不思議な絆

※注意
捕食種としての表現が少しだけあります。
またスレ内解釈、自分解釈がごっちゃで
存在するのでご了承の上でどうぞ。

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大筋:シ
内容:家
人物:解説以外ゆっくりオンリー
舞台:













『不思議な絆』



元気よく跳ねる、赤いリボンと髪飾りのゆっくり。

「ぴょんぴょんしながら、きょうもゆっくりすごすよ!!」

このれいむはまだ若いゆっくりだった。
ちび言葉から脱出し、ようやく巣穴堀りや狩りが一人でも行える様になった。

「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!!」

大好物のお花を食べてしあわせ一杯。
飛んだり跳ねたり、蝶を追い、空を眺めて目一杯ゆっくりしていた。
そして大きな木に寄りかかってゆっくりお昼寝。

(もうひとりでもゆっくりできるよ!!!)

そんな慢心からだろう。親に何度も日が落ちる前には家に帰ってくるか、
身を隠せる巣穴を掘っておきなさい。そう言われていたにもかかわらずそれを怠ってしまった。



そんなれいむに降り注いだ恐怖。

「ゆっ・・・ぐすん・・・くらいよ!こわいよ!!」

もう日はすっかり落ち、世界は暗黒に包まれていた。
お花を食べてぐっすりお昼寝した結果がこれだった。

本来ならば家族で過ごしていた、このれいむにとってはもう眠りの時間。

いつも皆で寝ている途中に目が覚めたのであれば、暗闇に恐怖することはあっても、
周りの家族の柔らかな感触と温もりが安心をくれる。

だが今は、薄暗い月明かりが僅かに差す森の中でただ一人。
それは相当な恐怖だった。

「こわい!!やだ!!おうちどこ?!!!おうちかえるぅ~!!!」

パニック状態に陥るれいむ。

そして後ろから目を光らせ密かに忍び寄る影。

耳の近くについたコウモリのような羽根に、丸いシルエットが月明かりに浮かぶ。

「う~♪」

それが声とも擬音とも取れる“音”を発してれいむの後姿に襲い掛かった!!!

「ゆぎゅ!!!やだ、やだ!!はなして!!!」

激しく身体を振ってみるも、全然離れる気配は無い。

そんな中で、つい思い出してしまった。
最近こっちに越してきた、ゆっくり達の言うことには
「うー」と喋るれみりゃは夜に他のゆっくりを「たべちゃうぞ~♪」してしまうらしい。

(れみりゃだ!!!やだ、やだ、こんなのにたべられたくない!!!
 どうせだったらすきなゆっくりか、しんせつなにんげんにたべられたいのに!!!)

このままどこかに連れて行かれて食べられるのだろうか?
そんな恐怖に、瞳孔を開き、歯をむき出しにして震えるれいむ。

そして、月明かりに微かに映る洞窟の前に

「ゆぎゅ!!」

落された。

そして、

震えるれいむに最も恐れていたことが起きた。

「かぷ♪」
ゆっくりと少しづつ、だが確実に牙がれいむの中まで突き刺ささっていく。

「もっと・・・ゆっくりしたかったよ・・・。」
れいむは痛みと恐怖に怯えながら、きつく目を閉じる。

「ちゅー・・・。うーうーうまうま♪」
少し中身が引っ張られる感触がした後、牙がそっと抜かれた。

(なに?まだこわいことするの?)
ただひたすらに怯えるだけしか出来ないれいむ。

 ・・・?

だが、れいむが思っていたことにはならなかった。
何かは解らず急いで身体を起こす。
多少、餡子が吸われた所為でふら付くが、致命的ではない。

「う~♪う~!!」

にこにこ、と笑っているれみりゃから、

「ゆっっっゆゆゆ!!!」
ズササッ!!

と急いで離れ、れみりゃを恐る恐る見るれいむ。

そんな外の慌しさに気付き、パタン、と洞窟の戸を開けて現れるゆっくり達。

「「ゆっ!!!」」
「ゆぅうう!おとーさんっ、おかーさんだっ!!!」

なんという偶然か、そこは両親の巣穴だった。

「ゆ゛ううううう!!!おとーさん、おかーさん!!ごわがっだよう!!!」
れみりゃから逃げ出し駆け寄るれいむを両親が抱きとめつつ、

「あれほどゆっくりしすぎちゃだめっていったでしょ!!!」
と父まりさが怒鳴る。

「よしよし、こわかったね。でもゆっくりはんせいしてね!」
母れいむも、優しげだが、言葉尻に怒りがあった。

なぜ怖い思いをしたのに怒られたのか。れいむは泣きながら?を浮かべるのみだ。

「ゆっ!!!!あぶないよ!!!はやくはなれてね!!」
れみりゃに近づき、れみりゃと見つめ合う両親。

子れいむは両親の行動に涙目で警告するが、
両親、れみりゃ共になんとも緊張感がない。
不思議に思いつつも怯えながらその光景を恐る恐る見守っていた。

「「ゆっくりしていってね!!!」」
「うー♪ゆっくりしていってね!!!」

お決まりの挨拶を交わし子れいむの前、笑顔で頬を擦り合う両親とれみりゃ
なんで?子れいむは三者を信じられないと、驚く。

「おぜうさま!!ありがとー!!」
「あとはゆっくりれいむからすってね!!」
「ゆゆ!!それはもんだいはつげん!!まりさのれいむをとっちゃらめぇだよ!!」
「うーうー、ぽんぽんたりないから、もうちょっとちょうだい♪れいむー♪」

とても仲良さげに話している。
あまりにも「わからないよー」な光景にもう涙も止まり、口をポカンと開けたまま?を浮かべていた。
そんな子れいむに気付いた母れいむが優しく話しかける。

「れみりゃはね。れいむちゃんをここにつれてきてくれたんだよ!!」

??

「おぜうさまたちはおひさまがしずんだら、すぐにこのあたりをとぶんだよ!」
「そうだよ!!このちかくのれみりゃとふらんは、みんなとゆっくりできるんだよ!!」
「うー♪このうちのこってしってた!!だからたすけた!!うーうー!!れみりゃえらい!!」
「だからおれいにちょっとだけ、さあ、おたべなさい!!」

子れいむは恐怖と先程の吸引で疲労がつのり、もう混乱しかできない。

実は両親は子れいむに話していないことがあった。
もちろん、もう少し成長し、ひとり立ちする時までには話すつもりでは有ったが。

両親が言うことはこうだ。

この近くのれみりゃ種とふらん種は夕方、日が落ちたころからこの辺りを飛ぶ。
その二種は友好的であり他のゆっくりと交友を結んだ。
それで、この子れいむがこの家の子供であることを知っていた為、ここに送りとどけた。
そして代わりに中身をほんの少しだけ吸った。

「「ゆっくりりかいしてね!!」」「うー!!、りかい♪りかい♪」

訳がわからず、混乱していた子れいむがプクっと膨れて腹を立てた。

「ぷくううううううううう!!ぷんぷん!!!どーしてれいむにさきにおしえてくれなかったの!!しってたらこわくなかったのに!!!」

よくはまだ理解してはいなかった子れいむだが、どちらにしろそのことを先に教えてくれてたら
怖い思いはしなくて良かっただろう、と怒り出した。
丁度、時期が時期。多感な時期の子供の思考と理屈である。

「それはね・・・。」
父まりさが目を閉じ厳しい顔で語り始めた。



~まりさの昔のお話~

この付近のれみりゃ、ふらんは確かに仲が良く、ゆっくりできる存在として共存しているが、
他の地域では違うことの方が多い。それは父まりさが子供の頃から良く知っていることだった。

「ゆっくりしないではやくにげてね!!!」
「うー!!がおー!!たべちゃーうぞー!!」「ちゃーべちゃうじょー!!」「うー!!」
「ゆぎゅ!!!」
「ゆっーーーーーー!!!ちぇん、ちぇえええええええん!!」
「うーうー♪うまい~!!」「「うあうま~!!」」
「わか・・るよ?・・・」
「らんしゃま!!ちぇんはもうだめ!!はやくにげてね!!!」
「ゆ゛っ!」
「きゃははははは!うーうー!!ゆっくりしね!!」「「うー!ゆっくりちね!」」
「むきゅ!!ふらんだよ!!まりさにげてね!!」
「ぱちゅりぃ、ぱちゅりぃぃぃぃぃぃー!!」
「ゆっくりしね!!ゆっくりしね!!!ゆっくりしねっ!!!!ゆ っ く り し ね ッ !!!!!」

 ・・・。

こうして追い回され、れみりゃとふらんに自分の友達も食べられたことが有ったからだ。
だが、それは今にして思えば子れいむと同じで、慢心していたのだろう。
夜でも集団でなら怖くない。そうやって皆で夜までゆっくりしていた結果がこれだった。

過去、このような記憶から、昔の父まりさにとって、れみりゃ、ふらん=ゆっくりできない。
ゆえに、この地方に来て、始めの頃は暴言を吐き逃げていた。

「「「ゆっくりしていってね!!!」」」
「「うー♪ゆっくりしていってね♪」」

夕方、日がもう完全に落ちようとする頃。日が暮れてきたとはいえ、
こんな早くにれみりゃとふらんに会うとは思っていなかったためまりさは驚いた。
しかも飛ばずに森の中をふわ、ふわっと浮くように飛び跳ねながら、やって来る。

いや、れみりゃ達にだけじゃない。ここに来て初めてのゆっくりグループ。
ゆっくりありす達がれみりゃ達と仲良く挨拶していることについても、驚きだった。

「ゆっくりしないでね!!みんな!!れみりゃとふらんはゆっくりできないよ!!」
「ゆっくりあやまってね!!ここのれみりゃとふらんはとかいはよ!!!」
「うー・・・。ゆっくりできるもん・・・。」
「おねーたまぁ・・・ふらんわるいことしてないのに・・・。」
「れみりゃとふらんなんてゆっくりしね!!」

ただ、恐ろしい存在だと思っていたから。だから紛らわす為にそんな態度を取り、
後ろでなにかを叫ぶゆっくり達を無視して、逃げた。

それからも夕暮れ時にれみりゃ、ふらんと会う度に同じことを繰り返した。
そしてそれが若き日の父まりさの孤独を招いたのだ。

「あのまりさは、ゆっくりできないまりさだね!!!」

逆に、あのまりさはゆっくり出来ないのだと。
昼間に狩りをしていた時に、そう、れみりゃやふらんでは無い
別のゆっくり達のお喋りが耳に入ってしまった。

「ゆっくりできないのはそっちだよ!!ゆっくりしね!!!」

 ・・・皆の前で一人でそんな事をいうことも出来ず、ただ一人頬を膨らまし涙する。

ゆっくりすることも狩りをすることも一人で出来る。
だから皆とゆっくりすることなんて無い。
そう強がった・・・。いや、誤魔化し続けたのだ。

皆がゆっくりし終えて我が家へ帰る黄昏時。
みんなに人気の場所、今日はもう沈んでしまった夕日が良く栄える丘の上。
皆が帰ったことを確認してからようやく一人でゆっくりする若き父まりさ。

「ゆぐっ・・・う゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛えええええええ・・・。
 ゆっくり・・・。していってね・・・。ゆっくりしていってね!!!」

誰も居ない、暗がりの丘の上、泣きながら叫ぶ。

「うん!!ゆっくりしていってね!!!」

しかし、その叫びに答えたものが居た。

こうして、心優しく周りの人気者だった母れいむと知り合い
なんとか皆との仲を取り持ってもらうことで、ようやくこの地方に馴染み始め
れいむに連れられるままに、夜の逢瀬に加わることとなったのだ。

「だいじょうぶ!!れみりゃもふらんもこわくないよ!!!」
「で、でもやっぱりこわいよ・・・。」

れいむに押されながら、皆が集まる夜の川辺へとやって来た。

「ぶーん」
「「ゆっくりしていってね!!」」
「さあ、ゆっかりんのかれいなうたをきけぇー!!」
「ずっといっしょにゆっくりしようね・・・。」「うん・・・。」

月が輝き、りぐるたちが飛び回る、その後頭部から放つ明かりが、浅い小川に煌く。
暗闇に覆われる森の中で際立つ幻想的な光景。
皆が楽しそうに談笑し、ゆっくりと遊戯し歌い踊る中、恋人達が頬を寄せ合う。ゆっくり達の大人の時間。

「ほら!!ゆっくりおはなししてね!!!」

そこでゆっくりしているれみりゃの元に、れいむが後から体当たりして押した。

「ゆぎゅぎゅ、いたいよれいむ!!・・・ゆっ!!!」
「うー!!ゆっくりしていってね!!!」
「ゆうう!!!!・・・こわいよ!!!やだ、おうちかえる!!!」
「ゆゆ!!まりさ!!れいむといっしょに、れみりゃとゆっくりしようね!!!」

始めのうちは何度もこんな感じでれいむに後押ししてもらっていた。
そしてそれを幾度と無く、繰り返すうちにようやく理解した。

ここのれみりゃ達はとってもゆっくりしていると。
さらには、れみりゃ達との子供を成すゆっくり達がいるのだと。・・・





「そんなのどうでもいいよ!!」
子れいむの怒鳴り声が夜の森に響く。

「ぷんぷん!!わからないよー!!だね!!ごちゃごちゃいってないではやくおしえてね!!!」

機嫌の悪い顔で吐き捨てる、子れいむ。
話の途中で腰を折られ、父まりさが困った顔で改めて子れいむに言う。

「もし、れみりゃがゆっくりできないれみりゃだったら、おこさまなれいむはもうゆっくりできなくなってたよ!!」
「そんなことないよ!!!ゆっくりしないでさっさとにげるよ!!!」

ぷんぷんと頬を張り、意地を張り続ける。
そんな子れいむを後ろかられみりゃが、がしっ、と掴んで耳元で一言

「う~♪たーべちゃうぞー♪」
「ゆっ!!!!!!!!!」

捕まった時の恐怖を思い出し震える子れいむ。

「それに、きこえるよ。おおかみさんがわおーんってなくのが。
 こんなおそくまでゆっくりしてたこと、もっとゆっくりはんせいしてね。」

そこに母れいむが一押し。
ワオーン・・・。確かに気付けば時折、狼の鳴き声が聞こえてくる。

「ゆぅぅ・・・。」
すっかり震え上がって萎縮してしまう子れいむ。

狼さんは捕まればゆっくり出来なくされるこわいこわい動物。
これは小さい頃からしっかり聞かされていたし、
明け方にお家の近くで狼さんに引き裂かれたゆっくりの姿を何度か見たこともあった。

それになにより、あの遠吠えが単純に怖い。

すっかり震え上がり、縮こまった子れいむとれみりゃに両親が言う。

「「れみりゃもいっしょにうちにはいってゆっくりしてね!!!」」

戸を開け、皆で巣穴の中へ。
まだ小さなちびゆっくりたちの眠る部屋の隣、親のゆっくりルームへ戸を開けて入っていった。

「ぐすん・・・!!」
「「こわくない。こわくない。」」

親子は、相変わらず怖がって震える子れいむをなだめ、
また溢れて来た涙を母れいむがそっと舌で拭いながらゆっくりと部屋に入る。
後に続いたれみりゃは、ちびが寝てることを父に諭されながら部屋に入った。

「うーうーおなかすいたー」

部屋に入るや否や、そんなれみりゃの一言に母れいむは近づいて。

「それじゃおかーさんからすこしだけ、さあ、おたべなさい!!」
「う~!いただきまーす♪かぷちゅー♪」

そうやって、母れいむは威張った態度のまま少し頬をそめ、れみりゃに吸われていた。

「うう~♪うまうま~♪」
吸い終え喜ぶれみりゃに微笑みかける母れいむ。

その光景の横で怯える子れいむに、頬を寄せ身体を密着させる父まりさ。
震え、冷えた子れいむの身体を温めながら、再び父まりさの説明が始まった。

「おぜうさまたちは、ほんとはまりさたちをたべなくてもいいんだよ。
 あまあまでうまうまだったら、しあわせ~だって。」

そう語る父の前で少しションボリしながられみりゃが言う。

「うー、ほんとはぷでぃんたべたいぃ・・・。」
「ぷでぃんがわからないよ・・・。ごめんね。」

母とれみりゃが、そういうやり取りをする横で父は先を続ける。

「おそらのくもがいっぱいでくらいときや、よるになると、たかいところにあるきのみをとってためるんだって
 おとーさん、おかーさんも、おとしてもらったのをむしゃむしゃしたことがあるけど、とってもあまあま。」
「うー、おいかけっこしてたべちゃうぞーするより、らくにうまうまうー♪
 ぽんぽんいっぱいになったらう~う~うあうあ♪だぞー!」
「れみりゃとふらんはからだがなくても、おどるのとってもじょうず!またみんなでうたっておどろうね!!」

思い出して少し興奮したのか笑顔で少し大きな声を出してしまった、母れいむ。
父れいむが「あかちゃんがおきちゃうからしずかにしてね。」と静かに言うと赤くなってうつむいてしまった。
れみりゃが話を続ける。

「うー、みんなれみりゃのことこわいっていうけど、よるのおそらはもっとこわいんだぞー」

少しプンプン顔になりながら言うれみりゃ。そんな仕草も怖かったのかまた子れいむが涙を貯める。

「よしよし、なかないでね。」

涙をまた舌で拭いながられみりゃに先を促す父。

「ううっー・・・。とりさんこわい。だずげでほじぐでも゛・・・うぇえええええええええ!!」

今度はれみりゃが泣き出し、母れいむが優しく頬で頬を撫でる。

泣きながら喋るれみりゃの言うことは、こういうことだった。

夜の空は危険。
とくにゆっくりを探してあんまり長く空を飛んでいると、空飛ぶゆっくりにとって天敵になるフクロウ等に逆に狩られる事が少なくない。
れみりゃ、ふらんは下降時の瞬間速度では負けないが、のんびり地面を見ながら獲物を探している時に、夜目の効く鳥にでも見つかれば終りだ。
とくに、れみりゃは中がひき肉だから天敵の鳥に会うと再生力も強いため、それはもう、悲惨だった。

「うっうっ・・・。だがら、ううん、ほんどはまえっがら、ざぐやとぶらんいがいどもながよぐじだがっだ・・・。」
「だいじょうぶ、いまはみんなでゆっくりできるよ!」

母れいむが抱きつくように、れみりゃに擦り寄る。
父まりさはその姿に少し、ぱるすぃが言うところの“嫉妬り”をしていた。
子れいむはれみりゃのそんな姿を意外そうに見ているのみだ。

母れいむの行為に安心したのかれみりゃは更に続けて言う。

「・・・れみりゃも、たべちゃうぞ~よりゆっくりしたい。むかーしにみんなでいっぱいはなしあったんだぞ~。
 ふらんにいっぱいしねされてうーだったこともあったけど、いまはふらんもみんなとゆっくりするのがたのしいっていってた。」
 だけど、やっぱりみんなのゆっくりをたべちゃうぞ~っしたいってこもでてきた。それで・・・。」 

「よるやおうちのちかくでこまってるゆっくりをさがして、そのおれいにすこしだけなかみをちゅ~するの」

そこまでれみりゃが言うと後は両親も加わって語りだした。

~昔の話~

長い間、この地方に移り住んだれみりゃとふらんは当然のように、他のゆっくり達を襲い食料にしてきた。
(れみりゃはふらんに襲われることも有ったし、集団のゆっくりに少数で向かって返り討ちになったことも有ったが)
しかし、ここには天敵となる鳥の種が多く、格好のカモにされ勢力を伸ばせないでいたのだ。

さらに何より深刻だったのは、身体付、頭のみ関わらずさくや種が近くに居ないことによるコミュニケーションの不足だった。
なんと時には成体で身体が付いたにも関わらず、うーとしかいえないものが出て来てしまった。

それに危機感を覚えた。・・・いや。それ以上に純粋に寂しかったのだろう。
れみりゃ達は地に降り立ち、自分達に敵意が無いことを示したのだが、迫害を受けた。
当たり前といえば当たり前。子供を食べられた親もいたし、つがいを食べられた者だって居たのだ。

こうして滅んでいくかに見えたれみりゃ達だったが、高い木になる実が自分たちにあった甘いものだったのが幸いした。
受け入れられず、鳥の餌に成り果て、同じく滅びかけたふらん達に八つ当たりされながらも、それでも実を食し生きながらえた。

そんなある時。ある満月の綺麗な夜。

あるれみりゃが、瀕死で道端にいた子ゆっくりを助けてあの川辺に運んだ。そう、父の話に出た逢瀬の川辺だ。

はじめは、助けたれみりゃがやったのだろうと疑われた。何事かと集まったゆっくり達皆に責められるれみりゃ。
森の中で他のゆっくりと仲良くしたいと思って川辺を隠れ見ていた大勢のふらん、れみりゃ達も何事かとそれを覗いていた。

それからすぐに治療の為、薬草で包まれた子ゆっくりがなんとか意識を取り戻し、言った言葉に、長年この地方を治めていた老ぱちゅりーが
何より戦慄して、川辺にいた、または近くに住んでいた皆を集め発した。

狼だ、狼が来る。そしたら、皆ゆっくりできぬ。

まだ狼が少なく、れみりゃとふらんに勝利したという自覚から夜を無防備に出ていたゆっくり達に衝撃が走った。
そう、知らず間に居なくなったゆっくり達が、れみりゃ達ではなく、狼達に格好の餌とされていたと言う事だ。

当然、狼を知らぬものは多かったが、この地方は色々な場所から来たゆっくり達が居たため、その恐怖は伝えられた。
いや、伝わった時にはもう遅かった。れみりゃ達が隠れている森から、川辺を挟んで反対側の森。
つまり他のゆっくりたちが住む方から、怪しく輝く複数の目。狼の群れが一斉に飛び掛って来た。

今宵は満月。宴の日。

それはもう凄惨な光景だった。飛び掛ってくる幾千幾万は居ようかと感じる狼達。
逃げる間もなく大勢のゆっくり達が食われ、口に合わないゆっくりは動き悲鳴を上げるもの、つまり敵対者として引き裂かれたという。

だが、そんな中、れみりゃ達とふらん達は必死に皆を木の上に上げた。特に赤ちゃんは最優先で助ける。
組み敷かれ、歯を入れられたゆっくりも救おうとはしたが、大抵返り討ちにされた。

木に体当たりし、振り落とそうとする狼もいる。だが必死で皆、木に歯を立て食らい付き耐え、その夜を木の上で過ごしたのだ。

朝、ようやく静まった頃。

何とか生き延びた皆を、騒ぎで亡くなった老ぱちゅりーの子である、時期リーダー候補だった若ぱちゅりーがまとめて言った。

これからは協力して皆でゆっくりしようではないか。皆を救った最大の貢献者たるれみりゃ、ふらん達と共に。

誰も異論は無かった。なにより、全滅を免れることができたのはこの二種のお陰だと、皆が口々に言う。
皆で木陰が濃いれみりゃ達の森へとお礼の果実や、蜜を持っていった。そして、交流が始まったのだ。
だがやはり、文化の違い、いや、性質の違いが有った為、長い時間をかけて話し合うこととなった。

中身は吸いたい。いや、それでは死んでしまう。皆と一緒に居なければれみりゃもふらんも滅びる。
それもあるし何より皆とゆっくりしたい。だけど流石に命はあげられない。

長々とその話し合いが続く内に、あの時の、狼達が来た時の出来事を思いだしたゆっくりの内の誰かが言った。

じゃあ困ったことがあったり、遠くに連れて行ってもらうとき、手を貸してくれるなら、交換で少しだけならお食べなさい。

もともとれみりゃ、ふらん共に少食だ。少し無理して相手が動けなくなるまで自分で吸う、
そして一緒に狩りに来た集団で分け合ったり、持っていった先で家族等、グループ皆で分け合う。それが、この二種の狩りだった。

それより何より此処に来て、木になる甘い実を取ることが安全と気付いた、今のれみりゃ達、ふらん達にとっては
本当に一部の者達の我侭でしかなかったのだ。

他のゆっくり達も、皆を助け、ゆっくりできるれみりゃとふらんならば食べられても良い。
そう言い出した。

後は、特に異論が出ないで、何かれみりゃ達に頼めんだり、助けてもらうことがあれば、その代わりに少し吸う。その関係が出来た。
それからは他のゆっくり達によく、木の実を取ってきて、とせがまれる事となったのでおやつとして吸うには多いぐらいだった。

こうして特定の夜。れみりゃ、ふらん達とあの川辺を中心にして遊び、ともにゆっくりし、
何か困ったことがあれば夜、もしくはれみりゃ達側の森の中の木陰の濃い場所ならば日中でも
飛行能力を生かして助ける。と言った、今の関係ができたのだ。

だが、この関係に慢心した若いゆっくり達の世代が回って来た。
狼が現れてもれみりゃ達が助けてくれる、だから夜もゆっくりする。
助けられないなら、れみりゃ達が悪い。責任転嫁をして毎日夜もゆっくりする者が出て来てしまった。

一時期、決められた夜以外に外に出ないようにし、戸締りを厳重にすることで、
狼達の目を背けていたにもかかわらずその行為によって、また狼達がやって来る事となってしまったのだ。

それから考えられたのは、本当に苦肉の策だった。

赤ちゃんや小さい子ゆっくりと居る時は絶対に夕方までに家に連れ帰り、日が暮れたらすぐに寝付かせる。
ある程度大きくなった子には時期が来るまで絶対に夜は家に帰ってくるか、外でも自分用の巣穴を用意しなさい。
とだけ言い、れみりゃ達との関係をばらさない様にしたのだ。

なにより、噂で子ゆっくり達に日が落ちるとれみりゃ達はゆっくりをたべちゃうぞする。
それを言えば狼の名を出すより、ここは色々な地方から集まってくるだけに一番恐怖が伝わりやすかった。

ゆえにれみりゃの住む川辺の向こうの森に行こうとする子ゆっくりや夕方過ぎまで
ゆっくりする子ゆっくりは徐々に少なくなったのだ。

そう、全ては皆がゆっくりする為。だから、子れいむには今まで話さなかったのだ。





ようやく話し終えた両親とれみりゃを見て

「ゆっくりわかったよ・・・ごめんなさい。」

子れいむは素直に謝った。

「でも、たすけられたこどもやわるいゆっくりがみんなにおはなししたらどうなるの?」

答える両親。

「おぜうさまのこと、こわかったよね?」
「うん。こわかったよ・・・。」
「たすけたときにすわれるから、みんなびっくりしてぶるぶる。」
「もし、れみりゃたちがよる、こどもにちかづいてもみんなさきにこわがって、にげちゃう。うー・・・。」

そういうれみりゃの表情はどこか悲しげだった。

「じゃあ、なんでれいむにはおはなししてくれたの?」

話し疲れたのか、いや、子が夜になっても帰ってこなかったことに対する心労もあったのだろう。
眠そうにうつらうつらとしながら父まりさ、母れいむが答える。

「「もうすぐ、おとなのゆっくりだからだよ。」」

れみりゃが連れてくるまで両親は帰りの遅い子れいむを待ちかね、入り口前でうろうろしながら待っていた。
洞窟の前に落されたことに気付いてなお、両親が出て行ったのは話す気があったからだ。

そう、もうすぐ一人前のゆっくりだから。

今日に限らず一日経って、もし、ちゃんとれみりゃ達にも狼にも見つからずにうまくゆっくりしていたのなら
ふと、子が我が巣穴に戻ってきた時に一人前のゆっくりとして夜の川辺に連れて行き、そして一人立ちさせても良い。
そう思っていた。もちろん心配はあるがそういうのも親の役目、と両親は微笑んだ。

母れいむが、優しく言う。
「でも、みつかっちゃったからとうぶんまだこどもだね。」

「ゆぅ・・・。」
うつむく子れいむ

「でもだいじょーぶ、こんどのよるいっしょにいこうね。」
父まりさも優しく楽しげに言う。

「うー!こどもれいむもこれからおともだち♪うーっうー!!」
れみりゃは新しい友達が出来たと喜んだ。

抱きつくれみりゃは子れいむにはまだちょっと怖くはあったものの、先程までとは違い確かな暖かさを感じ
そして同時にうつむいた顔を上げて、先程とは違う涙を、しあわせ顔でながすのだった。





親は子に伝え、子がまた、それを伝えていく。れみりゃ達にとっては優しくも少し残酷な絆のお話。





親はすっかり眠ってしまい、夢中で子れいむがれみりゃと話続ける内に、覗き穴から見える光景が明るくなったことに気付いて、慌ててれみりゃは帰っていった。

「もうちょっとゆっくりしていけばいいのに。でもあかちゃんのためでもあるんだね。これからおおきくなるあかちゃんのためでも。」

朝焼けの中。子れいむはれみりゃと昔作られた絆をゆっくりと理解し、同時に、まだまだ色々知ってよりゆっくりしたい、ゆっくりさせたい。そう心から思うのだった。












※言い訳という名のあとがき

ここまで読んでくださり、どうもありがとうございます。

えーと、ゆっくり書いた結果がこれだよ!!

この文の初めの方はスレ6の初めの方でれみりゃの話が出たときに考えた即興文でした。
本来、このお話はれみりゃがれいむを助けて餡子を吸うのを解説するパターンの文だったんですが、
話がいろいろ膨らんでしまい、長文になり、こんなに時間がかかることに・・・。
あと、~昔の話~。
この部分結局ああいう形にしてしまったんですが。
実はこの話しを考えていく内に、一つのお話にしてしまいたいと思い、目下派生した一つのお話として考えてます。

それでは、今回も読者様方のイメージの手助けになれば幸いです。            即興の人



  • ちょっと切ない感じがいいなぁ -- 名無しさん (2008-10-06 20:05:05)
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最終更新:2008年10月08日 21:01