ギャラクシー(後)-1


※恐らく鬱展開です
※暴力シーンがあります
※後ろ向きな話かもしれません
※非常に邪悪な存在・不幸な存在が登場します
※救いがあるかどうかは、読んだ方に委ねさせて下さい





 決戦は、夕暮れに行われた
 最後に残っているのは、彼女達がただ立ち尽くしている記憶だ。
 目の前は、もう死屍累々とした人間の――――後から考えれば、全員ではなく、
一部だったのだが――――横たわる姿が

 おもむろに、いてもたってもいられず、声をかけたのは彼女だけだった。

 「あの…………」

 待ち構えていたように、向こうの陣営からは怒号が飛交った。その量と、叩きつけられるような
怒りや罵倒の内容よりも、それを引き起こしたのが自分だと考えてしまう方が嫌だった。
 振り返ると、全員が俯いていて、一人だけ、こちらを見返してくれる相手がいたが、無言だった。

 「上手く言えないし、怖い事だけど………………」

 背中にありとあらゆる罵声と、時折石やその他のゴミを受けながら、言葉には出さずに呻いた


 (私達は、もっと弱いと思っていた……………)


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 林の中を一通り、1時間以上かけて案内してもらった後、切り株に座るように促され、話し合いは
行われた。

 まとめているゆっくりは、やたらと跳ねた金髪を束ね、刺々しい髪飾りをさしていた。
 目付きが非常に悪い。
 もっと特徴を見出したいと思ったが、胴を持っていなかったので、今一掴みづらい。色合いの割りに、
地味な印象のゆっくりで、判別がつかない。
 彼女は改めて「ゆっくり大全」を思い出して、笑いをこらえねばならなかった。

 「何?こんなところによくきたわね。ゆっくりしていってね!!!」
 「失礼。 初めまして、ちょっとこの町に立ち寄りまして--郷土研究家の」

 失礼ながら、名刺を忘れたという事にして、簡単に自己紹介と挨拶を済ませ、小ゆっくり達が無邪気に
不思議そうに見つめる中、咳払いをすると、改めて伝える。

 「改めて、ここの事を説明して欲しいんです」
 「いいよ!!!」
 「ええとね、みのりこねーさまはねえ」
 「さがってなさい」

 先程案内してくれた赤い帽子のゆっくりは、他のゆっくりに連れられて、林の奥へと渋々といった様子で
戻っていった。
 中々きかんぼうな印象を受けたのだが、それだけ「みのりこねーさま」と呼ばれるリーダーのゆっくりには頭が
上がらないということか。
 中々統率がとれているということだろう。
 少し目付きを和らげて、リーダーであるゆっくりは話し始めた

 「ここはむかし、大きな森だったんだよ」
 「今は林ですが………」



 ―――いまはね………
 ―――ずっとずっと、ここの外も原っぱが続いて、にんげんさんと、ゆっくりのみんなはいい友達だったんだよ
 ―――みんなで、ここでやさいやくだものをとったり、虫さんやいろいろなどうぶつをつかまえて、楽しかったよ!!!
 ―――にんげんさん達は、時々ここにきていっしょにあそんだり、みんなことをしらべてご本をかいたりしてたね!!!
 ―――みんなみんな、いい人たちだったよ!!!
 ―――こっちも、いろいろ畑仕事とかお手伝いして、本当にすてきな関係だったよ!!!
 ―――それが、ちょっとずつにんげんさん達のおうちも大きくなって、町もできて、森もちいさくなっていったのね……


 「それで………」


 ―――もう、思い出したくないけど……………
 ―――いっかい、おおきなケンカがあって……… ものすごくみんな傷ついて……



 「人間さん達」は、来ることが無くなった。
 外は、原っぱですらなく、森は林に

 「なるほど。今、近所にいるホームレスさん達とは、昔の関係に近いようですね」
 「そうだね……こっちからお手伝いできることはあまりないけど……」

 それだけ聞ければ、もう十分だった。
 心を決めて、本題に入る。

 「実は、こちらからも大事な事を伝えなければいけませんで―――」
 「ここの、たちのきかんこくとか言うんだったら…………ちょっと落ち着いてかいけつしたいけど、最初から
  あきらめてほしいよ。周りのにんげんさんたちも、ゆっくりできるひとたちだし、おちびちゃんたちもいるし、
 何より――――ここには思い出がありすぎて………」

 いい思い出よりも強烈なものもつまっているはずだが。

 「平和にかいけつしたいけれど、やっぱり、もう惨劇は繰り返したくないし…………」
 「あ、いえいえ、そうした訳じゃありません。勧告といえば勧告でしょうか。ちょっと提案がありまして」
 「私たち、にんげんさん達は、大好きだよ?」
 「あー………だとすると、辛いかもしれない」
 『……………決めたでしょ!ちゃんと言いなさい!!』

 マイクの声が不思議なのか、興味津々といった面持ちで、周りのゆっくり達は彼女を見上げている。
 彼女は深呼吸してから、目の前のあくまで落ち着き払ったゆっくりに伝えた。



 「この町の子供達---っつっても高校生だけど----が、この林と、周りに住んでる人達を
  追い出そうと自主的に計画を考えてるみたいなんです。」



 彼女を囲むように少し大きなゆっくり達は、身じろぎ軽くうめき声をあげ、やや子供と思われる個体達は
体を振るわせた。
 本当にちいさいピンポン玉達は理解できずに、体を傾け訝っている。

 「…………小耳に挟みまして。計画というか、単なる殴り込みみたいなんですけどね」
 「それは…………あの………」
 「そこで、提案なんです。これから、町の人達との新しい関係を築くためにです」

 もう一度息を飲み、一言。 
 膝が思い切り震えている。


 「今回を期に、定期的に、町の人間を襲って殺しませんか?」
 「--」
 「で、定期的に、こっちのゆっくりもフルボッコにさせるんです」


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 初めて彼はホームレス達とまともに話し合った。

 「あいつら、可愛いし、話すと面白いんだよ」
 「解りますよ」

 差し出されたペットボトルには、流石に口をつける気にはならなかったが、少年は、林の前で、
黒谷が出てくるのを待つ

 「昔は驚いたし、生首だわで驚いたんだけどな。慣れてくれば可愛くて可愛くて」
 「手足がないから不便だろうしな。こっちがあげる食い物は、何でも喜んで食べてくれるんだ」
 「なるほどなるほど」

 そこらに散乱しているコンビニ弁当や梱包の残骸は、林の住人に渡したものか。それにしても
汚いが、少年は少しだけ羨ましかった。
 それに、自分達が食べる分も我慢して分け与えている訳だ。中々できることでもない。

 「あいつらは、俺達がいなくちゃ駄目なんだ」
 「町の連中から守ってやらないと」

 言っている間に―――――相変わらず不機嫌そうな目で、林の中から黒谷が出てきた。随分
早かったと思ったが、ここで愚痴の話題に出された「町の連中」には自分自身も含まれているので、
彼は正直抜け出したいと思っていたところだった。

 「帰るよ」
 「もう、話はついたんですか」
 「ええ。私はここにいる必要はもうない」

 周りは、黒谷に警戒してはいるものの、及び腰である。少年は事も無げに接しているので、若干
驚かれた様だったが、そんな事は本人にとってはどうでもよかった。

 「――――結局どうするって………?」
 「どうするも何も。私はただ伝えただけ。林に入って警告したのも、あんた含めこの辺りじゃ一番
  ゆっくりに慣れてるからってだけじゃない」
 「そら、助けて欲しいなんては言ってませんが………」
 「後は本人達次第でしょう」

 いつの間にか、おそらくこの界隈の全員であろう面々が群がっていたが、立ちふさがって何かを意見する
訳ではなかった。黒谷と少年がそのまま話しつつ直進していくのを、別に止めることもしない。
 黒谷は、単に目付きが不機嫌そうで、背が低く体のバランスと服のセンスがどこかおかしいという以外は
いたって普通の少女で、怖がる要素はどこにも無いのだが………
 中には角材らしき物を持っている男もいたが、あれは本当の非常時に使うつもりだったのだろう。

 実際、本当に非暴力的で、落ち着いた良い人達だった。
 話をしていて中々楽しかった。

 しかしだ

 「で…君の方で、人間には警告した?」
 「あ…………話に夢中になってた。何も言ってないです…」
 「どうせそんな事だろうと思ったわ」
 『どっちみち、この少年?から伝えたら、彼が住人達から袋たたきにあうんじゃない?』

 それもそうね、と黒谷は頷いたが、少年は頑として否定した。
 この人達は、そんな悪い事はしない。 とは言っても、単純に言いづらく、少し足早に出て行くことに。
 黒谷は少し厳しい口調で、少年に先に行くように促した。
 少年がある程度離れたのを確認して、遠巻きに二人を見送る面々に黒谷はなるべく神妙な顔を作り直して
伝える。

 「今日、夜8時くらいから、ここを襲撃するって。町の高校生達が集団で」
 「は………」
 「理由は、色々あるでしょうが、根本的には単純にストレス解消のためかと。  えー……… という訳なので、
 避難してください」

 しばらく反応がなかったが、ざわめきが波紋の様に後に伝わる。疲れているのか?反応が悪い

 「しゅ、襲撃って………?」
 「う~ん………よく解らないんだけど、放火とか殴り込みとか?」
 「なしてええ?」
 「いやだから、理由なんて何だっていいんでしょ。不良グループのやる事だろうし」
 「あれか、この林のせいか!!?」

 大分距離を置いたはずなのに、不自然に生やし全体が揺れた気がした。
 改めて見渡すと、辺りを取り囲むダンボールハウスのレベルは相当高い。何度かこうした光景は見てきたが、
ここまでしっかりした群はそうそうない。

 「今更なんだ?」
 「ああ、ゆっくりが口実だろ。本当に追い出したいのは俺達に対してじゃなく、あいつらゆっくりが嫌いだから……」
 「いや、俺達を単に追い出したいからだろう。ここから追い出して、体よくここまで自分等の土地にしようって腹だな」
 「相手高校生だろ?」
 「後で手を引いてる大人がいるんだよ!」

 少しうんざりして、黒谷は伝えた。

 「多分両方でしょ。――――いや、どちらかというと、ゆっくりが口実なのかな?」
 「ああ!!?」
 「どっちもどっちで、追い出す理由は後付でいいんだから……皆両方に暴力を振るいたいって思ってるから、
  それがきちんと出揃ったって所かしらね」
 「ふざけんな!!!」
 「『ゆっくりがいて、何か理解しがたい存在だから、うざいホームレス達ごと追い出そう』 『ホームレスが何するか
  解らないし、町のイメージが悪くなるから、うざいゆっくり達ごと追い出そう』――――両者が近い所にいるだけで
  こんなに理由ができちまうのね」
 「――――どこまで、ここを追い詰めれば気が済むんだ!!?」

 多分、本当に目に付かないどころか、この町から全員がいなくなるまでだろう。
 ゆっくりも、裏通りのホームレス達もいなくなったら、次に何が疎まれるようになるのかは解らなかったが、それは
ここにいる全員が考える事ではない。
 黒谷は、特に危害を加えられることも無くその場を後にした。実際警告をしにきたので、何かされるいわれは
無いのだれど、そそくさと立ち去ってもう一度振り返ると、怒り狂うと思っていた全員は項垂れていた。
 少年は、最初に黒谷に伝えに来た時よりもおどおどとしていた。

 「どうしましょう……」
 「言うだけの事は言った。通報もしておいた。小耳に挟んだって事にして。あんたが密告したって事にはならない
  ないようにはからったから、リンチされる事も無いと思うけど」
 「いや、本当にありがとう……でも酷い事がおこらなきゃいんだけど……」

 少年は、今更だな、とは思いつつ、改めて聞いてみた。

 「黒谷さん、何でこんなに協力してくれるんです?―――そりゃあ、外の人に頼みたかった事ですけど…」
 「あー……? それはまあ、ゆっくりが好きだってこともあるかしらね。単純に。本当に単純に」
 『あとそれと………』
 「君の相談に乗るのは、一回困ってる時に助けてもらったから」
 「……………」
 「困ってる時に、その人を助けるのは、一番友達になる近道ね。―――相手が、悪魔だろうと妖怪だろうと、神様
  だろうと、困ってる時にちゃんと真面目に助ければ、絶対に友達になれる  ってね」
 「…………黒谷さん、人間っぽくない言い方だなあ」

 彼女は、昨日は持っていなかったカバンを持っていた。
 恐らく、もうこのままこの町から出て行くだろうという事は解っていた。非常にあつかましく、勝手な話だと思ったが、
こんな話ができる人間がいなくなることに途轍もない寂しさを感じる。
 少年は、自宅の方面へ。
 黒谷は駅へ。
 曲がり角の所で、黒谷の方から聞いた。

 「あんたは、何でこんな事にこだわるの?  確かに気は咎めるでしょうけど、他の連中と一緒にホームレスいじめ
  でも何でも、ゆっくりの追放でも、協力してる振りや口だけ合わせとけばそこまでいじめられはしないでしょうに」
 「いやー………何でだろう?」

 襲撃に、一度は反対してしまったという事が解る。
 殴られ蹴られ、痣の出来た顔をくしゃくしゃにして笑い、少年は最後に言った。

 「僕も、ゆっくりが好きなんですよ」
 「ほお」
 「不完全な本だけど、『ゆっくり大全』見てたら………本当に可愛いっていうよりも、面白くて。林には行けないし、
  見てると不安にはなるんですが、だから好きなのかな?」

 あの、もの凄く不安な気持ちにさせる振り返り方で、別れ際、手を振りつつ、黒谷は初めて目で笑った。
 何故か――――もの凄く、幼く、見覚えのある、無邪気な目付きだった。
 別れ際に言われた


 「理解できないもの楽しもう って、一番大事な事だと思うよ」



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 「Sis]
 「どした?」
 「結局私は、トラウマも、いやな思い出も克服できそうになかった」 
 「私達、別に世直しや人助けが仕事じゃないでしょう? ―――まあやってる事はゆっくり助けではあるけど、
  向こうが望んでもいないのに、こっちがどうこうするのもさ」
 「いや、私が救われたい」

 大体、Sisだって他人事じゃないのに----と思っていると、

 「言い方悪かったな………」
 「最初に、どぎつい事言って、それからレベルを落とす方法で行こうって言ったのは誰だっけ?」
 「『人間を殺せ』って言い方はやりすぎ」


 あのリーダーは本気で怒っていた。
 周りのゆっくり達は、全員奥に控えさせて、一対一で向かい合った。



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 「戦争でもしろっていうの?」
 「ちょっと大袈裟に言うとそう。まあ………あんたらならできるでしょう」
 「いやいやいや…………」

 周囲のゆっくり達が噛み付きでもしないか不安だったが、身構えてはいるが、すぐに行動に出ようと
する者はいない様子だった。臆病なのではなく、本当に平和的な連中なのだろう。

 「あんた、何?銃とか地雷とかの製造会社の回し者?何で殺し合いにならなきゃいけないの?」
 「いや、今の人間との関係をぶち壊すにはちょうどいいかな------って」
 「何だと思ってるの?」

 ★古くから森を守る心優しき妖精達と地元の一部の住人。対するはその生活を脅かす、近代科学を
  駆使する強欲な  都会の建設業者達

 「大体、そういう構造だと思ってませんでした?」
 「だいたいまちがってないね」
 「もう、ここ森じゃないじゃないですか。林に縮小ですよ………それに、その手のお話でも、妖精達地味に
  戦ったりするでしょ。結末はどうなるかは別として」
 「にんげんさん達は、皆友達だとおもいたいのよ。皆」
 「『友達』だってよ……… Sis、知ってる?」
 『………全然』

 緊張を振り払うつもりもあったのか………彼女の肩が変に揺れた。

 「『ゆっくり大全』って本があるじゃないですか」
 「あれは……ちょっとないね。 あれで『大全』というのはね………てるよや、あきしまい の項目はひどかったよ…」
 「この町の人間は、大体ゆっくりを『ああいうもの』としか見なくなってるんです。まずはそこから変えなくちゃいけませんが、
  それは生半可な事じゃ無理です」

 付き合いを変えたいと思うのならば、方法は結局二通りになってしまうのだ。

 ・相手に変わってもらう
 ・自分自身が変わって相手に合わせるか

 「他人に変わって貰うのは難しいですよねえ」
 「ここを、離れるつもりはさっきもいったけどないよ!!!」

 となれば

 「相手に合わせるんですかね? ここを襲撃しようとか考えてる人達を」
 「………………でも、人間を嫌いになんかなれないよ……」

 それは解る。
 ここがまだ森だった頃の、人間との関係は本当に安定して素晴らしいものだったから。
 各地を回って、色々なケースを見てきましたから。

 「だからこそ、町の連中と戦い続けるしかないんじゃないですかね。相手の事が好きなら」
 「――――そんな」


 何て、残酷な!!!


 『相手も自分も、不都合な分も抱え込んで一緒に居続けるってことは、そういう事じゃないかしら』
 「殺すってのは言い過ぎた」

 その時、後の藪から飛び出してきたゆっくりがいた。
 最初の、素直に引き下がっていた赤い帽子の子だった。

 「ふざけるな!!! オマエラに何がわかるんだ!!!」
 「下がってなさいって言ったでしょ………!」

 本当にまだ子供なのだろう。
 彼女に到達する前に、リ立ちはだかったリーダーに行方を遮られてしまう。
 不安そうに、他のゆっくり達も少し顔を出す。
 見ると、ほぼ皆素の頭だった。

 「皆、帽子とかつけてないけど………?」
 「その、あの昔、ケンカした時、とられちゃったんだよ」
 「ああ……喫茶店で会った爺さんが、あれで自殺でもしてるんじゃないかって心配してたわ」
 「そういうことだったんだね……そりゃたしかにさいしょは区別がつきにくくなるから落ち込んだけど……」
 『あれか、まだ気にしてる?』

 意識して、イヤホンマイクから、特に大きな声が聞こえた。

 『 『権力とゆっくりに殺されるううううううううううううう』 ってやつ ?』
 「ごめん」

 青い顔をして、リーダーが更に目付きを悪くしている。

 「テレビさんでも流れたらしいね……… ちゅうこくはありがたいけど、もうかえってね」



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 オリジナリティの無い音楽が流れ、電車がくる事が解ったが、同時に携帯電話が鳴った。
 電車の音で聞き取りにくいだろうに、こんな時に何だとイライラして出ると――――そろそろ電車が
到着する頃だったが、十分に聞こえた。
 電話先で相当な大声だ

 〈お疲れ!!! やる事はやったんだろうねえ!!?〉
 「ボス。やりましたから、今から帰りますよ」
 〈なんか遣り残したきた感ありありじゃあねえかあ!!! 変な顔して帰ってくるつもりだな!!?〉
 「決め付けないでくださいよ………」
 〈こっちの親心さ!!! 君達が選んだ道なら仕方あるまい!!!〉
 「ボス…………」
 「本当の事言うと……」
 〈で、御土産は買ったんだろうねえ!!? 牛タン味噌漬け!!!〉

 彼女とSisは、同時に声を上げた

 「「うわあああああああああああ」」
 〈この落ちこぼれ!!! とっとと戻るんだよ!!!〉

 本当に、駅員にすぐ戻る、と伝えて切符を渡し、駅の外に出た。
 そして二人は土産物屋を探す。
 適当に道いく地元民に聞くと、すぐに教えてくれた。
 時刻は夕暮。
 本当に親切な町だなあ、と口に出して言ってみた。
 子供達のグループが何人かいたが、おそらく塾か何かだろう

 「折角出たんだし」

 時計を一応は確認して言う

 「どんな子供が、そういう事をするのか見に行かない?」

 駅員に嘘をついたわね、とSisは本当に抑揚の無い声で言ったが、却ってわざとらしかった。



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 ダンボールは、ほぼ残っていなかった。




 絶叫と、笑い声が木霊していた。
 実際に、至る所は燃えていたが、多少懸念していた林へ飛び火は免れていた様子だった。
 外からは見えまい。
 この裏通りの中だけで、恐らく事は済むだろう。
 表沙汰になることもないと直感できた。
 消防署にもすぐさま連絡し、警察にも「そうした事を言っている子供達がいる」と連絡はしていたが、
手遅れだったのか、初めから動かなかったのだろう。
 ホームレスは5人残っていたが、他は本当に避難したのか、見捨ててどこかに行ったのかは解らなかった。

 「ホームレスさん達、結構いたよね……?薄情じゃない?」
 「さあ?でも実際こんなものかもね。本当にゆっくりが好きな奴ばかりじゃなかったんでしょう」

 都合の良い人形みたいな見方だったという事だ。
 残っている5人は、本気でゆっくり達を守ろうとしていたのだ。


 二人は――――正直、目頭が熱くなった。



 そんな面々が、角材を振り回す高校生達に、サッカーボールの様に蹴りまわされている。


 対して、その高校生達は驚くほどの人数だった。
 別に隠れていない彼女が目立たないほど。
 何らかのグループではなく、学年行事かと思うほどだった。
 角材やらバットやら、何か松明を作ってる奴までいる。
 そして、破壊の限りを尽くしていた。
 よく見ると、ホームレスだと思っていた内の一人のは、あの少年だった。

 何人かは、林の中に爆竹や、割と重たそうな石やら、を投げ込んでいる。
 少年と、ホームレス達は、必死でそれを止めていたが、容赦なく顔面に蹴りが入り、何人かは血を流していた。

 悲鳴は、彼らではなく、林から聞こえていたのだった。
 「大全」には  「ゆっくりできないよ」「ゆああああ」「ひどいよー」等の声で批難をあげる  と書かれていたが、
実際は普通の人間と変わらない叫び声だった。

 「あれだ。ホラー映画とかで、女が『きゃあ』って言うけど、実際は声なんかでないか、もっとみっともない悲鳴に
  なるという……普通はそうなのよね」
 「普通?  ――――普通って何だ?」



 高校生達は、恐ろしいほどに普通だった


 まず、髪を染めている者は一人もいない。
 ピアスや化粧などもっての外だ。
 皆ブレザーの制服だったが、だらしない着方をしている奴は少数で、積極的に暴行を加えている者は、実に
しっかりとした身なりだった。
 とにかく、見た目として「不良」と言える者は誰もいない。
 まず、こうした蛮行に手を出す事が想像できるものはほぼいない。
 他の場所で会っても、気がつく事はまずないだろう。
 普通を通り越して、真面目そう と言える奴もいれば、女子も普通に暴行に加わっている。

 「にしてもさあ…………」
 「人間、何を見て泣くか っていうより、何を見て笑うかで人格が一番解るって説、あれ言ったの誰だっけ?」
 「ちょっとこれはあまりにも………」


 笑い声は、汚かった。

 状況が状況という事を差し引いても、二人は、これに嫌悪を感じられる自信はあった。
 のた打ち回って泣き叫ぶホームレスと少年達への野次やら罵倒やらが合間に挟まっているのを取り除いても、
同じ様に感じただろう。
 汚い。
 便所の汚水でも、耳に注がれたかの様
 何人かが気づいた。
 部外者が、それも大人に見られたという事で、相当動揺した奴もいたが、何せこれだけの大所帯である。
高校生達の大半が各々の作業を中断し、一気に固まった。
 小魚の群れか?
 正直、リンチの標的に含まれるかと思っていたので拍子抜けでもある。

 「お前ら、何やってんの?」
 「何ヤッテルだって?」
 「あ……退治だよ、退治。社会の害虫退治。ホームレス退治」
 「ん?」

 どっ、と笑が起こる。
 何が面白いのだろう?????

 「ついでに、怪物退治っすよ」
 「ネットで調べたんすよお ゆっくりって、怪物の一種だから何か悪さするんで、アメリカじゃ殺しても捕まんない
  っていうからさあ」
 「何するか解らねえなら、今のうちに町のために殺しといた方がいいっしょ」
 「Sis、その、アメリカじゃ~ ってのは本当なの?」
 「んな訳ねえだろ。誰かが適当に書いたのが、自分に都合良かったんで言ってるだけでしょ」
 「だからあ、俺等何も悪い事してないんすよお」
 「『ゆっくり大全』見てくださいよお ゆっくり殴ったら犯罪ですとか、書いてありますかあ?」
 「書いてある本は現実に世の中いくらでもあるんだが………それはともかく」
 「ああぁ!!?」

 臆せず一歩前へ出て

 「質問したい事が――――5つある」

  ①ネットは禁止されてできないんじゃないの?

 → ―――クラスで何人かはこっそり覗けるようになってんだ!!!



  ②そこに書いてあったことや、大全を鵜呑みにするの?

 → ―――うっせえなあ 面白いし、書いてあったからいいんだよ!!!



  ③お前ら、「退治」って普通、自分より強い相手か、既に危害を加えた妖怪とか―――何より本来英雄が使う単語
   のはずだけど、解ってる?

 → ―――知らねえよ ここにいるホームレスもゆっくりも、社会の屑だから、何しようと勝手だろ



  ④見た所、数人が大所帯にほぼ無抵抗でボコられてますが?


 「罪悪感はないとして、恥ずかしくないの?」
 「訳わかんねえ」
 「お前こそ誰だよ。どうせこいつらと同じだろ 負け組が」


 何となく気がついていたが、こいつら、自分の使っている単語の意味を、おそらく4割くらいは理解していないんじゃ
無いだろうか?

 「恥ずかしいって何だよ?」
 「こいつら、どうせ日本の害虫じゃん」
 「日本ときたか。スケール大きい」
 「先生も親も皆言ってんだよ! こんな奴等に税金使う事無いって」
 「全員ぶち殺してもいい法律ができればいいってさあ」
 「だから、代わりに俺達が退治してやってんだよ!」

 害虫ね。
 結局大人が原因な訳だ。
 あの、喫茶店のおばさんもそうだ。
 優しい振りをして、色々蓋を被せてきた嫌なものが、一気に次世代に降りかかっている。


 「確かに―――ここは、元々税金を使って、このホームレスさん達の社会復帰のための施設を作る予定だった」
 「え?」

 野次が、少し消えた

 「開発が続いて、野生生活に馴れきり、ちょっと社会生活に適応できそうもなかったり、ひたむきにそれを拒むコミュニティー
  は、当然困るわけだ。生き場所が本当になくなる」
 「それと、同じく、人間でも社会からちょっと転落した人達―――は必ず出てくる。それがこうして同じ場所に
  いたから――――」

 どれくらい経ったか解らない中止になった建設の残骸

 「市長は、ホームレスさん達も、ゆっくりも、社会に共存できるための施設をここに作ろうとしたのよね、あってる?Sis」
 「ゆっくりにとっちゃては、かえってそんな『保護区』とやらを作られても迷惑だったろうけど」

 この背景を――――知ってか知らずか、高校生達はこの話が予想もつかなかったようで、今度はざわめきを始めた。

 「そこを、反対したのが、あんた達のお父さん、お母さんの代だわね」
 「ネットが使えるんなら、都合の良い情報やエロばっかり見てないで、ニュースでも検索してみるといい」


 【地元住民 ホームレス社会復帰施設 ・ 野生ゆっくり保護区  建設を実力行使で阻止】


 「とか何とかのタイトルで!」
 「結局、おざなりのまま、こうして放置してくれてる市長ってかえって優しくない?」
 「単に丸投げしただけかもしれないけど」
 「―――お前ら………誰だよ!!?」
 「それによお………」

 一番前にいた男子は、そろそろ気がついていたのだろう



 「お前、どこから声出してんだ?」



 目の前の少女は一人だが、声は二人分だ。イヤホンマイクをつけているが、発せられているのは明らかに肉声である。 

 「あ、忘れてた。5つ目」

  ⑤ゆっくりをホームレスもろとも退治したいのなら、何故林に入らない?

 → …………


 「怖いわけね。林が」
 「ちげええよ!!! ぶっ殺すぞ!!!」
 「結局、あんたらストレス溜まってるだけでしょ? 何か暖かくて優しい振りして、この町感じ悪いし」
 「スポーツやったり何か作ったりするのも面倒くさいから、一方的に自分が優位に立てる状況が欲しいんしょ?」
 「違うっつってんだろ!!? 頭おかしいんじゃねえのか!?」
 「訳わかんねえ!!!」
 「害虫といいつつ、自分達と同じ人間のホームレスも、違うゆっくりも怖いと見ゆるわ」


 一人は、ついに、角材で殴りかかった。
 少女は、避けもしない。
 脳天に凪ぐように下ろされる木の棒

 生首が、胴から転げ落ちた。

 ついで、長い腕も。

 それでも声は続いた

 「よく解らないものと付き合うって大切な事ね。だけどそこに上下関係作って、『自分より下だから、何やってもいい』
  って思うのもアリでしょう。だったら……」

 逆に、高校生たちは声も出ない。
 先程もホラー映画を例えに出したが、本当に恐怖する時、声はなくなる。



 「『自分より上の存在』が現れたら、何されてもいいって覚悟ができてる訳だ」



 まるで妊婦みたい、とよく言われる、ぶかぶかの丸い服が地に落ちる。
 そこに立っていたのは、ゆっくりだった。
 生首ではなかったが、違和感などどこにもなかった。
 元々、胴が無いというのは先入観に過ぎないのだ。
 赤い服
 赤い、蟹の様に鋭利な紅葉の髪飾り
 燃えるような金髪
 それが素の状態では無い事はわかるが――――――怒りに満ちた顔は、途轍もなく禍々しい。


 「写真……大全には 載ってないけど…………」

 漸く口を開けた高校生が一人。

 「あれ、稀ゆっくりだ……………本当にいたんだ……」
 「まーた……自分に縁が無いからって、変な名前を付ける………………」

 皆、何故こんなに恐怖しているのか自分でもわかるまい

 「あー………その大全につけ加えておくといいわ。『100年生きた”ゆっくりあきしまい”は、人間に変身して、
  悪人だけを捕食するようになる』とか」
 「おい………寄るな……」

 しかし、そのゆっくりは、人間など見ていなかった。
 その先にあるのは――――林

 「おい、聞こえてる? 皆の衆!」

 先程までの絶叫は収まっている

 「一応言っておく」

 ただ、林ごと、また揺れたように誰もが思えた



 「惨劇なんて、どこにも起きなかったのよ」



 言っている事は、決して恐ろしい話ではないのだが………
 中からは、ゆっくり達の声が返ってきた。

 「見たでしょ? そりゃ周辺のホームレスにはひどい事をしたけど、あんた等には外から物投げるだけ」
 「それでもいたかったよ!!! ゆっくりできやしないよ!!!」
 「――――ああ、それはそうだけど……森が、この林になった時――――そう」

 彼女達が、故郷を見捨てて人間社会に出ようと決めた前日

 「別に死んだゆっくりは当然、負傷したゆっくりがいた訳じゃない」

 それに何より

 「人間だって無傷だったはずよ」
 「いや、もがいてたよ!!!」

 あれは、今でも思い出す。何人もの大人が、地べたを這いずり回り、頭を抱えて泣き喚く姿
 あのみっともなさ、わざとらしさには、未だに思い浮かべるだけで………

 「結局、こっちが何にもしてないけど、勝手に暴れて工事の邪魔して、出てきた私たちの前で、
  TVカメラの前でいかにも自分達が虐められるみたいに演技して――――ただそれだけよ!
  『権力とゆっくりに殺されるううううううううううううう』 って何もして無いのにのたうちまわって
  私達は、ある意味被害者でも加害者でもない」

 何人か、親から当時の事を聞かされていた奴もいるのだろう。「ああ……あれ…」と呻く声が聞こえる。
 そのゆっくりは、もう一歩踏み込んだが、抵抗する意志のある人間はいない様だった。

 「いつまで経っても変わらないわね!! この林は!!!」
 「ここから皆離れたくないんだよ!!!」
 「――――だったら、離れなくてもいいけど――――」

 彼女は、その場で腰を屈め始めた。
 重心は腰に。
 どうやら、前進するための準備ではないらしい。

 「大人しい、いじめられっこの振りはやめなさいな」
 「ふ……振り…………?」
 「結局、何だかんだであんたらは安全だった」


 ―――本当に共存するつもりなら―――とりあえず、違う種族がそれぞれある程度は安全に常に生きている状態を
言うなれば―――――「強くない振り」「とにかく無害なふり」は、割と有効な手段だろう。
 相手が安心できるという意味でだ。
 実際に、この理論で、長い間理想的ともいえる関係を築いたゆっくりのコミュニティーも存在する。

 その逆も然り


 「もう安全じゃなくなる。そんな、嫌な奴等に潰されかけるくらいなら―――――」


 拳を振り上げ


 「私が  今から終焉を呼ぶ」


 それは地面に叩きつけられた。

 地鳴り。
 人間の内、何人かがそれで転ぶ。
 続いて―――


 林の葉っぱが、全て、落ちた。

 季節は春だというのに。
 秋でも冬でもないのにだ。
 林の中が、どこからでも見渡せる。
 中に居たゆっくり達は、怯えた顔はしていなかった。 ただ――――機嫌が悪そうだった。

 「あんたら、昔から野生を生き抜いたゆっくりでしょうが!!!」
 「ごちゃごちゃ煩いよ!!!あんた、勝手にここを出て行ったくせに!!!」
 「だったら、人間のガキなんかに『いじめないで!!!』なんて言いなさんな」


 相手を根本から油断させて支配するのが有効なら――――その正反対も、成立
できるであろう。

 「大体、お前ら気に食わない!!! だから出て行ったけど、いい機会だからぶちのめすわよ!」
 「「「「うるさいよ!!!」」」」

 人間はまるで無視
 最初からいないかのように
 先程の林の内部への狼藉など、ものの数ですらないよう

 「何なの? 葉っぱは落とすわ、皆をいじめる悪い人間は放置してるわ、昨日来たお姉さん?は、
  殺しあえなんて言い始めるし、結局あんた、みんなを助けに来てくれたんじゃないの?」
 「無論」

 恐らく相当精密であろう義手を、足で脇に蹴り飛ばし、それが何人かに当たり、またそいつらは
痛がって転んだ。

 「今から起すのは、本当の惨劇ね」

 本当にゆっくり全員が集まっているのだろう。
 どこに隠れていたのだろうと思うほどの人数である。
 あの間の抜けたゆっくり特有の顔も、皆等しく怒りに燃えている。 ―――そして、昨日と同じく、
素早く飛び掛ろうとする小さな赤い帽子のゆっくりを、まだリーダーがけん制していた。

 「そいつにも戦わせてやりなさい」
 「この子はまだ幼い」
 「いえ………」

 人間はほぼ皆気がつかなかったが………最初に転げ落ちた生首は、するすると移動を始めて
いた。
 そして―――鬘だったらしい髪の毛が落ち、ナイトキャップと、薄青の本来の髪の横のこめかみ
から―――翼が生えた。

 「…………おい、こいつって……」
 「あれ…………確か、大全の真ん中辺りに載ってた……」

 ふわりと浮いた顔は、笑っていた。
 赤子のような無邪気な笑み。
 そのまま、林のゆっくり達の前まで浮遊して移動すると―――その被っていたナイトキャップを、
赤い帽子のゆっくりにそっと投げつける。

 「そっちの方が近い」
 「………これ、あんたの帽子じゃ……………?」
 「最後くらい、私に姉っぽい事をさせなさい。オリジナルに近いでしょ―――てか、気づかれるかと
  思ってたのに、私の正体にも気づかないなんて、妹失格!」

 これは、直接先程まで高校生達と直接話していた時の声。

 「それから―――代わりにもらっていたのは、持ち主に返しなさい」
 「――――うん」

 赤い、葡萄のついた帽子は、リーダーの下へ。
 そのリーダーの横に………うつぼかずらの様な、なんともいえない、よく解らない生物が佇んでいた。
目付きはゆっくりに近いが、どう見ても獣である。
 いつの間に現れたのか、誰も解らなかった。
 何やらゆっくりらしい、棒読みの声で、威嚇の声をあげる。


  「穣子様がお怒りでごじゃる!
   ゆっくりするでごじゃる!」


 更に―――――リーダーには、体ができていた。
 何のエフェクトも、前触れも音も無く、体ができている。
 足は――――両方ともどこか曲がった形の上、裸足なのが痛々しかった。

 何の前触れも無く―――
 気がつけば、ゆっくり全員が、小さい者たちも含め、胴体を生やしていた。

 「昨日、相手のことが好きだから、殺し合いになる とかなんとか言ってたわね、しずは姉さん」
 「…………みのりこ  あれ、直接言ったの私じゃないけど」
 「――――本気出しても怒らないから。今日だけはあんたも前に出て戦いなさい、フラン」


 そして――――原理は、もう完全に蚊帳の外の人間達は手出しなどできないまま――――
 まず、建設途中だった建物が一気にノーモーションで壊され――――



. _人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
.> TUTAWARIYASUI GOJAEMON SPARK!!! <
.  ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y



 ゆっくり達同士の、惨劇が始まった




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最終更新:2010年04月15日 22:48