【2011年春企画】緩慢刀物語 地輪章 出-2

 ジト目の少女(とはもう、言えないかもしれないが)は優しく続けた。
 半透明ではないが、こいつの正体は皆大体解っているはずだ。
 例外的に、こうした者が『妖怪』側にも必要なのだろう。

 「これでも、常に我慢してるんですよ?」
 「まあそうでござろう……」

 食料的な意味でも、観念的な意味でも、『妖怪』には人間が必要だと聞く。原理は知らぬが。

 「他の世界では、一緒にお酒飲んで形式で襲撃・退治を繰り返してるような馴れ合い世界も存在してる様です
が、私達はそうはいきません」
 「……………」
 「求めるのは、もっと真剣な関係です。―――無論私達が一段上の立場でね」

 博霊国による占領は、『妖怪』達の絶滅と同義である。
 この地下都市は、彼らにとっても最後の避難所になる予定だった。

 「でも、お互い追い詰められた人間・ゆっくり達との生活はすぐに破綻しましたよ」
 「解らないなあ」

 おりんりんが不服そうに言う

 「あたい達のご先祖の事だけどさ、そんな人間もゆっくりも、家畜かなんかにすれば良かったじゃないかあ。
別に人間を全滅させようなんて思ってた訳じゃないんだし、それじゃ意味が無いのは解るけどねえ。
  もしくは、妖怪を怖がる感情だけは持ってる豚みたいな生き物に品種改良するとか」

 恐ろしい事を平気で言う。

 「それは当時何度か実験しましたが、失敗しました。理想に見えますが」
 「あ、そう」
 「それに天然ものでなければ」


 「限定」「集中」「我慢」 ――――そして 目指すは「循環社会」


 「共存する上で――――私達『妖怪』も、あえて『退治される』という状況を甘んじて受け入れる事を選び
ました」
 「そりゃそうだね。普通じゃ勝てないよね………」

 まだ立ち直りきれないケロちゃんは弱気な声だ。 「なにそれくやしい」と、むらさが俯く。

 「私達の行動範囲と時間と襲撃対象と人数を絞って、その分楽しく襲い、攫わせてもらう」


 それは――――

 この街全体の見取り図を思い出した。
 綺麗に正方形の地区は、6×6の計36ヶ所に分かれている。
 広場に明りが灯るのは、常に9か所で、規則正しい順番が定められている。
 常時27か所は地上の深夜と同じ暗がりの状態である。
 そして――――長年妖怪を退治し続けているという、あるゆっくりまりさによれば、妖怪の数は恐らく8体。
 つまり、明りの灯っていない場所では約3割の確率で『妖怪』が出没している。
 そして、襲う対象も、知覚できる者も限定。
 確かに、住民全てに受け入れられた存在ではないが、その分知っている者にはとんでもない存在感だろう。
 事実、滞在しているゆっくり達や、一部の人間達は十分気にかけている。
 こうでもしなければ、存在できないのか……

 「しかし、上から目線だねえ。生殺与奪を握って、こちらに益することは『手加減する事』だけかい」
 「いいえ、サービスとして、地上から色々な連中を攫ってきてます」

 実際は攫っているというより、おびき寄せているのだそうだが……
 あの森がやたらと気持ちが良く、次第に怖くなってきたのもそのためか?

 「だから、こうしてこの街も今の発展にまでこぎつけたんですよ?」
 「妖怪と人間・ゆっくりあっての地下街ね。それは解る。でも、部外者を呼んでこんな殺伐と殺したり負けた
ふりしたりを繰り返すこともないんじゃない?」
 「それは無理。『妖怪』ですもの」

 やはり納得いかない。

 「捕食はしてないんではないでござるか?」
 「あなた方の極限の恐怖心こそが最高のご馳走です」
 「あんたらの活動時間と襲う相手、その範囲の仕組みはそれとなく解ったよ!!!でも、毎回毎回徘徊先で殺して
る訳じゃないみたいだね」
 「おや、その法則にまだお気づきでない?」

 まだ自力で解明できた者はいないんですね。と薄く笑って少女は続けた。

 「その日の内に退治できなかったら、その地区に私達は居残ります。そして、ゆっくりと人間をその日は
食らわしてもらっていたんですね。一人一日一匹ずつってルールで食べ過ぎないように」
 「………退治されたら?」
 「残りの明りの灯ってない所にいって――――また同じ事ですよ」

 むらさが、小さく悲鳴をあげた。
 小刻みに震えている。
 そう――― 一度、その日の内に退治ができなかった経験がある、と言っていた。
 つまりその時の犠牲の責任は―――――

 「いや、動揺しちゃだめだよ!!!」
 「しかし、不愉快なシステムだねえ」

 おりんはもう笑ってはいない。

 「共存とか我慢とか言いつつ、どうにも『妖怪』が得してるだけみたいだね」

 ―――8日間で、8か所を回り、みょんも知っていた。
 確かに『妖怪』に招いてもらった外部の協力も大きいが、この街はかなり自律している。少なくとも、広場の
灯りの仕組みを考えたのは、ゆっくりと人間達である。
 本当に、こんな事に付き合わされるのもおかしい。

 「あとひとつ確認したいでござる」
 「はい?」
 「色々、『血筋』とか『転生』とか、妖怪退治に必要な形式とか頭数とかのあれは……」
 「ああ、後付設定です」

 予想はしていたが………

 「私、心が読めるんですよ」
 「もしかして、途中で一つ目の『覚の怪』ってやつがいたけど、あれあんただね?」
 「分身ですね。本体は私。中々説得力があったでしょう」
 「いや、あれは………」
 「何だかんだで、各区の妖怪退治屋を斡旋してるのは私なんですから」

 元々そんな因果なんてないのに、ちょっとふきこんだらすぐゆっくりは本気になって……
 初日と同じように、少女はさも馬鹿にしたように口を押えて笑った。
 しかし、今更落ち込む事は、みょんにはできなかった。

 「――大体分かったでござるが、何故そんな事をペラペラと?」
 「おやまあ、これを聞いても落ち込みませんか。やせ我慢―――という訳でも無いようですね。本当に。
  ありのままに話したので、これで協力してくる方々も多いんですが、あなたたちは違いますね
  もう一つ――――これは、今いる滞在者の中ではあなた方だけに言いますが」

 今までで、一番嫌な予感がした。

 「滞在してるゆっくり――――私達を退治してくれる人数も、管理して一定に保ってます」

 ―――「限定」と「集中」するのは時間と空間だけでは無い。
 それじゃあ

 「えっと、あたい、そろそろこの街から出たいんだけど」
 「なら食らわせてもらうまで……」
 「「「「・・・・・・・・・」」」」
 「地上で、ここの事を吹聴されは叶いません」
 「外から、勝手に入ってきちゃった奴がいる場合は?」
 「そんな奴は殆どいませんが………その時も、遠慮なく古い者から食べさせてもらいます」

 化け鴉退治に集った4人は、無言で顔を見合わせた。
 気持ちを見透かして少女は言う。
 それは、認めたくないが根本的な問題だった。



 「でも、楽しかったでしょう? あなた達」



 ――――それはそうだ。

 最初は、怖かった。
 色々少しだけ呪った。
 しかし―――――自分に課せられた役割を果たすのは―――――
 ありがとう、と言われなくても、誰かの役に立っていると自覚できるのは、大抵の者にとっては、嬉しい。
 何よりも、何だかんだで、高確率で皆最後には勝っていたのだ


 何という、接待精神過剰な遊戯であろうか


 負け惜しみではないが――――誰もが、それとなくは気が付いていた事
 しかし
 まともにこの事実を受け取れば、恥ずかしさで倒れたくなる。
 こうも、手の平の上にいたとは
 実際、むらさは何かを嘔吐していた。
 対して少女の声はあくまで優しい。

 「これまで通り、きちんと『設定』を守ってもらって、仕組みに付き合ってくれれば、取って食うようなまね
  はしませんが……」
 「本当に………?」
 「この街は、あなた達が必要なんですから」

 そういった事は、何度も聞いた。

 「現に、この事を知ったうえで残った滞在ゆっくりもいる事ですし」

 多分、一緒にみょんと戦った面々の中にもいるはずだ。
 妖怪との繋ぎ役を果たしていた奴等が。
 そうでもしないと効率が悪いし――――――

 何より――――


 「あなた達、元々こうした展開が」


 ―――平和な町に巣食う邪悪な存在
 ―――それに立ち向かえるは、限られた者のみ
 ―――自分の因果と向き合い、自分の役割を果たし
 ―――友情を育み
 ―――最後には勝つ
 ―――感謝されようとされなくとも、必ず自分以外の誰かが幸せになる

 「………まあ、好きだわねえ」
 「ベタベタですし、もう、何回も何回もやってますけど、飽きないでしょう?」

 飽きさせないようにこっちも工夫してますし、と初めて少女の不機嫌な地声を聞いた気がした。

 「それは――――そうでござるな」


 「英雄」に憧れた事がない。本当に心の底から人助けが嫌いだ。
 そんな者がいるものか
 幼稚だし、単純だけれど
 その気持ちは、決して否定はできない。
 否定したら――――多分、人間とゆっくりの、文明が滅びる


 「――――いや、でもやっぱりそれ知ったらドン引きだわー」
 「マジひくわー」
 「おうち帰りたい……」
 「そうですね―――――だったら」

 半透明だから、4人は気が付いていなかった。

 「あなた達、気づいて、色々『設定』を無視してたそうですしね」

 少女の背後には、半透明の化け鴉が。
 そして、鬼・橋姫・土蜘蛛・釣瓶落とし・化け猫・あと何なのかよく解らない奴が一人。
 『妖怪』達も総動員か

 「退治されたふりなんて、しませんよ? 仕組みを外法で壊そうとする輩には、外法で
  戦わせてもらいます」
 「「「「……………………ええと」」」」
 「あ、今心読んでますけど、本当に動揺しきってますね。

 みょんは、改めて民宿に一人でいる彼方に思いを馳せた。

 「気持ちを隠す事も無いでござる!」

 気の毒そうな目で、彼方は言ったのだ。



 ――「今のみょんさんってさ。何度もグルグル戦って、ベテランになって、『妖怪退治』もこなれてく
 ――今のみょんさんってさ。何だか、自分の頭を切開して脳を取り出して確認して、またそれを
   頭の中に戻すって事を一人でくり返してるみたいで」




 ―― ごめん、気持ち悪い。




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 化け鴉との決戦の3時間ほど前の事。
 地底生活9日目。
 本当に、地上への東口出口がある端の地区にみょん達は到着していた。
 最後の妖怪退治になるはずだった。



 「言いにくいでござるが、解散みょん」
 「「「………」」」



 決戦前、近場の食堂にて、みょんはそろった武芸者達に発表した。

  れいむ まりさ さくやさん みょん アリス パチェさん れみりゃ ゆゆこ ゆかりん すいか
 うどんげ きめぇ丸 こまち いくさん てんこ さなえさん ちるの めーりん うつほ ケロちゃん

 稀にみる大所帯だった。
 宝剣を持っていたのはケロちゃん。この区域に巣食ったのは、化け鴉で、一度対戦経験があった。
 みょんには未知の相手で、相当な難敵と聞いていた。
 メンバーが集まった理由は、前々から持っていた花札の絵柄からだった様な………

 「それは化け鴉退治の中止と言う事……?」
 「いや、それは決行するでござるが……みょんと、あと少人数で行きたいでござる」

 怒ったりはしないが、皆戸惑っていた。

 「このメンバーじゃないと、倒せないはずじゃない?」
 「いや、大丈夫」
 「―――ただでさえ、人数が多くても倒せないかもしれないくらい強いよ?」
 「―――ならば好都合」

 運命の下に集まった面々で、元々一度共闘したゆっくりまでいて、大層心強かった。だからこそ、みょんは
言った。

 「最も強い地底の『妖怪』に、『設定』は無視して戦いを挑むでござる」

 何体かは飲み物を吹噴き、何体かは心配し、何体かは怒り始めた。頭を振って呆れている者もいる。
 ケロちゃんは落ち着き払って理由を尋ねた。
 みょんは――――彼方の言葉を思い出して―――― 一瞬のどがつかえたが、全員に向き合った。

 「おかしいとは思わぬか?このままでよいのでござろうか……」

 ―――他にも、色々方法があったはずだ。
 ―――地底に来てから何かおかしい
 ―――毎日毎日妖怪退治に明け暮れて
 ―――何だか変な縁に巻き込まれている様で
 ―――どこからか吹き込まれたやり方があってそれを律儀に守ろうとして
 ―――それでも、不思議と妖怪退治が上手くいってしまう

 「―――正直なところ、この『宝剣』でとどめをさせば良いだけの話。第一それすら本当に必要があるのか
  怪しいみょん」
 「だ、だけど街の人達にも必要だよ…… 妖怪退治は……」
 「辛くなっちゃったの?」
 「いや、辛くはござらぬ。寧ろ楽しいみょん」
 「そうだよねー 楽しいよねー」
 「ねー」
 「なんでこんなに楽しいんだろうねー」

 それが

 「それが……いけない事だみょん………」

 確実に、何かに騙されている。

 「本当なら、楽しいことじゃないはずみょん」
 「………」
 「横から見てると………一度飲み込んだ食べ物を綺麗に取り出して、またそれを調理して飲み込んで―――を
繰り返しているような」

 そんな事言うなよ! と怒声があがった。
 気持ち悪い話だから、というだけではあるまい。この説得に憤るものがいる事くらいは予想がついていた。
 それを見越して、みょんはたとえ話を始めた。

 「――――小さい頃に、聞いた話みょん」



  ―――ある所に、母ゆっくりゆかりと、娘のれいむがいた。
  二人きりの生活で、他の家族は見当たらないどころか、その痕跡や存在すら最初から無かったかの様で、
ゆかりはれいむに、「火事で二人以外はすべてが燃えてしまった」と悲しそうに説明するだけだった。
  れいむはすくすくと育った。
  ところが、母親のゆかりは、全く年をとらなかった。
  年を取らないどころか、だんだん若返っていった。
  れいむは不気味に思ったが、母親と離れる事はできず、やがて大人になり、最早幼児となってしまった
ゆかりの面倒を見る事となる。
  ついに赤子まで若返ったゆかりは、その内に生まれる前へと消えてしまうのではないかと思われたが、
ある日を境に、再び成長を始める。
  そして、れいむは自分が少しずつ若返っていくことに気付くのであった。
  育つにつれて、自分に母親(?)のれいむ以外の家族がいない事をゆかりは疑問に思うが、れいむは
「火事で二人以外はすべてが燃えてしまった」と悲しそうに説明するしかなかった。

  この二人は、今も、世界のどこかに二人だけで暮らしているのだろう



 「「「何それ怖い」」」
 「何故怖いとおもうみょん?」
 「所謂………『無限るうぷ』というものでしょうか?」

 興味津々にさなえさんが身を乗り出した

 「似たような話は、どの国にもあります。食事をして『しあわせー』を言ったら、その『しあわせー』
  の台詞が饅頭になって落ちてきて、それを食べて『しあわせー』を言ったらまた……とか」
 「何故怖いのか……」

 突然、横の席にいたゆっくりむらさが言った。

 「皆死ぬのは怖いよ。でも、何かが始まったら必ず終りがこなければいけない。『終わる事ができない』
  それは、ある意味『終わった』という事と同じこと―――ってところかな?」
 「飽きそうで、とても怖い」
 「生きながら死んでる ってこと………」
 「それよりも」

 更に、横で聞いていた部外者のおりんが割り込んできた。

 「一番嫌なのは、本人たちがけっこうその恐ろしさに気づいていない事? ある意味幸せかもしれないけど」

 別に他人に指摘されなかったとしても、そんなゾンビの様な状態になって
 全く同じ所をグルグルと回り続ける。
 本人達はそれを客観視できなくても――――いや客観視できない状況自体が――――

 「気持ち悪すぎて、あたいはごめんだ。例え毎日たらふく何かを食べられたとしてもね」

 二人とも良い答えだ――――みょんは素直に思った。

 「そういう訳で………皆にお願いだみょん」

 選ばれた戦士達の内、何人かは蒼褪めている。



 「―――みょんに、その恐ろしさを、そばで教えてくれた人がいたのでござるよ………」



 半数が――――意をくみ取ってくれたか、とても悲しそうに立ち上がってこちらを見ている。
 納得のいかなそうな半数に、悲しそうに笑ってみょんは弁解する。

 「――― 一度だけでいいでござる。このよく解らない『設定』から抜け出して戦わせてほしいでござる」
 「自分の脳内設定、外に語られちゃ困る」

 宝剣を持ったケロちゃんは、変にむくれ顔。
 無理も無いが

 「それが皆も当たり前って前提になってるのは怖いし、不愉快なもんだ」
 「…………」
 「だけど、それが解る身内だけで話が進んでるのは、傍から見ていてもっと怖い」
 「だねえ」
 「まったくだ」

 恐らく、同じく地上からきて、妖怪退治を続けている経験者なのだろう。むらさとおりんも乗ってきた。

 「一人の脳内で、そういうのが展開していると思うと、更にさらに怖い」
 「…………」
 「ただまあ、宝剣の持ち主は私だし、経験者だから最低限は同行させてもらう」
 「ケロちゃん殿!」
 「面白そうだね。実はあたいもそういう事をそろそろ考え始めてたのさ」
 「楽しいけど、やっぱりよくない気がするね」

 それでいいか?

 「ここに来た皆の衆は、旅をしていた者が殆どでござろう」


 ―――旅は、目的があるから面白い。
 ―――目的は、最後には終わるから頑張れる


 「ついでに……こんな事を続けてるゆっくりは、そもそも冒険好きのゆっくりはずみょん」


 ―――思い出してほしい
 ―――いつまでも人もゆっくりも突き動かす、熱い子供心を
 ―――冒険は、何が起こるか解らないから面白い

 まあ、化け鴉は極端に強いらしいので――――それでも、半数は「設定」通りに退治に同行することになった。


 ―――今夜、色々なものを、破る


 気づいてはいるが、このグルグル回っている変てこな輪から、抜け出そうとしても抜け出せないのだ。
 だから、いつもと違う事をする―――――

 「しかし、それはそれで怖いね」
 「うん。怖い」
 「怖いねー」


 そういう事もあってか


 【9回目】
  妖怪     : 化け鴉
  選抜ゆっくり : ・みょん ・ケロちゃん ・むらさ ・おりんりんB

  宿命     : 無   し

  宝剣の所持者 : ケロちゃん


 4人は、決戦の地である、化け鴉の巣食う、壁際の墓地へと向かった。








 「――――それじゃあ、楽ではなかったでしょうに」
 「でも化け鴉に勝てたのは、自力と見てもらえるでござるな」
 「そこは驚いてます」

 半透明の『妖怪』達は、少女の背後で、更に透明になって、何が何だかわからない事になっている。そして、
見間違えでなければ、体積が確実に増えている。

 「さて………『設定』を今回守らなかったので、親玉のお主の登場となった訳でござるが」
 「いいえ、総動員です」
 「………って事は、ちょうどいい。あんたらを全員倒せば、こんなグルグル回る『妖怪退治』ともおさらばっ
  て訳さね」
 「これも解りやすい…………」
 「―――…………とは思うけど………」
 「これは………」
 「なんていうかその……」
 「ええと……」
 「う……」
 「うあああああああ……………」

 少女の背後で、半透明の8体の妖怪達は、さらに形を変えていた。
 と、言うか、1つに、癒合していた。
 その内少女も半透明になり――――消え去った時には、最早『妖怪』は、半透明ではなく、出鱈目な設計で
作られた、塔の様な、屈強な生物と化していた。
 確かに、受肉している。

 頭部は覚りの怪 背中は化け鴉 腕は土蜘蛛 性格は橋姫―――――
という、綺麗な合体では全くなかった。

 押しくらまんじゅうを8体で行いそのままつながってしまい、離れようともがいた末に全く離れず、それぞれ
の配置が微妙にずれたような、見るもおぞましい怪物が立っている。
 鳴き声が無い、というのも、凄く嫌だった。
 生物としての例えは見つからないが、まだよく言って、植物の「葉の無い大木」であろうか?ただし、枝は
全て腕とか角とか足とか、首とか、新しく生えた触手とかに当たる

 「ええと………」

 多少予測した展開だった。
 化け鴉をあえて『設定』を無視して倒した後で、何が起こるか?
相手も総動員してくるだろうが、(いつも手加減しているとはいえ)戦った経験のある連中をその後相手にする
ことになっても何とか乗り切れると、みょんは踏んでいた。
 率直に言って、化け鴉も幻想郷にいた天狗達に比べればまだ弱い
 しかしだ

 「合体何て、またベタベタな……」
 「だからってくじけないのが、ゆっくりの宿命みょん!」

 考えてみれば、敵自体は8体から1体へ。
 少し前に、大量の兵隊を、床次明里と相手にした事をみょんは思い出していた。

 「大体、追い詰められて合体した挙句、少し大きくなった敵なんて………」

 とりあえず――――割と目立つ所にあった化け猫の頭部の口が開き、そこから土蜘蛛が出していた糸が渦巻く。
 次いで、化け鴉の2倍ほどの火球が、鬼の角の先に灯った。
 連中、自分で「設定設定」と言っていたが、適当過ぎる。

 「――――……誰だよ!! 『最後の最後に合体した上に巨大化した敵は、絶対大技で倒される運命にある』だ
  なんて!」

 一歩、そのまま蹴躓きそうな地響きをたてて、合体妖怪が歩み寄った。
 ゆっくりとだが―――もう、速度は関係ない、と思ってしまった時。
 同じくらい、重いたくさんの足音が聞こえた。
 むろん、同じ重量なはずはないが―――――音が、体に響いた。

 「いや、あるよ」
 「そういう『運命』」

 振り返ると。
 共に戦った―――――戦う予定だった、ゆっくり達が、揃っていた。

 「……………」

 全員が、思い思いの武器を手に取って。
 みょんは思った。

 「バランス悪ぃ…」

 その数、40~50。いや、やはり60以上はいるだろうか?
 今どこの壁際にも妖怪はいないから、こちらへ集合が可能だとすればほぼ全員が集まってもおかしくない。
改めて、種々多様なゆっくり達だ。
 ちょっとした壮観だが、種類によって変なばらつきや偏りがあって、見映えがあまりよろしくない。かつて
西行国で、一度だけあった御前試合に正装した同輩達が一同揃った時には大層感動したが、それとは何か違う。
 ゆっくりれいむが6.7体程固まっていると思えば、まりさは全体で3体程しかいないし、隅っこにはよく見る
と20体近くのてるよがいる。一度も一緒に戦わなかったが、今までどこにいたのだろう。
 対して、ゆっくりえーりんやもこうがいない。
 大体こういうのは、全種一体ずつ来るのが王道だろうと思っていたら、合体妖怪から濁流の様な声が響いた。

 『ゆっくり達……何故…………揃いも揃った………』

 この状態で一応喋れるのか

 「知れたこと!」
 「ゆっくりできない時こそ!」
 「ゆっくりにゆっくりさせない、邪な存在がある限り!」
 「ゆっくり達は必ず現れる!」

 会ったことの無い にとり→きめぇ丸→ぬえ→ちるの の順
 いきなり最前線に立って切ってくれた啖呵はかっこ良かったが、結局お前らもお前らで誰なんだ。
 何つながりだ、それは。

 「―――『冒険心』や『平和とゆっくりを愛する心』を利用され、偽りの運命の中、敵の手の上で延々と戦わ
される武士たち………」
 「そんな時、その真実に気づき、真の強大な最強の黒幕に、全員で立ち向かう」
 「こんな、ここまで美味しい展開に、参加しないゆっくりが居る訳ないじゃないか」

 成る程。
 説得の際、みょんは「熱い子供心」という単語を使った。
 他意はなかった。
 この合体妖怪達と、正直みょん自身も――――ゆっくり達の「熱い子供心」を甘く見過ぎていたということ
かもしれない。

 「―――では気を取り直して」

 深夜
 合体妖怪の浮かばせた火球と鬼火で、辺りは真昼の様に。
 それぞれ20本近くの腕もガサガサと動き、それぞれの武器を構え、戦闘態勢をとった!

 「行くぞ皆の衆!」


 そして、本当に最後の決戦が始まった。






 「みょんさん」

 みょんを拾い上げてくれたのは、彼方だった。
 約3分後。
 懸命に立ち向かう中、化け猫の尻尾に弾き飛ばされた。そのまま5回ほどバウンドし、ゴロゴロ転がり続け、
力も尽きて止まった後だった。
 別に、間に合って受け止めてくれた訳ではない。それで衝撃を軽減してくれた訳でも……
 しかし―――こうして『妖怪退治』の現場に立ち会ってくれたのは、一回目以外初めてだった。

 「彼方殿・・・・・」
 「凄い事になっちゃったね……」
 「うむ………」

 流石に、この轟音と異変で、人家と離れた場所まで移動していたとはいえ地元の人間や住民のゆっくり達も
集まって来ていた。
 この戦いは、誰にも知られる事は無いと思っていたし、それで良いと思っていたが……

 「だけど、見えないんだよね」
 「…………まあ、それはその………」

 彼方が、2回目以降、心配していても現場を訪れなかった理由――――肝心の『妖怪』が見えないので、
ゆっくり達が勝手に何かごっこ遊びを真剣にやっている様で、信じられない程恥ずかしいという………
 よく見ると、長炎刀を携えている。
 加勢してくれるつもりだったか。しかし、これではゆっくり達に誤射しかねない。
 と、言うか1回目は見えない事にむきになって発砲し、危険だったので、みょんが禁止している。
 無表情だった彼方は、気まずそうに顔をしかめる。

 「どうなの? 今」
 「―――………苦戦しているでござるな」

 『妖怪』達も、ある程度の基準をもって、地底にゆっくり達を引きこんでいるのだろう。皆かなりの武芸者だ。
みょんが見た事も無い菓子剣を使っている者もいる。
 何度も言うが、この地底の『妖怪』自体はそれほど強くない。釣瓶落とし辺りは、明らかに幻想郷で対戦した
別個体と比較すれば、劣化しているとすら言える。
 あの少女は大層脅しをかけていたが、最後に全員が合体までするという事は、個々の弱さの表れに他ならぬ。
ゆっくり達で勝てない事はないはずだ。
 しかし、実際にみょんは感じていた。
 何かが、届いていない、と。

 「何か草むしりしてるみたいだね!!!」
 「本当に利いてるのこれ!!?」

 そうなのだ。

 「必殺技は利いてるんだけどなーーー」
 「何か、布団にパンチしてるみたいだわーこれー」
 「なんかー やってらんないわー」
 「かてるきしないわー 神様ヒントくれよヒント―」

 切り落とした部分が修復されるとか、極端に刃を通さず固いとか、そもそも実態が無い。という訳では無い。
 にも関わらず、根本的に『妖怪』との間に溝があるような――何か噛み合わない価値観を持った者と、会話を
続けている気分である。

 「これは……」
 「宝剣どこいったんだ宝剣」

 理由は解っている。
 どこかへ行ってしまったが、宝剣は必要なのだ。
 そう、何度も言ったが、『妖怪』は観念的で、みょん達は具体的。
 具体的な者が、観念的な者に損傷を与えるとしたら、観念的な力を持った者が必要だ。

 ―――鰯の頭も信心から―――

 あの使いづらい事この上ない宝剣は、この地底でかなり昔に『妖怪退治用』として作られずっと使われてきた。
製造方法に、科学的・物理的な説明はできなくとも、そこに込められた因果やら因縁やらが、『妖怪』と同じ
土俵に使用者をあげてくれるのだろう。
 「魂平刀」や「胴夏」がそのまま直接攻撃できるのも、それが持つ神聖さや、他の場所での妖怪との戦いの最
中に作られたという事が大きいからだろう。
 だが、もうひと押し欲しい。
 後付設定と言われても、みょん達を結束する「運命」というやつも、そのためには必須だったのだ。

 「―――ご当地の剣だからよかったの?」
 「それが全てではないでござるが、かなり大きいでござるな」

 彼方は無言で、少し離れた場所に安置していた包みを持ってきて、みょんに押し当てた。

 「それは……」
 「使いなよ」
 「いや、終わってからゆっくり食べようと」
 「使ってよ」

 これは本当だ。
 しかし、無言で彼方はみょんに包みを押し当て続ける。
 ギュムギュムギュムゥゥ~~
 そうこうしている内に、同じく鬼の剛腕に投げ飛ばされたゆっくり達が、コロコロと近くまで転がってくる。
 大半はなおも懸命に闘い続けているが、それでも手詰まりなのは明らかだった。

 「……………これは?」

 包みを開けると―――そこには思いもよらぬ物体があった。
 目にまずはいったのは、金属の丸く長い芯。
 一瞬、肉を想像した。
 骨を取り巻いている、ところがそれらしい。

 「だから、いつも食べてもらった奴だよ」
 「いつもはこう―――ドーナツの様に……もっと平たく、真ん中が空いて…… 輪っかのような……」
 「だから、芯があるでしょ?」

 成る程。それであの形に完成するのか。
 これだけで、この焼き菓子の製造方法がそれとなく解る。
 想像を絶する作業なのだろう。
 地底生活を始めて9日目。
 参加できない戦いをよそに、彼方は毎日練習したのだろう。「この職人は長生きしない」と言われる訳だ。

 「――――相方が作ってあげたお菓子だよ? これって最強の武器の条件じゃない?」
 「ぬうう………普通はこういうのは、もっと旅の終わりにやるものみょん………」

 とは言え、みょんは軽く目頭を熱くさせながら、即座にいつもの槌を取り出した。
 そう、旅はまだ続く。








 おりんりんとむらさは、チルノフの様に並んで横たわりながら叫んだ。

 「ガッデム! もうこのまま妖怪に踏みつぶされちまうのかい!」
 「が、ガム手袋………?」

 むらむらむらむら
 次いで、ケロちゃんも吹き飛ばされてきて、精魂尽き果てた3体は、忌々しげに『妖怪』を睨みつける。
 合体妖怪は合体妖怪で、かなり悲惨な状況になっていた。
 元々8体が組み合わさった形だが、数にして5匹は力尽きたであろう。沢山あった腕や首などは過半数が
そぎ落とされているが、その活発な動きには衰えが無い。
 対してゆっくり達に死人はでていないであろうが、皆体力の限界である。
 あの合体妖怪全体、残りの3匹分を倒すことができれば、こちらの勝ちと言えるかもしれないが、やはり、
決定打が無い。

 「そう都合よくはいかないんだなあ……!」
 「今まで恵まれ過ぎていただけか?」

 予定調和の中で、妖怪を退治し過ぎたか!
 現実は非情である。
 歯ぎしりした時―――――ちょっとした空圧が、3体の、いや、全てのゆっくりと、合体妖怪の正面に
のしかかった。
 忽然と、場の中央に置かれた物体があった。
 大きい。
 太い。
 そして長い。
 合体妖怪とほぼ同じ基準の尺で作られた様な、長剣であった。
 非常識な形状と規格で、寧ろ柄がある事でかろうじて剣と判明する。
 妖怪に向かって構えているのは、みょんだ。
 息をのみつつも、幾人かのゆっくり達は呆れている。
 そして何人かの、菓子剣の使い手は気づいていた。

 「――――………バウムクーヘンを菓子剣にしたんだね!!!」
 「だけど、おかしいよ。 ああはならないはずだよ?」

 地底の名産品である。いち早く気付いたゆっくりよっちゃんは、既に菓子剣を作っていたが、ああした
形状にはならず、やや胴夏に近い、チャクラム状の剣が生成されるはずであった。
 みょんと彼方以外、合体妖怪自身も、皆一様に驚き、そして失望していただろう

 ―――見かけ倒しだろ、あれ………

 確かに圧巻だが、武芸者でも、ゆっくりの力では――――

 「持ち上がる訳もない………」

 しかし、 一閃!
 残った土蜘蛛の足に、鬼火が灯った瞬間を見計らってか?
 瞬時に跳ねあがった刀身が、残った化け猫の尻尾ごと、それを削ぎ払った!

 『ぐぬ……・・!?』

 初めて、苦悶らしい声を微かに合体妖怪はあげいてた。
 勢いよく宙を舞う尻尾が、確実な破壊力を物語っていた。

 「んなアホな……」
 「なんて馬鹿力だろう。あのみょんは!」

 違う。
 甘い物が好きなゆっくり達は、地底生活において、名産品であるバウム・クーヘンを皆食べていたので解る。
 バウムクーヘンという焼き菓子は、食卓に並ぶ時の形は――――

 「あの剣――――中が空洞なんじゃない?」
 「割と軽いんだね! 大きさの割に振り回せるわけだね!!! だけど………」

 それだけ強度に難ありだろう。
 そのまま振り下ろされた峯を狙い、残った鬼の剛腕が上がる!
 中が空洞の刃の中央、拳は的確に激突する。
 刀を咥えたみょんは、渾身の力で拮抗しているが、刀身の限界を誰もが感じた。
 しかし、刃は折れはせずにそのまま、しなり――――反動を利用し刀ごと反り返ったみょんは、仰向けに
刀身を返して切りかかった!
 鬼の腕を一刀両断――――

 「竹みたいな剣だね………」
 「そうじゃないよ!」

 バウムクーヘン――――どういった経緯で、この地下都市に流れ込み、名産品となったかは不明だが、直訳
すれば、「木の麺麭菓子」 と言ったところか。
 特殊な炉辺で、芯に生地を垂らしこんで回転させて巻きつけながらながら焼き、それを何重にも何重にも繰り
返す。
 完成形は木の切り株の断面を彷彿とさせる、幾重もの生地の層で構成された分厚い輪となり、これが名前の
由来である。
 何度も言うが、「バウムクーヘン職人は、長生きできない」と言われる。
 職人は高い技術と忍耐を要する。
 何重もの年輪には――――色々なものが、込められている。

 「それが、簡単に折られるはずはないでござる!」

 多層による柔軟性と頑丈さに加え、空洞の内部が衝撃を受け流し、更に合体妖怪に一撃を加える!

 「彼方殿の………!」

 みょんのために積み重ねた、9日間の苛立ちと、忍耐が渦巻いているのだ。
 体積がどれほど削られようと、元気だった合体妖怪の足取りに、ようやくふらつきが見て取れた。
 今までの宝剣の如く、確実に「退治」に向かっている。
 最後に。
 残っていた化け猫の部分も、鬼の部分も崩れ、他の8体達の足を支えに、みょんに向かい合った。鴉の首と、
3本目の足を自身の刀の如く身構えている。
 接近戦で痛い目を見たみょんは、あの足の鉤爪の怖さををわきまえていた。
 ゆっくり達も、野次馬たちも(見えないながらも)、声をひそめて見守る。
 重さはともかく長すぎる刀身と、約6本足の巨大な異形と言う相手に、未経験すぎる状況だがみょんの構えに
迷いはない。
 そして、先手を打って踏み込んだ!

 「――――まずい」
 「あれじゃ自殺行為だ……」

 上段からの切り込み。
 最初の様に、長さを活かした、咄嗟の逆流れならば勝機はあったかもしれぬ。
 鈍重と見せかけて軽量・空虚と見せかけて重厚――――実は、今までの攻撃は意外性にかなり頼っていた。
 手を出し尽くし、正攻法しかないと決め込んだか。
 みょん自身の剣の腕は相当高い。
 しかし―――化け鴉との対戦経験者は、化け鴉の怖さは、爪の切れ味にもある事を知っていた。

 「みょ、みょんっ!!!?」

 妖怪側も全力であっただろう。
 衝撃には強くとも、斬撃を浴びせられ――――刃先が、器用に幾重にも切断され、宙を舞う。
 そこから覗いた、丸い空洞に、誰もが悲鳴を上げた。
 宙高く、地底の天井まで舞い上がる刀身。
 それはまさに、やや厚くとも、日輪の様。



 そう――――輪である。



 いくつも綺麗に切断されたそれは、クルクルと丸く回り――――宙でさらに高速で回転を重ね
そのまま落下した。

 『お……おっ?』

 化け鴉の首の横、覚りの怪の一つ目部分だけがしぶとく残っていたのだが、それが一早く気付いたようだった。
 だが、もう遅かった。
 音も無く高速で回転した幾つもの刀身の一部は、風刀の様に、そのまま合体妖怪の残りを目指して降り注ぐ。

 「重ねたのは――――幅だけではござらぬ。本来、この菓子はそれこそが完了形」

 『な………何と…何と………!』
 『さ……さとり様! さとり……様、たすk………』
 「年輪を重ね、木は、横以上に縦に、天に伸びるでござる………」

 初めて、人語らしい人語を妖怪達は発したが、それも続かなかった。

 「そう――――幾重にも輪の様に――――」

 脳天から、残った頭部と手足とその他の幹部分の中心を、菓子剣は容赦なく貫通し、地面に突き刺さった。
 合体妖怪の、残った足も膝をつき、声も無く、その身は倒れ――――爆ぜる事も溶ける事も無かったが………
痙攣しながら、その身は徐々に透明に。
 そして、声も無く、消えた。


 「そう、名づけるならば」


 その性質は、「多重」



重剣  「芭宇夢 玖雨変」





 「――――彼方殿が『重ねた』結果がこれでござる」




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最終更新:2011年06月04日 20:54