てゐ魂 41話-3



作戦も決まり、祈祷士役も決まった所で準備は超高速で進められた。
昼頃には祈祷士役の三郎の店長もスタンバイが完了し、後は実行に移すのみとなっていた。

レティは⑨課の面々を部屋に集め、そこでそのまま待機しているように指示を出した。
ただいま、レティ達の目の前にある襖を開ければ
そこにはズラリと一列に正座した胴つきゆっくりが待っている。

その襖の前でレティ達は最終打ち合わせを行っていた。

「良い?まず最初に所長が部屋に入ってお化けの件とお払いを行う事について説明する、
 その後、私とちるのがお払いの為に呼ばれた祈祷士に扮した三郎店長を連れて入ってくる…この流れで行くわよ。」

「ああ、解っている。」

「大ちゃん、そっちの準備は良いかしら?」

レティは襖の向こうにいる部下達に聞こえないように気をつけながら大ちゃんに呼びかけた。
大ちゃんはレティの居る場所から少し離れた所で
最後の調整を行っていた。
その調整も今し方終わり、満足げな顔で大ちゃんはこう返した。

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「こっちも準備完了です!何時でも行けますよ!」

そう言いながら大ちゃんと三郎店長がレティ達の方へと移動してくる。
レティとゆーぎは祈祷士の格好をした三郎店長を見てこう言う。

「ほう、これは凄いな、パッと見じゃ偽物の祈祷士だなんて解らないくらいだ。」

「大ちゃん、あんた大した技術を持ってるじゃないの。」

「い、いえいえ!潜入捜査という仕事柄こう言う技術が上手くなっただけですよ。」

大ちゃんコーディネイトの祈祷士衣装はレティとゆーぎには好評のようだ。
しかしその中でただ一人、納得のいかない顔でちるのはこう言った。

「あの、アタイにはあれ、只のブラウスとミニスカートにしか見えないんだけど。」

そのちるのの一言でレティ達はちるのの方を見た。
その目はみんな笑っていなかった。

「何言ってるのよちるの、あれは立派な祈祷士の格好でしょ?」

「アタイ、あんな格好をした天狗がでてくるゲームを何処かで見たような…。」

「じゃあ問題ないだろう、天狗の格好は山伏の格好なんだからな。」

「えぇ~?でも…。」

「とにかくあれは祈祷士の格好だから!時間もないし今更変更も出来ないから!いいね?」

「ハイハイ、解ったよ。」

不満だらけだがこのまま文句を言っても埒があかないと判断したちるのは自分から折れることにした。

とにかく作戦はここからが本番だ。
先陣を切るのは公安⑨課所長、ゆーぎ。

「…覚悟は決めた、お前達の足手まどいにならないよう、精一杯の努力をするつもりだ。
 しかしそれでも駄目な時は駄目かもしれない。
 その時は悪いかもしれないがお前達に後を…」

「そんな長話は良いから早く部下たちの前に出てほしいんですけど。」

「アタイもそう思う。」

「いくらゆっくりだからってゆっくり待ってくれるなんて安直な考えは止めた方が良いですよ。」

「あ、うん解った…。
 そうか…そうだよな…こんな所で暢気に長話なんてしている場合じゃ無いもんな…。」


レティ達の以外と冷たい言葉にちょっと傷つきながらもゆーぎは襖に手をかけた。

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 ガラッ. |┃          /   ./  / l   /:::/    ',
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     |┃三      /   <ア´  `ヽ7こ二ソ`ヽ、ハ



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   ヽ::::::::::::::::::::::::::::ヽ
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   _,.!イ_  _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7      'r ´          ヽ、ン、
_..,,-":::::rー''7コ-‐'"´    ;  ', `ヽ/`7     ,'==─-      -─==', i
"-..,,_r-'ァ'"´/  /! ハ  ハ  !  iヾ_ノ     i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |
  `!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ  ,' ,ゝ     レリイi (ヒ_]     ヒ_ン ).| .|、i .||
   `!  !/レi' (ヒ_]     ヒ_ン レ'i ノ       !Y!""  ,___,   "" 「 !ノ i |
   ,'  ノ   !'"    ,___,  "' i .レ'       L.',.          L」 ノ| .|
  ノノ (  ,ハ.    ヽ _ン   人!         | ||ヽ、       ,イ| ||イ| /
 ( ,.ヘ ,)、  )>,、 _____, ,.イ  ハ        レ ル` ー--─ ´ルレ レ´
        /         \            /         \
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     (___ノ-'-('___)_ノ          (___ノ-'-('___)_ノ


襖を開けるとその向こうにある部屋では⑨課の面々が律儀に正座をしながら上司の到来を待っていた。
ゆーぎにとっては見慣れた顔ぶれだったが明らかにいつもと違う部分があった。
それは目の下の隈だ。
⑨課の面々がお化けに怯え、何日もマトモに睡眠をとっていない何よりの証だった。


(こりゃ事態は思ったより深刻だな…。)


一刻も早く部下達を安心させなければ、
そう思いながらもゆーぎは口を開く。

「…あ~諸君、すでにご損時のゆっくりも居るかもしれないが
 最近⑨課の詰所では幽霊を見たとか見てないとかの目撃談が後を絶たない。」

ゆーぎがそう言うと、部下達がにわかにざわめき出す。
そして、一人のゆっくりがいきなり挙手してこう言った。


「知ってるよ!れいむも一昨日目撃したもん!」

「まりさもだぜ!」

「みょんもこの目で見た事があるような気が!」

「磯善六三郎も朧気ながらもそんな記憶があるような…。」


それをきっかけに他の部下達も幽霊を見た、幽霊を見たと騒ぎ始める。
っていうか誰だ磯善六三郎って。
どんなゆっくりなのか正直気になったゆーぎだが、
そんな気持ちを何とか抑え、話を進めることに集中する。


「…聞いての通り、その幽霊の目撃談は後を絶たない。
 姿形の解らない得体の知れない存在に怯えるのも当然だろう。
 だが安心してほしい!こちらも幽霊に対する対策は講じてある!」

「対策だって?」

「それが本当なら早く教えてくれ!
 こっちは幽霊のせいでずっとゆっくり出来ていないんだぜ!」


ゆーぎの話に部下達は興味を引かれている。
れてぃ達を部屋に呼ぶなら今しかない。


「ああ、まずはお前達に紹介しなくてはな、おー…。」


ゆーぎがレティ達を部屋に呼ぼうとしていたその時だった。


     |┃三           ,.,、
     |┃     __  // \   .___
     |┃      \ヽZ>ト┴''"´ ̄~`メ 7∠__
     |┃三    /:リ.~..::::::::::::::::::::::::::::::::....ヾ_7/\
 ガラッ. |┃     ノ.::::)..:::::::::::::::::ハ::ヽΛ:::::::::::::.ヽ:::::::::...)
     |┃     i.::r'´r'"::ノ\:ノ j:ノ/ Vi::::_:::ハ::::::::ハ
     |┃     ! (.:::::!Y(ヒ_]      ヒ_ン )i,イ/:::l:::::::ノ
     |┃  ノ  ヘ:\トl     ,___,   "ノ::レ':::::ノ::::::(
     |┃三    ).:∠:!    ヽ _ン ∠::::::::_,イ::::::::::.)
     |┃     (:::::::.!ヽ          ̄フ l::::::,イ
     |┃      \:( `ゝ、    _,,,ィk´‐-、.j:::ノ
     |┃         ,-‐―、、茶\乃    \
     |┃三       |O###l |-、))   k   \
     |┃三       |###(⌒` ヽ、__`r‐ーkl
     |┃三      λ=f=(          ノ


「すいません遅刻しましたー!」


そんな台詞を大声で言いながらゆっくりはたてが
ゆーぎの開けた襖のちょうど反対側にある襖を開けて入ってきた。
その瞬間、部屋にいたすべてのゆっくりのドングリ眼が
はたての方に向けられた。


「…え?何、何でみんな私のことを見てるの?」


「…あいつ、新入りのはたてとか言う奴じゃなかったか?」

「ゆーぎ所長の言う幽霊対策ってあの子のこと?」

「オイオイ冗談きついぜ、新入り隊員に幽霊退治をさせるつもりなのか?」

「もしかして代々由緒正しい陰陽師の家系とか?」

「いや、確かあいつの実家は八百屋の筈だぜ?
 あいつから聞いたことがある。」

「八百屋なの!?れいむは魚屋さんだと思ってたよ!」

「お前…名前がホタテみたいだからってその発想はねーよ…。」

「え?何の話!?何で私の実家の話題になってるの!?」


はたては状況がいまいち理解できず、混乱している。
そして混乱しているゆっくりはもう一人。

(あ、あの新入り…不味い、完全にレティ達を部屋に呼びこむタイミングを見失った!)

予測外すぎる事態に混乱しているゆーぎ。
そしてそんなゆーぎの姿を見つけた新入りはたてはこう言ってくる。


「あ、所長!緊急の連絡があります!」

「…緊急の連絡?」


何故だろうか、このタイミングで緊急の連絡など
いやな予感しか感じられない。

「…な、何だ?言って見ろ。」

それでも部下が持ってきた話題なら無視するわけにはいかない。
意を決して新入りはたてに問いかけるゆーぎ所長。


「変なゆっくり三人組がやってきたんです。
 何だかオカルトに強そうな出で立ちで…
 この家は…呪われていると呟いていたんですよ。」

「え…?」

「何だって…?」


その話を聞いて⑨課の面々はにわかにざわめき出す。
幽霊が出る出ないのタイミングで自分達の居る場所が呪われているという奴が出てきたのだ、
そりゃあ心中穏やかではない。

そしてそんな面々より遙かに穏やかじゃない奴が居るゆーぎ所長だ。


         :  ∧ :
         :  |::::| :
      : /´ ̄'!☆|"´ ̄\ :
     : / /∪ |::::::|  ∪  \ :
   :  / ノ  ∪ |:::::::!     \__\ :
  : ∠〃 {ノノ_ハ_V   レ'、_i_l>\__> :
   : /'レ小(◯),∪ 、(◯) 从l  \ :
     : |('∪ ̄ 'ー=-'∪ ̄∪) :
    :   ,r‐──────‐、 :
 .  :   /            ',, : 
   :  /             ', :
 . :  ├─────────┤ :
 . :   lニニニニニニニニニニニl  :
   :  lニニニニニニニニニニl :


(な、何だと!?何でそんなタイミングそんな奴がで来るんだ!
 おかげでレティ達を呼ぶタイミングが…!)


焦っているゆーぎを余所に⑨課の面々はにわかにざわつき始める。


「今のこの状況を一目見ただけで言い当てるなんて…
 そいつ、ただ者じゃないんだぜ…!」

「しかもオカルトに強そうだって言ってたよね、
 もしかしてこの状況を何とかしてくれるんじゃあ…。」


新入りはたてにどんどん質問を投げかけてくる⑨課の面々、
新入りはたては焦りながらも何とか対処していく。


「あ、うん、確かに「私でよければこの状況を何とかしてあげよう」とも言ってました。
 今は玄関で待たせてるけど…家に上げた方が良いのかな?」


「いや、そんな何処の誰とも解らない怪しい奴にはすぐに返って…。」


事態が面倒なことにならない内に対処しようと
ゆーぎは新入りはたてにその怪しい奴に返って貰おうとするが…。


「すぐに呼んでこい!」

「そいつに幽霊退治させようぜ!」


鬼気迫る勢いの⑨課の面々の迫力に押し負けてしまった。


「あ、ハイ解りました、じゃあ呼んできまーす。」


新入りはたてがそう言って部屋を出ていこうとしたその時。


「その必要はない!もう既にこの家にあがっている!」


突然、襖の向こうからそんな声が聞こえてきた。


「!?この声は!」

「はたての言っていた怪しい奴か!?」


⑨課の面々の視線が声が聞こえてきた襖の向こうに集中した。
襖の向こうにいる正体不明に、⑨課の面々はゴクリ吐息を飲み込む。


「ってちょっと待て!何でこいつ平然と人の家に上がり込んでいるんだ!」


ここでゆーぎが重要な問題に気づき、思わず突っ込んでしまう。
これに対する謎の声の答えはこうだった。


「いやぁ、余りに外が暑かったもんで。
 あ、後で冷蔵庫のアイス貰っても良いですか?」

「それは後で部下達に配るものだ!
 と、言うか勝手に人の家に上がるな!」

「いや、でも胴無しゆっくりにとって夏の日差しの熱を吸収した地面の上に立ち続けるのは
 拷問以外の何者でもないよ。
 あんたに解る?その辛さ。」

「うるさい!そっちもTENGAのローションがすぐ温くなるから
 頻繁に取り替えなく居ちゃいけない胴付きゆっくりの大変さが解るか!」

そんな事をしている胴付きゆっくりは所長一人だけです。
喉まで出かけたそのツッコミを⑨課の面々は必死に飲み込んだ。

「と、言うか何でさっきから襖の向こうに居るばかりで
 姿を見せないんだ!
 信頼がほしいのなら今すぐ襖をあけろ!」

「あ~ちょっと待って、今アイス最後の一本食ってる所だから。」

「結局食ってるんじゃねーかこのやロー!」

襖の向こうからシャキシャキという音が聞こえなくなって数秒後、突然襖が開いた。
襖が開いた瞬間、その向こうに立っていたそいつはこう叫んだ。



     |┃三       ,ィ, (fー--─‐- 、、
     |┃三  .    ,イ/〃        ヾ= 、
     |┃      N {                \
     |┃      ト.l ヽ               l
     |┃三   、ゝ丶         ,..ィ从    |
 ガラッ. |┃     \`.、_   _ ,. _彡'ノリ__,.ゝ、  |
     |┃       `ゞf‐>n;ハ二r^ァnj< y=レヽ
     |┃    .    |fjl、 ` ̄リj^ヾ)  ̄´ ノ レ リ
     |┃  ノ     ヾl.`ー- べl,- ` ー-‐'  ,ン
     |┃三        l     r─‐-、   /
     |┃         丶、  `二¨´  /
     |┃           ヽ、    ./
     |┃             `:ー '´



「話は聞かせて貰った!この家は滅亡する!」


「…こわあっ!」

そいつの姿を見たゆーぎは思わずそう叫んでしまったのだ。
さっき、「胴無しゆっくりの気持ちが分かる?」何て言っていたからこいつは胴無しゆっくりなんだろう。
しかし、問題は普通のゆっくりのデフォルメ顔ではなく、
人間の、リアルな顔の造形であることだ。
はっきり言って怖い、生首みたいで。

「…初対面のゆっくりに怖いって酷すぎない?」

そのゆっくりは表情どころ各地すら微動だにせずに喋ってきた。
怖さ二倍増し。

「そ、そのゆっくり離れした顔で迫ってくるなバカ!」

ゆーぎ所長は妙に威圧間のある表情に押されている。

「ゆっくり離れした顔って酷いねぇ、私は立派なゆっくりだよ、ねぇ、二人とも。」

そのゆっくりは後ろに向かってそう呼びかけた。
全員、ゆっくりのリアルな顔に集中していたせいで気づかなかったが、
良く見たらそのゆっくりの後ろに二つの陰が立っていた。


               ,. -─- 、._
            ,. ‐'´      `‐、
          /           ヽ、_/)ノ
     ,ィ'^{  く/     / ̄~`'''‐- 、.._   ノ .,}^ヽ、
   / { ハ ヽ_ i.    /          ̄l 7 _>´ ハ } \
  / i !{ \ハ,!ヘ. / ‐- 、._        |/ Y  }! i ヽ
 L_, .      |〃、!ミ:   -─ゝ、    __ .l ヽノ_ ノ  }  _」
   `'Y⌒Y⌒ !_ヒ;    L(.:)_ `ー'"〈:)_,` / ヘ.⌒Y⌒Y´
          ゙i         ´    ヽ  !
           !             ,,..ゝ!
           ヽ、    r'´~`''‐、  /
            ヽ    `ー─ ' /
              \  ~" /
                `ー;--'´


「そ、そうだ…じゃなくて、そうですよ!」

     _,,...._  |\
     ゝ,,,, \| ) )_,,....,,....,,....,.,,.    )\
    /_,,....,,_\、'::::::::::::::::::::::::::::r''''ヽ''ヽ  )
    _..,,-":::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{   '  }r-''''フ
    "-..,,_:r''''''''''''''''''''''''''''''''''''''( ( )____ノ::-
       /   , ,ィ ハ i、 、     !  
       /イ  ,ィ/l/ l/ リ ヽ!ヽト、 .|  
        イ /r >rjヘ;=:r‐=tj<ヽ│ 
        r、H   ┴'rj h ┴'  }'|ト、 
        !t||. `ー-‐ベ!` ` ー-‐' ルリ  
        ヾl    -─-、   /‐' 
          ト、    ‐‐     ,イl. 
         ,.| : \       / ; ト、  
      -‐''7 {' ::   ` ー '  ,; ゝ:l`ー-_
        /  \ ::       , '/  :|     `'''ー- 、 
       /     \    /     |        | ヽ



「人を見た目で判断する奴は心が醜い。」


一方は最初に現れた奴と同じくやたらリアルな顔つきの胴無しゆっくり。
もう一方は体が付いてるので一瞬人間かと思ったが、
よく見たら体つきが妙にデフォルメされている。
つまり、人間ではなく、顔つきが人間そっくりな胴付きゆっくりと言うのが正しいのだろう。

最初のゆっくりとあわせてリアル生首フェイスが3つ揃い踏み。(一人身体付いてるけど。)
TRPGだったら正気度判定が必要なレベルである。


「先生はこの家に目に見えて溢れている黒いオーラを見て
 普通なら間に合わないところをカカっと駆けつけた。」

「この家はまがまがしいオーラに溢れている!
 このままじゃあみんなゆっくり出来ないですよ!」


後から現れたリアル顔ゆっくり二人組が鬼気迫る表情でそう言ってくる。

「や、やっぱりウチらお化けに祟られてるんだ…。」

「ど、どうする、このままだとホントにヤバいんじゃない?」

この言葉を受けて不安になってくる⑨課の面々。
(な、なんだか知らないが完全に相手のペースになっている…。)
これは不味い、このままでは相手の思うつぼだ。反論しなくては。
ゆーぎ所長は大声で3人のゆっくりにこう言い返した。


「お、おい!ウチがホントに祟られているという証拠があるのなら
 その証拠を見せて見ろ!」


ゆーぎが指をビシイッと突き立ててそう言うと、
リーダーの口の端が僅かにニヤリと笑った。


「いいだろう、その証拠を見せてやる、それは…こいつだ!」


リーダーがそう言ってドンと跳ねると
その衝撃で天井から一枚の紙が落ちてきた。

「な、なんだ?」

ゆーぎ所長はその紙を拾い上げる。
紙にはこう書かれていた。


「アブラマシマシスープマシメンカタメ」


「玄関に落ちていた紙切れだ、見ての通り、意味不明な呪文のような物が書かれている。」

紙に書かれた文章を眺めているゆーぎに向かってリアルゆっくりはそう言った。

「呪文?ただの落書きだろう。」

「呪文だよ、一見すると適当に文字を並べただけのように見えるが法則性がある。」

「法則性だと?」

「まず、呪文を逆さまにする。

 メタカンメシマプースシマシマラブア

 次にさ行の文字を抜いてみる。

 メタカンメマプーママラブア

 今度はま行を抜いてみる

 タカンプーラブア

 こいつは呪文だから呪文という文字が入ってないとおかしい。」
 だから最後の方に呪文を入れてみる。

 タカンプーラブアジュモン

 さらに頭の部分にお化けという文字も入れてみる。

 オバケタカンプーラブアジュモン

 最後にタカンプーラプアと言う意味不明な文字であるが
 これはノイズと思われるため、取り除く、すると…。」


オバケジュモン


「………!」

完成した呪文にみんな息をのむ。
そんなゆっくりたちにリアルゆっくりのリーダーはこう力説した。


      ,.ィ , - 、._     、
.      ,イ/ l/       ̄ ̄`ヽ!__
     ト/ |' {              `ヽ.            ,ヘ
    N│ ヽ. `                 ヽ         /ヽ /  ∨
   N.ヽ.ヽ、            ,        }    l\/  `′
.  ヽヽ.\         ,.ィイハ       |   _|
   ヾニー __ _ -=_彡ソノ u_\ヽ、   |  \   つまりこいつは呪文でのろい殺してやるぞと言う
.      ゙̄r=<‐モミ、ニr;==ェ;ュ<_ゞ-=7´ヽ   >
.       l    ̄リーh ` ー‐‐' l‐''´冫)'./ ∠__   オバケからのメッセージだったんだよ!
       ゙iー- イ'__ ヽ、..___ノ   トr‐'    /    
       l   `___,.、     u ./      /_ 
.        ヽ.  }z‐r--|     /          |  ,、
           丶、`ー-- '  ./           l/ ヽ   ,ヘ
           `ー--‐ _´..                \/ ヽ/






     |┃三
     |┃ 
     |┃         ,. -''"´     `' 、
     |┃三     ,'´  ,. -‐ァ'" ̄`ヽー 、`ヽ          ,ヘ
 ガラッ. |┃       //         `ヽ`フ     /ヽ /  ∨
     |┃      / .,'  /! /!   ! ハ  ! ',    l\/  `′
     |┃     (     !ノ-!‐ノ ! ノ|/ー!、!ノ  ,.ゝ_|
     |┃     (  ノ レ rr=-,::::::::::r=;ァi"/! ノ \   
     |┃三   )  ,.ハ '|  ̄ ,rェェェ、 ̄ !  ヘ(  > デタラメ抜かすなああああああああ!
     |┃      ) '! ト.、  |-r-r,| ,.イ  i .ノ ∠__  
     |┃       ノヽ,! i` 、`ニニ´ ´レヘ ノ   /    
     |┃   ∬  ヽ(へ レィr'7ア´ ̄`ヽ. )'    /_ 
     |┃三┌-┐   ノ /イ       Y       |  ,、
     |┃三(i _i  rくヽ/!ノ     __  ,ゝ       l/ ヽ   ,ヘ
     |┃三 \ \/`/::メ:::`ヽ、_二、___イ           \/ ヽ/





その瞬間、キバヤシの説明に反論せんとばかりに、
レティが襖を力強くぶち破って突入してきた。



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最終更新:2013年08月09日 22:09