『不確定名:やわらかいがんめん』

最近、原点に返ろうかなとか思ったりなんたりした即興。

『不確定名:やわらかいがんめん』

いきなりだが不思議に思う。なぜこんなものが家に居るのか。
いや、居る、有る、どっちが正しいのかさえ今の俺には解らない。

「ゆっくりしていってね!!!」

その顔は何かとふてぶてしさと同時に威圧感すら感じさせる。
というよりも顔しかないのだ。赤いリボンと飾りをつけた黒髪の頭だけしかないものが
ドスンと机の上に鎮座して

「ゆっくりしていってね!!!」

顔をあわせるか、なにかするたびにこう喋る。謎だ、謎過ぎる。
しかし、だからといってこれ自身が何かをする事もなく。ただ

「ゆっくりしていってね!!!」

といい続けるのみだ。唯一、今解る事は日本語を喋る何かだということ。

「Take it easy!」

 ・・・訂正する。日本語以外もOKなようだ。というかなんで俺の思った事が解ったんだ。

「ゆっくりしていってね!!!」

俺の気のせいか何だか更に自慢げな表情になった気がする。本当に良くわからない。
だが、とりあえず机の上に乗られていては困る。
とにかく移動させてみようと、恐る恐るちょんちょんと突付いて見ることにした。

「ゆ、ゆ、ゆっくりしていってね!!!」

やわっこい。やわっこいよぉおおおお。おかーさーん!!!
 ・・・いかんいかん、絶妙な柔らかさに俺の何かが負けるところだった。
どうやら触れること自体は問題なさそうだ。とりあえずそっと持って床に下ろす。

「ゆっくりしていってね!!!」

実は正直に言おう。俺自身、後はこの五月蝿い大声さえ何とかなれば、家に置いててもいいかな・・・
なんて考えがでてきてしまっている。さっきのやわっこさも然る事ながら、俺は何かと眉を吊り上げ
強気な姿勢のこの表情がなんだか癖になってきてしまっているのだ。

「ゆっくりしていってね!!!」
「おい、こっちの言ってる事が解るか。」
「ゆっくりしていってね!!!」
「音量を下げてくれ」
「ゆっくりしていってね!」

お!おお!!思い切って直接話しかけてみたが、なんと通じたみたいじゃないか。
これはもしかするともしかするかもしれない。
意思疎通の出来る謎生物との暮らし。まるで漫画か何かの様じゃないか。
子供の頃ちょっと憧れていたシチュに俺はこれを家に置くことにして喜んでいた。

「・・・けいかくどおり(ニヤァ)」
「うん?何か言ったか?」
「ゆっくりしていってね!!!」

この時俺はこれの事を良く知らず、ただ憧れの情景に呑気に浮かれていたのだった。 即興の人




  • あれ?れいむが持ってる黒いノートはなんですか? -- 名無しさん (2008-10-31 10:22:41)
  • おかーさーん!!!で私の顔面が崩壊しました -- 名無しさん (2008-10-31 13:49:42)
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最終更新:2008年10月31日 13:49