※「
ホットケーキ~」のラストに入れるつもりでしたが、独立させました。
自分の中では正式な後日談ですが、切り離して考えても大丈夫です。
あと、立替分は1週間後にちゃんと返しました
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きもんげは約束の時間にきっかりにやってきた。
「やあ」
「よろしゅう」
純粋に仕事をした後、来週皆でキャンプにでも行こうという計画を持ちかけるつもりだったが、
最初から相手はケンカ腰だった。
「あんた覚えとんの?」
「何を?」
「とぼけるやないでえ!あんたこの前スィー便を立替たの忘れたんかいな!!」
「忘れる訳………無いじゃないか」
ココアを持ったカップが軽く揺れる。
「ええと、一口餃子何個分で足りるかな………?」
「アホか!!わいをその辺のゆっくりと一緒にするんやないでえ!!現金や!!現金で支払いはなれ!」
「400円くらい?」
「ボケえ!!西日暮里から相模原までいくらかかると思っとるねん!!」
確かにそうか。しかし、スぃー便、大抵ゆっくりし過ぎて1日遅れるのがデフォルトなのだ。その分
格安なのだが………
「1800円か……未だに相場がわからん……」
「料金表、今度持って来といたる」
「悪いんだけどさ、今持ち合わせが無いのよ」
バニラパフェを注文し終わったきもんげは、さらに目くじらを立てた
「あんたそうやって踏み倒す気かいな!!」
「いや、そんな」
「そうした所、教育者の割にはホンマにだらしないでえ!!さっさと金払いなはれ!!」
しかし、ここで払ってしまっては、本当に今晩の夜食が買えなくなる。ちゃんと返そうと
気はあったが、次の給料日までやはり苦しいのだ。どうしたものかと思っていた矢先だった。
「違うんだよ 違うんだよ!!!」
「な、何やあ?」
後ろの席で抹茶アイスを相手にゆっくりしていたちぇんだった。
「このお兄さんを誤解しないで欲しいよ!!! ゆっくり聞いてね? お兄さんは
1800円を!!寒さに苦しむ西日暮里託赤ちゃんゆっくり所の子ども達のために!!暖房を買うのに使ったんだよ!!
だから、許してあげてね?」
「ちぇん、その話はしないでいい。もう過去の事だ。
1800円を!!寒さに苦しむ西日暮里託赤ちゃんゆっくり所の子ども達のために!!暖房を買うのに使った!!
としても、このきもんげおばさんから借りたお金だったんだ。返さなくちゃいけないんだよ」
「でも、待ってね?お兄さん。
1800円を!!寒さに苦しむ西日暮里託赤ちゃんゆっくり所の子ども達のために!!暖房を買うのに使った!!
事は本当のことだよ?」
「それでも、借りたものは返さなきゃいけないのが、人間のルールさ。」
ここで、無理に笑みを作ってきもんげに向く。
「まあ、そうした訳だ。すまないきもんげさん。支払いは少し遅れるが、返すから待ってくれ……」
「なんやあ………泣かせる話やないかい……そういう裏話、嫌いやないで……」
「だよねえ。ごめん。必ず返すって」
「うん」
むしゃりむしゃり
パフェを食べつつ、きもんげは更に言った。
「まあ、不景気なのはどこも一緒やな。まあ、心配しないどき。ああ、あとここの支払いm………
――――って、嘘つくんやないでええええええ!!」
カップの底のフレークをざくざくとかき混ぜながら、きもんげは吼えた。
「アホか!!誰がそんな与太話にひっかかるっちゅうねん!!1800円で買える暖房がどこにあるんやァ!?」
「いやでも、うちがあんまり儲かってないのは知ってるでしょ?」
「何言うとんねん!!もう都内最大手の託赤ちゃんゆっくり所に何の困窮があるっちゅうねん!!」
滝の様に汗をかきつつ、ココアを啜りながらちぇんと顔を合わせていたときだった。
「それは違うよ!!」
ちょうどトイレから出てきた、ゆっくりすわこだった。
「西日暮里託赤ちゃんゆっくり所は、悪徳プロモーターに目をつけられて、差し押さえになろうとしていたんだよ!!」
「………プロモーター?不動産とかじゃなく?何の促進やねん」
「それを、赤ちゃんを救おうと、必死になってお兄さんは
1800円を!!行き場の無い西日暮里託赤ちゃんゆっくり所の子ども達のために!!買収に使ったんだよ!!」
「すわこ、もういい。確かに俺は、
1800円を!!行き場の無い西日暮里託赤ちゃんゆっくり所の子ども達のために!!買収に使うことになったが、そんな
事を言い訳にしちゃいけないんだ」
「でもお兄さん、あなたのお陰で赤ちゃん達は今日も元気でいられるんだよ!」
ここで、もう一度無理に笑みを作ってきもんげに向く。
「まあ、そうした訳だ。すまないきもんげさん。支払いは少し遅れるが、返すから待ってくれ……」
「なんやあ………泣かせる話やないかい……そういう裏話、嫌いやないで……」
「だよねえ。ごめん。必ず返すって」
「うん」
さくりさくりさくり
残りのアイスとコーンフレークも食べつつ、きもんげは更に言った。
「まあ、悪い奴等はどこにでもいるんやな。まあ、心配しないどき。ああ、あとここの支払いm………
――――って、嘘つくんやないでええええええ!!」
お冷の氷をがりがりと噛み砕きながら、きもんげは吼えた。
「アホか!!誰がそんな与太話にひっかかるっちゅうねん!!1800円で何を買収すんねや!?」
「いやでも、そのほら」
「何言うとんねん!!さっさと1800円払うんやで!!」
「こちら、お下げしてよろしいでしょうか?」
「あ、はいお願いします」
ウェイトレスは、ふらんだった。
「話は全て聞かせてもらったわ!!!」
「誰やねんお前も」
「悪徳プロモーターは、表の顔。本当は世界征服を企てる悪の組織・ブラック・デモス・シルバーブルーメ・サタン
だったのさ!!」
「な、何やてええ!?」
すわことちぇんと顔を見合わせ、最後に言った。
「そういう訳なんだ。主に世界とゆっくりうどんげとゆっくりてゐを守るためにも、今はどうしてもあの1800円が
必要になるんだよ」
「主にうどんげとてゐかいな。それなら仕方あらへんな」
「一応、きもんげの為にも戦ってるから気にしないでくれ」
「まあ、世界の危機なら協力させてもらうで。まあ、心配しないどき。ああ、あとここの支払いももっとくさかい、
ゆっくり頑張るんやでえ」
「すまない」
ココア代と、バニラパフェ代を支払い、何かを思案しながらきもんげが出て行くのを確認し――――彼は、懐から
煎餅を出した。
「ありがとう。とっといてくれ」
「毎度毎度~~だよー」
「ゆっくりありがとう」
「お仕事終わったら食べるね!!!」
ココアを飲み干し、ちょっと考えながら言う。
「託赤ちゃんゆっくり所ネタは悪くないんだけどな………1800円で暖房ってのはあんまりよくなかったな。こう……
生活が逼迫してるって設定より、ちょっと子ども達が、あれば極端に喜んでくれるものを買った、ってタイプだと
却って納得されやすいんだ」
「解ったよー!!!次から新しいパターンを考えるよー」
「それからすわこさ、悪徳プロモーターって、何か……もっと詳しくは知らんけど、アイドルとか馬鹿なイケメンの
タレントを不正に売り込んで、正統派を陥れようとか、何かそういう職業だと思う。多分。きもんげさんが言ってた
みたいに、悪徳不動産でよかったんじゃないか?」
「ゆっくり理解したよ!また考えてくるね」
「そしてふらんちゃんさ」
「ゆっ!!?」
「――何だよ、ブラック・デモス・シルバーブルーメ・サタンって………語呂悪いよ」
「ふらんの好きな円盤生物達だよ!!」
「それは解るが、もう少しひねろう。……………また今度遊びにきたらDVD見ようか……しかし若いのにレオ好きね」
ぶんぶかと尻尾や帽子、羽を振る3人に会釈し、彼は店を後にした。
今から行けば、夜勤には丁度間に合う。
と――――前方から駆け込んでくる者がある。
「 ――――って、嘘つくんやないでええええええ!!」
「うわっ!!?きもんげさん?」
「――何やねん、ブラック・デモス・シルバーブルーメ・サタンて、語呂悪いわ!!!それに全部円盤生物やないけ!!」
(レオを知ってるゆっくりが何でこんなに多いんだ………!?)
あれから5分近くは経過しているはずなのに、わざわざ戻ってきたきもんげに感心しつつ、何と切り返したものか、彼が
思案していると……
「そこまでよ!!」
「えっ?悪いことしとんのは兄さんのほうやと思うねんけど………」
そこには、ぱちゅりーとさくや、そして体つきの大小のれみりゃと、その横にちぇんがいたのだった。
「あ、久しぶり」
「あ、お兄さんご無沙汰してました」
「じゃ、じゃあ最初に払っておきますね?」
「むきゅっ。ありがとう」
懐から出したせんべいを、5人分。さらにサービスのつもりで、プリン味のチロルチョコを2個。
「あの……せめて終わってから払っては…?と、いうかそんな必要ないですし…」
「いやまあ、気持ちってか………」
呆気にとられるきもんげ。
まずぱちゅりーから始まった
「このお兄さんを誤解しないであげて!!」
「誰ですかいなあんたらも………」
ちょっと気になったので、大きい方のれみりゃに聞いた
「あれ?いつ頃再婚したんです?」
「この前始めたお仕事で♪ 一度は来てねえー」
「はじめまして!!! よろしくお願い~!!」
ちぇんはごそごそと帽子から名詞を取り出し、れみりゃはポケットティッシュを取り出す。
「バニー・バニー 西日暮里店…………」
「バニーゆっくりやってるの~」
ゆっくりの年齢的に、少しきついのではと思ったが、小さくプリントされた店内の様子を見
と、それほどハードルは高くないことが解った。
日勤の週にでも行ってみよう。
子どものれみりゃも近くの店のバイトでよく会うが、やはり専門学校の学費はそれだけでは
賄えないか。しかし、ちぇんが存外若いのに、名刺にはフロアマネージャーと書かれているか
ら、大したものだ。
感心している間にも、さくやさんとぱちゅりーはきもんげに説明していた。
「だから、彼はそんなに悪い人ではないのです!!!」
「そうよ!!!雨にぬれている捨て犬や捨てキジムナーでも、拾ってかいほうしてあげるやさしい
おとこなのよ!!」
「うう………そ、そうやったんかい………」
「そして、最後まで看取った野生動物の数や、席を譲ってあげたお年寄りの人数は数百にも
登るとか登らないとか………」
「な、なんて泣ける話なんや………………って、1800円と関係ねえええええええ!!!」
再び憤り始めたきもんげに、6人で顔を見合わせていると、ふらりとれいむが立ち寄ってきた。
目があう。
軽く手招き、無言で懐からまた一枚煎餅を取り出す。
そろそろ残りが少なくなってきた………
「きもんげさん、ちょっと待ってね!!!お兄さんには言うに言われぬ事情があったんだよ!!!」
一人、この中では米国生まれのちぇんだけが相方に尋ねる。
「どういうことなの?」
「ここだと、全員おにいさんの事知ってて、大好きなの」
「誰なの?」
「赤ちゃんのお世話をしてくれるお兄ちゃんだよ」
未だにいきりたつきもんげを見つつ、ぱちゅりーは嘆息した。
「でも、いくら顔がきいても、あのお礼のおせんべいやチョコレート代の出費が多過ぎて、生活もままならい
って………その分、働きすぎてるのよね、あのお兄さん」
「おぜうさま、娘様、ああいうのを本末転倒というんですよ」
―――本当は、皆煎餅もチョコレートもいらないと言っているのだが
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最終更新:2011年02月22日 18:16