ぬぎこたつafter ゆっくりみすちーが教えるスマートな仲直りの方法

このSSは夜雀と亡霊のぬぎこたつ!の続きです。
そちらからお読みいただければ幸いです。



『ぬぎこたつafter ゆっくりみすちーが教えるスマートな仲直りの方法』



後に、“ぬぎこたつ乱痴気騒ぎ”と呼ばれる白玉楼の血で血を洗う凄惨なる一夜から、

一週間の時が流れた。


あの一夜から、ミスティアと幽々子、
甘酸っぱい初恋的気分に戸惑う若い娘と、そんな彼女を優しくリードする大人のお姉さん、
そんなバカップルリア充爆発して四散しろ的な状態だった二人の関係に、とある転機が訪れた。

転機といっても、あんな結末で終わったからとはいえ、
ミスティアの中にあるサディスティッククリーチャーの血が目覚めたとか、
幽々子が痛みを快感に変える術を覚えたとか、そういうことが起こった訳ではない。

それまで幽々子に対して素直になれないまでも好意を隠してこなかったミスティアの態度に、


幽々子『ねー、ミスティアー』
ミスティア『気安く話しかけないでください。不快です、死にます』


ツン期が訪れた。
ついでに敬語キャラ属性が付いた。
ちなみに、ツンってのは、サーミ語・ウラル地方の言語で「木のない土地」を意味するツンドラの略語なんだ。


「ツン期ていうか、もう末期なんじゃないかな?来週あたり最終回なんじゃないかな?」
「そそそそそ、そんな訳ある訳ないじゃない!! 私とミスティアの冒険の旅はまだ始まったばかりですわ!」
「打ち切り確定の流れだね」

そんなこんなでミスティアのツンドラ気候によって精神に著しいダメージを負った幽々子は、
現状を打開し再び温かい春を迎える為、ミスティアの親しい友達の一人であるゆっくりみすちーを白玉楼に参いた次第である。

「私‥、いったいどうすればいいのかしら?
 機嫌を治してもらおうと食事に誘ったりお菓子持っていったり鍋持っていったり牛肉持っていったり豚足持っていったりしたのに、
 一向に受け取ってもらえなくって‥」
「よく、プレゼントは自分がもらって嬉しいものを、って言うけど、何事にも限度ってあるよね?」

ゆっくりみすちーは一通り幽々子の話を聞いて大きくため息をついた。
今の幽々子には普段のカリスマたっぷりのおっとりした態度が全く見られない。
それほどに、ミスティアに冷たくされたことが堪えているということなのだろう。

「ていうか、何でみすちーに相談しに来たの?みすちーの人生経験なんて3人目の綾波くらい少ないよ?」
「一応妖夢にも相談してみたんだけど‥」


『モノを送るなら、こちら側の誠意を示せるものが良いんじゃないですか? 指とか首とか』


「その後、あの子にこやかとした笑顔で『手伝いましょうか?』って‥」
「なんで庭師もツン期入ってるの!?」
「私が色恋沙汰にうつつを抜かし過ぎてるのをあまり快く思ってないみたいで‥」
「だからこんな目立たない場所で話し合ってるんだね」

ちなみに、二人が話してるのは白玉楼の庭の隅に生えている茂みの中です。

「なんで自宅でスニーキングミッションしなきゃいけないのかとずっと思ってたよ」
「うう、何だか最近この館での肩身が狭くて‥」

もうどうすれば良いのか、どうするのが正解なのか、何も分からず幽々子はすっかり困り果てている様子だ。

「まぁ、みすちーもお姉さんと幽々子お姉さんとは仲良くしてもらいたいからね。
 お姉さんもなんか最近これ見よがしに苛立っててこっちに二次的被害及んでるし」
「うぅ、ありがとうね、御饅頭さん」
「まぁ、みすちーに言えることは少ないよ。でも、敢えて言うなら」


「お姉さんって何だかんだいってドMだから、今怒ってるのも前回のプレイの欲求不満から来てるものだと思うから、
 背後から襲っちゃえば、そのままなし崩し的に仲直りできちゃうと思うよ」


「‥‥‥‥‥ん?」
「抱きしめて口を塞いで押し倒して服を脱がして後は本能の赴くまま行動すればいいと思うよ」
「‥‥‥‥ええと?」
「ちょうど、いつもの幽々子お姉さんみたいに」
「私ってそういうイメージ!?あなたにそんな風なふしだらな感じに想われていたの!?」
「寧ろそういうイメージしかないよ。多分みんなそう思ってるよ。いや、ウブ幽々子も一部の需要があるのは確かだけどね、pixivとかで」
「い、いやいやいや、流石にね? こう言葉もなしにいきなり襲いかかるなんて、そんなの紳士的じゃないわ」
「何を今さら。永夜抄の時だっていきなり襲いかかってしゃぶりついて『小骨小骨』言ってたじゃん」
「あなたはさっきからどこの次元から物を見てるの!?」

ゆっくりの視点は第四の壁すら越える、なんてことはこの業界のお約束である。

「まぁ、しいて言葉にするなら」

『』

「とか」

ゆっくりみすちーは幽々子の耳元で、その言葉をそっと吹き込んだ。
途端に幽々子は顔を耳まで赤くして、首をぶんぶんと振る。

「いいい、いやいやいやいや。い、言える訳ありませんわ!そんな本能赴くままの野獣のようなセリフ」
「でも、いつもの幽々子お姉さんならシレっと言っちゃってたよ、そういうの」
「そ、そうだったかしら?」

そんなまるで年頃の乙女のような反応に、ゆっくりみすちーはまた大きく息を吐いてやれやれと首を振って説明する。

「今のお姉さんが苛立ってるのもさー、たぶん、幽々子お姉さんのそういう押せ押せな態度がなくて、
 プレゼントを贈ったりとか、やけに遠慮ぶった態度が気に入らないからなんだよ。
 元々お姉さんは、幽々子お姉さんの強引な所に惚れたとこあるからさ」
「そ?そうだったのかしら!?」

実際、普段幽々子がミスティアにかける言葉の三割強は割と卑猥なものに意味が直結したりしていた。
普段から庭師が苦労する訳である。

「だからさ、幽々子お姉さんがそういういつもの気概を復活させれば、お姉さんなんて速攻で落ちてくれるって。ほら、さっきの台詞言ってみて」
「ここで!?」
「今ここで言えない様じゃ、本人の目の前で言える訳ないじゃん!ほらほら!」
「う、う~!」
「お姉さんと仲直りできなくていいの? さぁさぁ!」
「わ、分かったわ! 言う!言ってみせる!」

顔を真っ赤に染めてゆっくりみすちーか眼を逸らしていた幽々子だが、
ゆっくりみすちーの最後の言葉に、決意を決め、その場で立ち上がり、
すぅぅ、と息を吸って、


「もう収まりがつかないわ。さぁ、今すぐあなたの可愛い××××を私の×××で×××して×××するまで×××××してあげるから×××なさい!」


おおよそ、地上波で放送できない言葉を口に出した。

彼女は叫んだのだ。

自身の思いの丈を。

自身の願いを。

希望を。

愛を。

愛しい人を自身の胸へと取り戻すため。

渾身の力を載せた、冥界全土に震わさん程の魂の叫びを。


「‥‥‥‥‥‥!?」


余談だが、立ち上がり叫んだ幽々子のちょうど目の前には、
『なんかあの辺の茂みから幽々子様の気配がする』、そう感づいて幽々子たちが潜んでいる茂みの前に立っていた白玉楼の庭師、
魂魄妖夢の顔があったりしていた。


「‥‥‥ゆ、幽々子様?」
「あ、あれぇ? よ、妖夢?」

庭師は顔を俯かせ、だが俯いた状態でも容易に分かるほど顔全体を真っ赤に染め上げ、
プルプルと全身を震わせながら少しずつ言葉を紡ぐ。

「 いき  なり 何を 言って いるんで すか ?」
「ち、違うのよ。これは違うのよ妖夢」
「何が‥何が 違うの ですか?」
「ま、間違いなの。さっきの台詞はあなたに言おうとしたのではなくて‥その」
「その?」
「み、ミスティアに言おうとした台詞で!」


幽々子は混乱する頭で一生懸命に言い訳を考えたが、
その言い訳も根本的な解決には全然なっていなかった。


「はい、分かりました。KILLぃます」




人鬼「未来永劫斬」


ズッザァァァアアン!!と小気味の良い斬撃音が美しい庭に鳴いて響いた。



「つまり、あれだね。セクハラはいくない」

繰り広げられる惨劇を横に、白玉楼の縁側で緑茶をすすりながら、
やれやれと呟く、危機回避レベルマックスなゆっくりみすちーであった。




※後日、ミスティアに本当にあのセリフ言ったら仲直りできました。




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最終更新:2011年02月27日 03:57