『ゆっくりの戯れ』

『ゆっくりの戯れ』

ここは人知れぬ森の奥。もう直ぐ冬を間近にしていたが、そんな事は関係なかった。

「「ゆっくりしていってね!!!」」

ゆっくりしていってね!!!略称ゆっくり。ハッキリ言って人智の及ばぬ者達である。
顔だけの彼女?達が今日も何時もどおりに左まりさ、右れいむのポジションでお決まりを叫ぶと

「ゆっくりしていってね!!!」

何だろうか?れいむだけがセリフを言うと、すすっとまりさに近付いて耳際で内緒話を始めた様だった。

「ゆっくり!!していってね!!!」

話を終えてれいむが少し離れると、まりさは相も変わらず眉を曲げて挑発的な何時もの表情のままだが
頬を染めて期待に満ちた楽しげな様子を見せている。
だが、れいむの方の様子はもっとすごい・・・いや、人智及ばぬとはいえ理解しがたい状況だった。

「ゆっ!!くり!!」

なんということだろうか、腕が、生えた。
丸い饅頭のような(実際饅頭だが)れいむの顔(身体?)の両横から筋肉質な人間の腕が、生えた。
そして、何をするのかと思えばその腕でまりさに掴みかかって

「そぉい!!!」
放り投げた。しかも、投げられたまりさは何だかわくわくとした表情のまま

「すごい!おそらをとんで・・・ゆべっ!!!」

 ・・・。木にぶつかってしまった。もしかしたられいむはこれを狙っていたのかもしれない。
ゆん!!と息巻いて下顎を突き出すようにして満足げにしている。良く見ればれいむから腕はもう消えていた。

「・・・ゆっくりしていってね!!!」

額を赤くしたまりさは起き上がった後、一瞬涙目になってから何事も無かったようにれいむの左に戻る。
今度はれいむを投げる番なんだろうか。まりさがれいむの方を向くと今度は
まりさから筋肉質な人間の足が生えてきた。同じく腕が生えてくると思いきや、もはや何でも有りである。

「ゆっ!!!っくり!!!して!!!いってね!!!」
やっぱりさっきの事が気に入らなかったのだろう。表情は何時ものままだが、こめかみ部分に青筋が出ている。
そのうえ思いっきり振りかぶり、さらにものすごい溜めが入ってから凄まじい勢いで蹴り上げた。

「すごい!おそらをとんでるみたい!!!」

 ・・・。が、れいむの方は木にぶつかる前にくるっと連続宙返り。見事に着地を決め

「ゆっくりしていってね!!!」

と僅かな時間の空中遊泳をご満悦。表情も何時もより眉が立ち強気に見える。
後ろで足をしまって元の大福餅に戻ったまりさは一瞬、忌々しげに口をゆがめ睨んでいたが、直ぐに元の表情に戻って

「「ゆっくりしていってね!!!」」

とれいむと一緒に同時に飛び跳ねて空中で身体をぶつけ合い、決め言葉を言うとそのまま一緒に何処かへ行ってしまった。
おそらく、人智及ばぬゆっくりしていってね!!!達はこれから雪が積もろうと、世界が滅びようと、
平然と何時もの強気な表情のまま、自由気ままにゆっくりと自分達のしたいようゆっくりしていくのだろう。          
                                                                  即興の人





  • 怖すぎるwww -- 名無しさん (2008-11-10 19:09:30)
  • むしろフリーダムすぎるwww -- 別の名無しさん (2008-11-24 15:36:51)
  • テラシュールwww
    -- 名無しさん (2011-08-27 20:11:10)
  • まりさ・・・
    強く生きるんだ・・・ -- 名無しさん (2012-08-19 20:11:19)
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最終更新:2012年08月19日 20:11