【2011年春企画】緩慢刀物語 双魔章 ~Devil May Be Slow~-6




裂邪は歩いていた。
どこへ行くのかもわからない。
ただ、この方向へと歩かなければいけなかった。

すでに周囲は暗闇。
太陽はとうの昔に沈んでいた。

「フフフ…」

裂邪の瞳に何者かが笑っているのが見えた。
それでも裂邪は歩みを止めることはない。
まるで運命に導かれているかのように。

「裂邪…おいで…」

『それ』…吸血鬼は両手を広げる。
裂邪をその腕の中へ迎え入れる為に。

裂邪は無言のまま吸血鬼の腕の中へ。
最初からそうなるように命じられたかのように。

「裂邪…貴方の血…いただくわね…」

吸血鬼の牙が裂邪の首筋へゆっくりと近づく。
今にも裂邪の肌と吸血鬼の牙が交わろうかというその瞬間。

吸血鬼の脇腹に鉄輪が突き刺さった。

「ぐああっ!!」

苦痛に顔を歪ませる吸血鬼。
驚異的な再生能力を持つ吸血鬼といえども痛覚はあるのだ。

吸血鬼は燃えるような痛みに体を震わせながら、脇腹に刺さった鉄輪を抜く。
それはみょんの菓子剣の一つである円剣『胴夏』だった。

「やっぱり貴様だったみょん」
「…運命を操る…こういうことだったのか…こりゃ確かに凄いわ…」
「お、お前達…何故…」

吸血鬼は驚きを隠せない。
何故なら、吸血鬼の目の前に現れた二人…みょん、彼方の運命も裂邪の運命と同時に操っていたのだ。
ここにいるはずがなかったのだ。
それが何故ここにいるのか。
吸血鬼には目の前の光景が理解できなかった。

「運命とは…未来は超越的存在によってあらかじめ定められている、私のお嬢様の言葉よ」

正気に戻ったのだろう。
裂邪が後ろに大きく飛び、吸血鬼から間合いを取る。

「貴方も運命論を御存知ですよね?」
「…そんなことは…そんなことはわかっている!」

吸血鬼は苛立ちの表情を浮かべる。
自分があの吸血鬼とは違う生き物と言われているようで。
彼女はそれだけは否定しなければいけないのだ。

「運命を操る能力…でもそれは万能ではありません。万能ではない以上破る手段だってあった」
「破る手段…だと!?まさか…」

吸血鬼は絶望の様子を隠せない。
嘘だと否定したかった。

しかし、現にみょんと彼方はこの場にいる。
否定する事が出来なかった。

「貴方にも当然それはわかっているはずですわ。貴方もお嬢様の一部なのですから」
「ええい!何が言いたい!」

要領を得ない裂邪の言葉に吸血鬼は息を荒くする。

「お嬢様が生き返る事が出来ないのと同じよ…。貴方は起こり得ない運命に変えることまでは出来ないのよ!つまり貴方が能力を行使した時点で、貴方の指示通りに動く事が不可能な状態にすれば貴方の能力は効かないのよ!」
「な…起こり得ない…ように…だと…!どうして…?」

裂邪は吸血鬼に突きつける。
『運命を操る能力』の唯一と言っていい弱点を。

運命論…未来は超越的存在によってあらかじめ定められているという考え方だ。
しかし、この考え方の中で出てくる超越的存在は運命自体を作り出すことは出来ない。
つまり、その時点で不可能な運命に決定する事が出来ないのだ。

例えば、一般人が『自分の力のみで空を自由自在に飛行しろ』などと言われても不可能なように。
その対象にとって不可能な行動については操る事が出来ない。
それがこの能力の唯一の弱点と言えるだろう。

勿論、この能力の弱点は吸血鬼も理解できていた。
しかし、みょんと彼方の運命を複雑に操った訳ではなかったのだ。
それ故、その可能性を考えなかった。

吸血鬼が操った運命はこうだ。
彼方とみょんは屋外に出て村から吸血鬼の現在位置とは逆の方向へ一時間ほど歩く(跳ねる)。
裂邪は屋外に出て吸血鬼のいる方向へ黙って歩く。
決して複雑な操り方をした訳ではなかった。

「これを見るみょんっ!!」

みょんが口の中から取り出した物。
それは…

「縄…だと!?」

吸血鬼の表情が驚愕へと歪む。
勿論、縄を見たからではない。
自身の考えが全て見破られていたということに対してだ。

「日が沈む前にかなた殿とみょんの体を縄でしっかり縛ったみょん。だからみょん達は動けなかったみょん。同時に貴様の能力も効かなかったでござる。貴様の操り人形になることもなかったみょん」
「裂邪が急に歩いて行くのと同時にみょんさんが女将さんを呼んだんだよね。突然裂邪に縛られた時はどうなることかと思ったけど」
「後は能力が効いたさくや殿の後を付いて行けば貴様の元へ辿り着けるという寸法だみょん」
「…貴方は私を最初に狙ってくると思っておりました」

まさかそんな方法で自身の能力が破られるとは。
吸血鬼は夢にも思わなかった。

「でも裂邪もみょんさんも最後まで私に黙ってたよね…。話してくれても良かったんじゃない?」

彼方がみょんと裂邪に向かって睨みつける。
最後まで作戦を秘密にされたことは彼方にとって面白いことではなかった。

ちなみに、みょんには食事後に裂邪からこっそり作戦の内容を伝えられていた。
最後まで作戦の内容を伝えられなかったのは彼方(とれみりゃ)だけだ。

「貴方が最後の切り札だったのよ」
「かなた殿にはみょん達に何かあった時の為に止める役割でいてほしかったみょん」
「…そうなの?へへへ…じゃあ仕方ないね」

彼方は二人の言葉に満足そうな笑みを浮かべる。
切り札、と言われて気を悪くはしないだろう。

「(ちょろいわね)」
「(ちょろいみょん)」

心の中だけでこっそり笑う二人。

今回の作戦の成功率ははっきり言って分が悪いと言わざるを得なかった。
何故なら、吸血鬼の思考を完全に読み切れていなければ、能力の弱点を突くことは不可能だったのである。

例えば、みょんと彼方が動けないように、二人の体を縄で縛った事が吸血鬼にまで伝わっていたとしたら。
吸血鬼は単純に『誰かが二人の縄を解く』→『二人の縄が解けたら二人は歩く』というように順序立てて運命を操れば、何も問題なく能力を行使できたのだ。

みょんと裂邪が恐れたのは、彼方が変に意識して吸血鬼に自分達の狙いが伝わってしまうことだった。
それ故、彼方には最後まで作戦を教えなかった。
彼方は隠し事が苦手だということはみょんには理解出来ていたからだ。



「く…くそっ…例え能力が効かなくたって貴様ら如き…」
「みょん!」

円剣『胴夏』が吸血鬼へ向かって飛ぶ。
これも破邪の力を持つ武器の一つ。
吸血鬼の皮膚に傷を残すことが可能な武器だ。

「そんな物!」

吸血鬼は右手の中に素早く紅い槍を作り、一閃することでそれを弾く。
肉弾戦ならばやはり吸血鬼に分があった。
しかし、それは戦いが一対一ならば、もしくは吸血鬼の状態が完全なものならば…の話だ。

昨夜の紅い槍の嵐。
それが吸血鬼の体に深刻な被害を与えていた。
そして、吸血鬼の体は昨夜の戦闘からほとんど癒えてはいない。
絶大な魔力による傷もまた、吸血鬼の再生能力を阻害するからだ。
それ故、地上では最速と恐れられる飛行速度も、山を砕くとまで伝えられる程の強大な力も今では陰りを見せていた。

「…これで!」
「…む?」

今の隙の間に飛ばしたのか、吸血鬼の頭上には裂邪の銀の大剣があった。
それは吸血鬼に向かって真っ直ぐに振り下ろされる。

「くぅっ!!」

吸血鬼は左手の中にも紅い槍を作り、間一髪のところで銀の大剣を受け流す。
しかし…

「ぐああああっ!!!!」

吸血鬼は苦悶の叫びを上げる。
背中から伝わる熱い痛みによって。

「へへへへ…倒せる!倒せるよ!」

彼方は長炎刀を構えたまま笑う。
彼方が吸血鬼の背中目掛けて発砲したのだ。

銀の銃弾による射撃。
吸血鬼の背中の傷から伝わる彼方の『吸血鬼を倒したい』という強い意思。
さらに。

「うあああああああああああっ!!!!!!」

吸血鬼の体を銀の大剣が正面から貫く。
普通の武器ならば、大剣に体を貫かれたところで無力でしかない。
しかし、銀の武器でのこの傷は吸血鬼にとっても致命傷となり得る。

吸血鬼は確かに心の臓を貫かれた。
それでもまだ決着はついてはいなかった。

「くそっ!くそっ!誇り高き吸血鬼の私が!こんな奴らに!」

吸血鬼は頭を掻き毟りながら、三人の姿を見据える。
体に大穴が開いたというのに未だに倒れることはない。
吸血鬼が強靭な生命力を持っているからこそ可能なことだ。

吸血鬼は焦る。
一対一ならば今の状態でも肉弾戦で負けることはない。
吸血鬼の身体能力は人間やゆっくりよりも遥かに上なのだから。

しかし、相手は三人。
そしてその全員が自身の弱点となる武器を持っている。

魔法…広範囲の弾幕を使えば、三人相手でも形勢を逆転することは可能だろう。
しかし、今の吸血鬼には大規模な魔法を使うことは出来ない。
文字通り『魔力の残りカスしか残っていない』のだ。

魔力がほぼゼロとなった事で死体となり、それでも完全に死ぬ事が出来ずに本能のままに動く様になってしまった吸血鬼。
魔力を補給しようにも死体の為、自身の中に溜まらずに抜けて行ってしまう。
彼女の運命はすでに決まっていたのかもしれない。
そのような哀れな吸血鬼を、瞳を揺らせたまま見つめる少女がいた。


「…お嬢様…」

裂邪の漆黒の瞳には涙が浮かんでいた。
目の前にいるのは、胴体を銀の剣に貫かれ苦しんでいる吸血鬼。
愛する主の体を傷つけるのは裂邪にとって悲しく苦しい事だった。

「わた…し…は…」

裂邪の中で躊躇いが生まれる。
これ以上傷ついた主の姿を見ていたくない、と。
裂邪は顔を俯かせる。

「…裂邪!」

その時だ。
閃光のように鋭い叫びが裂邪の心を貫いた。

「約束を守るんじゃなかったの!?眠らせてあげるんじゃなかったの!?貴方の主を!お嬢様を!」
「…彼方…!」

裂邪は彼方の叫びに顔を上げる。
そうだ。
自分は何をやっているのか。
裂邪は自問自答する。

「(私には…お嬢様との…約束がある!)」

またも自分がやらなければいけないことから逃げてしまうところだった。
またも主を裏切ってしまうところだった。

「(…彼方、ありがとう…)」

裂邪は両手で自身の両の頬を叩く。
目が覚めたのだ。

「(私には…彼方のように強い意思を貫くことは出来ないかもしれない…けど…!)」

彼方には、自分が持っていない強い意思がある。
それはどんなに望んだところで自分には真似出来ない。

「(今の私は…一人ではない。小さなお嬢様も…みょんも…彼方もいてくれる)」

しかし、今はそのような自分を支えてくれる仲間がいる。
そのことが、裂邪の心を奮い立たせた。

「裂邪!」
「ええ!もう大丈夫よ!彼方!」

裂邪は改めて吸血鬼を見据える。
今度こそ逃げぬように。

「お嬢様!貴方を…貴方を眠らせてあげます!」

裂邪は銃を握り直す。
今度こそ約束を守る為に。

「彼方!頭を撃つのよ!それで終わりにしましょう!」
「うん!」

吸血鬼は頭部さえ破壊されなければ何度でも体を再生させることが出来る。
逆に言えば、そこを銀の武器で破壊することで吸血鬼を永い眠りにつかせることが出来るのだ。

裂邪と彼方は横に並ぶ。
そして、二人は銃口を構えた。
吸血鬼の頭部へ向かって。

「やらせるか!」

吸血鬼も銀の銃弾を警戒して両手の紅い槍を構える。
しかし。

「させないみょん!」
「ぐあっ!貴様!」

胴夏が吸血鬼の左腕に刺さる。
この刀を体に刺したまま放っておけば、吸血鬼の身体をも溶かしてしまう。
そして、そこに吸血鬼の注意が行った瞬間、隙が生まれた。
絶望的な隙が。

「今だみょん!かなた殿!さくや殿!」
「裂邪!」
「ええ!」

裂邪は思い出す。
吸血鬼…自身の主に甘えていた時の思い出を。



「お嬢様…この服…似合いますでしょうか?」
「うんうん!貴方はメイド服似合うわね。やっぱり貴方にはこの館のメイドをやってもらおうかしら」
「が、頑張ります!」
「冗談よ…貴方一人じゃどうやったって無理だから」
「あぅ…」


「お嬢様…これはなんて読むのですか?」
「これはねえ…銀って読むのよ?」
「ぎんって…あの銀ですか?」
「そう、その銀よ。人の意思を最も透き通す金属なのよ。これで作られた武器を使えば悪魔を倒す事も出来るわ」
「私は悪魔なんて恐くないです。お嬢様と一緒ですから!」
「そ、そう…」


「お嬢様…この言葉はどういう意味なのですか?」
「フフフ…貴方もこの言葉が好きなのかしら?」
「お嬢様はこの言葉が好きなのですか?」
「ええ、この言葉は日元の言葉では『大成功』とか『大当たり』って訳すらしいわね」
「そうなのですか…」
「そうだ!裂邪もこの言葉を使ってみなさい!」
「よ、よろしいのですか!?」
「勿論よ。一緒に言ってみましょう。せぇの!」



「「jackpot!!」」



合言葉と共に放たれた二つの銀の銃弾。
それは確かに吸血鬼の頭部を貫いた。



「わた…しは…ああ…そう…か…」

頭部を銀の銃弾によって貫かれた吸血鬼はそのまま後ろへと倒れる。
その表情は安らかな笑顔と化していた。

「ありが…とう…みょん…か…なた…」

吸血鬼の深紅の瞳には涙が浮かんでいた。
それは歓喜の涙。
これで自分はようやく本当に眠れるのだ、と。
未練は晴れたのだ。

「さ…く……や…」

吸血鬼は満足そうな笑みを浮かべ、今度こそ闇夜の中で眠りについた。





悪魔は




「お嬢様…」




とても




「私は…生きて行きます」




ゆっくりした顔で




「本当に…本当に…」




永い眠りに




「ありがとう…ございました…!」




ついたのでした







翌朝

四人は村の入り口で立ち話をしていた。

「貴方達には本当に世話になったわ…」
「う~♪う~♪」
「いやぁ…こちらこそお腹いっぱい御飯を食べさせてもらっちゃって…」
「かなた殿は少し遠慮という言葉を覚えるでござる…」

彼方は今朝の食事もいつもと同様に食べたのだ。
裂邪の財布の重量が一気に軽くなったことは言うまでもない。
そして、その光景をみょんは決して笑うことは出来なかった。

「フフフ…彼方に遠慮なんて言葉は似合わない気もするけどね」
「ほら!みょんさん!聞いた!?私は遠慮なんてしない方が良いってさ!」
「さくや殿は余計な事を言わないでほしいみょん!」
「フフフ…ごめんなさい…」

もう出発の時間なのだ。
彼方とみょんはこの場所でいつまでも立ち止まるわけにはいかなかった。
目的の為に。

「これから刀鍛冶の村へ向かうのよね?」
「うん、覇剣を直してもらわなきゃ」

彼方は腰に差してある覇剣を触りながら笑う。
この覇剣を直してもらうことが彼女の最大の目的なのだ。

「さくや殿とれみりゃはどうするみょん?」
「私達は…紅魔館へ戻るわ。お屋敷の整理もしなければいけないし…」
「う~♪う~♪さくやぁ♪」

裂邪はれみりゃの頭を撫でる。
彼女の主だった吸血鬼はもういない。
しかし、このれみりゃが裂邪の傍にいる。

「れみりゃはさくや殿をしっかり守るでござるよ」
「う~♪しらがぁ♪ゆっくりするんだぞぉ♪」
「みょんの話を聞けでござる!そしてみょんは白髪じゃないでござる!」
「う~♪う~♪」

裂邪は生きて行くのだ。
このれみりゃと共に。

「…お別れか」

裂邪に初めて出会った時はとんでもない女に遭遇してしまったと思っていた。
一度は大切な覇剣も奪われた事さえあった。
しかし、目的の為に一緒に戦った事による経験。
それが彼方の中で裂邪との別れに名残惜しさを感じさせていた。

「きっとまた何処かで会えるわよ…」

一方の裂邪も彼方と別れることに寂しさを覚えていた。
裂邪としての生を今は亡き主から頂いて以来、彼方が初めての人間の仲間と言えたのだから。
しかし、彼女達は彼女達の道があるのだ。

「また会うのも運命、でござるか?」

運命。
裂邪はその言葉ににっこりと笑う。

「そう、私達が出会ったのも運命…だったら私達がまた出会うのも運命よ…きっと」

それはとてもゆっくり出来る笑顔であった。




「…かなた殿」
「ん?何?」

裂邪達と別れてから約十分後。
みょんは遠い目をしながら不意に呟いた。



「悪魔が…ゆっくりしても良いでござるな…」



「はぇ?」

彼方は思わず間抜けな声が出てしまう。
みょんの言葉があまりに突然だったから。

「何でもないでござるよ!!」
「ちょっと!みょんさん!いきなりそんなに早く跳ねて!どうしたのさぁ!!」

彼方が呆然としている間に、みょんはどんどん先へ行ってしまう。
彼方は慌てて追いかける。
腰の覇剣と長炎刀を揺らしながら。

「早く来ないと置いて行っちゃうでござるよ!!」
「ちょっと!ちょっと待てってぇ!みょんさぁぁぁぁぁん!!!」

みょんと彼方の旅は続いていく…。
二人が目指すは刀鍛冶の村。




            ,.-─- 、
        ∧_,,∧\書/
   /\  ( e'ω'a)∩‐  
   | 後 ⊂     /
   ヽ/ r‐'   /
      `""ヽ_ノ

ダラダラとした長文が書いてあります。
不快に思われる方もいらっしゃるかも知れません。
もし少しでも不快に思われたなら即座にブラウザバックをお願いします。




よろしいですか?




皆さんお疲れさまでした。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
途中で飽きてしまう方も多いのではないかと思いますが、これを読んでくれているということは最後まで読んでくれた方がいらっしゃると勝手に解釈します。
感謝感謝です。

タイトルからお気付きの方も多数いらっしゃるとは思いますが、裂邪さんは台詞や設定にダンテを少しだけ引用しております。
ジャックポットだけは絶対に言わせたかったんですよ。
話の展開の中で一番最初に決めたことはそれですね。

何だかんだで一番苦戦したのはタイトルです。
正式に決定したのは発表三日前ですから。
双魔章…双魔というのは吸血鬼とれみりゃのことです。
また、『双』の字にはみょんとれみりゃ、彼方さんと裂邪さんのコンビという意味も含んでおります。


さて、今回の私の作品いかがだったでしょうか?
多分私がここで書いてきた中では一番力を入れた作品だと思います。
冬企画の三倍以上の文章量ですからね。
掛った時間も通常の三倍でした。
残念ながら、紅くもないし角もありませんが。

緩慢刀紅魔章とは関係ありそうな事を散々書いておきながら実際にはほとんど関係ありませんでした。
ミスリードのつもりはなかったのですが、結果的にそれっぽくなってしまったかもしれませんね。

後半ダレることが心配でしたが、個人的には概ね満足。
戦闘シーンも某冒険記より楽しく書かせていただきました。
このような機会を与えていただいた鬱なすさんには感謝感謝です。


次に、一通りの登場キャラについて軽く語らせていただこうかと思います。
まず、みょんです。
最終決戦ではみょんはサポート役に回るということは決めていたので、それまでに如何にみょんを格好良く書けるかということも課題としておりました。
いざ書いてみると、主に会話面で大活躍です。
鋭い勘を持ち、頭の回転も早いみょんとして書けたのではないかと概ね満足。

戦闘シーンでは苦戦することが多かったですが、決めるところでは決めてもらえたのではないか…と、思ってもらえるといいなあ。
れみりゃとの掛け合いも個人的には満足です。
彼女がストレスでハゲないことを祈ります。


次に彼方さんです。
最終決戦で活躍してもらおうということは最初から決めていたのですが、それまではどのような役回りにしたら良いのか悩みました。
多分、鬱なすさんの考える彼方さんとは全然違う方向性のキャラクターになってしまったのではないでしょうか。
この作品の彼方さんは、一行の癒し役…ムードメーカーという風に皆さんに見ていただけたらいいなあと思います。


次にオリキャラである裂邪さん。
幼少時代に異端審問会に引き取られ、八つの頃に妖怪を初めて倒したという厨二臭い過去を持っております。
時間を止めることは出来ませんから、お嬢様の魔力を授けてもらった武器がなければ少々鍛えた女の子に過ぎません。
元ネタである咲夜さんと比べても感情は希薄ですね。

年齢は十五歳程度で彼方さんより少し年上です。
でも多分彼方さんより精神的にお子様です。
一人で生きていく力はないでしょうね。
文中ではお嬢様や彼方さんに依存をしている描写が目立ったのではないかと思いますが、これからも誰かに依存しながら生きて行くのではないでしょうか。

不安点は、少し出しゃばり過ぎてしまっていないかな…というところです。
映画版ルパン三世のカリオストロの城のクラリス的な立場になるよう意識してはいたのですが、達成できたのかどうか。
好かれる事がなくても、嫌われないといいなあ。
もし評判が悪くなければ別シリーズで登場させたい、ということも考えています。
という訳で、皆さんコメントを書きこんでくだしあ。


最後にこれまたオリキャラっぽいお嬢様。
一言で言えば、設定が大げさ。
年齢が数千年になってしまっているし。
まあ、数百年では『生きる事に退屈になって嫌になった』の説得力が足りないかなと思い水増ししてしまったわけですが。

最終決戦で吸血鬼が意外にもあっさりやられてしまったのは文中にも出ておりますが、最終決戦の前夜の傷がまだ癒えていなかった為です。
こういう『設定上だけは最強』みたいな言い訳を書くのは好きではないのですが、逆にこれを書かないと『魔力が無ければ少女二人とゆっくり一人に負けるくらい弱い吸血鬼なのに何故今まで退治されなかったのか』ということになりかねなかったので、仕方なく文中に挿入しました。

お嬢様の名前を最後まで出さなかったのは、緩慢刀物語紅魔章ですでに『レミリア・スカーレット』という名前が使われていた為です。
実は名前はレミリアじゃないかもしれないし、もしかしたらフランドールという名前かもしれません。

運命論を御存知の方もいらっしゃるとは思いますが、『運命を操る程度の能力』は、運命論から効果を派生させました。
色々な説がある運命を操る能力ですが…もし、これがこの運命論通りの物だったら明らかにチートですね。
まあ、東方原作の咲夜さんの時間を止める能力の時点で十分チートなんですけど。


最後に、今回私が勝手に作ってしまった設定は特にありません。
異端審問会などオリキャラに関することを除いて、ですけど。

面白くなかったという方や、不快に思ってしまった方にはごめんなさい。
申し訳ありませんが、以降の方々に期待をしてください。
それでは!


  • おお、企画の最初から面白いものを見させていただきました。
    吸血鬼はよく物語に使われる要素だけどそれをまさか時代劇に当てはめてくるとは。
    全員で戦うシーンも非常に満足、これを皮切りに企画が盛り上がっていくといいですね! -- 名無しさん (2011-04-06 22:10:33)
  • 合言葉は「ゆっくりしていってね!!!」かと思ったけどそれじゃやっぱり間抜けだなあw
    吸血鬼の弱点(日光・流水・ニンニク・銀)の共通点は”殺菌”にあるのでSFなんかでは
    吸血鬼は一種のウイルス感染説がある(十字架を恐れるというのはSFでは教会の権威付けのデタラメ)ので
    それ系かなあと思ってたら裏をかかれました。 -- 名無しさん (2011-04-07 14:53:59)
  • 殺菌も間違ってはいないんだろうけど
    意思が作品全体のテーマになってる・・のかな -- 名無しさん (2011-04-07 15:16:35)

  • れみりゃは普通の肉まんとして生きて行くのかな? -- 名無しさん (2011-04-17 14:41:26)
  • 正統派のゆっくり伝奇ものという感じですね! -- 名無しさん (2011-05-01 23:49:59)
名前:
コメント:

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2011年05月01日 23:49