目の前の吸血鬼の言ってることは正しい。幽々子は亡霊でありながら、あらゆる妖怪に恐れられる程の食欲の持ち主だ。
そんな相手を幻想郷の一妖怪でしかない自分が信頼しているのはどうしてだったろうか。
思えば、最後にちょっと優しい言葉をかけてもらっただけで、
あの亡霊を信頼に値する要素は自分には何一つないことに気付く。
それどころか、たった1年前には実際に食べられたりもしている。
(え、そんなまさか私‥はめられた?)
「今のうちに安楽死できるお注射お売りしましょうか?」
「心配には及びません、昨今は世間の目が厳しいので痛みの伴わない屠殺には慣れております、瀟洒ゆえ」
「まぁ、そんな気に病みなさんな。彼岸はけっこう良いところだからさ」
従者チームがそれぞれ好き勝手に素敵な言葉をミスティアに送る。
気がつけば、会話に参加していなかった紫の傍らに座る九尾の狐は『悪いことは言わん、全力で逃げろ』と険しい目で伝えている。
ミスティアは暫し呆然と俯いた後、何かを決意したように青ざめた顔のままこくりと頷いた。
「あのぅ、ちょっと急用を思い出し‥」
ここから出て行くための方便をミスティアが言いかけたその時、
陽気な声と共にミスティアの真後ろの襖がガララと開かれた。
「お待たせしましたわぁ!!」
「ひゃっ」
ミスティアはその声に驚きながらも、見知った声に即座に反応し振り向く。
「あら、あらあら‥」
「ちんちーん!」
襖から現れたのは、いつも通りの寒色系の雅な着物を着こなした、麗しき亡霊の姫、西行寺幽々子。
何故か、頭にゆっくりみすちーを乗せて。
少し驚嘆したような顔でミスティアのことを真っ直ぐ見つめている。
「あ‥」
ミスティアも思わずその瞳を同じように見つめてしまう。
2週間ぶりに会った亡霊の姫は、相も変わらず雅で胸が豊満でマイペースそうで、
そして、何より美しかった。
思えば、明るい昼間の内に彼女の顔を見たのはこれが初めてだ。
透き通るような桜色の髪、薄紅色の瞳、優しげで、それでいて畏れ多く近づき難いオーラを纏った柔和な微笑み、
どことなく妖艶な雰囲気を纏った唇。
気がつけば、ミスティアは瞬きするのも忘れて幽々子の顔を見つめていた。
「‥‥‥、え‥あ、うぅ‥」
時間も場所も忘れて誰かの顔を見つめ続けている、そんな自分の現状に気付き、
何とも言えない恥ずかしさに包まれたミスティアは、慌てて幽々子から目を逸らした。
気がつけば、さっきまでの食べられてしまうという恐れや悪寒は自分の中から綺麗さっぱり消えていて、
頬や胸や頭の眼の下の部分が、かつてないほどに熱く火照っていた。
(あれ‥? ちょっとおかしくない?何で私急ににこんなに‥、顔熱くなってるの?)
そんなミスティアの、まるで年頃の少女のような反応に、幽々子はうっすら微笑みながら、
「お久しぶりね」
嬉しそうに全身で、
彼女の細く柔らかい肢体を抱きしめた。
そりゃもう深く強く、自分の放漫な胸を押し付けるようにぎゅぅぅっと。
「ぃ‥!にぃぁあぁあぁあぁ‥!」
その柔らかく暖かい何ともいえない突然の感触に、ミスティアは為されるがまま、
顔を真っ赤にしながら、嬉しいのか苦しいのかよく分からない叫びをあげた。
「おい、幽々子がもう獲物を捕獲したぞ」←レミリア
「流石に食べることに関すると早いわねぇ」←輝夜
「びっくりしたわ~。突然この子だけ私のところに飛んできたのだもの。
ごめんなさいね、私の友人はちょっと隙間癖が悪くて。驚かせちゃったわね」
「お姉さんが無事で安心したよ!」
朗らかな笑顔でミスティアに声をかける幽々子とゆっくりみすちー、
「あ、えと、その、うん」
だが、ミスティアの返事は途切れ途切れで、どこかぎこちない。
顔面も火照った様に赤く紅く、視線も落ち着くことがなく泳ぎっぱなしだ。
それもそのはず。
『じゃ、あなたもどこか適当に座って‥、あそっか、人数分しか席も料理もないのよね』
『幽々子様、流石に今から用意するにも時間が‥』
『分かっているわよ、妖夢。じゃ、しょうがないから‥』
『私と、一緒の席に座りましょう』
このやり取りがあったのが今から約十分前。
幽々子は、ミスティアの小さな身体を後ろからぎゅっと抱きしめて、
彼女をだっこしている形で一つの料理台の前に座っている。
二人羽織をしている訳でもないのに、身体を密接にくっつけて、この上なくぎゅっと。
つまりミスティアの背中には幽々子の色んな部分が接触していることになる。
豊満なあれとかね。
「あ‥ あぅう‥ うぅぅ」
「ほら、食べさせてあげるわ。あ~んして」
「はぅぅ~『あ~ん』って何だっけぇ‥」
幽々子は配膳された食器から料理を箸で掴み、そのままミスティアの口へと運び食べさせる。
それを、抵抗することなく、いや、することができず、
ミスティアはボッーとした表情で黙々と飲み込むことしかできない。
まさか、いきなり幽々子とここまで密着することになるとは予想だにしなかった夜雀の心境は、鼓動の高まりに支配され、
嬉しいのか苦しいのか生きたいのか死にたいのか本当によく分からない混沌混乱に押し潰された状態となっていた。
しかし、混乱していたのは彼女だけではない。
レミ(あの幽々子が‥!?)
かぐ(自分の食事を‥!?)
しき(夜雀に‥!?)
すい(分け与えた‥!?)
ゆか(だと‥!?)
従者一同『ざわ‥ ざわ‥ざわ‥ ざわ‥』
みな一同に信じられないものを見るように二人を見つめ、
宴会が始まり、料理と酒が振舞われた今となっても、何事かと互いに小さく囁き合っている現状次第である。
(咲夜‥、この状況をどう見る?)
(そうですね‥、お嬢様は『ヘンゼルとグレーテル』という童話を御存知で?)
(口減らしされた双子の兄妹が残した光る石の道標、独逸の民謡だったかしら?)
(物語に出てくる魔女はヘンゼルに言いました。『これからお前を拉致監禁調教して、ぶくぶく太らせてから食べてやる』と)
レミリアは神妙な顔つきで、自分の従者を見つめる。
(まさか‥、その為に‥!?善良な夜雀をたぶらかして‥!?)
(可能性は大です)
(うわぁ~、魔女こえぇぇ)
「ちんちーん?」
「うわ、びっくりした‥」
ヒソヒソ話を続けていたレミリアと咲夜の目の前に、何の興味を持ったのか、パタパタとゆっくりみすちーが接近していた。
「ゆっくりしていってね!!」
「夜雀のゆっくり‥ね」
レミリアは半分呆れ顔で、半分感心しながら宙を飛ぶそれを見上げる。
「珍しいですね、初めて見ました」
「まぁ、ゆっくり自体、滅多に見るもんでもないしねぇ」
「ちんちーん‥」
ゆっくりみすちーは興味深気にレミリアの周囲をパタパタとスロウペースで旋回する。何か気になるところでもあるようだ。
「私に何かついてるのかしら、ゆっくり?」
「ちーん‥、お嬢さんも、夜雀なの?」
「あ?」
「だって、翼が付いてるもの」
ゆっくりみすちーの視点はレミリアの蝙蝠のような立派な翼に注がれているようだった。
夜雀以外に翼の生えた妖怪に会ったことがない為だろうか、
どうやら翼を生えた人型の生き物のことを夜雀と認識しているらしい。
レミリアはうんざりとした顔で言葉を返す。
「あんな畜生の毛駄物と一緒にするな。私は誇り高き吸血鬼よ」
「きゅーけつき?」
ゆっくりみすちーがきょとんと首を傾ける。
「夜雀よりも、いえ、あらゆる妖怪よりずっと強く、気高く美しい妖怪、ですよね、お嬢様」
「まぁ、そういうこと」
笑顔でフォローに入る咲夜を一瞥し、レミリアは小さな溜息をついた。
「ゆ?夜雀よりそんなに凄いの?ほんとに?」
「ええ、本当に」
「え~嘘だ~」
疑わしげな顔でそんなことを呟いてるゆっくりみすちーを暫く見上げていたレミリア、
ふと、何かを思いついたようにニヤリと笑った。
「じゃ、証明してあげようかしら?」
「ちんちん?」
「咲夜、アレを」
「畏まりました」
そう言うと、瀟洒な従者は自分の足元に置いてあった一つの小さなバスケットを持ち上げた。
サッカーボールぐらいの大きさの、ピクニックでよく使われそうな、木網で作られた上品なビスケット。
「ほら、出てきて良いですよ」
咲夜は静かにそのバスケットを開く。
「‥‥‥‥」
そして、何も起こらなかった。
「ちんちーん?」
「おい、咲夜」
「あれ?おかしいですね」
瀟洒以下略は首を傾けながらバスケットの中を覗いた。
「あぁ、寝ちゃってますね。どうりでおとなしいと」
「え?マジで? ちょっと私にも見せて!見せて!」
「はい、どうぞお嬢様」
「うわぁ~、なにこいつ生意気!生意気にかわええ!写真!写真撮らないと!」
「落ち着いてくださいお嬢様、そんなもの文屋しか持っていませんよ」
「ぅー‥ ウー?」
周囲の喧騒の所為か、バスケットの中から眠たげな高い声が聞こえた。
「あ、起きちゃった」
「お嬢様が騒ぎ過ぎるからですよ」
「ふん、まぁいいわ。当初の目的通り見せてあげるとしましょうか」
御意に、と小さく呟き、咲夜は再び見せつけるようにバスケットを高く持ち上げ、
「さぁ、今度こそお出でなさい」
「ウー?」
そのバスケットの中から何者かが勢い良く飛び出した。
「ふーりゃん!ふーりゃん!」
奇妙な飾りのついた二つの翼、鋭い牙に弾けるような笑顔、そして全体的に丸っこい謎の生物。
「驚いたかしら?こいつこそ我が紅魔館の吸血鬼ゆっくり。我が妹の姿を模したゆっくりふらんよ!」
「ウー!!」
バーン!と片手を勢いよく掲げ、レミリアは自分のゆっくりを自慢げに紹介した。
「‥‥‥‥」
「ふふふ、どうやら驚いて声も出ないらしいね」
「ウー!ふーりゃん!」
「お嬢様、お嬢様」
「何かしら咲夜?」
「あの夜雀のゆっくりはもうここに居ませんよ?」
「え?」
咲夜がそう言って指を刺す。
その先は輝夜と永琳の席、ゆっくりみすちーを興味深げに見上げる輝夜が見える。
『うわー、凄い、このゆっくりは羽根が生えてるのね』
『ちんちーん、凄いでしょ!!』
「お嬢様がふらんの寝姿に夢中になってる最中に、どうやら飽きて飛んで行ったみたいですね」
「あの野郎‥」
レミリアは目を細めこめかみを押さえながら、横で飛ぶゆっくりふらんに向けて声をかける。
「ふらん!」
「ウー?」
「あのゆっくり、見えるでしょ?」
「ウー!」
レミリアは両手をわなわな震えさせながら、意地の悪い笑みで言う。
「遊んであげなさい、本気でね」
「ウー!」
ゆっくりふらんもレミリアのその言葉に大きな口をさも嬉しそうに歪めさせた。
一方、幽々子に抱きしめられたお人形さん状態のミスティアは、
(なんか‥もう全てがどうでもよくなっちゃいそうだよぅ。私ここに何しに来たんだっけぇ)
やっぱりまだ混乱の最中に居た。
幽々子から差し出された刺身やサラダなどを、なす術なく受け入れることしかできない。
「今日はわざわざ遊びに来て有難うね。貴女のゆっくりから聞いたわ」
「うー?」
「私の弾けるような美しい笑顔がもう一度見たいからって、わざわざ尋ねて来てくれたんでしょ?」
「ぶはッッ」
ミスティア、思わず口に含んでいたサラダを軽く噴出しかける。
「な、な、な、私そんなこと言ってない!!」
少し汚れてしまった自分の口をゴシゴシ拭きつつ、ミスティアは大声で否定する。
どんだけいい加減なこと言ってんだ、あの丸野郎!と、心の中で今は側にいない己のパートナーへの恨みを受けべる。
「あら、そうなの? じゃぁ、私の顔、見たくなかった?」
「な、な、なんでそういう話に繋がるのよ!? 第一、この体制じゃ顔なんて見えないじゃない!」
「あらあら、そうね」
ミスティアの反応を楽しむように、亡霊は薄い笑みを浮かべ、
「じゃ、こう」
手に持っていた箸を一旦置き、ミスティアの両肩を優しく掴んで、
少し後ろに下がってそっと彼女の頭を自分の膝の上に移動させた。
いわゆる、膝枕といわれる状態である。
「これで、私の顔、よく見える?」
「え‥?」
戸惑うミスティアを、幽々子は顔を下げ目線を会わせ、優しく笑いかけた。
二人の二つの眼同士が、静かに確かに引き合わされる。
その時、ミスティアの長い間続いていた混乱が、一斉に波が引くように収まった。
そんな混乱など許されない程、彼女の視界は目の前の亡霊で埋め尽くされ、
(駄目だ、私もう目を離せない‥)
それ以外のことを、考えることができなくなった。
いや、そのことすら考えることが出来ていないのかもしれない。
考えるまでもなく、今のこの状況が、
そのまま自分の中の、ある暖かい感情に結びつく。
ただ、彼女の顔を目に映すだけで、彼女と触れ合っているだけで、
胸の、そのずっと奥底が、この上ない歓喜と安らぎで満ちて溢れていることを、
ミスティア・ローレライは静かに、ただ理解した。
「そっか‥、やっぱり私‥、“そう”なんだ‥」
「?」
そして、そのまま単純に、自分の今の言葉を口に出そうとした、
その時と‥、
「ウッー!!!」
ゆっくりふらんが、ゆっくりみすちーに後ろから襲い掛かったのは、ちょうど同じタイミングだった。
「あら?」
「何!?」
ただならぬゆっくりの声に、幽々子は顔を上げ、ミスティアは反射的に身を起き上がらせる。
だが、その時には既に事は終わってしまっていた。
其れほどまでに、一瞬の出来事。
ゆっくりふらんが、まるでロケット花火のような速度で、
後ろから一方的にゆっくりみすちーに襲い掛かったのだ。
そして彼女たちは、
一匹のゆっくりが床に乱暴に畳に打ち付けられる様を呆然と眺めることしか出来なかった。
ゆっくりふらん。
その名のとおり、吸血鬼、フランドール・スカーレットの姿を模したゆっくりで、
二つの奇怪な翼と、鋭い牙を持つ、ゆっくりの中でも異形なる姿。
ゆっくりの性質は、元となった妖怪・人間の性質・イメージを強く受け継ぐ。
そして、それはゆっくりふらんも例外ではない。
フランドールの性質、それは即ち、狂気と破壊。
故に、ゆっくりふらんは、ゆっくりの中でも、格別の攻撃力と凶暴性を秘めている種であった。
それ故に、彼女は手加減ができなかった。
向かい来るゆっくりふらんに対し、ゆっくりみすちーが行った行動は至ってシンプルだった。
後ろから迫るふらんの翼が奏でる風切音からおおよその相対距離と速度、そして接触するであろうタイミングを算出、
それがあと一秒の半分も残されていないと判断した瞬間に、
自らの翼を剣のように横に反らして、
なるべく力を入れないように、
だがスピードだけは躊躇することなく全力で、風車のように縦回転を行い、
その翼を、ゆっくりふらんに叩きつけた。
それだけで、ゆっくりふらんは声を発する間もなく、ゴロゴロと勢い良く跳ね飛び、畳に打ち付けられる。
奇怪な形をした両翼が、僅かに曲がる。
「う‥、ウッー‥」
己に何が起こったのか理解できなかったのか、目をぱちくりさせながら、
今頃になってふらんは力ないうめき声をあげた。
「困るよ‥、後ろから突然襲われちゃ、こちらも加減のしようがない」
やれやれと、まるで「悪いことをした」と自省するように、哀れみの視線をゆっくりふらんに向けるのは、
先ほどゆっくりふらんを叩き落とした張本人である、ゆっくりみすちーであった。
「ふらん!!」
レミリアは、想定していたものと真逆の展開が流れた目の前の光景に驚愕しながらも、急いでゆっくりふらんに近づき助け起こす。
「あー、コラ!何やってんのよ、あんた! 素人に手出してるんじゃないわよ!」
「ちんちーん‥、ごめん、気付くのが遅れちゃって」
「言い訳しない!他人様のゆっくりに手だして!」
そう言いながらミスティアは立ち上がり、ゆっくりみすちーに歩み寄ってその額をデコピンで軽く弾く。
「ちん!」
「普通のゆっくりとレベルの差があり過ぎんだから。仲間はずれにされても知らないよ!」
「ちんちーん、だから謝ってるのにぃ」
「どういうことなの‥?」
レミリアは、たった一撃で満身創痍となったゆっくりふらんを抱きかかえながら、
ミスティアとゆっくりみすちーの会話を信じられないといった表情で聞く。
ゆっくりの強さは、その元となった人物・妖怪の強さが反映される‥、そう思っていたのに、
先ほど目の前で繰り広げられた戦いは、その思い込みを真っ向から否定する展開となった。
「あらあら、不意打ち食らわして返り討ち‥なんて、如何にもな格好悪い小悪党じゃない? 吸血鬼さん」
その一部始終を間近で見ていた月の姫は、面白ろおかしくレミリアの方を眺めてクスクスと笑う。
「何を!?」
「まぁまぁ、落ち着きなさいレミリア。今回の結果は、つまり、そういう貴女の考えが間違っていたという結論を導き出しただけ。
無知は罪と人は言うけど、それが勘違いならば情状酌量の余地はあるでしょう」
まるで、レミリアの心を見透かしたように、紫もまた面白そうに薄く微笑みながら語る。
「貴女が考えているだろう、ゆっくりは元となった人物の特徴やイメージを色濃く受け継ぐということ‥、
これ自体は多分正解。その特徴とイメージが必ずしも正しいとは限らないけど、少なくともその考え自体は間違ってない。
ゆっくりを考える上での基本として良いでしょうね」
だけどね、と、頼んでも居ないのに紫は状況の説明を続ける。
「だけど、強さは違うでしょ?見た目や装飾がいくら違おうと、所詮あの子等は『ゆっくり』よ、一概に。
レベル10の夜雀よりレベル5の吸血鬼の方が強い、というのはまぁ事実でしょう。
だけど、レベル10のゆっくりとレベル5のゆっくり同士が戦えば、レベルが高い方が勝つに決まってるじゃない?」
「私のふらんが弱いみたいに‥」
「弱いのでしょう?実戦経験や戦闘訓練は?そもそも館の外に出してあげることすら、珍しいのでなくて?
あなたはただ、ゆっくりフランとして生まれて、他のゆっくりよりスピードや攻撃力が少し高かった自分のゆっくりを、
ただ自慢したかっただけでしょう?」
「う‥」
図星であるようで、レミリアは意気消沈したように下を向き、ゆっくりふらんを深く抱きしめる。
彼女は我侭で子供っぽいところがあるが、自らの過ちを認められないほど愚かしくはない。
「あー、もうちくしょー!!私のふらんがこんなにあっさり負けちゃうなんてぇぇ!!!うぇーんん!!」
同時に、自分の中にある感情をあざとく心の内に隠せるほど、大人ぶってもいない。
軽く涙目になりながら、レミリアは悔しそうにふらんを抱きしめながら本当の幼子のように鳴き喚く。
「はん、やれやれ」
そんな彼女の様子を見つめ、紫は首を振りながら、わざとらしく溜息をつき、
「しょうがないなぁ。私があなたの仇をとってあげましょう」
薄く笑って談笑する夜雀と彼女のゆっくりを見つめる。
面白いことが始まった、とでも言いたげに。
最終更新:2010年03月13日 09:46