中国の人里離れた奥地にあるという、仙人の山。そこに一人の男がいた。
彼は諸国を放浪して仙薬の材料を集め、この山にやってきた。
言い伝えによると、仙薬を正しく作るためにはこの山にこもって材料を100日間かけて煮詰めなければならない。男は来る日も来る日も材料を煮込んで、100日が過ぎた。
しかし、完成したそれはどう見ても飲めるような物には見えなかった。色といい、匂いといい、明らかに人体に有害な感じがする。こんなものを飲んだら不老不死どころかお腹を壊して死んでしまう。男が薬を飲もうかどうか迷っていると、
「ゆっくりしていってね!!!」
背後から声がした。ふと見ると薬を煮込んでいる鍋のそばに頭の左右にお団子を付けた丸っこい顔の生首のようなものがいた。
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「何だお前は!どこから入ってきたんだ?」
「かせんはかせんだよ!」
どうやらかせんというのがこの生首の名前らしい。
「おじさん!おなかすいたよ!」
そう言われてもしかし、仙薬を煮込んでいる間は何も食べてはいけないことになっているので食べ物は持っていない。
男がそう生首に告げると、かせんはいきなり鍋の中に飛び込み、
「むーしゃむーしゃ♪しあわせー♪」
鍋の中にあった薬を全部食べてしまった。
何ということだ。俺の100日間の苦労をどうしてくれるんだ。言いたいことはたくさんあったが、彼はお腹がすいていて怒る気力もなかった。
すると、かせんが鍋から出てきて、俺の目の前にぽよん、と着地し、そして、
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> さあお食べなさい!!! <
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そう言うと頭のお団子がぼよよーん、と取れて床の上に落ちた。
断食の空腹と苦労して作った薬が食べられてしまった絶望で判断力がなくなっていた男は夢中でそのお団子を食べてしまった。
最後の一口を飲み込むが早いか、男は煙に包まれ、煙が晴れるとそこには男の姿はなく代わりにゆっくりかせんがもう一匹いた。
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「なかまがふえたよ!」
「やったねかせんちゃん!!」
「「ゆっくりしていってね!!!」」
そう叫ぶと二匹のゆっくりかせんはぽよんぽよんと楽しそうに飛び跳ねながら山奥に消えてしまった。
中国の人里離れた奥地にあるという、仙人の山。そこでは今も二匹のゆっくりかせんが楽しく暮らしている。
- 新解釈の繁殖法 -- 名無しさん (2011-06-15 16:09:06)
- なん・・・だと・・・ -- 名無しさん (2011-06-16 07:05:55)
- 恐怖タグが付いてないですよ -- 名無しさん (2013-07-16 01:37:34)
- タグつけて見ました -- 名無しさん (2013-07-21 10:39:52)
最終更新:2013年07月21日 10:39