『おかしな辞書』
平日の早朝、ここはある図書館。なぜかテーブルの上に一冊の辞書が置いてある。
妙な事にその辞書には何か挟まっているのか、少しだけ隙間が出来ていた。
「・・・ぅきゅー・・・。」
中から声がすることに気付き、その本を開けてみると
「きゅー・・・。ぅゅー・・・。」
辞書に挟まれていたせいか少し平べったくはなっているものの、
幸せそうな寝顔でちびぱちゅりーが眠っていたのだ。
「へぷきゅっ!!・・・ぅきゅー?ちゃむいぃ・・・。」
どうやら安眠の邪魔をしてしまったようだ、くしゃみと同時に目を覚ましてしまった。
「ぁれぇ・・・?おふとんがなぃ・・・?」
ぽけーとしながらきょろきょろして動き回っている。ついには自分から辞書の外に転げ落ちてしまった。
「うぎゅっ・・・。・・・?」
顔からテーブルに突っ伏したもののどうやら眠くてあまり良く事態が解っていないらしい。
むくりと起き上がると口を三角にして?を浮かべながら、元の丸型に戻りつつぷるぷると震えている。
「ぅきゅう?。・・・ゆっ!ゆっくちちていっちぇね。」
ふと上を見上げて俺に気がついたのかはっとすると、ぱちゅりーらしいあまり勢いの無い挨拶が飛んできた。
挨拶を返すとと嬉しそうに、そして眠気眼のままで満足そうに頬を染めているので、思わず手でそっと撫でた。
「ぅきゅーん。くすぐっちゃいぃ・・・。ちゅりちゅり・・・。」
目を閉じながら手の平の中で自分からもすりすりしてくるのでなんだかこっちもくすぐったい。
「うきゅーん・・・。zzz・・・。ぅきゅ・・・。」
やはり寝ている途中で眠かったのか、ちびぱちゅりーは徐々に動きが遅くなって寝息を立て始めた。
さすがにずっと手の中に入れているわけにはいかないので、そんなちびぱちゅりーを、
ちょんちょんと突付いて起し、辞書の方向に導く。
「おっふとん・・・。こっきゅりー・・・おっふとん・・・こっきゅりぃ・・・。」
寝ぼけながらも理解したのか、のろのろと開いたままの辞書のページの上に乗り
「ぅきゅー。ちゃむいぃ・・・。もっうちょっとねりゅ。」
と言って寒さに震えた後、ちびぱちゅりーが何時も以上に眠たげな眼のままぴょんと飛び跳ね
「ぅぎゅっ。・・・・・・・・・・・・・zzz」
その衝撃で本が閉じると、元の少し隙間の開いたおかしな辞書に戻ったのだった。
おやすみ、ちびぱちゅりーと小声で呟くと、起さないよう静かに両手でカウンターの職員の所に持って行く。
すると、同じような辞書が何冊か奥のテーブルの上にあり、それを見ている俺に向かって職員は微笑みながら言った。
「本に潜り込むのって小さい頃にしか出来ないんです。それにぱちゅりー達は本を大切にしてくれますからね。
ちょっとしたお礼みたいなもので、古くなった辞書を好きに使えるようにプレゼントしているんです。」 即興の人
- このぱちぇは本当に可愛いと思います。創想話、その他東方SS全部を含めても一番好きな作品です。
乙でした! -- 名無しさん (2009-03-18 15:54:40)
- 何これスゲー可愛いんですけど。…ここの職員になりたい
-- 名無し (2011-03-16 21:13:20)
- 『おかしな辞書』って初めて見たと思ったら即興の人の最初の頃の話ね
あの人改めて良いもの描いてたんだなあ……
これだけ上手く読みやすくまとまってて可愛い話はちょっと描けない -- 名無しさん (2011-03-16 23:11:29)
最終更新:2011年03月16日 23:11