ゆっくりれいむとゆっくりポイント

私、博麗霊夢はゆっくりを飼っている。自分と似た姿をしているゆっくりれいむだ。
ゆっくりれいむと出会った当初は自分と似た饅頭が動いているとあって気味が悪く見えたものだが、
今となっては仲良くやっている。



例えば庭の掃除を終えて、一休みとして昼寝をしようと座布団を探していたとき、
私のそばまで飛び跳ねてくると

「おひるね♪おひるね♪れいむといっしょにゆっくりしようよ!!」

と、自らの身体を枕代わりにさせてくる。
頭を預けるとふんわりと柔らかく、餡子の甘くていいにおいがする。
そのことをゆっくりれいむに告げると、

「ここがれ~むのゆっくりプレイスだよ!!ゆっくりしていってね!!」

と、ふるふると喜んでいる。自分が飼い主の役に立つことがうれしいのだろう。まったく可愛いやつめ。
ちなみにゆっくりれいむは自分のことは【れいむ】、霊夢のことは【れ~む】と呼ぶ。ややこしい。

とても寝心地がよかったので、枕になってくれたお礼にとゆっくりれいむを抱っこして膝の上にのせてあげた。ふにりとした柔らかい感触を手と膝に感じた。
意外と重い。中身が詰まっているのだろう。

「ゆぅ~♪」

ゆっくりれいむはご機嫌だ。すりすりと顔を胸に摺り寄せてくる。女の子同士?とはいえ少し恥ずかしい。

「ここをれいむのゆっくりポイントにしてもいい?すっごくゆっくりできるよ!」

そうやって満面の笑みでせがんでくる。特に断る理由もないのでいいよと答えると、ゆっくりれいむは目をつぶって動かなくなった。
ゆっくりするためであろう。

「あったかくてやわらかい・・・。おかあさんみたい・・・。」

この年で母親呼ばわりされるとは思わなかったが、悪い気がしなかった。
ところでゆっくりプレイスとゆっくりポイントの違いって何だろう。






その後の事であるが、友人の霧雨魔理沙が自分の飼っているゆっくりアリスを連れてきた。アリス本人に似てか、
礼儀正しくておしゃまなところがあった。そういえば以前ゆっくりれいむを抱っこしてあげたら喜んだことを思い出す。
喜んでくれたらいいなと、ためしにとゆっくりアリスを抱っこしてあげた。

「はなして!ありすはもうこどもじゃないの!」

そうは言っておきながら顔は笑っている。素直じゃないところもアリスそっくりだ。

そのときゆっくりれいむが奥の部屋から飛び跳ねてきた。ゆっくりの名にあるまじきスピードだった。息まできらせている。
ゆっくりれいむは泣きそうな顔でゆっくりアリスをにらんだ後、

「ここはれいむのゆっくりポイントだよ!ゆっくりどいてね!」

と泣き叫んでしまった。まさかやきもちを焼かれるとは思ってもいなかった。このままでは埒が明かないので、
悪いけどゆっくりアリスにはどいてもらった。ゆっくりアリスは何も言わなかったが、目を伏せてとても残念そうな顔をしていた。
あとで魔理沙にゆっくりアリスを抱っこしてあげるように頼んだ。魔理沙はあっさりと了承してくれた。
このときゆっくりアリスが一瞬うれしそうな顔をしたことを私は見逃さなかった。







その日の夜、なんで他のゆっくりをどかそうとしたのかと叱ったら、

「れ~むのうわきもの!だっこしてくれるのはれいむだけじゃなかったの!れいむのゆっくりポイントにしてくれるっていったのに!」

ぷく~っと、ふくれつらですねている。あの時は軽く約束してしまったが、それほど重要な約束であるとは思わなかった。
たぶん私達とは常識が違うのであろう。それでも友達を追い出そうとすることは最低だときつく叱った。
今度あんなことをしたら二度と抱っこしてあげないというと、

「ゅっ・・・ゅ・・・ごめ゛んなざい!ごめんな゛ざい!もうにどとじまぜん・・・。だかられいむのこときらいにならないでぇ!!
れ~むといっしょじゃないとゆっくりできないよ!ゆっぐりしたくないよ!」

泣き出しちゃったよ。どうしよう。まぁ、反省しているならいいか。
そう思いながら抱っこしてあげる。我ながら甘くなってしまったものだ。
ゆっくりれいむは頭をぐりぐりと強く擦り付けてくる。やはりゆっくりポイントを奪われるのはよっぽどのことだったのだろう。
それならばと、もう二度と友達を無理やりどかそうとしないならいくらでも抱っこしてあげるとゆっくりれいむに告げると、

「ゆっくり・・・・・・ごめんなさい・・・・・。ゆぅ・・・ゅ・・・・・・・・・。」

ゆっくりれいむは腕の中に納まり、あっという間に寝てしまった。普段あれほど取り乱すことはなかったから疲れたのであろう。
そう考えると、これほど大事に思われているのも悪くはない。
ゆっくりれいむを抱え、布団の中に連れて行く。今夜は一緒に寝てあげよう。



なんだか、子供の頃に何かあって泣いてしまった後、お母さんの布団の中にもぐりこんだときのことを思い出す。
あのときはどんなものからも守られている感じがした。怖いものが絶対に近づいてこない。安心できる場所。どこよりもゆっくりできた。
ゆっくり達にしてみれば、ゆっくりすることは存在意義なのかもしれない。それならばあれほどまでに守ろうとしたのも納得できる。
誰だって大事な人の隣を他の人に渡したくはないだろう。今度からは気をつけよう。そう思いながら、隣にいるゆっくりれいむをなでる。
とても安心した顔をしている。これを見ると、また抱っこしてあげたくなる。お母さんになった気分だ。
ふとゆっくりれいむの口元を見ると、寝言を言っているようだ。どんな夢を見ているのだろう。






「れ~むのおなかきもちいいょぉ・・・・・・・。ぷにぷにしてるぅ・・・・・おもちみたい・・・・」






やっぱやめだ。二度とだっこなんかしてやらん。

  • 涙がとまらないよ!どうしてくれるの!! -- ゆっく (2009-03-27 02:44:17)

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最終更新:2010年11月27日 14:35